南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2014年07月

復活はあり得る

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 今日はお気楽に。
昨年春夏に、まさかの肩掛けセータースタイルが復活した。
今春夏はすっかり廃れてしまったが、それでも今後も一つのスタイルとしては認知されつづけるだろう。

厚底ブーツ、厚底ヒールも復活している。
これはアムラーが全盛期だったときに流行った靴である。

髪型でいうとツーブロックも復活した。

厚底ブーツは90年代後半のスタイルだが、ツーブロックの髪型やセーター肩掛けスタイルは80年代後半から90年代前半のスタイルで、バブル期の象徴でもあった。
バブル期のファッションは、バブル崩壊以降「ダサさ」の代名詞として君臨し続けてきたが、その呪縛からようやく解き放たれたといえるだろう。

しかし、バブル期をリアルで体感した世代はなかなか取り入れづらいのではないかと思う。

なぜバブル期ファッションがよみがえったかというと、今の若い人たちはバブル期をリアルに体感しておらず、そのときの習俗が新鮮に見えたのだろう。

厚底靴もそうである。
90年代後半なんて、筆者のようなオッサン世代からすると、つい昨日のことのようだが今の若い人たちはその当時、まだ幼かった。
そのためこれもまた新鮮に見えるのだろう。

以前も書いたがフリースジャケットは長らく安物という認識が広まっていたが、昨年くらいから売れ行きが回復しているという。
98年前後に起きたユニクロのフリースブームによって、「安物」という認識が全国に広まったが、それとても15年以上前のことである。
今の若い人たちにとっては、物心つく以前の話であり、それゆえにフリースへの偏見は持っていない。

厚底靴も同じころに流行していたのでこれも15年くらい前の事物になる。


そうすると、いずれルーズソックスも復活するのだろうか?
テクノカットもいずれ復活するのだろうか?

その可能性は大いにあるだろう。

もみあげをななめに切り落としたテクノカットが流行したのはもう30年くらい前のことである。
今の若い人たちからしたら最早伝説の習俗だろう。

tecnocut2

(もみあげを鋭角に切り落としたテクノカット)




昨今の復活劇を見ていると、だいたい25~15年前の流行がよみがえっている。

となると、30年近く前のテクノカットはそれらよりもまだ古い流行であり、復活するには十分な時間が経過しているともいえる。


もし復活したとしても、これもまたオッサン世代は取り入れにくい流行になるだろう。


筆者も取り入れるつもりはまったくないが、復活を少しだけ楽しみに待ってみたい。




スペックの打ち出しのみでは価格競争に巻き込まれる

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 同じ物が売っていたら人は必ず安い方で買う。
とくに店舗同士が近隣なら。

最近、このスニーカーを買った。


写真

(税込3800円で買ったプーマのスニーカー)

税込3800円である。
買った店舗では手書きで「元値8500円」と書かれていた。
手書きなので事実かどうかはわからないが、事実だとして話を進める。
(事実でなければ二重価格で景表法違反である)

その店を出て御堂筋を北上すると、15分ほど歩いたところに別会社のスニーカー店がある。
同じ商品がそこでは以前、6900円で販売されていた。
その後、4900円に値下がりしていた。

「8500円」の手書きPOPがどうして事実だと考えるかというと、他店で6900円で販売していたからだ。
割引で6900円と提示されていたから、おそらく8500円くらいはしたのだろうと考えられる。

実はこの2店舗の前をしょっちゅう通りかかるので、両方の値段を見比べて安い方で買った次第である。
いまどき、よほどの超人気商品でもない限り即日完売なんてするものではない。
スニーカーに限らず洋服だって半月くらい店頭に残っている品番はザラにある。
ゆっくり何日かかけて値段を見比べれば良い。

この店舗の場合、筆者が歩いて行ける距離にあったから見比べることができた。
インターネット通販に手慣れている人がこれをウェブ上でやったらショールーミングということになるのだろう。


さて、こういう状況はリアル店舗でもウェブ上でもよくある。
とくにメーカーからのナショナルブランドを仕入れている店では多発する。
A店だとあのブランドは9800円なのに、B店だと同じブランドが7900円に値下がりしているという状況である。


でも世の中には、B店よりも同じ商品が少し高いけど、A店で買うという場合もある。
それはそのA店が商品の値段以上の「何か」を提供できている場合だろう。
それは販売員の接客なのかもしれないし、店舗の雰囲気なのかもしれない。
また店長なりオーナーなりのカリスマ性や人間性かもしれない。
もしかしたらPOPや販促物の出来栄えや面白さかもしれない。


商品のみをアピールした売り方ではどうしても価格勝負になる。
どうせ同じ物は他店にも入っている。


そういう意味では店の価値づくりをさまざまに工夫すべきだろう。
しかし、実際に店頭で販売をしてみると、日々の業務の多さに店の価値づくりなんてそうそう考えている暇もない。
そういえば、17年前に量販店テナントの店頭で販売しているときは、毎日、大きな段ボールが何箱も届いて、その移動や品出し、ストックルームへの格納作業にけっこうな時間と労力を取られていたことを思い出す。


ま、言うは易し行うは難しということなのだろう。


しかし、これはメーカー側も同じで、物のスペックのみを伝えていると価格競争になってしまう。
例えば国産デニムを使って国内縫製、国内加工で作った純国産ジーンズなるものがあったとして、それのみをアピールすると、いずれ価格競争にならざるを得ない。

ユニクロが7900円で発売したこともある。
ライトオンのバックナンバーも9800円くらいで販売したことがある。

今なら無印良品が9800円で販売している。
今後はもしかしたらもっと安い日本製ジーンズが現れるかもしれない。

そういうことになってしまう。
だからスペック以外の価値を付ける必要があり、それに成功したものが「ブランド」なのだろう。

決して名前を付けてラベルを付けるだけがブランドではない。

ジーンズ需要を支える層

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 昨日に続いてジーンズについて考えてみたい。

現在、ジーンズには二つの消費者層があるのではないか。

一つはトレンド層
もう一つは非トレンド層

である。

ジーンズ不振と言われて5年以上が経過しているが、都心でジーンズを穿いている人は毎日見かける。
別にジーンズを穿いているからと言って「プッ。ダセえ。ジーンズなんて穿いてやがるww」なんてことは思われないわけである。

トレンド層はスキニーやスリムテイパードという細身シルエットのジーンズを着用している。
色はワンウォッシュやノンウォッシュの濃紺が多い。
このトレンド層は都心にも郊外にも田舎にも存在する。

一方、非トレンド層は男性なら少し太目のストレートシルエット、女性ならブーツカットを穿いていることが多い。
ズボンの背面は装飾でコテコテというのも珍しくない。
この非トレンド層も都心にも郊外にも存在する。

トレンド層はおそらく都心型セレクトショップで買い物をする層だろう。

非トレンド層は、おそらく今流行りのマイルドヤンキーか、それに近いマインドを持っていると感じる。

なぜ、こんなことを言い出すかというと、昨日も書いたブルーウェイの展示会での話である。

「太目ストレートとかブーツカットジーンズの要望がいまだに郊外店からはあるのです」

とのことである。
そして担当者は「トレンド層とは異なる要望が確実にあり、これは無視できない」という。

いろいろなことが考えられるのだが、トレンド層はトレンドにある程度敏感なので、トレンドがデニムトップスへと移行すればジーンズを捨ててデニムシャツを着用する。デニムシャツを着用したら、ジーンズでは色合わせが難しいのでチノパンやカラーパンツ類を着用する。
トレンド層もたまにはジーンズを穿くが、それはカラーパンツのバリエーションの一種としてジーンズをとらえているといえる。

一方、マイルドヤンキーテイストの非トレンド層は間違いなくジーンズの愛好家である。
彼らは根強くジーンズを支持する。ちょうど40代・50代と同じくらいの熱烈なジーンズ支持層である。

最近、筆者はこのトレンド層と非トレンド層が着用するジーンズが同じアイテムだとは思えなくなってきている。


トレンド層の考えるジーンズと、非トレンド層が考えるそれはまったく異なるのではないか。



現在、ジーンズナショナルブランド各社もすっかり縮小してしまった。
売上規模はおそらく、20億円未満となっているだろう。
そうなると、マスに向けた商品提案は不可能である。どこかのテイストに絞り込まなくてはならない。
逆にいうと、トレンド層と非トレンド層でまったくジーンズの嗜好が異なってしまったために、ナショナルブランド各社は売上縮小を余儀なくされたという側面もあるのかもしれない。

ジーンズ業界の年配者はエライさんと話すと、いまだにマスに通じるジーンズがあると認識されているように感じてしまうのだが、それは幻想にすぎないのではないかと思う。
ここまで嗜好が別れてしまうとマス化は難しいだろう。

そんな中で両方に向けた商品を供給するのがエドウインである。
さすがに200億円規模の売上高を維持する国内最大手である。

例えば、トレンド層に向けては、色落ちしにくいデニム生地を使った細身シルエットの「キープブルー」を、
コテコテ装飾が好きな非トレンド層には「XVシリーズ」を提案する。

これをやれているから最大手なのか、最大手だからこれをやらないと維持をできないのか、因果関係は判然としない。

さて、個人的な好みでいうと筆者はコテコテ装飾系のジーンズブランドはあまり好きではない。
しかし、ジーンズというアイテムを厚く支持しているのはコテコテ系を好む非トレンド層ではないかと思えてくる。

コテコテ系の流れを独断を交えてざっとまとめてみる。
まずは2007年ごろで終焉を迎えた高額インポートブランドブームのころに盛り上がった「トゥルーレリジョン」だろう。
ジーンズのバックポケットに太目の糸で大きなステッチが施されており、この2~3年、着用者を見かけることがめっきりと減ったと感じるブランドである。

刺繍やらなんやらでまさしくコテコテ装飾は、韓国のジーンズブランド「レッドペッパー」だろう。
関西だと今でも着用者をごくまれに見かけるが、まさしくマイルドヤンキー的な雰囲気の方が多い。
学生時代は元ヤンキーだったような方も多い。

ついでながら、現在の「エヴィス」の着用者もこの匂いがする方が多いように感じる。

エドウインのXVシリーズもこの流れにある商品群だといえるし、これの着用者はマイルドヤンキーに分類される方が多いように見える。(統計を取ったわけではなく、あくまでも筆者が見かけた体感による)

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(エドウインのXVシリーズ)




この手の商品はトレンドからも外れているし、筆者は好みではないのだが、底堅い需要があるのではないだろうか。不振の影響を被っているジーンズ専業メーカーはこの層に向けた商品を開発することで、大きく伸びることもないが大崩れもしない顧客層を手に入れることができるのではないだろうか。

男女ともジーンズへのこだわりが厚い40代・50代に向けた商品と、マイルドヤンキー的な非トレンド層に向けた商品を2本柱とすればジーンズブランドは小なりといえども安定した売上高が見込めるのではないかと考えている。

ただし、そうなった場合は、安定した売上高と引き換えにブランドイメージがあまり良くなくなるというデメリットもある。


けれども、従来通りにマスを狙った商品を模索しながら「ジーンズが売れない」と嘆いていても仕方がないわけであるから、思い切った手段を取ることも必要なのではないだろうか。

色あせても破れても着用できる

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 先日、イタリアのジーンズカジュアルブランド「GAS」の来春夏展示会にお邪魔した。

そこでこんな記事にまとめさせていただいた。

http://a-mp.jp/article.php?id=1172

欧州ではブリーチジーンズとリペア加工ジーンズが最注目されているのだという。
シルエットは相変わらずスキニーとスリムテイパードで、こちらはここ数年変わらない。
シルエットが変わらないから色や加工での変化に注目が集まるのだろう。

IMG_2112

(ブリーチとリペア加工を施したGASのレディースジーンズ)


同じ時期に日本の老舗ジーンズ・カジュアルパンツブランド「ブルーウェイ」の今冬展示会にもお邪魔した。

トレンドのソースは全世界共通なのでこちらでもリペア加工風のものが提案されていた。
ブリーチについてはあまり注目していないようだが、かなり薄ブルーになるまで洗い加工を施したジーンズは提案されていた。


そこで印象的だったのが、ブルーウェイの担当者の言葉である。

「色落ちしても破れても着用できるというのはデニム生地アイテムだけです。他の生地やアイテムにない特殊性というのはその部分に尽きるような気がします」。

本来はジーンズというアイテムで考えたいところだが、デニム生地を使ったアイテム全般に敷衍してみるのが実情に即しているだろう。
デニムブルゾン、デニムシャツ、デニムワンピース、デニムスカートなども含める。

ワンウォッシュなりノンウォッシュなりの濃紺から使い込んで色が薄くなっていく。
変なシワができたりして、そのシワに沿って色が剥げ落ちていったりする。
それがデニムの味であり楽しさであるとされている。好き嫌いは別として。

で、いずれどこかの部分の生地が薄くなって破れる。

普通のアイテムならその時点で着用は無理である。
着用しても構わないが明らかに変だと周囲に思われる。


例えば、スーツ。
色あせたスーツ、ひざに穴が開いたスーツ、袖口が擦り切れたスーツ。
これは着用不能だろう。

スーツはフォーマルでありドレスであるからカジュアルアイテムで考えてみる。

例えばスエット。
色あせたくらいはOK。加工によっては細かく穴の開いた商品もある。
しかし、個人的にはそれはジーンズほど市民権を得ていないと感じる。

カジュアルなコート。
例えばメルトン素材のダッフルコートやPコート。

これだって色あせていたら変だし、穴が開いたら買い替えろということになるし、袖口が擦り切れていたらやっぱり見た目は良くない。


最近ではジーンズの考え方を取り入れて加工を施したTシャツやワークパンツも現れているが、発想の原点はデニム素材の経年変化からである。


さて、そういう意味では、欧州でブリーチ加工・リペア加工が最注目されているというのは、デニムという生地の特性に最注目した結果ではないかという気がする。
後付けだけど。


洗い加工を施されたジーンズに果たして目新しさがあるかというと疑問だ。
というのは、多くの消費者は2007年で終了した高額インポートジーンズブームの際に、いやというほど洗い加工の商品を見ているからだ。
あれから7年が経過している。
10代・20代の若者にとっての7年は長いが、オッサン世代にとっての7年なんてつい昨日のことのようなものである。
だから、加工への目新しさがマスで共有できるかという点においては疑問を感じてしまう。

デニム本来の特性を生かした打ち出しとしては洗い加工であるという分析・判断は適切なものだろう。
でも、かつての洗い加工への過度のこだわりが若者たちにとって「ジーンズはダサい」というイメージを抱かせた(トレンドがデニムボトムスからデニムトップスへ移行したことは承知しているが)ことも事実であると感じる。
やたらと「職人のこだわり」的な打ち出しが目立ち、「ジーンズは擦ってなんぼ」みたいな風潮が蔓延したことも、若者のジーンズ離れの一環であったのではないか。

これらは同じ要因の表と裏なので仕方がないとはいえ、物事のバランスを取ることはつくづく難しいと改めて感じさせられてしまう。



製造の多層構造こそが問題

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 例年なら夏のバーゲンを8月末まで断続的に各商業施設をくまなく見て歩くのだが、今年は欲しい物がそれほどないことと、大手通販の在庫を格安販売している店舗の販売応援で忙しいのと相まって、7月上旬に一回りしたほかはほとんど売り場を見ていない。
だから売り場の雰囲気をつかめてはいないのだが、7月上旬に見て歩いた限りでは、毎年のことながら夏のバーゲンは盛り上がっていないと感じる。

正直なところ、日常セール(週末値引きやタイムセール)の延長線上にしか感じられない。

さて、筆者にとっては夏のセールとはその程度のものだが、畏友の釼英雄さんによると福岡・天神の「セオリー」はたった30%オフの割引率しかないにもかかわらず、バーゲンが大盛況なのだそうだ。

30%オフ程度だと日常セールとほとんど変わらない。
バーゲンだと50%オフは当たり前、70%オフも珍しくないご時世である。

30%OFFがお客を惹き付ける理由
http://blog.goo.ne.jp/souhaits225/e/74558a7b4d43d281a94108fab76a546a


さて、釼さんは、キャリア女性の心理やライフスタイルを事細かに書かれているが、女性心理や女性のライフスタイルに興味がない上に、理解する気もさっぱりない筆者にとっては、それが事実なのかどうなのかもわからない。
おそらくそうなのだろうということで話を進めさせていただく。

セオリーの商品定価は決して安くない。
ジャケットは4万円代、ボトムは2万円代、ドレスが2万円~7万円代である。
これが30%オフされたところで、昨今の低価格品を買い慣れている人間からすれば驚くほどの高値といえる。

それでも売れるのは、
1つには「セオリー」がブランドステイタスを確立できたことにあるだろう。
いくら「物」が良くてもそれが消費者に認知されていなければ、単なるマスターベーションの物作りである。
長年かけた広報・販促活動によって、消費者にブランドステイタスを浸透させることができたと見るべきだろう。
70%オフにしても売れないということは、それができていないブランドが世にいかに多いかということである。

もう一つの理由として釼さんは「セオリー」の商品の品質の高さを挙げておられる。
その上で、

ただ、「原価率を上げて、価格はブリッジラインを保つ」。そんな難しい課題を克服できるか。そのためにはもう一つのキーワード。「コストダウン」がカギになる。売価を押し上げている様々な中間コストにメスを入れなければならないということだ。

と提案されている。

一般的に「中間コスト」というと、問屋に代表される流通の多段階構造を指す場合が多い。
たしかに問屋だけならまだしも一次卸、二次卸、仲間卸など流通はこれまで多層構造で成り立っていた。
しかし、SPAブランド「ユニクロ」の隆盛によって、すべてとはいわないまでも、流通はある程度までシンプル化されている。問屋は絶滅させて良い業種ではない。在庫を抱えられない小規模小売店にとって問屋は必要不可欠な業態でもある。

現在、繊維・アパレル業界がメスを入れなくてはならないのは製造の多層構造である。

OEM/ODM企業が大小・零細を合わせて無数に国内には存在する。
それゆえ、資金さえ用意すればド素人だってオリジナル商品を作ることができる。
ODM企業に任せればデザイン画を書く必要すらない。自分の好みの商品の写真を見せて「こんな風にしてください」と伝えれば済む。

通常だと、OEM/ODM企業はそれぞれ単独で自社のスタッフないしは協力者によって、企画製造を進めると思われているがこれがそうではない。
ODM企業からOEM企業へ製造受注をする場合もある。
ODMのOEMとか、OEMのOEMのOEMなんていうマトリョーシカみたいな受注も実は珍しくない。

さらに言うなら、生地メーカーに代わって営業を行う生地ブローカーが存在するが、その生地ブローカーの営業をさらに代行する業者とか、工場とブローカーを結びつけるアドバイザーとかコーディネイターなんていう業者も存在する。

そして当然のことながら、それぞれにマージンが発生し、製品の原価率を上昇させる一因となっている。
ブランド側が原価率の上昇を飲まない場合は、その分、製造工場が工賃を値切られているということである。

釼さんの提示するように、原価率を多少上げつつ、商品のクオリティを格段に向上させるためには製造の多層構造をある程度までシンプル化する必要がある。
OEM/ODMがまったく必要ないとも、ブローカー、コーディネイター、アドバイザーをすべて排除すべきだとも思わないが、今よりは整理する必要はあるだろう。

果たして業界の抜本的改革が可能なのかどうか。
筆者は至難の業だと見ているが、これをやらねば製造工場は工賃をいつまで経っても上げることができないままだろう。
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