南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2015年06月

「モード」に興味を持てる方が少数派では?

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 今日で6月が終わりである。
早いもので半年が終わることになる。
年末を大晦日というが、昔は半年が終わる6月末日も水無月晦日と呼んで大祓が行われた。

そんなわけで雑感でも。

先日、繊研プラスにこんなコラムが掲載された。
ファッションスナップドットコムには「モードに関心のない専門学校生」」と改題されて掲載された。

http://www.senken.co.jp/column/eye/sacai0623/

 某ファッション専門学校での出来事だ。就職活動まっただ中の3年生200人に「サカイ」のデザイナーを聞いてみたところ、知っている学生は一人だけだった。クリエーションが世界で認められ、ビジネスも上り調子を続けるデザイナー阿部千登勢を知らないとは。ファッション専門学校生のモードへの関心は、想像以上に低くなっているようだ。

 彼らはきちんと学んできたまじめな学生たちだ。みんな今っぽい服装だったので、ファッションやトレンドには興味があるのだろう。ただ、モードにはあまり関心がない。ファストファッション全盛の今、時代を引っ張るデザイナーのことを知らなくても、今っぽいファッションは手軽に楽しめる。背伸びをしないと手が届かないデザイナーの服に興味を持つ必要はなかったのかもしれない。

 だが、いいものを知らないと目は養われない。時代を引っ張るデザイナーのクリエーションには、デザインが持つ力がある。それを知ることはファッションを生業(なりわい)にする人間の目を必ず育てる。一朝一夕には手に入れることができない目を、ファッション業界を担う次の世代にも育んでほしい。


とのことであり、短文なので全文を引用した。

まあ、言わんとすることは理解できる。
専門学校生の中にはいわゆるコレクションブランドに興味、関心のない生徒が実際に多くいる。

ちなみにモードってなんだろう?と思って意味を検索してみた。すると、


現代の「モード系」という
言葉の意味は、

①常に一歩先、最新であること。
トレンドを取り入れていること。

②モノトーンはもちろん、シンプル。
シルエットやバランスで評価される。

③ブランドよりデザイナーで
服を選ぶ。

が一般的なようです。

ただ時代の移り変わりによって
「モード」の意味は変遷を遂げています。


とのことであり、さっぱり要領を得ない。
実際のところ、筆者にしたって「これがモードだ」という定義がわからないのだから、他人に説明するとしたらこんな内容になってしまう。

このコラムで使われている「モード」という言葉は、文脈から推察すると、いわゆる「デザイナーズブランド」「コレクションブランド」と同義で使われているようだ。

デザイナーズブランド、コレクションブランドと限定すると、我が国の専門学校生が関心を持たないのは当然だといえる。
デザイナーズブランド、コレクションブランドで広く一般的に知られるほど大成功をおさめたブランドが「コム・デ・ギャルソン」くらいしかないからだ。
「ケンゾー」「イッセイミヤケ」「ヨウジヤマモト」あたりまで加えてもそれほど多くないだろう。

このコラムで例示されている「サカイ」や、「ミナペルホネン」などのブランドは成功を収めつつあるように見えるが、ファッションに興味のない人たちに認知されているほどの知名度ではない。

高校から専門学校へ進学した生徒たちが知らなかったり、関心を持たなかったりするのは当然ではないかと思う。

また、これらのブランドの直営店もあまりないし、これらを仕入れて販売している専門店も現在では数少なくなっている。

実は筆者だってこれらのブランドについて関心がまったくない。
仕事柄知識としては知っているが、それ以上に親しみたいとは思わない。

なぜなら、日常生活においても仕事においても全く接点がなかったし、今後もないだろうからだ。

今の専門学校生だって同じではないか。

高校を卒業するまでの過程で、日常生活においてこれらへの接点はほとんどなかっただろう。
接点のないものに興味を持つのはよほどマニアックな人である。
また専門学校に入ってからも接点はないだろうし、就職活動においてもあまり接点はないだろう。
ファッション専門学校の就職先としては、大手アパレル、中小・零細アパレル、生地問屋や商社の製品事業部、OEM/ODM企業がほとんどであり、それ以外は販売員である。

その販売員だって、大手チェーン店が圧倒的数を採用するから、わざわざデザイナーズブランドの直営店へ販売員として就職する人は少数派だ。
また、国内のデザイナーズブランドの多くは直営店を持てないか、持てたとしてもほんの1,2店から数店規模が大半以上を占める。
専門学校生の就職活動先としてはそんなに魅力ある先ではない。

デザイナーズブランドやコレクションブランドに興味を持てるとするなら、育つ過程においてそういうものに触れ合える機会が多かった人に限られるのではないかと思う。もしくは独自に興味を持つマニアックな人かである。
我が国の現状においてそういう人はどう考えても少数派ではないか。

社会環境がそうではないのだから、それを専門学校生に求めるのはない物ねだりなのではないかとも思う。

筆者は個人的に、そういう物は知識として知っておくに越したことはないが、それよりも現状のアパレル企業やその他の製品化事業部のある企業へ就職することに集中する方が専門学校生としては賢明ではないかと考える。

デザイナーズブランド、コレクションブランドが通常のアパレル企業並みに「ビジネスとして」成り立たっていない状況において、学生にそれを過剰に志向させるのは却って若者を経済的貧困に追い込むのではないかとも思う。
職業人として知っておくに越したことはないが。(大事なことなので2回繰り返しました)

幸か不幸か、我が国においてそういうブランドは一握りを除いて、ビジネスとして成り立っていない。
国が悪いとか社会が悪いとか言う話ではない。
環境は全企業同じである。同じ環境下において、ビジネスとして成り立っている企業もある。
成り立たせられないのは事業主の組み立て方に問題があると考えるべきだろう。

逆に言えば、今後、大成功を収めるデザイナーズブランドが次々と輩出されるようになれば(かなり確率は低いと思うが)、専門学校生も自ずと興味や関心を持つだろう。

ユニクロ対ZARA
齊藤 孝浩
日本経済新聞出版社
2014-11-20








アパレルには商品力の向上が不可欠

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 もうご存知の方も多いと思うが、ワールドが40歳以上の本社社員500人のリストラを発表した。
9月末でこの500人は退職することになる。

ワールドが500人の早期退職実施 本社社員の4分の1削減
http://www.wwdjapan.com/business/2015/06/27/00017041.html


である。

1975年生まれが今年40歳だが、10月~12月が誕生日の人は今回のリストラ対象ではなかったということになるのだろうか?

まあ、どんな事柄にも線引きは必要だし、その線引きが必ずしも万全でないことは多い。
わずか誕生日が1日違いで残れなかったという人もいるに違いない。
その人はショックを受けているのだろうか?それとも新しいことにチャレンジできる機会だととらえているのだろうか?


以前のブログで本社社員は最低200人はリストラされると書いたが、発表は500人だった。
店舗は最大500店の閉鎖だが、一斉閉鎖ではなく順次閉鎖だから解雇も順次ということになるだろう。
店舗スタッフは1500人くらいの解雇になるのではないかと個人的には推測している。
合計で2000人である。


さて、その原因だが、様々あると思う。
しかし、筆者が個人的にワールドで一番の原因だと思うのは、商品開発力がなくなったことである。
97年に業界紙に入社し、定期的に展示会や新規店舗オープンを取材した。
新聞記事ではワールドの苦戦は2008年夏のリーマンショック以降だと書かれてあるが、商品開発力はそのころにはとっくになくなっていた。
ワールドの商品開発力は2008年までに終わっていたというのが個人的な意見である。

2005年の上場廃止の理由の一つとして「短期的な利益にとらわれずブランドを開発・育成するため」だったと記憶しているが、この10年間で開発・育成に成功したブランドはほとんどない。
100歩譲ってあるとするなら、評価がまだ定められないオペークくらいだろうか。

90年代後半のワールドの各ブランドの商品開発力は大手総合アパレルの中で群を抜いていた。
オゾックを皮切りにインディヴィ、ボイコット、タケオキクチ、アンタイトルなど、同業他社の中でも頭抜けた企画力があった。
また商品の品質も高かった。

98年か99年ごろだったと記憶しているが、何を思ったか筆者はタケオキクチの冬物ジャケットを購入している。
圧縮フェルトの切りっぱなし、フロントがジッパーとマジックテープのジャケットである。
この下にセーターを着込めばコートなしで過ごせる。
このジャケット、今でも冬には着用している。

写真11

(大枚をはたいて(笑)買ったタケオキクチのジャケット)


定価が40000円くらいでそれを4割引きの24000円くらいで買ったと記憶しているが、今の格安商品から見れば考えられないような高額品である。
「あのとき、俺はカネ持ってたんだな~(笑)」と今から思うと笑えてくる。

しかし、このジャケットは買って本当に良かったと思っている。
何せ15年以上着続けているのだから十分に元は取っている。

また高品質というだけでなく、シルエットも細身なので変わらず今も着続けられている。

こういう高品質でデザイン的にも優れていて、それでいてコート要らずという機能性まで付加した商品を98年ごろのワールドは作っていたということである。

今のワールドはどうか?

経営陣のマーケット分析の結果もあってかやたらと低価格志向が目立つ。
しかし、単に価格を安くしただけでユニクロに近づくことができるのだろうか?ユニクロの商品品質は高い。
H&Mのトレンド性に対抗できるのだろうか?
そしてなおかつ価格でその2ブランドと同等にまでなっているのだろうか?

価格がそれらより高く、品質がユニクロより低く、トレンド性がH&Mよりも低いなら、そんなブランド群に勝ち目はあるのだろうか?
そこにそれ以外の切り口のエンターテイメント性やステイタス性があればまだ勝負はできるが、それらもあるとは思えない。


商品開発力の低下の原因は、POSとQRへの過剰な信頼と、コスト削減を目的に安易なOEM&ODMを多用したことだろう。
そしてこれは何もワールドだけの問題ではなく、今、経営危機に瀕している大手総合アパレル各社に共通した問題でもある。
大量閉店しているTSIホールディングス、とくにその中でもサンエーインターナショナルの各ブランドなんて同じ原因で商品開発力を低下させている。

アパレルにとって金融的な取り組みやシステム構築は重要だが、それと同等に商品力も重要である。
商品が悪ければ業績は回復しない。
利益を改善することはできるが、少なくとも売上高を伸ばすことはできない。

いくらリストラをしたところで残存店舗の売上高を回復させるためには商品力の向上が不可欠である。

そして今の大手総合アパレル各社にその商品力は著しく欠如しているように見える。
商品力を向上させない限りは、永遠にリストラをし続けて経費を削減するほかはない。

さて、ワールドを始め、その他大手総合アパレルの商品力はこれから向上できるのだろうか?
筆者はちょっと否定的に見ているが。

知り合いの知り合いとか、知り合いとか、ワールドの関係者からこんなうわさを聞くことがある。
ワールドの寺井秀蔵会長は今回のリストラが一段落したら3年後ぐらいには社長に復帰するのではないかと。
まあ、これはちょっとありえないだろう。
あくまでもうわさにすぎないと思う。

優れた経営者のお一人だからそんなバカな真似はされないと確信している。

2万%ない(笑)と思うが、もし社長に復帰されることがあるならその時は心底軽蔑する。
まず、2005年での上場廃止の株主への責任を取っていないこと、
次に今回の大量解雇の責任を取っていないこと、
以上、2点の責任があるためだ。

まあ、そんな事態は起きないだろうけど。

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アパレル業界の実店舗偏重は非論理的

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 実店舗での買い物というのは実物を触れるというメリットがあるが、そこまでわざわざ時間をかけて出かけなくてはならないというデメリットもある。また自転車か徒歩で行く以外は何某かの費用が発生する。
交通費なりガソリン代なりである。

実物を触れないというデメリットがある反面、インターネット通販は移動の時間と交通費が不要である。
送料が必要なところと不要なところがあるが、送料不要なら買い物客側とすればありがたい。

洋服を買う場合、筆者はあまりインターネット通販を使わない。
生地が触れないのと試着できないからである。
ただし、一度試着した商品をときどきインターネット通販で買う場合がある。
時間がなくて実店舗へわざわざ出向けないためだ。

実店舗で買う割合の方が高いとはいえ、そんな感じで使い分けている。

Aというブランドからすると、筆者がネットで買おうが実店舗で買おうが同じである。
どちらで買ってもAというブランドの売上高になるからだ。
理屈で考えるとそうなる。
しかし、理屈と感情は異なる。
繊維・アパレル業界は理屈よりも感情や情緒が優先されることが多い。
だから業界の体質はまったく嫌いである。

そんな業界だから情緒的に実店舗を優先してしまう。
ネットで売れようが、実店舗で売れようが社としての売上高は同じだろうに、なぜか実店舗を優先したがる企業が多い。

例えば、筆者が値下がりしたユニクロのTシャツ990円を実店舗で買おうがネット通販で買おうが、ユニクロには990円のお金が入る。
それだけのことである。筆者が経営者ならどちらで売れたってかまわない。
にもかかわらず、アパレル企業の中には実店舗を「主」、ネット通販を「従」として考えているところが少なくない。
ネット通販での売上高が増えることに対して批判的な企業すらある。
これはまったく理解できない。まさしく単なる情緒論であり、考慮する必要すらない。

先日、WWDにこんなコラムが掲載された。
ワールドやTSIホールディングスの大量閉店についてである。
内容的には全てとは言わないがそれなりに正しい。


大手アパレル相次ぐリストラ、大量出店戦略は曲がり角に?
http://www.wwdjapan.com/focus/column/business/2015-06-21/6219

この文末で、ワールドがネット通販強化を打ち出したことに触れている。

ワールドは店舗を減らす一方でEC事業に注力する。「“WWW.300(ワールドワイドウェッブ300)”を合言葉に、現状の2倍の300億円の売上高目標を立てる。全ブランドを集約した現在のオンラインストアの回遊性を高めるだけでなく、各ブランドの公式サイトを入口にしたEC事業を強化する。EC主導のブランド立ち上げも視野に入れている」と上山社長。

とある。
これはすでに発表された内容だし、そういう施策は間違いではない。
ところが最後はこう結ばれている。

ただEC化率を上げれば、コストが抑制され、収益力アップにつながるが、リアル店舗のショールミング化が進み、店頭の活気やスタッフのモチベーションが下がるというデメリットもある。真のオムニチャネル化により、店頭とECの双方向性を高めることが求められる。

とのことだが、ショールーミング化が進むのがなぜデメリットなのだろうか?
この理屈が理解できない。

ワールドからすればリアル店舗で売れようが、ネット通販で売れようが同じ自社の売り上げである。
店頭の活気というのはなんだろうか?ネット通販がなければリアル店舗の店頭が活気づくのだろうか?
そんなことはあるまい。そのブランドが不振ならネット通販があろうがなかろうが店頭には活気がない。
スタッフのモチベーションが下がるのは社内の教育が間違っているかそのスタッフが正しく考える能力がないかのどちらかである。
もしくはその両方だろう。

正しく考える能力が欠如したスタッフに対して間違った教育を施したという場合もある。

ちょっと持ち上げすぎのきらいもあるが、ヨドバシカメラのネット通販が好調なのだそうだ。
年間売上高は650億円に上り、現在成長中だという。

ヨドバシの通販がアマゾンを超える?「来店客にネットで買わせる」巧みな戦術で急成長
http://biz-journal.jp/2015/05/post_9959.html


「ヨドバシ」の方向性はそれとも違う。リアルからバーチャルに誘導する、つまり「実店舗に来たお客さんに、ネットで買ってもらう」という戦略だ。売り場で見た商品をネットで買われたとしても、ヨドバシカメラ全体として売り上げが上がるのであれば、それでかまわないということである。


とのことである。

これはまことに理論的な考え方である。
どちらで売れようがヨドバシカメラの売上高である。

なぜアパレル企業はこう考えられないのだろうか。
また繊維業界紙記者はこう考えられないのだろうか。

理論的な思考ができる企業はやはり売り上げ規模を拡大しやすい。
アパレル業界が衰退しているのは理論的な思考ができない企業や人が多すぎるためだろう。

今の情緒論丸出しのアパレル業界は、家電量販店にも遠く及ばない。
衰退すべくして衰退したとしか言いようがない。

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低価格ブランドにこそ「色落ちしないジーンズ」の需要がありそう

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 昨日、60歳前後と思しき女性(俗にいう大阪のオバハン)が、「ジーンズを買って穿いたら、ほかの衣服への移染がひどかった」と嘆いていたことを書いたが、たまたま、ニュースサイトにこんな記事がアップされていた。

【疑問】ユニクロで買った2990円のジーパンがダサいとこっそり言われたんだけどやっぱりダサいと思う?
http://rocketnews24.com/2015/06/24/599526/

unicrog4




ユニクロで淡色のジーンズを買ったら、「昔のケミカルウォッシュみたいでダサい」と言われたそうだ。
で、なぜ淡色のジーンズを買ったのかというと、

正直に告白する。実は買うときにちょっと色が浅いなとは思っていた。だが、それを買わずにいられなかった。というのも、以前買った安物の濃い色のジーパンが、色が落ちまくったからである。次は薄い色にしようと決めていた。

のだそうだ。

60代女性もこのニュースの男性も誤解しているのだが、ジーンズが安いから色落ちするのではない。
高いジーンズだって濃色はハゲシク色落ちする。
デニム生地とは元来、色落ちするものだからである。

これだけ多くの人がジーンズを穿くようになってもまだこのことが周知されていないことに驚く。
また、周知されず、デメリットを感じる人が多くいながらも、毎年少なくない一定数量が販売されるジーンズというアイテムの人気の底堅さにも驚かされる。

色落ちを少なくしようと思えば生地に何らかの加工を施さねばならない。
そういう加工を施していないデニム生地は高かろうが安かろうが濃色であれば激しく色落ちする。
そういうものである。

下手をすると高いジーンズの方が「色落ちを楽しんでいただくため」にハゲシク色落ちするかもしれない。

で、今回のジーンズがダサいと言われた理由は、2つある。
まず、淡色にビンテージジーンズ風のヒゲ加工がなされており、淡色でありながらメリハリのある色の濃淡がある。これが、ケミカルウォッシュ風に見えてしまった。

次に、ジーンズのシルエットである。お腹周りに合わせたのか太目のダボっとしたシルエットである。
現在のメンズジーンズの主流は細身のストレートか、細身のテイパードシルエット(裾に向かって細くなる)である。
もっと細身のジーンズにすれば良かったのではないか。


この2つが絶妙に相まって「ダサく」見えたのだと思う。

もし、このジーンズが濃紺のワンウォッシュだったらそこまでダサくは見えなかっただろう。
あと、トップスに色あせた黒っぽいTシャツを合わせているのもダサく見えたのかもしれない。
たとえば白いTシャツとかもっと濃色の黒のTシャツ、濃紺のTシャツならマシだったのではないだろうか。

あと、布帛のシャツやポロシャツにした方がよりすっきりと見えてダサくなかったのではないか。
まあ、それでも色柄の選択は重要だが。


こういう嘆きを見ていると、色落ちしないデニム、色落ちしにくいデニムというのも必要ではないかと感じてくる。
エドウインが色落ちしにくいデニム生地を使ったシリーズ「キープブルー」という商品を発売したが、残念ながら今秋以降は生産を継続しないようだ。
すでにジーンズメイトで5900円に値下げして販売されていた。
廃盤になるまでに2本くらい買っておきたいと考えている。


もっと大々的に、それこそユニクロくらいが「色落ちしないジーンズ」のキャンペーンを仕掛けて打ち出せば飛ぶように売れるのではないかと想像してしまう。
ちょうど、昨日書いた年配女性も、このニュースの男性もユニクロと同等価格のブランドかユニクロで買っているのだから、ターゲットとしてはぴったりだ。
むしろ、洋服にこだわりの少ない低価格志向の消費者には大歓迎されるのではないか。


ユニクロに限らず、しまむらとか無印良品とかハニーズとかでもありだろう。
もしかしたら「トップバリュ」とか「PBI」「グッディ」などの量販店のプライベートブランドでも良いかもしれない。
そういう低価格ブランドが一斉に仕掛けたら面白いと思うのだが。









「本物」への過剰なこだわりはイノベーションを生まない

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 先日、バッタ屋の店頭に立っていたとき、60代と思しき女性(俗にいう大阪のオバハン)がストレッチパンツを購入した。
ポリエステル主体の組成の生地でモカ茶色である。

で、その女性が

「ニイチャン(筆者は見るからにオッサンだが、大阪のオバハンは大概のオッサンにもこう呼びかける)、聞いてえな。こないだ他店でジーパン買って穿いたら、上に着てたシャツの裾とかに真っ青に色移りしてん!そんな商品どない思う?」

と先日、他店で購入したジーンズから色移りしたことに大層お怒りだった。

インディゴ染料で染められた糸で織ったデニム生地は、移染する。
ワンウォッシュくらいの濃紺のデニム生地を洗濯機で洗えば、水は真っ青になる。
これは常識である。
だから販売の際にはかならずそういう説明をせねばならない。

そういう意味ではデニム生地はめんどくさい生地である。
イージーケアとは言いにくい。

どんな店でその女性が購入したのかしらないが、おそらく販売員が「色移りする可能性がありますよ」という説明をしなかったのだろう。
やっぱりそういう説明は大事である。

一方、生地の展示会では、折からのデニムトレンドを背景に、「デニム調」生地の提案が多い。
ただし、インディゴ染料で染めているものばかりではない。
どちらかというとそれは少数派である。

生地の展示会で提案されている「デニム調」生地は、インディゴ以外の染料で濃紺から薄ブルーに染められているものが多い。
担当者にその理由を尋ねたところ「さまざまな理由はあるけど、移染しない・しにくいという理由もあります」とのことだった。

現在はジーンズというアイテムが年配層にまで愛用されるようになったが、まだこのような移染に激怒する人というのも相当数存在する。

となると、反応染料で紺色に染めた色移りしにくいデニム調生地を使ったジーンズという商品を考えても良いのではないか。
その際「洗濯で色移りしにくいイージーケアジーンズ」みたいな打ち出しにするなら効果があるのではないか。

日本のジーンズメーカー、デニム生地メーカーから久しく斬新な商材が生まれていないのは、いわゆる「本物」にこだわり過ぎているからではないか。
「本物」の存在は重要ではあるが、不便な「本物」よりも便利な「偽物」を好む消費者も少なくない。

各メーカーが、「うちの売上高はずっと5億円のままで構いません」というなら「本物」にこだわった商品を作り続ければ良い。しかし、そうではなくて「うちは拡大再生産を続けて、売上高を伸ばし続けたいです」というなら、そういう利便性のある「偽物」商品の開発も必要ではないか。
「本物」にこだわり過ぎるのはかえって足を引っ張るのではないか。

即完売!亀の子束子が生んだすごいスポンジ
抗菌とデザインにかける執念
http://toyokeizai.net/articles/-/73987


この記事を読むとさらにその思いを強くする。

歴史ある亀の子束子のメーカーが、機能的なスポンジを開発したという内容である。
これが繊維・衣料品メーカー的思考なら、束子にこだわって、今までよりもさらに素材と製法にこだわった「究極の本物」の束子を開発してしまうところであろう。


「創業当時に使われていたこだわりの〇〇という材料を、これまた創業当時のこだわりの〇〇という製法で仕上げました。その究極の本物の束子をどうぞ。その代わり価格はバカ高いです」

なんてことをやらかしそうである。

しかし、亀の子束子は定番として継続しつつ、新商品としてスポンジを開発したのである。
老舗にしてこの柔軟な姿勢は敬服せざるを得ない。


ビンテージだ、本物だ、伝統の技法だ、に過度にこだわっているうちは国内ジーンズブランドが再浮上することは難しいだろう。


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