南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2015年01月

新規参入でマス市場に飛び込むためにはセールスポイントか大資本が必要

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - 新規参入でマス市場に飛び込むためにはセールスポイントか大資本が必要
 新規ブランドを立ち上げる際、「今、このテイストが人気だから」という分析を基にそこに飛び込む企業が多いように見える。これは何もアパレルに限ったことではなく、産地の製造加工業者でも同じである。
いや、むしろ産地の製造加工業者の方がこの手法を多用するように見える。

しかし、後発ブランドがその人気市場へ割って入るためにはよほどのセールスポイントか資本力がないと不可能である。
セールスポイントとは価格競争力、高品質、高デザイン性、雰囲気の良さ、プロモーションの上手さなどを指す。
もしこれらが決定的に欠落していたとしても大資本なら急激な多店舗出店によって、無理やりに、一時的にでも注目を集めることは可能になる。

この両方が無い場合、後発ブランドがすぐさま成果を得られることはかなり難しい。
そこを産地の製造加工業者は真剣に見つめなおしてもらいたい。


それはさておき。
では、マス市場ではないが、ファッションには必ずニッチな市場がある。
現状のジーンズ業界で言うならビンテージレプリカジーンズはマニアに向けたニッチな市場だといえる。
後発ブランドはそういうニッチな市場をあえて狙うというのも一つの成功方法ではないか。


今回はその一例ともいえる記事をご紹介したい。



「ワル」な「オトナ」がメンズファッションの隙間だった
http://t-f-n.blogspot.jp/2015/01/blog-post_19.html


少し前になりますが、12月8日の繊研新聞で三陽商会のセレクトショップ、

ラブレスとギルドプライムが取り上げられていました。

記事から概要を抜粋すると

「既存の大手セレクトショップが得意とするトラッドベースのカジュアルな商品とは一線を画」す為に

「オリジナルも万人が好むような値頃なベーシック」にはせず、

「買い付け品に負けない”攻めた企画”がほとんど」となっているそうです。

「モード系でクセの強い品揃えがコアなファンを中心に支持を広げ」、

「業績はこの5年ほど右肩上がり」となっているそうです。


とのことである。


ラブレス/ギルドプライムのオリジナルアイテムのターゲットは

いわゆる「お兄系」を卒業したような、

少し「ワル」な雰囲気を持った男性をターゲットにしていると思います。


とある。

要するに、昔、お兄系を着用していてそのままのテイストで年を取ったような男性がターゲットということである。

商品の画像を見ていただければわかるが、カジュアルはお兄系か元ヤンキーという風情だし、スーツ類はどうみてもホスト崩れか崩れホストかという雰囲気である。

5072860B_186_D_500

(ドクロのマークがついたダウンジャケット)

5204211_B_04_500

(パンツのバックポケットにジッパーとドクロマークの装飾)

5203351_B_04_500

(同ブランドのドレスシャツ)


個人的にはこの手のファッションはまったく好きではないし、この手のファッションで固めた男性と言うのも苦手であり、あまりお近づきになりたいとは思わない。

商品画像ではデカデカとドクロマークが付けられているが、ヤングならいざ知らず、ヤングを卒業した年代以上でデカデカとドクロマークを付けた服を着用して似合っている人物は、キャプテンハーロック以外にあまり見たことがない。

それでも市場としてはマスではないが確かに存在する。
そこに向けて商品を供給するというのは立派なビジネスモデルといえる。

需要があるから小なりといえども5年連続で増収しているのだろう。

またこの記事中では昨年秋に新加入が発表されたアースミュージック&エコロジーのメンズラインについても言及されている。

記事中のリンクからジャンプして商品写真を見ると、なぜこれが今更必要なのか?と首を傾げざるを得ない。
このテイストのメンズは郊外型ショッピングセンターにあふれかえっている。
チャオパニックティピーでもコーエンでもセンスオブプレイスでも似たような商品がいくらでも安く購入できる。
マス市場かもしれないが、競合がひしめき合っており、なぜ今更そこへわざわざ飛び込まねばならないのかと疑問を感じる。この記事主の主張には大いに賛同する。


現在の衣料品市場を考慮するなら、後発新規参入組はニッチ市場を狙うべきであり、同質化しやすいメンズはとくにそうあるべきだろう。よほどの大資本以外はマスを狙うべきではないと考える。
メンズに比べると市場規模が大きいレディースでも状況は同じである。


キャリアからミセス向けレディースアパレルの合同展示会主催者は、「卸売り業態で新規ブランドを立ち上げても現状では売上高3億~5億円くらいがピーク。それ以上伸ばすことは至難の業」との分析を示したことがある。これをSPA形式に換算(卸売りの売上高ではなく、店頭販売価格による売上高)すると数億~15億円程度ということになる。
よほどの大資本でない限りは、レディースのSPA型ブランドでもこのあたりが新規参入の限界点だということになる。

新規ブランドを開発する際にはこれらの事例を下敷きにすると、失敗する可能性が低減できるのではないか。

仕事が無い製造加工業者こそ自社ウェブサイトを立ち上げるべき

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - 仕事が無い製造加工業者こそ自社ウェブサイトを立ち上げるべき
 先日、東大阪市石切にある福井プレスという染色、色止め、洗い加工の工場を見学させてもらった。

東大阪の石切というところは生駒山が近く、この山を越えると奈良になる。
最寄りの新石切駅からは少し離れているが、石切劔箭神社(いしきりつるぎやじんじゃ)という有名な神社がある。駅前にも神社の名前が記された大きな看板などがある。

この神社には物部氏の祖と言われる饒速日尊(にぎはやひのみこと)がお祭りされている。
古事記や日本書紀の神武東征の段で、神武天皇が畿内に上陸した際、生駒山を越えて奈良に入っている。
その際、生駒山のふもとで饒速日尊の子孫たちと結んでおり、この地は古くから物部氏の根拠地であったことがわかる。

さて、このブログは「街道をゆく」ではないので詳細は歴史に詳しい方に譲るとして、この福井プレスという工場はさほどに大きな工場ではない。
工場としては小さい部類に属する。

http://fukuipress.somenaosiya.jp/

もともとは3代続くクリーニング屋さんで、今の社長が2000年ごろから新たな業態として創業したそうで、家業のクリーニング屋さんは社長のお兄さんが継いでおられる。

この小さな加工場の主力顧客は、アパレルと個人客だそうだ。
まず、アパレルは何をここに注文するのかというと、

1、サンプル製品の染色、洗い加工
2、アジア製衣類の色止め、染め直し、洗い直し


がほとんどだそうだ。

1のサンプル製品の染色、洗い加工はわかりやすいだろう。

展示会や受注会向けのサンプルに染色したり洗い加工を施したりすることである。

2のアジア製衣類の色止め、染め直しとはどういうことかというと、
中国やアセアン、インド、バングラディシュあたりで製造された衣類の中には国内に入ってきてから変色・退色・日焼け・色落ちなどが発見される場合がある。
これはあまり報道されることがないが、一定量必ずそういう商品がある。

その場合、それを製造させたアパレルが何らかの処置を施すことになる。
その一環として、染め直し・色止め、洗い直しなどを再度行うという選択肢もある。

福井プレスにはそういう案件が持ち込まれる。
小さな工場なので大量には無理だが、2000~3000枚くらいまでなら対応できるそうだ。


写真

(福井プレスの工場)


もう一つの個人向けの染め直し業は3~4年前から始めた。
これは単純に高額だったり、思い入れが強かったりした個人の衣服を染め直すという仕事である。
お気に入りの衣類も長年着用すれば色あせるし、変色もする。
また汚れがひどくなる。
筆者のように投げ売り品ばかり購入していれば、その都度捨ててまた新たな投げ売り品を購入すれば良いが、非常に高価な衣類だったり、思い出の品だったりするとそれもなかなかしづらい。
そういうときに染め直して延命させる。

この受付窓口として「染め直し屋」というウェブサイトも立ち上げている。

http://somenaosiya.jp/

料金システムがちょっとおもしろくて、通常の染め直し屋では1着あたり〇〇円という風に設定されていることが多い。
例えば、シャツなら1着2000円以上、コート1着3000円以上、という具合だ。

ところがここは、一律どんなアイテムでも、一色ごとの基本料金5000円である。
そしてアイテムごとに重量で料金が異なる。
シャツなら200グラムで400円、ワンピースなら300グラムで600円という具合である。

一見高そうに思うが、染める色をまとめるとかなり割安になる。
黒に染めるアイテムを10枚くらいまとめたとすると、その10枚にかかる基本料金は全部合わせて5000円きっかりである。10枚でも1枚でも基本料金はトータル5000円のままである。

で、1枚ごとの価格は数百円~2000円くらいが中心なので、10枚で10000円くらいということになる。
基本料金と合わせると15000円くらいで10枚が染め直されることになる。

ただし、これは青、これは黒、これは赤というような染め方をするにはそれぞれに基本料金5000円が必要になる。あくまでも1色あたりの基本料金が5000円であるから、数枚くらいまとめて同じ色に染めると割安になる。


現在は、家業のクリーニング屋と同じくらいまで福井プレスの売上高を伸ばすことができたそうである。
もちろん、大手加工場のように年商何億円と言う規模ではあるまい。
家業のクリーニング屋だからそんなに大きな売上高ではないと考えられる。けれども3代に渡って継承されてきた仕事なので数十年間一家を支えられる程度の売上高は安定的にあると見るべきだろう。
それが新規事業を加えるとほぼ倍になったということだから、家族経営の零細企業としては上出来の首尾と言っても良いのではないだろうか。


新規事業の福井プレスが売上高を増やすことができた最大の要因は、ウェブサイトの設置だった。
何しろ、今の社長がご自身で「創業当時は人を雇う余裕もなく、外回りもできなかったから営業活動がほとんどできなかった。今のお客さんはみんなウェブサイトを見て問い合わせてきた人・業者ばかり」と認めておられる。


筆者は常々このブログで「製造加工業者こそ、自社ウェブサイトを立ち上げるべき。それができないならブログを設置すべき」と主張していたが、こんなブログを書くはるか以前からそれを実践しておられたというのは社長の慧眼だったというべきだろう。まあ、もしかしたら必要性に迫られただけなのかもしれないが。


それでもウェブによる自社情報の発信は効果があるといえる。

昨今は円安と中国の人件費高騰によって、衣料品の製造が国内回帰している。
そのため、国内工場が満杯となって製造できないブランドも現れつつある。
しかし、その一方で仕事が無くて困っている国内製造加工業者も数多くあると聞く。

ブランドやOEM業者にそのことを伝えても「調べてもそういう工場の情報が出てこないから発注のしようがない」と口をそろえる。

彼らが最初に何で工場を調べるかというと間違いなくネット検索である。
「縫製工場」とか「染色加工場」とかのキーワードでネット検索をするのが常識となっている。
その際にウェブサイトやブログが無ければ、検索画面には表示されない。
表示されないというのはブランドやOEM業者からすると存在しないのも同じだから、永遠にその工場には注文が来ることはない。
そういうことである。

仕事が無くて困っている製造加工業者ほどウェブサイトを立ち上げるべきなのである。

それで着実に売上高を伸ばした福井プレスという実例がある。
ウェブサイトすら立ち上げずに仕事が無いと泣き言を言う製造加工業者はそれこそ自己努力が足りないと言わざるを得ない。時代に対応できない業者は残念ながら淘汰されるほかない。

効率化を追求しすぎても・・・

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - 効率化を追求しすぎても・・・
 ファッションと効率化の両立はつくづく難しいと感じる。
以前から何度も「ある程度の効率化を考慮しないとビジネスとして成り立たない」と書いてきた。
しかし、効率化を過度に追求してしまうと、ブランド価値が無くなってしまう。

ここ数年、傍目から断続的に眺めてきたジーンズチェーン店がある。

以前は地方有力店として必ず名前が挙がっていた。
NBばかりでなく、高額なインポートブランドや希少価値のあるブランドを売りこなしていると業界でもそれなりに定評があった。

ところが、代替わりをし始めた10年くらい前から極端な低価格品へとシフトしてしまった。
また、出店場所も一時期は「ユニクロの路面店が撤退した後、居ぬきで入店する」ことを堂々と政策として公言していた。
2005年か2006年ごろのことだ。実際に筆者が取材に伺った際にインタビューでそう答えている。

その店舗の外観はユニクロの路面店のほぼそのままで、多少外壁などの色を変えた程度だ。
内装は白っぽい床や壁を木目調に変更した程度だった。

取扱い商品は量販店向け卸売りメーカーから仕入れたと見られる1900円商品が主力であり、当時のユニクロ商品と比べてもバリューは低いと言わざるを得なかった。
店作り、陳列、ディスプレイどれをとっても当時のユニクロよりも劣っていると言わざるを得なかった。

こう言ってはなんだが、そこらへんに溢れているような「ちょっとダサい投げ売りバッタ店」にしか見えなかった。

その後、その路線で全国規模での出店を増やしているからビジネスの方向性としては間違っていなかったのだろうと考える。
しかし、ユニクロやしまむら、ハニーズ、ジーユー、ウィゴーあたりの低価格カジュアル店と比べると、スケールで劣っている。スケールで劣っているということは当然、商品でも劣っているということになる。
今でもときどき、地方のショッピングセンターで同社の店舗を見かけることがあるが、幾分改善されているものの、やはり大手の低価格SPAブランドに比べると商品のバリューは低い。

今のところ、80店舗前後にまで増えているが、低価格SPAは少なくとも100店舗規模がないと成り立たないし、商品のクオリティも上がらない。
そういう意味では同じ轍を踏んだのがイーブスだといえるだろう。

最近は、PBもいくつか開発しているようだが、PBのブランド名もどこかで聞いたことがあるようなブランド名ばかりなので笑ってしまう。これも効率化を追求した結果だろうか?

アーバンリサーチ、ジャーナルスタンダード、アクアガール、トゥモローランドなどのブランド名に酷似した名前ばかりである。
そのネーミングセンスは中韓の現地業者並みだと感じられる。

傍目から見ていると果たしてこの路線が正しいのかと疑問を抱いてしまう。
経営的にはどうだかわからないが、少なくともブランド価値というのはこの10年でほぼなくなってしまったといえるのではないか。

さらに昨年3月には、量販店向け卸売りメーカーに子会社化されている。
このメーカーにすれば自社商品の卸売り先の一つだろうから、子会社化は願ったり叶ったりだっただろう。
元有力店側も資本が強化されたというメリットがあったのだろうと考えられるが、逆に言えば、資金繰りが楽ではなかったから子会社化を受け入れたのではないかとも推測できる。


洋服という「物」を売る形態としてはそこそこに成功しつつあると言えるだろうが、「ファッション」を売る店としての価値は根本的に喪失したと言えるだろう。
何度も繰り返して恐縮だが、同じ低価格ゾーンでもユニクロ、しまむら、ハニーズ、ジーユー、ウィゴーあたりとはブランド価値や商品のクオリティ、店作りすべてで劣っている。
ここで生き残るのも相当に厳しい競争が待っている。

果たして「パクリ」のようなブランド名ばかり開発していては、それらに伍することは到底不可能だと感じられる。
畢竟、「低価格パロディカジュアル店」として落ち着くほかないのではないか。

それにしてもファッション性を効率の両立は難しいと改めて感じさせられる。

ユニクロのインナーダウンの改良点を考えてみた

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - ユニクロのインナーダウンの改良点を考えてみた
 年末にユニクロのインナーダウンを探し回って、3990円(税抜)で購入したことは以前にも書いた。
着用してみての感想は悪くないである。しかし、次年度に向けて改良点はいくつかあるのではないかと感じたのでそれをまとめてみたい。

1月2日に関西に帰省した某ブランドのMDと夕方、お茶を飲んだ。
その日は午前中は晴れていて穏やかだったが、午後からにわかに強風が吹き始めて、気温が低下した。
MDと会ったころには粉雪が舞っていた。

梅田や難波、京都市内ではない地方都市なので、新年とはいえ夕刻になると大通りもそれほど通行人は多くないし、カフェの店内からも人は少なくなっていた。

粉雪の舞う夕暮れ時という、なかなかロマンティックな状況だったが、40代のオッサンが二人で業界の下世話な話を語っていたのだから、何とも筆者らしい新年の過ごし方だといえよう。

その日、さっそくインナーダウンを着用して行ったのだが、その場でいくつかの改良点について感想を述べ合った。
正月早々何をやっているのだろうか。

写真






まず、前提として期間限定の3990円で購入したことは大変にコストパフォーマンスに優れているといえる。
また、出来栄えとしては及第点だといえるし、定価で購入したとしてもコストパフォーマンスは高い。
これが二人の共通認識である。

その上で、

まず、首元。
Vネックの切込みが浅すぎる。
これならラウンドネック(丸首)にするか、Vの角度をもう少し深くした方が良いのではないか。

写真 21



つぎに袖について。
アームホールは比較的細めにとられており、合格点といえるが、肘から先の部分が少し太いのではないか。
肘から先をもう少しタイトなシルエットにした方が良いのではないか。
これはMD氏の意見であり、同意できる。

写真 3



三つ目として袖口がゴム絞りになっている点である。
これには賛否両論あるだろうが、ユニクロのレディースインナーダウンは袖口がゴム絞りになっていない。
そこから考えるとレディースと合わせた方が良いのではないかと個人的には感じる。
ちょっと袖口にアウトドアテイストが溢れすぎではないか。

写真 4




以上の三点だが、人によってはフロントがスナップボタンではなく、ジッパーの方が良いと言う人もいる。
このあたりは好みの問題だろうか。


また、カラーバリエーションだが、今回は黒、紺、オリーブ、グレーの4色展開だった。
この中では紺が一番人気だが、黒以外の残り2色は次年度以降考え直した方が良いのではないか。
オリーブはちょっと明るすぎて、カナブン(コガネムシ)みたいな色になっている。もう少しトーンを落とした方が良いのではないか。
グレーは、ユニクロがいつも作る色なのだが、シルバーっぽいホワイトグレーである。この色はそんなに着こなし安い色とも思えないし、人気があるとも思えないのだがどうして作り続けるのだろうか。

また、もう1色か2色、明るめの挿し色があっても良いのではないか。
例えば赤とかオレンジとかパープル系とか。
さらに言うなら、コガネムシ色か謎のホワイトグレーを廃してダークブラウンにしても良いのではないか。


筆者ごときにこんなことを言われなくても、次年度は改良してくるだろうし、カラーバリエーションも変更するだろう。


業界の下世話な話の合間にそんなことを話し合った。
それにしても業界の人々の動きは傍から見ていると実に面白い。
ご立派だと持ち上げられている人が実は私利私欲で暴走しまくっていたり、無知からくる判断ミスで会社に大きな損失を与えたのを握りつぶしていたり、とそんなことは日常茶飯事である。


身近でやられると「やってられませんわ~」という心境になるのだが、まあ実際、そんな業界である。
なんともはや。

高い物でも誰かが泣いている業界

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - 高い物でも誰かが泣いている業界
 個人的には「安い物は誰かが泣いている」というフレーズをアパレル・ファッション業界に軽々しく使う物ではないと感じている。
なぜならば高い物を売っていてもスタッフや関係者を泣かせているブランドは山ほどあるからだ。

2万~数万円代の国産カジュアルブランドがある。
聴くところによるとこのブランドの正社員は、少し前まで健康保険や失業保険、年金などがかけられていなかったそうだ。残業代もほぼゼロに等しい。
当然のことながら正社員の定着率も異様に低く、最近ようやく少し改善されたと耳にしている。

年金・保険類がかけられておらず、残業代も出ないのであれば、正社員などやっている意味はほとんどなく、時給換算で給与が増えるパートやアルバイトをやっている方がマシである。

国産カジュアルブランドで2万~数万円という価格設定は決して「安い物」ではあるまい。
むしろ高価格な部類に属する。

このブランドなんかは高い商品を企画販売しながら自社正社員を泣かせていたといえよう。

また製造加工業でも同じではないか。

日本経済はバブル崩壊で失速した。
崩壊時期は90年とか91年だと言われている。

高度経済成長、バブル期と衣料品は高額だった。
筆者にはバブル期の記憶しかないが、ブランド品と量販店品はデザイン、色柄、素材、シルエットすべてが違っていた。
極言するとリーバイス501のような商品が欲しければ、ジャスコやイズミヤにそれを求めるべきではなかった。
たしかにジーンズは売っていたがリーバイス501とは素材感、色合い、シルエットとすべてが異なっており、到底代用品にはならなかった。

その当時、DCブームで世間は沸いていた。
1着数万円とか10万円とかする洋服が飛ぶように売れていた。
ちなみにファッションに興味がない上に、それほどのカネも持っていなかったから筆者は一切購入していない。
まだ中国へ生産拠点を移すブランドも少なかったから、そのほとんどが日本で縫製・加工されていた。

じゃあ、その当時のDCブランドの商品を縫製・加工した工場が儲かったかというとそうではない。
筆者は販売員時代を含めてこの業界に20年も長居してしまったが、「あの当時、DCブランドの縫製を手掛けて大儲けしたよ」なんて工場の声は聴いたことがない。

現在の国内工場では最年少工員が60代というところも珍しくない。
それほどに高齢化している。

バブル崩壊後、さらに工賃は引き下げられたのかもしれないが、バブル期から高かったとはいえない。
なぜなら、今、60代が最年少という工場は、この30年間新入社員が入社していないということになる。
この60代の行員が30代後半から40代前半だったころがバブル期であり、その当時から新入社員は入社していないということになる。

もし、工賃が高ければその当時は新入社員が入社しただろう。
バブル期の新入社員は今だと50代である。
50代以下がいないという工場はバブル期にはすで新入社員がいなかったということになる。

もし、工賃がそこそこに高いのだったら、少なくともバブル期には新入社員が存在しただろう。
工員のなり手が減ったのはバブル崩壊後ではなく、バブル期からすでに減っていたと見るべきだろう。

となると、あの当時、数万円とか10万円台の服を売っていたブランドも国内工場を泣かせてきたといえるのではないか。

また一時もてはやされた「ハウスマヌカン」の生活は厳しかったとも聞く。
主宰デザイナーと幹部は外車を転がして、贅沢三昧だったがハウスマヌカンは毎食カップラーメンをすすっていたというような風景もあったそうだ。
これなども、高額品を売るブランドが自らの販売員を泣かせていたといえよう。

まあ、販売員の待遇が低いのは今も続いているのだが。

そんなわけで、ファッション業界で人を泣かせているのは安いブランドだけではなく、多くの高いブランドも同じである。
すべての経費を安く据え置くから安く商品を売れるブランドより、高額な商品を販売しつつ人件費や工賃を極端に叩くブランドの方がよほどブラックだといえるのではないか。

それに業界構造は異なるが、高額品で誰もが泣いていないなら、今の着物業界は業界があまねくハッピーだということになるが、現実はどうか。
着物業界は総じて苦しんでいるではないか。
販売側もさておき、着物の各工程の職人の工賃は引き下げられたままである。あれほどの高額商品を作っているにもかかわらずである。

別に低価格SPAを擁護するわけではないが、高額ブランドのみなさんが自らが言うほどモラルは決して高くない。






記事検索
livedoor プロフィール
タグクラウド
QRコード
QRコード