南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2015年07月

3倍の価格差では売れなくても当たり前

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 ちょっと昔話を。
2000年~2003年のどこかの時点のことである。
正確な年を覚えていない。

我が家はテレビ番組を録画するのにビデオデッキを使っていた。

ついでにいうと、我が家はDVDを導入したのはかなり最近のことで2007年か08年ごろのことである。
もちろん液晶テレビに買い替えたのもそのころである。

そのビデオデッキの調子が悪くなった。
クリーニングテープを使って、ヘッドをクリーニングせねばならないらしい。

ところが録画用のビデオテープはあるが、クリーニングテープはない。

DVDしか知らない世代からすればなんのこっちゃ?の話だろう。(笑)

ビデオデッキを復活させるためにはクリーニングテープを買わねばならない。
我が家から自動車で30分ほど走れば大型家電量販店があるが、残念ながらその日は自動車がなかった。

仕方がないので最寄駅前にある家族経営の小さな電器屋に行った。
それまでクリーニングテープを買ったことがなかったので、価格相場はわからない。
インターネットも普及していない頃だから価格を調べることもできなかったが、周りの人に尋ねてだいたい1000円前後ではないかということがわかった。

家電量販店ではないから、その店で買うと幾分か高いだろうと覚悟を決めていたのだが、
まあ、せいぜい1500円程度ではないかと推測していた。

で、その電器屋におそるおそる入ってみた。
毎日通っているものの中に入るのは初めてである。

クリーニングテープありますか?

と問うと、店主のオジサン(おそらく40代半ば)が「ありますよ」との答え。

「じゃあ、おいくらですか?」と尋ねたところ、なんと

「3000円です」

という答えが返ってきた。

その時、予想以上の高価格ぶりに驚いてしまい、頭が真っ白になりながら

「(゚Д゚≡゚д゚)エッ!? すみません。だったら要らないです」といって店を出た。

最寄駅から電車に乗って隣駅まで行くと、中型のスーパーマーケットがある。
電池や豆電球くらいならそこに売っているからクリーニングテープがあるのではないかと覗いてみたところ、あった。

値段を見ると「980円」と書かれてあった。

念のためにいうと、このクリーニングテープは別に聴いたこともないようなアジアのメーカー品ではなかった。
銘柄は忘れたが国内家電メーカーの商品である。

もちろん980円のクリーニングテープを買ったことは言うまでもない。

先ほどの3000円のクリーニングテープも銘柄は違うが国内家電メーカーの商品だった。

いくら、個人経営の電器屋が苦しく、仕入れロットもまとまらないとはいえ、これほどの価格差があれば売れなくなるのは当然だと感じた。
980円と3000円ならだれでも980円の方を買う。

これを「個人経営の店を助けるんだ!」と言って、わざわざ3000円のクリーニングテープを買う人はよほどの変人だといえる。

しかも980円のも3000円のも両方とも同等の国内有名家電メーカーの商品である。
これで980円のが見知らぬアジアメーカーの商品なら、「やっぱり3000円のを買う」という人がいても不思議ではないが、両方ともが国内家電メーカーの商品であるなら、3000円のクリーニングテープを買う人は皆無だろう。


さて、昨今は安売りを異様に敵視する人が繊維・アパレル業界にいる。

たしかに安売りが蔓延してデフレに陥っていることは否定しない。
しかし、そういう人たちも生活をする上では消費しているわけであり、その時に「わざわざ高い方を買っているのか?」と問いたい。
おそらく、ほとんどの人が安い商品を購入しているのではないかと思う。

自分たちが企画・製造・販売に携わっている洋服だけはなぜ別物だと考えられるのかが理解できない。

一般消費者の目から見れば洋服も同じである。

筆者はこの後、この個人経営の電器屋に立ち寄ることは二度となくなったし、この先、二度と商品を買うことはない。
個人経営店が苦しいのは理解するが、いくらなんでも高すぎる。

反対に考えれば、同じ商品・同じような商品を高く売るためにはどうすれば良いのかということになる。
それを考えなくては安売り競争から脱却はできないだろう。

もしかしたら、この電器屋はアフターケアがものすごく良いのかもしれない。

それくらいの何かがないと、電器屋は淘汰されてしまう。
逆に何もない個人経営店は電器屋に限らず淘汰されて当然だとも思う。

価格で大手に敵わないなら、それ以外のサービスを強化するしかない。
サービスというのは別にアフターケアだけではない。店主の知識に基づいた発信や、店内の楽しい雰囲気作りもサービスに含まれる。
そういうものが一切なくて、商品価格が高いだけの個人経営店が淘汰されるのは当たり前である。

個人経営店が淘汰されることに対して、さまざまな意見があるが、価格以外の価値を作ろうともしなかった店は残念ながら努力不足と言わざるを得ない。
価値づくりに努力はしたけど報われなかった店には同情を禁じ得ないが。

努力不足の店が淘汰されることに対してはまったく同情しない。










入店客数が変わらないのに売上高を増やしたJR名古屋タカシマヤ

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 7月8日発売の「週刊東洋経済別冊 動き出す世界の名古屋」で名古屋市内の商業施設の動向を4Pにまとめたことを以前にも書いた。

前回に書いたのは、三越伊勢丹グループが各有力ブランドと共同で新業態開発に乗り出す構想についてだった。
正直なところ、実現はなかなか難しいだろうし、よしんば新業態・新ブランドを開発できたとしてもそれが売れるようになるかどうかは未知数である。
結果的に売れなくて撤退という可能性も十分にある。

それでもそういう難事業に挑戦するという姿勢は評価したいと考えている。

今回は、取材で印象に残ったそれ以外のことをまとめてみたい。
業界にとって何らかの参考になれば幸いである。

この取材を開始する前に話題となったのが、JR名古屋タカシマヤが栄地区にある松坂屋名古屋店の売上高を追い越したという報道である。
昨年度の売上高は、JR名古屋タカシマヤが1260億円、松坂屋名古屋店が1256億円で、わずか4億円ではあるが、JR名古屋タカシマヤが松坂屋を上回った。

JR名古屋タカシマヤは2000年の開業なので名古屋市内の百貨店としてはもっとも新参者である。
一方の松坂屋名古屋店は栄地区にある老舗で、長らく名古屋市内の一番店だった。

新参者が老舗一番店の売上高を追い越したからニュースバリューが高かったというわけである。
ただ、この規模の店で4億円程度の売上高だったらすぐにでも入れ替わる可能性は高い。
今後も継続的にJR名古屋タカシマヤが松坂屋の売上高を上回り続けるかというとちょっと疑問である。

今回、JR名古屋タカシマヤの取材で印象的だったのが次のグラフで示された資料である。
開業以来入店客数はほとんど変わっていないのに、売上高は開業当初から比べて倍増している点である。

写真 11



写真 22




通常、商業施設の場合、入店客数を増やすことが売上高増につながりやすい。
入店客数が増えれば増えるほど、購買客数も増えやすいので、多くの商業施設は入店客数を増やそうと努力する。

しかし、よく考えてみれば、いくら入店客数を増やし続けても自ずと限界は生じる。

無限に入店客数を増やし続けることは不可能である。

となると、入店客数は横ばいで購買客数を増やす方が効率的である。
もしくは、購買単価を上げるかのどちらかである。

とはいうものの、入店客数は同じで購買客数を増やすことも購買単価を上げることもなかなか実行するのは難しい。

当然、広報担当者にその秘訣を尋ねたところ、

「常に売り場を変化させて新鮮さを出し続けた」とか「イベントを頻繁に開催して販促につなげた」とか言うような教科書的な答えしか返ってこなかった。

まあ、広報担当者からすると、詳細に説明して手の内を明かす必要もないのだからこの返答は当然だといえる。

で、取材後にタカシマヤの館内を上から下までくまなく歩いてみた。
何かがわかるかと思ったのだが、まったく何もわからなかった。
筆者の取材力と洞察力のレベルの低さである。

投げっぱなしで申し訳ないのだが、他の地方の商業施設も大いに見習うべき施策であろう。

他方、松坂屋である。

松阪屋は三館体制の巨大な売り場である。

本館はオーソドックスな正統派百貨店
南館はヤング向けブランドを集積しており、H&Mも入店している。
北館はシニア向けブランドと外商

という構成である。

松阪屋名古屋店の売上高に占める外商の割合は高い。
4割を占める。

一方のタカシマヤの外商の売上比率は低そうである。
担当者からは明確な数字は差し控えたいとの答えが返ってきたが、独自に聞きまわった結果は「だいたい2割台ではないか」という声が大勢を占めた。

そういう意味では名古屋地区の富裕層は変わらず松坂屋名古屋店を支持しているといえる。

その松坂屋の南館に11月にヨドバシカメラが入店する。
このヨドバシカメラは名古屋初出店なのだが、実は、本来は2017年に開業するJRゲートタワーに出店するはずだった。
JRゲートタワーは実質的にタカシマヤの増床となる物件で、ここには今のタカシマヤでは扱いにくいヤングブランドが集積される予定である。
ところが、この竣工が遅れたことからヨドバシカメラが出店をキャンセルし、代わりにビックカメラが入店することが決まった。

これは裏話でもなんでもなく公式に発表されている事実である。
ウェブで探してもその記事は出てくる。

タカシマヤをキャンセルしたヨドバシカメラが松坂屋名古屋店に今秋オープンするのだからちょっとおもしろい展開である。

「一番店の座奪回に燃える松坂屋名古屋店と、タカシマヤをキャンセルしたヨドバシカメラがガッチリとタッグを組んだ」

なんてコピーを付けたら昔のプロレスでよくあった因縁試合の打ち出しみたいになる。

まあ、それは冗談として、商況がどう推移するのかには興味をそそられる。


先日の名古屋取材の雑感は概ねそんなところである。

週刊東洋経済臨時増刊 動き出す名古屋2015 [雑誌]
週刊東洋経済 臨時増刊編集部
東洋経済新報社
2015-07-08






地方の繊維製造加工業は「横並び」志向を捨てろ

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 東洋経済オンラインの「地方創生のリアル」という連載が面白い。

地方創生の失敗事例を毎回書いてあるのだが、繊維・衣料品の製造加工業にも通じる事例が満載である。

7月上旬には、

地方はどうすれば「横並び」から脱出できるか

「プレミアム商品券」では地方は生き返らない
http://toyokeizai.net/articles/-/75965

という記事が掲載された。

要するにプレミアム商品券は各地方で横並びの企画にすぎないから、そんなことでは地方経済は復活しないという内容であり、深く賛同する。

とくに記事中の次の一節には激しく同意する。

例えば、隣り合う自治体が似たような「B級グルメ」や「ゆるキャラ」に取り組んだり、同じような体育館や市民ホールを整備するケースが目立っています。結果として、互いに潰し合いをすることになってしまっています。

今、地域活性化事業に求められているのは、全国どこでもできるような「汎用性」ではなく、ここでしかできないという「希少性」です。

「やっぱり、あそこだよね」と「その地域」を選んでもらうためには、まわりの地域がやることとは、全く別のことをやらなくてはなりません。「その地域にしかないもの」があるからこそ、人々は観光でその場所を訪れたり、その地域で作られた商品を買っていくのです。


とのことである。

自分の身に置き換えてみると、昨今の地方の繊維製造加工業者や行政、一部の大企業は異様に「物語」を求めすぎており、いささかうんざりし呆れ果てている。

はっきり言ってしまえば、彼らは気仙沼ニットの成功事例を見て、単に横並び企画を夢想しているに過ぎない。
全国各地に疑似気仙沼ニットが乱立してどれもこれもが成功するはずがない。
もちろん、彼らがやろうとしていることはニットではない。Tシャツだったりジーンズだったり、様々である。

しかし、それなりの美しい物語を発掘(ときにでっち上げて)して、べらぼうな高価格を付けて少量を販売するというやり方は、気仙沼ニットを換骨奪胎したものであり、二番煎じ・三番煎じでしかない。

気仙沼ニットがそれなりの成功例であることは異論がない。
しかし、販売枚数は聴くところによると年間150枚~200枚程度である。
商品単価は高い。10万円を越えている。
15万~20万円くらいである。

仮に20万円の商品が150枚売れたとして、年間売上高は3千万円である。
200枚でも4千万円だ。

原価率は発表されていないからわからないが、仮に4割だとして、利益は1200万~1600万円である。
それを15人の編み手で分けたとして、一人当たりに分配されるのは最大100万円前後ということになる。
ここに事務局や仕掛け人たちの取り分も入るのだからそれほどの高い金額とは言えない。

気仙沼ニットの知名度だから年間200枚前後も売れるともいえるし、気仙沼ニットの知名度をもってしても年間200枚前後しか売れないともいえる。

どちらにせよ、地方の繊維製造加工業の工場が安定操業できるほどのロットには至っていない。

原因は超高価格である。
10万円を越えるニットを毎年買い続けられる日本人はそれほど多く存在しない。
それこそ一握りの富裕層くらいである。

その富裕層だってこれから何年間にも渡って、気仙沼ニットを毎年買い続けるわけにはいかないだろう。
衣料品は嗜好品の側面があるから、同じような服ばかりを何枚も持っていても仕方がない。
たまには違うテイストの商品もほしくなる。
肌着や靴下のように消耗する度合いが高い商品ならまだしも冬場しか着用しないセーターなんて5年着用してもそうそうは傷まない。
となると、よほどの変人でない限り、同じような商品を何枚も所有はしないし、損傷による買い替え需要は起きにくい。

さきがけとなった気仙沼ニットはそれなりの存在感があるとして、今からこれを真似しようとするようなブランドに存在価値はない。

何よりも、先ほどの記事ではないが、各地に超高額な疑似気仙沼ニットが乱立することで、富裕層の奪い合いとなることは目に見えている。
10万円を越えるニット、1万円を越えるTシャツ、3万円を越えるジーンズ、そんなものを多くの日本人が毎年何枚も買うことはできない。
買える層は限られてくるから必然的に顧客の争奪戦と化す。

美しい物語で立ち上げたブランド同士が血で血を洗う戦いを繰り広げるのだから、それを見物するのは一興でもある。(笑)

外国の富裕層に売れば良いという声もあるが、外国の富裕層にどうやって売るのか。
自社のウェブサイトもろくに持っていないような製造加工業者がまさか「ウェブ販売をすれば良い」とか言い出すのだろうか。ならば自社のウェブサイトを整備する方が先決だろう。

それに中国のバブル経済は弾けたと見られているから、今後はこれまでほど中国人の購買力はあてにできないだろう。


もし、地方の繊維製造加工工場が復活したいのなら、毎月安定的に工場の生産ラインを回せるような価格設定の商品を作るべきだろう。
それはどれくらいの価格か?
Tシャツなら2900~4900円、ジーンズなら8000~1万円強、セーターなら1万~3万円くらいではないか。
貧乏な筆者の相場ならこれくらいだ。

それ以上の商品は筆者は買わないし、買えない。
今後どれほどの金持ちになろうともそれ以上の商品はおそらく買わない。


それに「物語」を過剰に求めることによって、物語の捏造・偽造が生じる。
これは未来への予想ではなく、過去すでに起きている。

よくよく思い返してみれば、ビンテージジーンズブームというのも過剰に「物語」が求められた。
筆者ははっきり言って、ビンテージジーンズという商品が好きではないし、その業界も好きではない。
ブームの当初は、「〇〇年代のあのブランドのディテールを再現しました」程度だったのが、どんどんと加熱してきて、そのうちに、「〇〇という幻のデニム生地を云々しました」みたいなウソか本当かわからないような物語が次々と生み出された。

しかし、その中には捏造・偽造されたものが多数あったと聞くし、デニム生地メーカーからも「あいつらが言ってることはハッタリが多い」との声もよく聞いた。

山師のような連中と、「物語」を異様にありがたがるファッション雑誌が煽った結果である。

デニム生地メーカーやデニム生地問屋の中にはそのハッタリにちゃっかりと乗っかって、売上高と知名度を高めたハッタリ企業もあったのだが。

結局、過剰に「物語」を求めるという性向は、20年前のビンテージジーンズブームのころと何も変わっていないということになる。

それでもまだ、繊維製造加工業や行政、大手企業は「横並びの美しい物語」を下敷きにしたブランドを立ち上げたいのだろうか。

独自の新しい切り口のブランド構築を模索した方がよほど成功確率が高いと思うが。









夏のバーゲンで買ったお買い得品

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 なんだかんだと言って、夏と冬のバーゲンでは何かを買う。
通常の熱心な洋服ファンなら、「〇〇ブランドのアレを3割引きで買う」とか「ブランドはあまりこだわらないが、トレンドの〇〇というアイテムを買う」というようにターゲットがあらかじめ決まっているのかもしれない。
筆者も昔はそうだったが、年を取るごとにそういうターゲットはほとんどなくなってきた。
とくに5年ほど前からはカネもない上に老化が進んでいるのだろうか、「絶対にアレがほしい」と思うようなアイテムやブランドはなくなってきた。

「ユニクロで手ごろな値段に下がった手ごろなアイテムがないかな?」とか
「1000円以下で買えるTシャツないかな?」とか
「ストレッチ混の7分丈・8分丈パンツないかな。値段は1900円以下で」とか

そういう買い方しかしなくなっている。

しかもメンズの夏服というのは、種類が極端に少ない。
トップスならTシャツ、ポロシャツ、半袖シャツくらいしかない。
あとは色柄とパターン(型紙)の異なり具合による微細なシルエットの変化しかない。
それを楽しむのがメンズファッションだと言われればそれまでだが、それでも微細なシルエットの変化のこだわって同じようなTシャツを何枚も集めて楽しむというような性癖は筆者にはまったくない。

そんなわけで今夏のバーゲン品の買い物は筆者史上もっとも脱力した買い方をした。

まあ、誰得企画なのだが、7月1日のバーゲンスタート時に購入したアイテムを晒してみようと思う。
筆者の買い物の最重要点は価格であるから、価格を書きつつ紹介してみる。

まず、この夏のもっとも高額な買い物は、白いジーンズである。
白いジーンズが流行していたが、頑として購入しなかった。
その理由は、汚れやすいからである。
どんなに気を付けて着用しても、どんなにこまめに洗濯を繰り返しても白い衣服は絶対に汚れる。

通常のジーンズならその汚れも「味」ということになるが、白いジーンズにそんな「味」は要らない。

必ず定期的に廃棄しなくてはならないから、高額な商品を買うのがもったいない。
実際に、筆者の知り合いのオシャレーなデザイナーさんとか、オシャレーなデザイン会社社長とか、通常の衣服は必ずブランド物を着ているような人でも白いジーンズに関しては、ユニクロだとか無印良品だとかそのあたりの低価格品を購入している。

筆者が買ったのはエドウインのキープホワイトである。
これは防汚・撥水加工が施されているから汚れをはじきやすい。
その上にストレッチ混であるから動きやすい。
通常の白いジーンズよりは随分と長持ちするのではないかと思って購入した。

購入したのはジーンズメイトである。
5990円(税抜)にまで値下がりしていた。


写真 15





エドウインのウェブサイトで見ると、定価は9500円(税抜)となっており、ここではまだ値下がりしていない。

昔からそうだが、ジーンズメイトは独自に値引きをすることが多い。
それによって一時期は大きく売上高を拡大することができ、そのやり方は今もある程度は引き継がれているといえる。


次に買ったのはリーバイスの502のクロップドパンツである。
たぶん7分丈くらい。
これは3990円にまで値下がりしていたのをライトオンで買った。
一昨年くらいにリーバイスの502の同じ丈のもっとウォッシュのかかったジーンズを購入したが(記憶ではジーンズメイトで2990円くらいに値下がりしていた)、それは吸水速乾機能があるが、ノンストレッチだった。
今回のは吸水速乾機能はないが、ストレッチ混であり、ライトオンの店頭に1枚だけ残っていたのを買った。

写真 23



夏は汗をかく。筆者は大量に汗をかくから、すぐに衣服が体に貼り付く。
ズボンも同じで、汗で足に貼り付いたときこそ、ストレッチ機能があると動きが快適である。


トップスはかなり脱力して買い物をしている。


ライトオンでTシャツを2枚買った。
1900円の商品が900円に値下がりしていたからだ。
今はさらに値下がりして、900円のTシャツ2枚で1500円で売られている。

両方とも綿65%・ポリエステル35%の組成。

黒い方はライトオンのPB「バックナンバー」で、ブルーグレーの方は水甚の商品である。

写真 12


写真 21



ポリエステルが少し混じっている方が汗をかいてもすぐに乾くので快適だと筆者は感じる。
それとこの黒いTシャツはなかなか優秀で、かなり汗をかいても塩が白く浮き出てこない。
もう何度か着用しているが白く塩が浮き出てきたことがない。

あと、センスオブプレイスで買ったのが黒いヘンリーネックTシャツ。
これは2900円が900円にまで値下がりしていた。
綿100%強撚フライス生地だがかなり厚手である。
ここまで厚手なら汗を少々かいても白く塩が浮き出ることもないだろうと購入した。
何度か着用してみたがまだ塩が白く浮き出たことがない。

写真 31





最後にヤマトインターナショナルのファミリーセールでカットソー素材の迷彩柄ベストを買った。
肉体派ではない筆者は、ごまかすためにTシャツの上からベストを着用することが多い。
そのために毎年1枚か2枚くらいベストを買っている。
今回のこのベストはサンプル品扱いで1500円だった。
定価は5900円を設定されていたようだ。

写真11






写真ではわかりにくいが、ボタンの合わせのところを黒で細くパイピングしてある。
この黒いパイピングの素材は合皮を使用してある。

グレー地にブルーベースの手描き風迷彩柄なので黒でも白でも紺でも合わせやすい。


そんな感じで、きっと8月にはまた何枚か適当に安くなった商品を買うかもしれない。

今、多くの人がそこそこの価格で買うのは、冬の防寒アウターくらいではないだろうか。
とはいってもその防寒アウターだって探せば2900円とか3900円でダウンジャケットが売ってるくらいである。
品質は別としてその程度のダウンジャケットでも街着として着用するならそこそこ暖かい。


わざわざ高い商品を買ってもらうためには、何か異なる仕掛けを考える必要がある。
デザインの善し悪しやトレンド対応、製造地、そんなことだけではわざわざ高い商品を購入する動機づけにはならない。









それってどこが「お客様のために」なの?

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 洋服が売れないのは平均所得が下がったり、可処分所得が下がったりと、消費者側の経済環境が変化したせいもある。
また、ファッションに対しての興味が平均的に減退していることもあるのではないかとも思う。

しかし、供給側の考え間違いによってさらに売れにくくしている側面も大きいのではないかとも思っている。


以前に何度か書いたことがある。

売上高2000億円規模の大手アパレルの幹部が、「ユニクロでバカ売れしたあの商品と同じ素材を売ってくれ」と某素材メーカーに駆け込んできたことがあった。
この幹部は役員とか事業本部長とかそのあたりのクラスの人だったと耳にしている。

この人は、自社のブランドの顧客層をまるで理解していないといえる。

なぜなら、このアパレルのブランドなら、すくなくとも店頭販売価格はユニクロの1・5倍~2倍になる。
下手をすると3倍を越えるかもしれない。

またユニクロと同じ素材を使ったとしても商品のデザインとシルエットは異なる。

となると、いくらユニクロで何十万本売れた商品と同じ素材とはいえ、売れ行きは異なる。

なぜなら、価格も商品のデザインも異なるからだ。
当然、ユニクロと顧客層も異なる。
店舗の立地も異なる。百貨店やファッションビルがメインだ。

ブランドによってはテイストもまったく違うだろう。

これだけ違うのになぜ、ユニクロが売れたのと同じ素材を使ったら、自社のブランドも売れると考えられるのだろうか。まったく理解に苦しむ。


先日は逆の話を聞いた。


某大手GMSのプライベートブランド企画チームは、パリコレなどの最先端ファッションをベースにして企画を組み立てようとする悪癖があるらしい。


もちろん、企画をする上でパリコレの情報はそれなりには必要である。
しかし、900~4900円の低価格衣料品を企画するに当たってはパリコレ情報をベースに企画を組み立てる必要はない。必要はないというか逆に売れる商品を企画するためには害毒になる。


価格帯が違う、客層が違う、店舗立地が違う、ブランドイメージが違う。

これだけ違っていたら、いくらパリコレの最新ファッションをそのままコピーすることができても売れるはずがない。

パリコレに登場するブランドの商品の価格は最低でも何万円単位である。
GMSの平場にならぶプライベートブランドの価格帯は900~4900円である。

当然、パリコレブランドを買うお客と、GMSの平場で洋服を買うお客はまったく異なる。

パリコレブランドを買う人がGMSで食品や日用雑貨品を買うことはあっても、平場で服を買うことはない。
あったとしてもせいぜい肌着とか靴下とか寝間着くらいである。

某大手アパレルも某GMSもまるっきり異なる客層に向けて商品を提案しているのだから、それは売れなくても当然である。
逆に売れると考えられる人の頭脳構造を疑う。


バブル期のように、新作を店頭に並べたら売れる時代ではなくなっている。
何か違う仕掛けが必要であることは誰しも認識しているだろう。
しかし、それは既存の客層を完全に無視した企画を投入することではない。

某大手アパレルの商品が売れるとするなら、方法はただ一つ。

POPに「ユニクロでバカ売れしたあの商品と同じ素材を使っています」と書くことである。
某大手アパレルにそんなプライドを捨てたことができるだろうか?もしそこまでプライドを捨てられるなら某大手アパレルの売上高は今後ぐんぐん伸びるに違いない。


結局、某大手アパレルも某大手GMSも顧客を見ずに、自分たちの願望・妄想・空想を押し付けているに過ぎない。
「お客様のために」とか「顧客満足」とか「お客様第一に」とかいうキャッチフレーズがうすら寒い。
ひたすらに「自分たちのために」「自分たち満足」「自分たちのオナニー第一」を実践しているだけである。

これでは売れる商品が作れるわけがない。

売れる商品が作りたければ、既存顧客をもう一度見つめなおしてみてはどうか。

ユニクロ対ZARA
齊藤 孝浩
日本経済新聞出版社
2014-11-20






ユニクロ vs しまむら(日経ビジネス人文庫)
月泉 博
日本経済新聞出版社
2009-11-03







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