南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2014年02月

関西らしい企画

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 Elasticさんが関西のセレクトショップで打線を組んでみたというブログをエントリーされている。

http://www.fashionsnap.com/the-posts/2014-02-17/kansai-selectshop/

せっかくなので私は関西のセレクトショップで組んでみました。

1(遊)LOFTMAN 5店舗
2(二)MUSEUM OF YOUR HISTORY 10店舗(系列店含む)
3(一)Ciaopanic 21店舗
4(三)URBAN RESEARCH 33店舗(系列店含まない) 
5(捕)Bshop 18店舗
6(中)印 7店舗
7(右)ITAL STYLE 9店舗
8(左)MINDTRIVE 8店舗(系列店含む) 
9(投)乱痴気 5店舗

とある。

そして、こうまとめられている。

こうして関西の大手セレクトを並べてみますと、 関西のファッションが土臭いテイスト(アメカジ・ワーク・アウトドア)で 溢れている理由がわかりますね。

さて、ここで触れられているように関西のファッションは土臭いテイストである。
打線の中でも7番のイタルスタイル以外はすべてアメカジ・ワーク・アウトドア系である。

関西在住の人間からすると、現在はこれでも土臭さがずいぶんと中和されたように見えるのだが、ファッションを専門に見ておられる方からするとまだまだ土臭さが目立つようである。


90年代半ばにビンテージジーンズブームというのがあった。
年代物の古着ジーンズが驚くほど高額で売買された時代だが、年代物の古着ジーンズをベースとしたレプリカブランドも数多く誕生した。

ステュディオ・ダ・ルチザンを皮切りに、エヴィス、ドゥニームなどである。
上記以外では市場から退場したブランドもあるが、この当時に関西本社でなかったブランドは「シュガーケーン」くらいではなかっただろうか。

それほどに関西はビンテージジーンズブランドが多かった。

これらに比べると後発だったフルカウント、ウェアハウスも大阪出身である。

今ではどのブランドも東京への進出を果たしているが、2000年代前半くらいまでは関西はジーンズの有力マーケットだった。
ジーンズのトレンドは関西か九州で発生し、東京に行って全国区に広まるという構図があった。
レプリカジーンズブランドなんてまさに「関西発祥・東京発信」という構図である。
そして、関西人以外のファッション業界人から見ると、まだわずかにだがその遺伝子・風土は残っていると感じられるようだ。


「関西のファッションを復権しよう」という声をよく聞く。
まあ、組合とか自治体とか商工会議所とかが主体だけれども。

その際、現状としてほとんど関西に残ってもいないミセスブランドとか若手デザイナーズブランドとかヤングレディースブランドを無理やりピックアップするよりもジーンズ・カジュアル関係をクローズアップした方が実態に適しているのではないか。

とふと思った。

ジーンズ・カジュアル関係もほとんど東京へ本社が流出してしまっているが、有力ビンテージレプリカブランドが多数生まれた風土はぎりぎり健在している。
今なら間に合うかもしれない。

ただ、ビンテージレプリカブランドを展開するアパレル各社を経営するトップはそれぞれ癖が強い。よく言えば個性的である。個性的すぎるかもしれない。
これらをまとめるのは一苦労どころか十苦労くらいあるだろう。

まとめる作業は困難を極めるだろうが、それでも一番関西らしい企画ではないかと思えてならない。

期待が大きすぎたから

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 6割強の売り場面積を縮小し、専門店を導入することを発表したJR大阪三越伊勢丹だが、その敗因に関して「伊勢丹流・東京流が大阪で受け入れられなかった」と指摘されることが多い。筆者はこれは適切な分析ではないと考えている。

JR大阪三越伊勢丹開業前のマスコミ各社の報道を見たり、在阪マスコミスタッフと記者会見・内覧会で接触した感触でいうと、彼らは非常に期待していた。
一般消費者はオープン前の情報はそれほど持ち合わせていないから、新聞、雑誌、テレビなどの報道でどんな施設になるかを想像するほかない。

オープン前、オープン直後の報道ではその期待感が過剰に発信されていたように感じる。

これは推測だが、マスコミ各社は「新宿本店のような伊勢丹が梅田にもできる」と期待していたのではないか。
その報道を受ける一般消費者も当然期待を高めていく。

けれど実際に足を運んでみれば、新宿本店との違いは一目瞭然だ。
JR大阪三越伊勢丹は取扱いブランド、導入テナントのラインナップにおいて新宿本店には遠く及ばない。
関西地方にも数多くある地方百貨店とほとんど変わらない。

けれども冷静に考えてみれば、JR大阪駅周辺には阪急百貨店うめだ本店、大丸梅田店が隣接している。
すでにこの2つに同時出店しているブランドも数多い。
そこにまた徒歩数分圏内で百貨店を出店するのだから、出店を断るブランドも多数出てくることは容易に想像できたはずだ。

今の時点になって、「徒歩数分圏内に3店舗も同時出店したがるアパレルブランドは少なかった」との報道も出始めているが、そんなことは少なくとも、内覧会の2,3か月前の開かれた記者会見でブランドラインナップを見た瞬間にわかっていたはずである。

たとえば、イセタンガールの売り場が作られていたがブランドラインナップはありきたりで、凡百の百貨店の領域を超えるものではなかった。
筆者も会見に出席していたが、イセタンガールのブランドラインナップを見てひどく失望した。


実際に筆者と多少の交流がある某メンズブランドでも「あの近さで3店舗同時出店は無理だ」として、出店依頼を断っている。


そうなると、過剰に期待した分、大阪の消費者には失望感が広がる。
別に多くの大阪人は東京に大して対抗意識なんて持っていないし、大阪が一地方都市であることを自覚している。

期待感から実際に足を運んだ人も多いだろう。
そうでなくては、開業直後のあの入場客数にはならない。
足を運んで自分の目で見てそれでもリピーターにならなかったということだろう。

立地条件からしても実現は難しかっただろうが、もしJR大阪三越伊勢丹が新宿本店並みの「真の伊勢丹流」を実現できていれば、こういう結果には陥っていなかっただろう。

JR三越伊勢丹の敗因を「東京流は大阪で受け入れられない」「伊勢丹流が大阪では通用しない」と分析するのは早計であり、そういう観点のみの報道はミスリードではないか。


見た目があまり変わらないなら

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 衣料品の中でもファッション衣料とよばれるジャンルに、機能性が必要かどうかというのは、昔から議論が分かれるところである。

機能性というのは、機能性繊維を用いた吸水速乾とか保温発熱とか、軽量化とか、撥水とかそういうことである。
ストレッチ素材というのも広い意味でとらえるなら機能性といえる。

ユニクロはどちらかというこの機能性を打ち出すことで自社の衣料品を販売する。
量販店は完全にユニクロに追随している。

ユニクロも量販店もファッション衣料というよりは実用品の色合いが強い。

じゃあ、たとえば百貨店とかセレクトショップとかで販売されている商品にそういう機能性は必要なのかどうかということになる。
個人的には、そういう機能があれば買う動機になるし、販売する側は売りやすいと思うから賛成である。

けれども業界にはそれに否定的な立場をとる人々もおられる。
そういう人々のすべての意見を把握しているわけではないが、知る範囲で集約すると

「あくまでもファッション性が重要であり、機能性はその次である。機能性を重点的に打ち出すよりもまずファッション性を追求しているかどうかが重要である」

という感じになる。

これはこれで一つの意見であるし、なるほどとも思う。

ユニクロも含めた量販店と同じ打ち出しで良いのかという疑問も含まれているのだろう。

しかし、その一方で、現在のユニクロを含めた量販店の商品と、百貨店・セレクトショップの商品とが一見しただけで大きく異なる点があるかというとそうでもない。
ブランドタグとか胸のワンポイントマークを除けばあまり大差が無いように見える。

90年代前半に黒いスーツを買おうと思ったら、DCブランド系のショップ以外に販売していなかった。
当然DC系は価格が高く、安いところを探したら、ロードサイドの青山とかアオキとかはるやまの略礼服しか市場にはなかった。
ツープライススーツショップはそのころには市場に存在していなかった。
筆者が欲しいのは冠婚葬祭ようの略礼服ではないので、DC系のショップで8万円くらいする黒いスーツを購入した。もちろんバーゲンで5万円くらいに値下がりしてからであるが。

現在なら、略礼服ではない黒いスーツはツープライススーツショップにも掃いて捨てるほど転がっている。
価格は1万9000円とか2万80000円とかである。
そしてそれを着用していてもブランドのものと大して見え方は変わらない。

この黒いスーツの例は極端だが、90年代半ばくらいまではファッション衣料と量販店の衣料品は大きく異なっていた。
だから少々高くてもファッション衣料を買わざるを得なかった。

しかし、今のように見え方がそう大きく変わらないのであれば、わざわざ高額な商品を買う必要はなく黒いスーツはツープライススーツショップで購入すれば良い。

となると、機能性を追求することは一つの付加価値となる。

量販店商品の給水速乾性はこれくらいだが、百貨店商品の給水速乾性はその1・5倍くらいあるというような打ち出しもありだろう。
むしろその方が消費者にも伝わりやすいかもしれない。

古くからファッションに携わっておられる方は寂しく感じられるだろうが、これが現状である。

幸いにして、我が国の合繊メーカーとか紡績各社は機能素材開発が得意である。
これを有効に活用しない手はない。

ただ、懸念があるとすると、あまりに機能性を追求しすぎたために不必要と思われるような機能まで付加する可能性があるということだ。

以前にも書いたが、男性のワイシャツにUVカットとかビタミン加工とかそういう機能性を持たせた時期もあったが、果たして男性のワイシャツにそういう機能が必要だっただろうか。
こういうことは繰り返されるべきではない。

一般消費者に伝わりやすく、それでいて高価格でも納得してもらえるとするなら、高機能素材を使うのが一番の近道だと考えられる。

どうでも良いことだが

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 どうでも良い話だが、もう少し暖かくなってきたら、セーターの肩掛けスタイルは復活するのかな?とふと気になった。

先日の積雪を持ち出す必要もなくまだまだ気温が寒いため、ダウンジャケットなどの防寒類が着こなしの主役となっている。セーターの肩掛けスタイルは見られるはずもない。

気温が上昇すれば、あのプロデューサー巻きが復活するのかどうか。
昨年の晩秋まではけっこうあのスタイルが見られた。
20代の若い男性がやっているのは、「ああ、トレンドのスタイルね」と思えるのだが、30代半ば以降で顔にシワが刻み込まれた男性がやっていると「ああ、バブルのころから同じスタイルなのね」というふうに見えてしまう。

セーターの肩掛けスタイル「プロデューサー巻き」は年配の男性は避けた方が賢明だろう。

さて、ファッションの流行というのは不思議なもので、当初「うわ、ダサッ」と思っていても見慣れてくると「これもありかも」と思えてくる。

セーターの肩掛けスタイルも昨年の夏の終わりにはすっかり見慣れてしまっていたし、現在では白い靴下を見慣れつつある。

筆者個人は、相変わらず白い靴下を履く気はないし、オヤジが履いているのを見ると「ゴルフの帰りかよ?」と思うし、若い人が履いていると「学校から帰ってきてすぐに制服から着替えたけど靴下を履き替え忘れたのかな?」と思う。

一方、ファッションに敏感な人は、こういうトレンドもありだよね。という見方になっている。

ダサいと決めつけるのは早計?白無地靴下がお洒落の最先端になった理由
http://taf5686.269g.net/article/17940437.html


ただ、ファッション業界に在籍していても白い靴下に抵抗感がある人も多いようである。

白靴下をファッショナブルと思っているのは一部だけ?
http://t-f-n.blogspot.jp/2014/02/blog-post_17.html


ここでは、サカゼン新宿店のスタッフブログが引用されている。

他の同僚さんが白靴下を履いているのを

「狙ってんのか

いつもおかしな格好を」

とイジっておられます。

とある。そして、


おそらくこのブログの筆者にとって、

白靴下は2013年4月から引き続き、

今もイジるべき「おかしな格好」なのでしょう。


と続く。

こちらの感覚の方が筆者に近い。
そのうえで、

もしかしたらこの反応が一般的なものかもしれません。

私も含めファッション業界にいる人間は

常に新しいモノを追いがちですが(それが仕事なのですが)、

世間一般の感覚からすると

白靴下は今もオシャレからはかけ離れた、

ダサさの代表格のようなアイテムなのかもしれません。


いつの日かこのブログで

白靴下がファッショナブルなアイテムとして紹介される日が来るのか。

それともそういう日がこない、

つまりマスに浸透せずに

一部のファッション好きのみが着用するような

街を歩くと一般の人から後ろ指をさされるような

突飛なトレンドアイテムで終わるのか。

引き続きウォッチングして行こうと思います。


と締めくくられている。

今も白い靴下を愛用しているダサいおっさんを数多く見かける。
彼らおっさんが2周回遅れでトレンド最先端に並んでしまっているという状況では、逆にファッショニスタもダサく見えてしまうのではないか。
筆者にはそう感じられてしまう。

プロデューサー巻きが復活するのか、それとも予言されていたように昨年秋で終息を迎えたのか、はたまた白い靴下がマス化するのか、まことにどうでも良いことながら、興味深く注視してみたい。

強い現場と弱い本社

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 日本の物作りがダメだという意見を耳にする。
その実例として挙げられるのが家電である。
最近だと自動車も韓国製に追い上げられていると錯覚している人も見かけるが、自動車においてはハイブリッドカー、EVカーでは韓国製は日本製にまったく太刀打ちできていない。この見方はあまりにも自虐史観にとらわれ過ぎているといえよう。

さて、家電においても日本企業でも優劣が出始めている。
比較的堅調になり始めた企業と苦戦が続く企業。

こうした報道を見る限りにおいては、「日本の物作り」すべてがダメになったとは思えない。

繊維製品・雑貨では無い物ねだりなのか、日本製がプチブームである。
かといって日本製すべてが高品質というわけでもなく、日本製もアジア製も変わらない物もある。
アジア製にも高品質品がある。

日本製がアジア製に完全に勝っているかといわれるとちょっと疑問だが、アジア製に完全に劣っているというわけでもない。
個別の案件ではもっと様々な優劣があるだろうが、今回は大きくまとめてしまう。

繊維製品で見ると、日本製がアジア製より大きく優れているとはいえないが、劣っているとも言えないというのが現状ではないか。

先日から藤本隆宏さんの本を読み始めている。
講演したのを活字化しているので、ちょっと文章としては良く分からない部分もある。

しかし、これまでマスコミや業界で大勢を占めていた「日本物作り衰退論」というのは決して正しい見方ではないということがわかった。

藤本さんは「モジュラー(組み合わせ)型」の物作りはアジア勢に道を譲らざるを得ない状況になったが、「複雑型」の物作りは日本がいまだに世界的に優位にあると説く。
モジュラー型の代表はスマホやパソコン、家電、複雑型はハイブリッドカー、高機能便器などである。

その中で特に印象に残ったのが「強い現場、弱い本社」という考え方である。
繊維製造業でも同じではないかと感じる。

現場は製造に関して日夜、研究と作業を続けている。しかし、「何を作れ」とか「何を開発しろ」と現場に指示を出すのは本社である。本社からの指示なしで勝手に現場が目的も持たずに物を製造することはあり得ない。
藤本さんは、日本の製造業が衰退したように見える理由は「本社が指示能力を失ったから」だと説く。

実際に日本の繊維製造現場を見学すると、旧式の機械ながらその特徴を生かした物作りが行われている。
例えば、織布工場を例に取ると、織機を動かすのは現場である工場である。
しかし、工場のラインで働く人が「次のシーズンはこんな生地を作りましょう」と提案することはない。
「次のシーズンはこんな生地を作ろう」と指示するのは本社の仕事である。
またそういう次の商材を企画するのも工場ラインの仕事ではなく、本社の仕事である。

苦戦する国内繊維製造業において活況を呈している企業もある。
そういう企業はだいたい、次の商材開発を本社(零細では工場ラインも兼務している)が的確な指示を出し続けている。すべてが的確でなくても、次の商材開発に意欲的で営業活動も活発である。

一方、苦戦し続けている企業は、本社が下請け気質に甘んじているか、零細では本社と工場ラインのスタッフがほぼ同じなのだが、その本社兼現場が下請け気質に甘んじている場合が多い。

ここを何とかすれば国内繊維製造業も少しは全体的に上向きになるのではないかと思う。

日本製は優れているという思い込みは危険だが、日本製品はアジア製品より劣っていると自虐に陥る必要もない。旧式の織機だってそれによって作られる生地は、最新鋭織機で織られたアジア製の生地には出せない風合いを持っていることもある。

本社の企画・営業機能を強化することで、強い現場が生かされることができるのではないか。

ひどく大雑把だがそんな感想を持った。





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