南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2015年08月

「こだわり」だけしかない商品は売れない

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 今日は、販促とか売り方の観点から。

正直に言って、最近「こだわりの〇〇」と言われる商品を見ても、あまり興味が湧かない。
これは加齢によって心が鈍感になっているのか、それともあまりにも「こだわりの〇〇」がそこらじゅうに溢れすぎていることによる麻痺なのかわからない。

おそらくその両方ではないかと思う。

断っておくと、こだわりの〇〇が悪いというわけではない。
こだわった物作りをするのはむしろ良い部類にある。

言いたいのは、最早「こだわりの〇〇」は有効な販促手段でもないし、消費者が商品を購入する場合の決め手にはならないということである。

理由は、こだわりの商品はそこらじゅうに溢れており、販促のキーワードとしては陳腐化してしまっているからだ。


今回は、藤村正宏さんのブログを紹介しよう。

「こだわった商品」はもう売れない。それはスペックだから。
http://www.ex-ma.com/blog/archives/3617



「こだわりの蕎麦」や「こだわりの自然素材のレストラン」。
かつてはめずらしくて価値があったものも、今やごく当たり前の存在になっている。
もう商品自体への「こだわり」が通用しない時代なったと思う。

あなたの商品はきっと素晴らしい商品でしょう。
お客さまに喜ばれて、お客さまの生活を豊かにするものだと思います。
でもね、あなたがどんな素晴らしい商品を売っていても、それだけではダメなんです。

大切なことなので、繰り返しますが、モノのよさ、サービスのよさだけでは、もう売れない時代なんです。
だって、あなたのライバルたちも、みんな素晴らしい商品・サービスを提供しているのですから。

今の日本ほど、クオリティの高い、質のいい商品があふれている時代はありません。
たとえば、日本のメーカーが作る4K-TVは、どれもすごいクオリティが高く、価格も安い。
日本のファストファッションの会社が作っている、服は、ものすごく質が高い。
おまけに安い。

「ウチの商品はただの商品じゃないよ。こだわった商品なんだから」

よく商品に「こだわっている」という店がありますよね。
「こだわった」商品を売れば売れる、といわれていました。
マーケティング・コンサルタントの言葉に乗せられて、「商品にこだわれば売れる」なんて勘違いしている店もあります。
でもね、残念ですけど、もう「こだわり」じゃ売れないんです。

たとえばレストランで考えてみましょう。
よく、食材にこだわっているレストランとかありますよね。
「味にこだわっている」
「新鮮な素材にこだわっている」
「低農薬野菜にこだわっている」
「食材にこだわっている」
「畑にこだわっている」
「健康にこだわってる」
「自然素材にこだわっている」

あるわ、あるわ。
ちょっと見渡すとあなたのまわりにもこういうレストランがあるのではないでしょうか。
街を歩いたら、必ずあります。「こだわっている飲食店」、それこそ「犬も歩けば」状態。た~っくさんある。
ウチの近所のチェーンの居酒屋も、友達の近所のファミレスも、あなたの近くのバーガーショップも、み~んな、こだわっている。
ここ数年、そういう流れになってきました。

「グルメ志向」「健康志向」「自然志向」……ちょっと前はそれでよかったんです。
あまりやっているところがなかったから。それで売れたんです。
でも、今はそういうところがたくさんある

「ウチは自然素材にこだわったレストランです」
そんな言葉は誰にも響かない。
だってみんなそうだから。

「材料と手打ちにこだわった蕎麦屋」
そんな言葉は誰にも響かない。
だってたくさんあるから。



とのことである。

これを衣料品に置き換えてみれば業界の人でも分かり易いのではないか。

こだわりのジーンズ
こだわりのドレスシャツ
こだわりのTシャツ
こだわりのスエット

などなど。

〇〇綿の〇番手の糸を〇回撚って、織り上げた生地を使用した〇〇。

〇〇産地の生地を使って伝統の技法で仕上げた〇〇。

天然染料で手染めした〇〇を天日に干して、それを〇回繰り返して染め上げた〇〇。

こんなキャッチコピーの付いた衣料品や繊維雑貨なんて腐るほどある。
腐ったようなものもある。

洋装だけではない。
和装でも同じだろう。いや、和装の方がもっと多いか?

もちろん、これらの製法で作られた商品が悪いわけではない。
しかし、これだけでは売れない。

ユニクロのジーンズだって「こだわり」である。
「こだわり」のカイハラ製の生地(そうでないものも増えているが)を使って、作られている。

無印良品の衣料品だってそうだ。
オーガニックコットン(本当にどこまでそうなのかは疑問だが)を使って作られている。

こだわりの〇〇なんていうのは、ユニクロや無印良品でも低価格で手に入る。
こういうことをいうと業界の人は必死で言い訳をする。

「あそこの〇〇は糸を〇回しか撚っていないが、うちの〇〇は糸を×回も撚っている」とか言う内容の事柄である。

しかし、「糸の撚りを×回にしました」と言ったところで消費者にそれが伝わるのだろうか。
極マニア層には何となく伝わるかもしれないが、99%には伝わらないだろう。
そのブランドが1%の極マニア層に向けたビジネスを展開しているならそれでも良いだろうが、そこそこに大規模な販売を望んでいるならまったく効果がない。

この「こだわり」商法はいつ頃から顕在化したのだろうか。
個人的には2008年ではないかと思う。
もちろん、そういう風潮が突然現れたのではなく、それまでジワジワとくすぶっていたのが2008年を契機に顕在化したという意味である。

2008年は外資系ファストファッションが本格的に上陸した年である。

それまで国内のアパレルは「トレンド」を売りにしてきた。
70年代の高度成長期、80年代のバブル期はそうである。
バブル崩壊後もその流れがあった。

一方、90年代後半のビンテージジーンズブームによって「こだわり」というジャンルが確立された。

これがジワジワと燻り、ビンテージジーンズは廃れたが、2008年を契機に一気に顕在化したのではないかと思う。
というよりも、これまでの「トレンド」商法が2008年で完全に弱体化したからかもしれない。

ファストファッションの上陸で「トレンド品」は格安で買える商品になってしまった。
「トレンドですよ」というだけでは、ファストファッションとの競合、価格競争にさらされる。

では価格競争にさらされない販促手法として注目されたのが、ビンテージジーンズを起源とする「こだわり商法」ではなかったか。

しかし、すでに「こだわり商法」もほぼ飽和状態にある。

衣料品も食料品も「こだわりの〇〇」なんて掃いて捨てるほどある。
スーパー万代でも低価格でこだわりの食品が売られている。

すでに「こだわり」は標準装備と化している。

売るためには「こだわり」は当たり前として、そこにプラスアルファの何かが求められる。
ここに取り組まないと「こだわり」一辺倒では、価格競争に巻き込まれる。
もしかしたらもう巻き込まれているかもしれない。


くどいようだが、こだわりの物作りを否定しているのではない。
それは物作りにとって必要だが、それだけで売れる時代では最早なくなっているということである。

売りたいなら、「こだわり」はすでに標準装備化しているということを認識しなくてはならない。
その上でどう独自化できるかである。

言うは易く行うは難しなのだが。


安売りするな!「価値」を売れ!
藤村 正宏
実業之日本社
2013-12-27








低価格ジーンズとの価格差がなくなりつつある

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 あらゆる商品、サービスには低価格代替品が登場するし、競合も登場する。
これをいくら非難してもみても仕方がないし、無駄である。
完全になくそうとするなら社会主義経済に移行するほかないだろう。
もっとも地上において完全なる社会主義経済を達成できた国家は歴史上ないのだけれど。

国内のナショナルブランドのジーンズが凋落したのは、間違いなく代替品が多く登場したからである。
ジーンズの場合は低価格と高価格両方に代替品が数多く登場し、もしかすると市場規模全体は増えたかもしれないが、需要はバラけた。

低価格の代表はユニクロやしまむら、ウィゴー、ローリーズファームなどだろう。
高価格はエヴィスやドゥニームなどのビンテージ系、それから欧米のインポートジーンズなどだろう。

20年前なら6900~8900円くらいに価格帯に固まっていたナショナルブランドジーンズの上と下の価格帯に数多くの代替品が登場した。そして需要がバラけた。

それらの代替品の製造を可能にしたのが、OEM・ODM業者の増加である。

彼らが増加したために、本格的なジーンズをどんなブランドでも作り易くなった。
極端に言えば資金さえ出せばど素人でもオリジナルジーンズを作ることが可能だ。

低価格代替品の最右翼と評しても良いユニクロだが、目に見えて販売価格が上昇してきた。
これは原材料費の高騰、中国を含むアジア地区の人件費の上昇、円安基調の3つが原因である。

筆者は基本的に低価格店の店頭を見るのが好きであり、ほぼ日課であるといっても言い過ぎではない。

ユニクロの今秋冬物を見ると、たしかに値上がりしていることを痛感する。
ジーンズは税抜4990円である。
無地のラムウールセーターは税抜2490円である。

ジーンズは今春夏までと比べて1000円の上昇、ラムウールセーターは500円の上昇であり、他のアイテムも軒並み値上がりしている。

ウールカシミヤチェスターコート(チェスターフィールドコートのこと)は14900円(税抜)である。
ちなみに店舗によっては色とサイズにバラつきがあるが、昨年秋のチェスターコートは値下げされたままの7990円で販売されているから、色が気に入ってサイズさえ合えばこちらを買う方がお得である。

ジーンズに絞って考えてみる。

ユニクロのジーンズが4990円にまで値上がりしてしまった。
外的要因から仕方がないこととはいえ、正直に言えば割高感を感じる。

一方、残ったナショナルブランドのエドウインやリーバイスの廃盤品はだいたい5,900円くらいに値下げされてライトオンやジーンズメイトで販売されている。
またエドウインには5900円という商品もある。一部店舗にしか置かれていないが。

こうなると、価格差は1000円ほどであり、ユニクロのジーンズに以前ほどは割安感を感じられなくなっている。
それにユニクロジーンズにそこまでのブランド力があるかと言われると疑問を感じる。
またエドウインの廃盤品なら日本製である。

これ以外にも気になることがある。

これまでユニクロのジーンズの多くには「カイハラ」のタグが付けられていた。
全部ではないにしろ、国内のデニム生地工場の最大手カイハラから多くのデニム生地を仕入れていた。

今秋物のジーンズを店頭でいろいろ見てみたが、「カイハラ」タグが付いているものは見つけられなかった。

値上がりした上に「カイハラ」タグまでなくなっているのだから割高感はさらに増してしまう。
タグがないということはカイハラ製のデニム生地が減ったということだろう。
一説には中国製デニム生地の使用が増えているという噂も耳にする。


それはさておき。

低価格代替品とナショナルブランドの中価格帯との価格差がなくなってきたというのは面白い現象ではないかと思う。

また一時的に話題となった1000円以下の激安ジーンズもいつの間にか沈静化してしまっている。
量販店の店頭には商品は残っているが、話題になることもない。
これに注目している消費者は現在ほとんどいないだろう。

となると、ジーンズの市場価格は再び中価格帯周辺に集合するということになる。

そしてジーンズにもストレッチをはじめとする機能性が求められ始めている。
ストレッチ、吸水速乾、保温、防風、撥水、軽量などなどだ。

市場価格の底値が上がってきたということは、上手くやればナショナルブランドが逆襲することも可能なのではないか。
この10年ぐらいでジーンズナショナルブランドは激減してしまったが、残存者メリットはあるのではないか。

逆にユニクロはこれからさらに価格帯を上げるのだろうか。

低価格が欲しい人をジーユーに振り分けているという指摘もあるが、その通りだとは思いつつも、ジーユーは若い層をターゲットにしているため、シルエットがユニクロより細めである。

あれがピッタリ合う中高年男性は少ないだろう。

となると、これまでユニクロの主要顧客だった低価格好きな中高年男性を取り込めるブランドがグループ内に存在しないということになる。

ジーユーのサイズ幅を広げるのか、それとも別の低価格ラインを作るのか、はたまた値下げした昨年商品を重点的に買わせることにするのか、他人事ながら興味は尽きない。

もしかしたら店内にもう少し分かり易く見た目にも美しい形でアウトレットコーナー(在庫処分コーナー)を作るのも手かもしれない。








日本ジーンズ物語
杉山 慎策
吉備人出版
2009-02-27



イトーヨーカドーのフットカバーがかなり優秀

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 今日は気分を変えて。

タレントの石田純一さんは靴下を履かないそうで、革靴やローファーを素足に履いている。
そこになんのこだわりがあるのか、またそれがオシャレなのかまったくわからない。

しかし、足裏は意外に汗をかいて蒸れるから、靴の中のニオイはかなり強烈なはずだ。
また足裏自体も汗で湿るので結構不快なはずだ。

昨今は丈が短めのパンツが流行している。

とくに膝丈前後の短パンにローファーを合わせたとき、どういう靴下を履いたら良いのか迷ってしまう人も多いのではないか。

普通の靴下を履いたらどうだ?と思われるかもしれないが、漫画に登場する「金持ちの小学生」みたいになってしまう。

これも昨今流行りの丈の短いスニーカーソックスならどうだ?

個人的な印象はなんだか微妙である。

じゃあもっと丈の短い靴下が必要となる。
いわゆるフットカバーと呼ばれる商品である。

3年くらい前から男性用のフットカバーもかなり増えてきた。
フットカバーはかなり浅いので、普通の編み地だけでは絶対に靴の中でズレる。
あれはかなり気持ちが悪い。

そのためズレないフットカバーというニーズが顕在化してきた。
筆者も何足かフットカバーを買ったり、メーカーからサンプルをいただいたりした。

多くのフットカバーはかかと部分にラバーみたいな素材ですべり止めが付けられている。
しかし、それでもズレる物はズレる。
逆にほとんどズレない物もある。

今回は、いくつか持っているフットカバーの中からズレにくくて優秀だったものを紹介してみる。
もちろん、定価では購入していない。


丸安毛糸の岡崎社長が「良かった」とフェイスブック上で紹介しておられたイトーヨーカドーのフットカバーをためしに1足先日購入してみた。
ブランド名はプライベートブランドの「グッディ」だ。
定価は税込529円だが、税込390円にまで値下げされていた。

写真 18




これの着用感想だが、たしかに良い。
かかと部分にもちろんラバーが貼り付けられているが、それ以外の部分でもかなりしっかりと足をホールドする感覚がある。
かなり優秀な作りだと思う。

組成のパーセンテージはわからないが、綿・ポリエステル・ポリウレタン混と表記されてある。
ベトナム製。


グンゼの「トゥシェ」。
これは定価500円の物が300円に値下がりしているのを西友で購入した。

写真 37




グッディほどのホールド感はないが、たしかにズレにくい。
これもそこそこに優秀なつくりをしている。
ただ、購入した商品がかなり薄手生地だったので、そこが個人的には少し気に入らない。
個人的には薄手の靴下生地があまり好きではない。
まあ、ワゴンに残っていたのを買ったので、この生地しか残っていなかったのだが。
もし、これよりも少し厚めのグッディ並みの生地があればかなり良いのではないかと思う。


意外な掘り出し物だったのが、ライトオンの迷彩柄である。
これはもう2年ほど前に買ったがかなり良い。
ずれにくい。
価格ははっきりと覚えていないが、100~200円くらいで買ったと思う。

写真 29




それとブランドすら覚えていないのがこのボーダー柄のフットカバーでこれも2年くらい前に買った。
どこで買ったのかも覚えていない。
価格も覚えていないが100~200円くらいだったと思う。

写真 39





そのほかにフットカバーを3足ほど持っているが、あとのはホールド力が弱く履いているうちにズレてしまう。
捨ててしまおうかと考えているほどである。


手持ちの中ではこの4足がベストである。
それとグッディのフットカバーはかなり優秀だ。
これはオススメである。

あと試してみたいのが、ABCマートで販売されているグンゼの「スタッキズム」である。
グンゼがABCマート用に開発した商品で、メンズだと3足1200円くらいで販売されている。
かなり脱げにくいとあちこちで書かれているので、実際にどうなのか試してみたいと思っている。

ただ、3足もまとめて買う必要がないから悩んでいる。

また値下がりしたら買ってみたいと思う。

それにしてもフットカバーに関してはイトーヨーカドーの「グッディ」の底力を見たような気がする。
ユニクロの安易な後追い企画ではなく、こういう優良な独自企画品を開発し、それをきちんと伝えることができたら衣料品の売れ行きが改善する余地はあるのではないかと思う。











ファッション業界における模倣

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 ファッション業界においては模倣(完全コピーではない)は必要悪みたいなところがある。

昨日も少し書いたが、ファッショントレンドなんていうのは模倣によって広まるわけである。
例えば、あるブランドがスキニージーンズを作ったところ、非常にファッショントレンド先端層から注目を集めたとする。これが先端層の人気のみで終わる場合もあるが、フォロワー層、大衆層もその商品を欲しがり始めるようになることもある。

これがいわゆる「ファッショントレンド品」である。

先端層は「ファッション変態」みたいな人が多いから、彼らの注目することがすべて大衆層に受け入れられるわけではない。変態の嗜好なんて大衆には理解できないことの方が多い。
それでも何回かに1回はそれが大衆にも支持される。

スキニーがトレンドになったとき、開発元のAブランドだけでは、到底需要は賄いきれない。
競合他社はビジネスチャンスを感じて製造を開始する。フォロワー層や大衆層もそれを求めている。
需要と供給が一致するわけである。

もちろん、本家のAブランドとは微妙に各ブランドはディテールを変えている。
リベットの色を変えてみたり、ヒップポケットに入れるステッチの形を変えてみたり。

本家Aブランドと何から何まで同じようにしてしまうとこれはパクリである。
タグネームまで同じ物を付けるとこれは偽造品である。

偽造品は完全に犯罪である。
パクリも先般のスナイデルコピー事件を見ると今後は完全にアウトとなる。

ただし、スナイデルが毎回常に完全にオリジナルの商品ばかりを発売していたかどうかは疑問だ。
スナイデルも偽造と完全コピーとは無関係だが、模倣することはあっただろう。


スナイデルの商品を完全模倣(コピー)して「Gio」社長、塚原大輝容疑者(36歳)が逮捕されたことは記憶に新しい。
塚原容疑者はスナイデルコピー事件を起こす前には、裏原宿ブランドを偽造した罪で一度逮捕されている。

イリーガルな偽造で逮捕され、ややリーガルになって今度は完全コピーで逮捕されたということになる。
次はさらにリーガルになって模倣品のビジネスを始めるのかもしれないと勝手に想像している。

ビジネス実績だけを見ると塚原容疑者はやり手といえる。
年商数十億円以上売っていたと報道されているし、その前の偽造品でも年商30億円内外あったと報道されている。
その営業手腕はかなりのものではないか。

それはさておき。

今回の東京オリンピックのエンブレムにおいて筆者は佐野氏をまったく支持しない。
しかし、デザインに携わる人の中には支持派もいるし、佐野氏周辺のお友達は完全擁護体制を敷いている。

佐野氏周辺の情緒的擁護論はどうでも良いとして、支持者の中には「ファッション業界なんてパクリばかり」という声もある。
まあ、これはご指摘の通りであるが、ファッション業界でパクリを完全否定することは業界全体を破壊してしまう可能性が高い。

理由は先に挙げた通りである。

偽造や完全コピーは追放するとして、模倣まで追放してしまうと、トレンド市場は形成されなくなる。

スキニージーンズの例に戻ると、本家Aブランドしか供給できなくなるとすると、Aブランドの売上高は飛躍的に伸びる。しかし、同時に供給能力も高めなくてはならない。
自社縫製工場をブランドが構えることはないだろうが、協力工場は確保せねばならない。自社でやらなくても振り屋とかOEM業者を使うこともできる。
しかし、一朝一夕に多くの協力工場を増やすことは不可能である。
相応の時間がかかる。

また多くを作ろうと思うと、それだけ製造費も多くなる。
この製造費を賄わねばならない。

協力工場を増やせずにいる間にスキニー人気は終わってしまうかもしれない。
そうなると市場は形成できない。

そうなるとファッション産業自体が成り立たなくなり、いわゆる家内制手工業的にならざるを得ないのではないか。最早産業とは呼べなくなるのではないか。そう思う。

5ポケットのジーンズは作れなくなるし、トレンチコートも作れなくなる。ボタンダウンシャツも作れなくなる。
ジーンズに各種の洗い加工だって施せなくなる。

そういう意味では模倣はファッション業界において必要悪ではないかと思う。
悪ですらないかもしれない。

そのため、ファッション業界においては、定番品とされている商品の模倣はOKだと考えられてきた。

しかし、先日、アメリカでコンバースが他ブランドを訴えた。
同ブランドの定番スニーカーであるオールスターを模倣したという理由である。

http://t-f-n.blogspot.jp/2015/01/blog-post_29.html

そして訴えられたラルフローレンなどはその類似商品を取り下げている。
コンバース側の勝訴である。

米国の社会事情はまったくわからないが、これは日本人にとっては衝撃的だろう。
なにせ、コンバースのオールスターは「定番品」という扱いだったからだ。

これが著作権を言い始めると完全アウトになる日本ブランドは山のようにある。
今のところ日本国内での訴訟は起こされていないが、アメリカで起きたのだから、今後日本でも起こされる可能性はゼロではない。


先日、オスクレンというブラジルブランドの店頭を取材した。

洋服もさることながら、同ブランド内での定番スニーカーの需要が高いという。
とくにブラジルでは売り上げ構成比の4割がスニーカーだという。

定番スニーカーはどんな形かというと、つま先部分に3つ並んで穴が開いている。
いわゆる鳩目という奴だ。

機能的にはまったく意味がないと思う。
デザイン的な意味合いで付けられているのだろうと思う。

写真77





この意匠を模倣するとするとこれは完全にパクリなのではないかと感じる。
なぜなら、オスクレンというブランドはそれほど知名度が高くないし、展開開始からそれほど時間も経過していないからだ。

明らかに意図的にパクったということになる。

しかし、もう何十年と多くの人に愛用されてきたコンバースオールスターの場合、これは定番であるとの認識が強かった。筆者もそうだし、ラルフローレン側もおそらくそうだったのではないかと思う。

その定番意識が米国で覆されたのだから、これはかなり衝撃的だといえる。

今後はさらに難しいことになるのではないかという気もする。
どこまでをコピーとして、どこからをリーガルな模倣とするのかは、グラフィック業界のみならずファッション業界でも頭を悩ませることになるのではないか。

ただ、業界人が「ファッション業界もパクリばかり」を過度に言い過ぎるとかえって自分たちの首を絞めるようなことにもなりかねない。
そのあたりのことには気が付いているのだろうか。










価格競争に巻き込まれないための2つの方法

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 衣料品に限らず、服飾雑貨、雑貨も含めると今までの売り方で売れるはずもない。
これは各企業がこの15年とか20年間で身を持って体感したのではないかと思う。

昨今流行りのパクリ問題ではないが、見た目の形状だけならいくらでも模倣が可能である。
しかし、一方では模倣によってトレンドが拡散するから、メリットもある。
そうでないとファッショントレンドなんていうのは生まれない。

ブーツカットのジーンズが流行れば、各メーカーがブーツカットのジーンズを発売する。
厳密にいえばそれは模倣である。下手をするとパクリであるが、それによってブーツカットジーンズ人気がさらに過熱してそこに市場が生まれる。

ファッショントレンドというのはこれの繰り返しであるから、一概に「似た物はすべてダメ」なんてことを言いだしたらトレンド品なんてものはなくなる。

ただし、模倣品が出回りすぎると今度は値崩れが起きる。
いわゆる相場価格の下をくぐる業者が多数出現するし、供給量が増えれば市場での価格も下落する。
需要と供給のバランスからいえば当然である。

「低価格品を発売する業者は許せん」なんて声をよく耳にするが、ちょっと短絡的・感情的になりすぎではないか。

実際に物はなんでも安い方が売れやすい。
安いだけでは売れないこともあるが、多くの場合、安い方が売れやすい。
衣料品でも食品でも。それは実体験としてわかるはずだ。わからないならお話にならない。

安い方が売れやすいのだから、少し安い物を供給すれば売れるのではないかと考えるのは供給側としては当然であろう。
家電製品だって出回れば価格は安くなる。高止まりしたままの家電なんてない。
家電が高止まりしたままなら、日本人の現在の生活はもっと不便である。

そして似たような物なら安い方が絶対的に売れやすい。
これは別に消費者のモラルが云々という話ではなく、世界的に共通した消費者心理である。
どんな商品でも市場には必ず低価格の代替品が登場する。
低価格代替品によって消費者にあまねく行き渡るという側面もある。


供給側(製造も販売も含めて)はこの代替品と異なる価値を提示できないと、価格競争に巻き込まれてしまう。
価格競争に巻き込まれているのはその価値が上手く提示できておらず、消費者に伝わっていないからだといえる。


価格競争に巻き込まれないためには、2つしか方法がないと考えている。

1つは、売り方・見せ方・伝え方を圧倒的に変えること
もう1つは、原料から店頭販売までの各段階企業で連合チームをつくること


この2つである。
連合チームを作ることは需給バランスの根本的解決となりうるが、壮大な計画であるし、複数の企業にまたがることなのでなかなかすぐにまとまる物ではない。
長期的展望で取り組むことが望ましいのではないか。

売り方・見せ方・伝え方を変えるのは比較的短期で実現できる。
こちらから取り組む方が容易ではないだろうか。

国内の製造加工業に対してそういう活動をしている企業がいくつかある。その中の1社がセメントプロデュースデザインで、筆者とは意外に古くからおつきあいいただいている。
もう8年くらいになるのだろうか。

ここは衣料品には手を出していない。繊維製品だとタオルとかシオリくらいか。
主に雑貨である。
金谷勉社長は「ファッション衣料は怖くて手が出せない」というが、筆者も同感である。
もし自分がやるとしても衣料品は怖くて手が出せない。
かといって雑貨も怖く感じるが、衣料品と雑貨をどちらか選べと言われるなら、紙一重で「雑貨?」という感じである。

ここの製品で個人的にもっとも評価しているのは、メガネフレーム素材を使った耳かきである。

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正直に言ってメガネフレーム素材を使って何か他の製品を開発するというのはなかなか難題である。

最近だと石鹸だろうか。

石鹸の場合は、原材料と製法を全く変えずに、見た目のデザインとパッケージを変えることで売上高を格段に伸ばしている。
オーソドックスな普通の四角い石鹸を五角形に変えた。
まさしく、売り方・見せ方・伝え方を変えた実例ではないかと思う。

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メガネフレームというと福井県の鯖江市が有名だが、ここの産地も苦しんでいる。
メガネがすっかりファッション雑貨になったし、高価なファッションメガネブランドも出てきたから活況を呈しているのかと思ったら、産地全体としては厳しいそうだ。
倒産・廃業する工場も多い。ときどき倒産情報にも上がってくる。

繊維に限らず何の産地も厳しい。

鯖江市のメガネフレーム産地が苦境に陥ったのは、中国からの安価品が大量に輸入されるようになったからである。では、なぜ中国のメガネフレームの製造技術が向上したかというと、鯖江市が技術供与したからである。
現地では、当時の市長がパンダと引き換えに技術供与を約束したと語りつがれている。

しかも当時の市長は「パンダ=ジャイアントパンダ」だと勝手に考えていたら、実際に中国から送られてきたのは「レッサーパンダ」だったというオチもつけられており、笑い話としては上出来だし、事実だとするなら下手な漫才のネタよりも笑える。

まあ、意味のない外国への善意の技術供与は自国産業に何の利益も持たらさないという好例であろう。

そんな鯖江市(笑)のメガネを含む産地イベント「産地ゴト展」がセメントプロデュースデザインが運営するギャラリーで開催されるそうだ。
決してゴト師展ではない。

http://store.coto-mono-michi.jp/

http://www.fashion-press.net/news/18629

もちろん鯖江市以外の製品も常に販売されており、このギャラリーの特色は、各種イベント時は別として基本的な運営には行政からの補助金・助成金の類が一切投入されていないところにある。
行政からの補助金・助成金なしで基本運営する産地製品ギャラリーはけっこう珍しい。

そんなわけで売り方・見せ方・伝え方を変える企業はポツポツと現れ始めている。

そうなると、もう一つの根本的解決法である、原料から店頭販売までの有機的なチーム作りである。
こちらも本格的なモデルケースがそろそろ登場してもらいたいところなのだが。















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