南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2013年12月

セールはますます前倒しされた

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 今日で仕事納めという会社は多いだろう。

さて、年が明ければさっそくバーゲンセールであるが、最近はセール後倒し問題もうやむやに終わってしまった感がある。
あくまでも主観だが、おそらく三越伊勢丹とルミネはこのまま10日~2週間ほど遅らせる日程で定着するだろう。

以前にも書いたが、大阪には「阪急ファイブ」を前身とするHEPファイブというファッションビルがある。
ここはセール後倒しが全国的に問題になる遥か以前からセールを後倒ししてきた。98年のリニューアル改装以降ずっと夏冬のセールは10~2週間遅く始まっている。
大阪の人間からすると、「HEPのセールはいつも最後」という認識で定着している。
三越伊勢丹とルミネのセールもそういう形で定着するだけで、業界全体がセール時期を遅らせるなんていうことは今後も存在しないと考えている。

今年は12月6日ごろから各商業施設や路面店でプレセールが開始されている。
通常のプレセールは10~30%オフであり、中にはプレセールをしないテナント、ブランドもある。
プレセールの現在の在り方としては「本格的なバーゲンになる前に少しだけ値引きしましたよ。色柄サイズが豊富な今のうちに少しだけお買い得値でジャストシーズンのアイテムをお買い求めください」というニュアンスだと感じる。

しかし、今年の12月はプレセールのあと、もう一段の値引きをする「プレバーゲン」が多発している。
筆者の携帯にも中旬以降頻繁に「プレセールからさらにお買い得価格に」というお知らせメールが送られてくる。
例えば、グローバルワークとレイジブルーだが、自社オンラインショップでは現時点ですでに「最大60%オフ」を謳っている。
ユニクロだって最早、クリスマス前の3連休からずっとセールが続いている。

今週、キューズモールやヨドバシカメラを見て歩いたが、50%オフとか最大70%オフという看板を掲げた店が多かった。体感としては「実質的にバーゲンセールに突入している」と感じる。

そうそう、天王寺MIOからもハガキが送られてきた。
1月1日からのバーゲン案内だが、12月30日に「プレバーゲン」を行うとも書いてある。
各ブランドの値引き率を見てみると、1月1日からのバーゲンとほぼ同じくらいになっている。
詳細な中身はわからないが「フランフラン」の「Happy Bag」とやらは10000円相当の商品が3000円になるらしいから実質70%オフだ。
名称から察すると福袋のような物だろうか?

このような状況を見ていると、セールは後倒しどころか前倒しされていると感じる。
とくに天王寺MIOの「プレバーゲン」なんて今年から始まった新企画だ。
この要因としては10月、11月の衣料品不振があるのだろう。しかし、一度やってしまったものは通常の企業ではよほどのトップダウンでない限り廃止しにくい。
部長クラスで判断して廃止できるなら、ユニクロは毎年「創業感謝祭」を開催していないだろう。
今後もセール前倒しの流れは止まらないということである。

まあ、そんなわけで来年も良いお年を。

それでもやってしまった方が良い

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 以前にデニム生地をソファーやクッションカバーとして使いたいというインテリア関係者が増えていると書いた。
それを実現する際に問題になるのが、デニム生地は摩擦によって色落ちが起こり、それが座った人の衣服に移染するということである。

極端にいえば、白いシャツや白いズボンで濃紺デニム生地のソファーに座れば、シャツやズボンがうっすらと青くなる可能性がありますよ、ということである。

濃紺のノンウォッシュやワンウォッシュデニムのソファーは見た目にかっこいい。
しかし、デニム生地をよく知る業者は、極度にブルーが薄くなるまで洗いこんだソファーやクッションカバーを提案する。移染する可能性が格段に下がるからである。

一方、見た目を最優先するブランドはノンウォッシュやワンウォッシュデニムを使ってソファーやクッションカバーを製作する。個人的にはどれほど移染するのか想像するのも恐ろしいのだが。


ならば、移染しにくい濃紺デニムを作れば良いという話になる。
その際考えられる手法は2つ。

1、濃紺デニムの上からコーティング的な加工を施してしまう
2、インディゴ染料ではなく、堅牢度の高いネイビーの染料で染めた糸を使ってデニム風生地を織る


の2つである。

デニム生地をよく知る業者は1、のコーティングという手法を使いたがるだろう。
触感がカサついたり、パサついたりするものの、これは間違いなくデニム生地だからだ。

問題は2、の手法である。
多くのデニム生地業者はこれについて「これをデニム生地と呼んで良いのか?」というためらいがある。
インディゴ染料で染めていない物をデニムと呼べるのかどうかである。

原則的にはデニムとは呼べない。

賛否両論あるだろうが筆者は、これもあえて使用しても良いのではないかと考える。
なぜなら、もしかすると、岡山・広島以外の厚地織物産地がこれを「デニム」として売り出す可能性が無きにしも非ずだからだ。
さらにいえば、中国、パキスタン、トルコあたりのデニム生地メーカーが「これもデニム」として売り出す可能性があるからである。

まったくデニムと関係のない国内生地産地やアジアのデニム生地メーカーに「これもデニム」として売られるくらいなら、本場である岡山・広島のデニム生地メーカーが先手を打った方が良いのではないかと考える。

ただ、これをやることで、「デニム」という範疇がさらにボケてしまう危険性はある。

そう考えるとデニム生地業者が躊躇する理由も納得できる。
まことに痛し痒しである。

それでもやってしまった方が良いというのが、個人的な結論である。

一体何が売りなの?

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 ジーンズカジュアルをメインとするチェーン店を見ていると、ことメンズにおいては今秋冬、目玉となる商品がない。今シーズンぜひとも買わねならないアイテムが見当たらない。

メンズの服というのは元来バリエーションも少なく、デザインや色柄の幅も狭いのだが、それでも今秋冬は「核」となる商品が見当たらない。メンズで「これは今季のマストアイテム」といえる物はあまり存在しない。

ダウンジャケットブームは終わっており、今では必需品需要か、買い足し・買い替え需要しかない。
レディースのトレンドゾーンではメルトンコートが注目されているが、カジュアルチェーン店のメンズでメルトンコートに注目する消費者はそう多くはないだろう。

フェアアイルニットブームも終わっており、すでに消費者は2,3枚は所有している。
フェアアイルニットなんて2,3枚も持っていれば十分で、それ以上は破損による買い替え需要しか期待できない。


それはさておき。


これは単なる感想だが、ウールの原価高騰からか、昨年あたりから各商品のウール含有率が低下している。またウール100%の商品は生地が薄くなっている。
セーターやマフラー類はウールの含有率が下がっており、例えば今秋冬のGAPのマフラーは店頭で調べた限りではほとんどがアクリル100%である。昨年もそうだったが、実は数年前はウール100%のマフラーの方が多かった。その当時はGAPのウールマフラーを最終処分値で何枚も買っていたが、昨年からは買わなくなった。
今年は店頭で見る限りにおいてウール100%のマフラーはないのではないか。

メルトンのPコートやチェスターコート、ダッフルコートは冬の定番だが、これも数年前と比べると生地が薄くなっている。昨今はメルトンでもツイードでも「薄く軽く柔らかく」なる傾向が強いが、それは去年や今年に始まった傾向ではない。10年くらい前からずっとその傾向である。
その中でも昨年くらいからはとみに生地が薄くなっている。
これは果たしてコートなのか?と疑うほどの薄い生地の物もあり、寒さの厳しかった昨年冬ならちっとも防寒の役には立たなかったのではないかと推測する。


また数年前までは、薄いメルトンコートには薄く中綿を入れている物もあったが、去年今年の店頭を見るとそんな配慮をした商品はなく、裏地すら付けていない商品が増えている印象がある。
これも縫製コスト削減の一環だろう。


こうして見ると、マスブランドの商品のクオリティは数年前より明らかに低下している。
10年前の商品と比べるともっと低下している。


アパレル首脳やショップ幹部、SPAブランド幹部、百貨店役員を取材すると「最近の若い人は良い物をしらない」という答えが返ってくる。
しかし、そういう商品を提供していたのはほかならぬ彼らではないのか。
もちろん、そうでない商品政策を維持してきたブランドはあるが、それは少数派である。
中には「今の若いバイヤーは良い物をしらない」と指摘される方もおられる。それはその通りなのだが、あなたもそういう粗悪品を提供してきた一味ではないのか。

粗悪品で育った若者がバイヤーなり企画担当者になり、コスト削減と利益確保と店頭価格維持のためにさらに粗悪品を製造販売する。

次世代は、そのさらなる粗悪品で育った若者がバイヤーなり企画担当者になるだろう。
原料高騰も後進国の人件費高騰も緩和されることはないから、さらなる粗悪品を企画製造販売することになるのは目に見えている。

オリジナル性に乏しく(丸パクリが多い)、低価格だがファストファッションほど安くなく、使用素材のクオリティもそれほど高くないとなれば、日本のファッションブランドの売りは一体どこにあるのだろうか?

人通りが増えても自動的に客が増えるわけではない

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 この3連休は年末でクリスマス前ということもあり、街は大変な人出でにぎわっていた。
とくに夕方からは忘年会やクリスマス会が開催されるのだろうか、飲食店へと向かう人通りが凄まじく、人酔いしそうなほどだった。

筆者が主催チームに参加している産地生地販売イベント「テキスタイル・マルシェ」を12月18日~22日まで阪急百貨店うめだ本店10階で開催したのだが、21日の土曜日と22日の日曜日は特別に客入りも多かった。
しかし、21日の土曜日は夕方6時前ごろからフロアへの人入りは減り、7時以降はのんびりとした雰囲気だった。

筆者は20日の夕方6時過ぎから携帯電話の調子が悪くなったために、阪急からグランフロントまで出かけた。
グランフロントの携帯電話会社では手に負えないと言われ、さらにロフトへと向かった。
阪急の売り場に戻ったのが7時過ぎである。

この6時~7時過ぎという時間帯の梅田一帯の人出は異様なほどで、普通に歩くのも苦労したくらいだった。
阪急の1階、2階も駆け込みクリスマスプレゼントを購入する男性客で溢れていたが、筆者の体感では6階より上はちょっと閑散とした感じになっていた。

さて、何が言いたいのかというと、どんなにたくさんの人通りがあっても、すべての店舗へ人が流れるというわけではないということである。
21日の6時以降、おそらく百万人近い人々が梅田一体をウロウロしていたと思われるのだが、賑わっていたのは阪急だと低層階、駆け込みクリスマスプレゼント用のアクセサリー売り場、それ以外だと飲食店ということになり、通常の衣料品店はそれほど入店客は多くなかった。
百万人が歩いていても無条件で入店客が増えるわけではないということを改めて感じた。

「何を当たり前のことを」と思われる方もおられるだろうが、実際に売り場に立っている人間からすると、「人通りが増える=無条件で入店客」が増えると思いがちなのである。
その代表例が、東京スカイツリーがオープンしたのに売上高が増えないとこぼしている地元商店街だろう。
観光客の多くは東京スカイツリーが見たいのであって、地元商店街を見たいわけではない。
その観光客の飲食需要を期待したのだが、スカイツリーにもソラマチという商業施設があるし、それ以外にも飲食できる店舗はあちこちにある。観光客にとって地元商店街で飲食しなくてはならないという理由は何一つない。


これは卸売り業者も同じで、「大型展示会○○には二十万人の来場者があると聞いたので出展したが、さっぱり客がブースに入って来なかった」と嘆く声を何度も聞いた。
たしかに大型展示会には二十万人前後の来場者があり、会場内は混雑していたのだが、その出展社のブースに立ち寄る人が少なかったということである。


もちろん、人通りの多い場の方が、飛び込み客も増える可能性は高い。
しかし、人通りの多い場に店やブースを構えたら飛び込み客が自動的に増えるというわけではない。
それはスカイツリーの地元商店街でも、大型展示会○○でも、今回の阪急の高層階でも証明されている。


自社、自店でお客を呼び込む努力をしないとダメだということである。
ダイレクトメールを郵送する、チラシを撒く、メールマガジンをこまめに配信する、ブログで告知する・・・・・などの取り組みが必要となる。
店頭でトークライブを開くのも良いかもしれない。

何かしらアクションを起こさないことにはたとえ百万人が通行しようと、飛び込み客は増えない。

時期とタイミングということもあるだろう。
クリスマス会や忘年会の会場へと急ぐ人々に向かって、時間のかかるワークショップをアピールしても仕方がない。大多数の人は7時開始の忘年会へ移動している途中なのである。

来場者数が予定よりも大幅に増えて好調と伝えられるグランフロント大阪にだって不振店舗がある。
来場者数が多いから全店が潤うというわけでは決してない。


クリスマス前の3連休で賑わう街を見ながらそんなことを改めて感じた。

ファッションで地域振興なんて幻想

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 「ファッションで地域振興」みたいな標語を耳にすることがあるが、個人的にはちょっと無理がありすぎるのではないかと感じる。

というのは、有名なブランド、アパレル、セレクトショップの本社、または本社機能は東京23区内に集中している。厳密に言えば「ファッションで地域振興」にもっともふさわしいのは東京23区内ではないかと感じる。

東京以外だとアパレルの本社、または登記上の本社がある程度の数存在するのは、大阪、神戸、京都、岐阜、名古屋、岡山(井原・児島含む)、福山、福岡くらいだろう。

この数都市は、いわば「地元ファッション企業」によるイベント類の興業が可能だ。

範疇をもう少し広げてみて、繊維生地産地ということで考えてみると、これらに加えて静岡県、福井県、石川県、新潟県、和歌山県、今治(愛媛県)、滋賀県、西脇(兵庫県)、愛知県、徳島県などが入る。

それ以外の地域ではファッション産業、繊維産業がほとんどない。

あるのは画一化・均一化された郊外型大型ショッピングセンターか駅前のファッションビルくらいである。
そしてショッピングセンターにもファッションビルにも入居しているブランドショップの大多数は東京に本社を構える。一部は大阪、神戸、京都本社だが少数派である。

アパレルの本社もなく、生地産地でもない地域が「ファッション興業」を行うとすると、ショッピングセンターか駅前のファッションビルしか存在しないわけで、その中に入居しているブランドショップは単なる東京からの出張所である。
ショッピングセンターや駅前ファッションビルに対して地域を挙げて興業することが、果たして地元民の望んだ「地域振興」なのだろうか?筆者にはどうにも違和感がある。

もちろん、ショッピングセンターやファッションビルで働く人々の大多数は地元民であり、彼らの勤める職場が活性化すると何らかの経済効果は多少なりとも期待できる。
それは間違いないが、本来の意味の「地域振興」ではないように感じる。

本来なら、地元の名産品とか名物とかを作り出して、それの知名度が高まることによって経済効果をもたらすというのが理想形だろう。
そういう名産品を作るなら食品が一番適しているだろう。
各都道府県には何かしら名物に近い食品があるからだ。

特定の農作物の生産量がすごく多い県もあるし、特定の料理が有名な地域もある。
昨今人気のB級グルメなんていうのもこの範疇に属するだろう。

翻って、でファッションは?

である。

今治のタオルとか、岡山・広島のジーンズとかそういう物がどれほどあるか。

大手SPAブランドだとか、全国チェーンのセレクトショップだとか、そういうのをいくらアピールしても地域の産業振興にはならないし、そういうのを買うために他府県からわざわざ来る客は存在しない。
なぜなら、各地に同じ店が多数存在するからだ。
わざわざ他府県まで出かけずとも近所のショッピングセンターや最寄駅のファッションビルで事足りる。
どうしてもというなら、それらの大型旗艦店が集積する東京23区内に行ったほうが楽しめる。

ということで、客は東京に吸い寄せられる。

極端な言い方をすればわざわざ他府県まで出かけてユニクロの商品を買いたいなんて言う人がどれだけ存在するのか。近所のユニクロで十分ではないか。同じ商品を各地で売ってるわけだから。
それでもユニクロにも大型店専用商品とか旗艦店専用商品なんていうのが一部存在する。
そういう商品が欲しい客は東京や大阪の大型店や旗艦店に行く。

そういうことである。

先に挙げた地域ですら「ファッションで地域振興」は相当にこじつけ感があるのに、それ以外の地域は最早、牽強付会にすぎるといわねばならない。

「ファッションで地域振興」なんて幻想は早く捨て去るべきである。
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