南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2014年05月

「正しく」伝えることの難しさ

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 今でもときどきファッションショーに招待してもらえることがある。

以前のことだ。

知り合いのデザイナーから招待状が届いた。
とりあえず、日時と場所が書いてあった。

会場に到着すると見知った顔が多い。
業界は狭い上に関西はもっと狭い。何かイベントがあると、筆者も含めて同じような人が必ず何人かは出席している。

受付で、ショーの詳細を尋ねてみると、
合計で8ブランドがショーを行うらしい。

ここで、筆者も含めた多くの顔見知りが驚く。
なぜなら、われわれは1ブランドのショーだと思って参加している。
1ブランドのショーならどんなに長くても最大で20分ほどである。
ショーの開始というのは不思議なもので、必ず指定時刻よりも20~30分は遅れる。
その遅れを合わせても1時間弱で済むだろうから、それぞれが次のアポイントには間に合うと判断しての参加である。

しかし、8ブランドとなると、1ブランド10分のショーだとしても1時間20分が必要であり、開始遅れ分を合わせるとたっぷり2時間はかかることになる。

そうなると次のアポイントに間に合わない人が続出してしまう。

結局、我々全員は最後まで見ることができずに途中退席してしまった。


せっかくのイベントなのになんとももったいないなと思う。

イベント開始直前で不慮の事故によって、内容が変わってしまうことはよくある。
しかし、その場合でも変更内容を伝えることはある程度可能だと思う。

現在ならEメールも含めたウェブで修正内容を告知することはできる。
告知してもこちらが想像するよりは伝わらない場合が多いのだが、それでもやらないよりはましだ。
また出展者との意思疎通が円滑であったなら、出展者を通じて修正内容を伝えることができただろう。
(それでも記憶にとどめない人が多いのも事実だが)

また、事前の告知もあまり行われていなかった。
どういう趣旨の何のためのショーなのかが皆目告知されておらず、案内状を見る限りにおいて、デザイナー氏が個人的に行うショーのように見えた。

ふたを開けてみたら8ブランドも登場する大がかりなショーで驚いた次第だが、その大がかりなイベントの趣旨が伝わったいないのは何とも残念である。

改めていうほどのことでもないが、やはり事前の告知は必要である。

このショーに限らず、イベント事は主催者の意図が来場者や観客に伝わりにくい場合がある。
筆者が主催チームに参加している「テキスタイル・マルシェ」だってそうだ。
良くも悪くも主催チームの意図とは、別の評価をいただくことも多い。

主催する側からすると「なんでやねん!」と突っ込みたくもなるが、それはやはり伝え方に問題があるのだろうと思う。
どれだけ客観的に想定してみても、どこかに主観が入りこんでしまい予期せぬ失敗というのが必ず起きる。

先日もあるオープニングに参加したのだが、あれも主催者の意図はわからないではないが、正しく伝わらなかったのではないかと感じられる。

建物の面積とそこに収容できる人数、各エリアを移動するための導線。
そこの見通しが甘かったのではないか。

イベント主催者は客観的になりすぎるほどでちょうど良いのではないかと思う。
自戒も込めて。

綱渡りのようなオペレーション

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 衣料品・服飾雑貨において「日本製」がちょっとしたブームである。
しかし、現状、国内製造業者は減り続けている。
起死回生を賭けて新規商材開発に乗り出した企業もあるが、需要が増えても、製造業者の減少には歯止めがかからないというジレンマに陥る場合もある。

 今回は、ある雑貨の現状を考えてみたい。

新規商材の開発に成功し、売上高がそれなりに伸びている雑貨がある。
当然、需要が増えるのだから、供給量も増やさないといけない。
しかし、作り手は減少しているため、需要になかなか対応できないことが増えている。

販売店からは「補充対応が悪い」「供給体制はどうなっているのか?」という不満の声が挙がる。

しかし、よくよく尋ねてみると、作り手となる職人は減り続けているそうである。
4年前には20人いた職人が、今は5人くらいに減っているのだそうだ。
5人では作れる物量も知れている。商品補充がままならないのも当然といえる。

この話を聞いて、何とも難しい局面だと感じた。

新規商品の開発に成功したといっても、初年度売上高は知れている。
そこから毎年拡販したといっても、5億円とか10億円規模に到達したわけではない。

新規商材は好調に伸びているとはいえ、工場全体の売上高減をカバーできる規模ではない。
そうすると工場側は人員整理を行わざるを得ない。

一方、新規商材の需要は伸びているから、商材の補充は不十分なものとなる。

現在、それでもある程度売れているからごまかしも効いているが、もしかすると補充体制の不備から売れ行き不調へと転じる可能性もある。
そうなれば、さらなる人員整理もあるだろうし、下手をすると工場自体が倒産に至る可能性もある。

破綻しかけた供給体制でどうやって好調な売れ行きを維持させるのか、という難しい舵取りが必要とされているのが現状である。

そんな話を聞いていて、これは単にこの雑貨品だけの問題ではないなと感じた。

他の衣料品・服飾雑貨を含めた国内製造業者の多くが置かれている共通の問題といえる。

新規商材の開発・販売には成功した。

けれども工場全体の売上高減を補う規模に成長するには数年以上の時間がかかる。

工場全体の経営は厳しいから人員整理を行う。

供給体制に破綻をきたす。

供給体制は破綻しつつ、新規商材の販売量は増やさねばならない。


これを乗り切るには綱渡りのようなオペレーションを繰り返すこととなり、一手差し違えると、工場は倒産することになる。

「日本製」ブームはたしかに明るい兆しではあるが、製造現場の現状は多かれ少なかれこれに近い部分がある。

果たして、いつまで「日本製」の衣料品・服飾雑貨品が存在し続けられるのかと考えると、前途は暗いと感じられる。

もう一度、AISAS(アイサス)の法則を

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 先日、知り合いからこんな話を聞いた。

「某中堅アパレルを訪問した際に、おどろいたことがある。業界ではそこそこ名が知れたアパレルであるにもかかわらずホームページはおろか、メールアドレスもない」

とのことである。
知り合いを担当してくれているのは部長さんらしいのだが、彼は携帯電話番号すら教えてくれないので、彼が外回りだった場合はFAXでも入れない限り連絡できないとも嘆いていた。

実は、先日、依頼があって産地企業を紹介することがあった。
心当たりが数社あってその会社の連絡先をメールしたのだが、数社のうち、半分はブログはおろかホームページすら所有していなかった。

知り合いの話を続けると、その部長さんは「ホームページなんて要らないでしょう」との持論をぶち上げておられたそうだ。


しかし、一方でその中堅アパレルも産地企業も「新しい取引先が欲しい」「新規取引先を広げたい」と口をそろえる。


これもおかしな話である。

以前、「AISAS(アイサス)の法則」について書いたことがある。
今回、もう一度これを書いてみる。

消費者心理のプロセスモデルだが、べつにBtoCだけではなく、BtoBにも当てはまる。

消費者がある商品を購入するまでには、次のようなプロセスを経る。

1.Attention (注意)
2.Interest (関心)
3.Search (検索)
4.Action (行動、購入)
5.Share (共有)


である。

この5つの頭文字を採ってアイサスの法則と呼ぶ。

重要な個所は3番の「検索」と5番の「共有」である。

現在、多くの人は物事を調べるときにまず「検索」を行う。
Yahoo!かGoogleを使ったインターネット検索が不可欠である。

これは消費行動に限らず、業務で何かを調べる時も同じだろう。

例えば、ブティックが「新しいメーカーを探したい」と考えた際、「レディースアパレル」とか「ミセスブランド」とか「レディースジーンズ」などのキーワードでインターネット検索を行う。
そこに表示された順に問い合わせる。

ホームページもブログもない状態では、この「検索」に引っかからない。
検索にひっかからない時点で、そのアパレルや産地企業は「存在していないのと同じ」である。キツイ言い方だが。

さらに付け加えるなら、問い合わせに関しても、多くの場合、電話かメールで問い合わせが寄せられる。
メールアドレスすらないということは、問い合わせられる機会も激減するということになる。


現在の既存顧客だけで十分に利益を稼げているなら、ホームページもブログもメールアドレスも要らないだろう。

けれども、某中堅アパレルも産地企業も売上高は厳しいわけで「新規取引先の開拓」を熱望しているわけである。
ホームページもメールアドレスも持たないことは、自らその機会を減らしているといえる。


ついでに言うと、5番の「共有」はブログを含めたSNSである。
消費者は購入した商品やサービスの評価をSNSを使って共有する。


某中堅アパレルにも産地企業にもできない理由は諸々あるだろう。
業務が忙しくてホームページなんて手を出す余裕もないのかもしれない。

しかし、ホームページやブログを備えている小規模・零細企業も多い。
社長1人とスタッフ1人みたいなところだとそれぞれの業務は多忙を極めているに違いないが、それでもホームページを整備している企業もある。
「業務が忙しくて」というのは言い訳に過ぎないのではないか。

新規取引先が欲しければ、ホームページを所有した方が効率的である。
某中堅アパレルはその前にメールアドレスを取得するところから始めてもらいたい。

無難さが支持されている

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 以前、「毎シーズン、掲載内容がほとんど変わらないメンズジョーカーとSafariの2誌が売れている」と書いたことがあったが、その疑問が氷解した。

昨日、山田耕史さんのブログに

売れるファッション誌の特徴は「変わらないこと」?
http://t-f-n.blogspot.jp/2014/05/blog-post_26.html


が掲載され、その解答が示されている。

私が目を引かれたのは メンズジョーカーの橋本太郎編集長インタビュー。

メンズジョーカーといえば雑誌不況が叫ばれる現在でも15万部前後の発行部数を誇る人気雑誌。

ですが、そのちょっとロックっぽい細身のカジュアルスタイルは毎号殆ど変化が見られず、

何故売れているのか疑問に思っていたのですが、 今回のWWDのインタビューでその理由がわかりました。

その部分を引用します。

メンズジョーカー卒業生に向けた新雑誌「メンズジョーカーリラグジー」を他誌とどうやって差別化するのかという問いに対する返答です。



橋本:”ファッション偏差値”の高い男性に向けた競合誌とは一線を画し、
「メンズジョーカー」同様、最も実用的な媒体を目指します。

~中略~

「リラグジー」を含めた「メンズジョーカー」が目指すのは、
セグメントされたマーケットではなく、
全方位を狙う”究極に一般読者ウケするファッション誌”です。
メンズファッション誌の切り口にはテイスト別、国・スタイル別など
いろいろあるでしょう。

けれど、それにこだわるあまり可能性を捨ててしまうのは、
雑誌の都合で読者の興味や関心に満足に応えなくなることにつながります。
テイストやブランド、価格帯を問わず、「良いモノは良い」という シンプルなスタンスを大切にしたいです。


とのことである。

山田さんも言及されているが、ここでいう「ファッション偏差値の高い男性」というのはトレンドに敏感だったり、自分なりのテイストを持っている「オシャレな人」を指すのだと思う。

そういう人向けではなく、ファッションへのこだわりが少ない一般男性に向けているということになる。
ファッションへのこだわりはそれほどないが、ダサく見られるのはイヤだという人に向けて、毎シーズン、もっとも無難な着こなしを提案しているといえる。

Safariも同じことだろう。

メンズジョーカーとSafariは編集コンセプトはほとんど同じだと感じる。
違うのはテイストとターゲット年齢である。
メンズジョーカーは、細身のロックテイストで、メインのターゲットは20代だろう。
一方のSafariは、米国セレブカジュアルテイストで、ターゲットは30代半ば以上である。

ともに後発雑誌ながら、15万部前後を毎号発行しており、Leonやメンズノンノなどの先行有名雑誌を部数の上では凌駕してしまった。

Leonやメンズノンノは「オシャレに敏感な人」「スタイルにこだわりのある人」「過剰にモテたがる中年オヤジ(笑)」に向けて企画・編集されている。

部数が多ければ良いというものではないことは承知しているが、「オシャレではない、一般の人に向けた」雑誌が、「オシャレな人に向けた」雑誌を部数で上回るというのは、現在の日本社会におけるファッションの位置づけを象徴しているように見える。

多くの人が最先端のオシャレにステイタスを感じていたバブル期から2000年代前半ごろまでとは、まるっきり異なる風潮になってしまったといえる。
目玉の飛び出るような高額な金額を支払って、奇抜なデザイン・色柄の衣料品を買い漁るような文化は過去の遺物となりつつあるのではないか。

手ごろな値段(人によって想定する価格帯は異なるが)で、そこそこ万人受けするアイテムを組み合わせたベーシックな着こなし、これが現在もっとも支持されるスタイルであるといえる。

40代以上の年配層、とくに繊維・衣料品業界のその年代の人々には物足りないだろうが、バブル期から2000年代前半のようなファッションへの熱狂は当分戻ってこないだろう。ひょっとすると未来永劫戻ってこないかもしれない。

こういう風潮が主流になると、商品の色柄・デザイン・トレンド性ではなく、その商品やブランドの製造背景や、製作者・デザイナー・経営者の考え方や姿勢、そういうものに興味が集まることになる。もしくは低価格で高機能なベーシック商品か、である。

中級から高額帯を狙うブランドならば、今まで以上にそういうことを打ち出す必要があるだろう。

しかし、そういうものを色濃く打ち出すと、当然ファンも増えるがアンチも増える。
どうせ誰からも支持されるブランドなんて構築することは不可能なのである。だったら開き直ってそれを打ち出すほかない。

同業他社から注文をもらうわけではないでしょう?

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 前回、自分たちにとっては「当たり前」の事柄も、世間的には価値ある情報であると書いた。

ワシらにとっては当たり前のことでも

だから、どんどん「当たり前」のことを発信されると良いと思う。

繊維業界の製造加工業者がブログでの情報発信をためらう理由はもう一つある。
多くの製造業者と話すとこういうフレーズが出てくる。
「そんな当たり前のことを書いたら、同業他社に笑われる」
である。

繊維業界、とくに製造加工業者は比較的横のつながりが強い。
組合とか協会などが存在しているからだ。
同業他社同士がすごく仲が良いかというと、そうでない場合も多いのだが、表面的には横のつながりがある。

横のつながりがあることはメリットもある。
同業者同士での情報交換が比較的容易になる。
もっとも、自社の情報を提供したがらず、他社の情報を欲しがってばかりいる企業もある。
そういう企業は往々にして評判はあまりよろしくない。

一方、デメリットもある。
必要以上に同業他社の目を気にするようになることである。
「そんな当たり前のことを書いたら、同業他社に笑われる」という反応もそのうちの一つではないかと思う。

しかし、冷静に考えてみてもらいたいが、製造加工業者は同業他社から仕事を受注するのだろうか?
多くは、アパレルブランドだったりOEM/ODM企業からの受注である。
まれに同業者からの受注もあるだろうが、それは自社のキャパをオーバーした場合にほとんど限定されるのではないか。

なら、当たり前のことを書いて、仮に同業他社から笑われたとしても何ら痛痒はない。
組合とか協会の集まりに出席した際に、ちょっとバツが悪いだけである。

前回も引用したが、

クリーニング屋さんのブログで次のように書かれている箇所がある。


熱いお湯(60度)をバケツに入れ、その中に洗剤と漂白剤(ワイドハイター)を溶かして、白いシャツやブラウスをのお湯につける。
それを30分以上つけおく。
その後、漂白剤ごと、洗濯機に入れて他の洗濯物と一緒に洗う。
そうすると多くの場合、黄ばんだ衣類も、また白に戻る。
ブラウスだけでなく、ワイシャツや無地のTシャツ、体操服、白ポロシャツなどにも同じように使える。


黄ばんだ白シャツを過程で真っ白に洗濯する方法である。

これなんてクリーニング屋さんにとっては「当たり前」のことだし、下手をすると「同業他社に笑われている」かもしれない。

しかし、このクリーニング屋さんはどんどん情報発信を続けている。
それによって知名度は大きく向上している。


だから繊維業界の製造加工業者も思い切って自社の情報を発信してもらいたい。


「ブログを毎日書き続ける方法」をご紹介

ワシらにとっては当たり前のことでも

と今日のこのエントリーの3本をセットにすればいくばくかの参考資料にはなるだろう。

加工業者や原料問屋の中には、情報発信のとても上手な会社が何社かある。
製造業者の中には「あそこは物作りなんてしてないくせに」と反発する会社もある。

気持ちはわかるが、なら、彼らを野放しにせずに自社で発信してもらいたい。
彼らを駆逐したいなら、彼らを上回る情報発信をしてもらいたい。

筆者はそう願ってやまない。
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