南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2013年10月

逆説「若者の○○離れ」

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 「定年退職後の団塊世代を狙え!」てなスローガンが2005年ごろから唱えられてきた。
他の分野ではどうだか知らないが、こと衣料品業界においてはこの世代向けで成功したブランドはない。代わりに地方のユニクロあたりがファッションに興味のない老人層を多く取り込んでいるように見える。
都心旗艦店は別として郊外店や下町の駅前の店舗は本当に老人客が多い。「あべのマーケットプレイス キューズモール」内のユニクロなんて50代以上の顧客比率はかなり高い。

ポイントはちょうど2000年代半ばごろに団塊世代向けブランド「アンダーカレント」を開発したが、売れ行きが振るわず、その後40代向けに転換したがそれもだめで現在はブランド自体廃止になっている。

衣料品業界では60代以上を「シニア」と呼ぶ。
しかし、残念ながらシニアがファッションにお金をつぎ込んでいるとは今に至るまで耳にしたことがない。
メンズの百貨店向け単品カジュアルではわずか数社がその市場を占有している。
占有しているというとすごく強力な政策でその市場を奪い取ったと思われがちだが実状はそうではない。もっと多くのブランドが存在したがいずれも撤退したため、現在残ったのがその数社であり、残存者メリットゆえに安定した売上高が稼げているという状況である。

日登美、林田、アラミスくらいの企業が残っているのみだ。

こういう状況を見ていると、果たして団塊市場とかシニア市場なんてものが、エコノミストやコンサルタントが言うようなバラ色の市場だとはとても思えない。少なくとも衣料品業界においては。

そういえば先日、シナジープランニングの坂口昌章さんが自身のブログでシニア市場について提案をされていて、これは新しい切り口だと感じたのでご紹介したい。

第7回「「シニア化市場を攻略するコンセプト」
http://j-fashion.cocolog-nifty.com/jfashion/2013/06/20137134-094b.html#more

 最近1年間ほど、集中的にシニア市場について研究しました。
 シニア層の年間消費額が100兆円を超え、流通業界はこぞってシニア市場攻略を考えていますが、成功事例は多くありません。
 「シニア市場」というと「年寄り」というイメージに捕らわれ、年寄りくさい商品やサービスを展開してしまう例が多いようです。あるいは、「シニアなんだから高くても良い商品を買うはずだ」という思い込みから、やたらと高い商品を勧めてしまう。それでは売れません。
 一方で、「若者の○○離れ」という言葉が流行しています。若者にしてみれば、「上の世代が何を勝手なことを言っているんだ」と思っているでしょう。私はこのフレーズの中に、シニアマーケティングのヒントが隠されていると思います。
 若者が離れているコトやモノは、シニア向けにリニューアルすることで成長することが可能です。無理やり、若者に売ろうとしても成功しません。
 企業は、若者には必要ないモノを売ろうとし、シニアにも欲しくないモノを売ろうとして、両方とも失敗しているのではないでしょうか?

とある。そして


2.シニア市場の中身とは?
・巨大で細分化された100兆円シニア市場
・フロー消費からストック消費への流れ
・シニアとは年長者か?上級者か?
・シニア市場のターゲットイメージとは?
・若者の○○離れ(酒離れ、車離れ、タバコ離れ、新聞離れ、映画離れ、読書離れ、恋愛離れ、海外旅行離れ、スポーツ離れ、政治離れ、人間離れ、腕時計離れ、海離れ、ゲーセン離れ、魚離れ、肉離れ、日本酒離れ、雑誌離れ・・・)にヒントあり


とある。

個人的に注目したいのが、「若者の○○離れ」というフレーズである。
例に山ほど挙げられているが、酒離れ、車離れ、たばこ離れから始まって、新聞・映画・読書・恋愛・海外旅行・腕時計・ゲーセン・雑誌などなど。最近ではセックス離れなんていうのもある。

坂口さんの視点が秀逸だと思うのは、この○○離れというのはすべて老人の視点で語られているということに着目した点である。
若者からすれば、育ってきた環境や現在置かれている環境、金銭的状況などの要因から酒・車・映画・恋愛・海外旅行・腕時計・ゲーセンなどに興味を示さなくなっているのであって、それに対して「○○離れ」というレッテルを貼ること自体がおかしい。むしろ若者にとっては不必要な部分も多いから自然と離れて行ってしまうわけである。

若者が離れたこれら諸々に対して、反対に、老人世代は並々ならぬ興味と執着をいまだに抱き続けているということになる。

なら老人世代に対してそれらを提供してやれば良いという説明は理に適っている。

例えばゲームセンターを見てみると、20年前までは不良少年のたまり場というイメージだったが、現在では少年などはおらず、中高年のたまり場になっている。とくに老人世代がゲームセンターを利用することが増えていると報道されている。


だから、若者が離れた○○というジャンルをシニア層に向けて提供すればシニア市場は活性化するのではないかという坂口さんの主張には深く同意する。


ただ、市場としては美味しいのかもしれないが、シニア層相手の商材やサービスを開発するのは個人的にはあまり気が進まないというのが本音である。なぜならその年代の人々を筆者はあまり好きではないからだ。
ビジネスと割り切れる方々にお任せしたい次第である。

早晩、淘汰が始まる

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 先日、ごく小規模な産地企業ビジネスマッチングイベントを覗いた。
生地メーカー、染色工場などが出展していた。出展社は10数社あり、そのうちの3分の1くらいの企業がストールを出展していた。

今回はこのイベントの良し悪しや是非を問いたいわけではない。

産地企業の製造したオリジナルストールというのは、すっかりありふれたアイテムとなってしまったと感じる。
見る立場からしてもちょっと食傷気味である。

これは早晩淘汰が始まる。
もちろん他の識者がおっしゃるように淘汰されるのが市場の原則であるからそれは構わない。
ただ、これから参入しようという企業があるなら、相当の仕掛けとプランニングとデザインセンスがなければ後発組が易々と勝ち残れる環境でなくなったのは確かである。

産地製造業がストールに取り組みやすいのは型紙が必要なく、縫製仕様も簡単だからである。
おまけに色柄や表面感だけで勝負できる要素が大きい。

こういうアイテムはかつて、和装の帯だった。
ひたすら決められた幅と長さで織ればよかった。問題は色柄と生地の表面感である。
和装が廃れて、注目されたのがネクタイだ。

ネクタイ製造業に転身した西陣の企業も多かった。何せ西陣ネクタイという社名の企業があるほどだ。
ネクタイも帯ほどではないが、決まった幅と長さで織ればそれで済んだ。

しかし、ネクタイも衰退アイテムとなった。

次に登場したのストールである。

中期的にはストールというアイテムはそれなりに需要が継続するだろうと考えている。
今春夏はセーターのプロデューサー巻きが一大ブームとなりストール需要は減少した。しかし、プロデューサー巻きのトレンドも長続きしないと予測する人もいる。
ブームは去るかもしれないが、あのスタイルは一定数残るのではないかと筆者は推測する。

まあ、プロデューサー巻きをする人が気分によってストールを巻くスタイルと使い分けるようになるのではないかとも思う。

ストールを巻くスタイルも今後一定数は残りそうなので、市場としては存続しそうだ。
けれどもそこに参加するプレーヤーの数はこの3年間で飛躍的に増えた。
また価格別で見ると、低価格SPAブランドには1000~3000円程度の価格で見栄えもそれなりにマシなストールが山ほど存在している。
一方、2万円を越えるような超高額品は有名ラグジュアリーブランドの独壇場になるだろう。

今後、大多数の消費者が求めるのは、国内製造や伝統技法をアレンジしたという付加価値がありながら、それでいて庶民にも変える中価格帯の商品になると思われる。

国内産地企業の生産規模から考えても低価格帯は無理だし、かと言ってブランド力、販促プロモーション能力に劣っているから超高額品も無理である。必然的に中価格帯へ殺到せざるをえない。

中価格帯は恐ろしく競争が激化するだろう。

今から参入する産地企業はそういう状況を想定する必要がある。
軽い気持ちで新規参入するなら必ず痛い目に合う。

先日来、産地企業によるストールの取り組みについて何度も書いているのは、新規参入するには相当の覚悟と戦略が必要だと言いたいためである。

おはようございます。今日も素敵な一日をwwww

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 フェイスブックで何か発言するとそれに対してコメントが付く。
例えば、毎朝「おはようございます。今日も頑張りましょう」なんて発言をアップするとする。そうするとその下に、友達や友達じゃない人からも「おはようございます。めっきり朝晩寒くなってきましたね」なんてコメントが返ってくる。

これはこれで、心和むやり取りではある。

しかし、ときどき、まったく関係ないことに「おはようございます。今日も一日がんばってください」なんてコメントが付くことがある。これには疑問を抱かざるをえない。

先日も出張で大阪に来られた方が「他の地方に比べると大阪の人は信号を守りません。何故だろう。何度大阪に来てもこの習慣には慣れません」という一種の問題提起の発言をアップされた。
普通であるなら、その下には「私もそう思います」とか「これが大阪独特の習慣なんですよ。なんとか慣れてください」なんていうコメントが付くはずなのだが、

「おはようございます。今日も佳い一日をお過ごしください」とか
「おはようございます。月末の業務をこなします」というコメントが付いている。



はっきり言って発言主とは会話がまるっきり噛み合っていない。

今回例示した以外にも、こういうコメントは結構ほかでも見かける。
こういう人たちは日本語が理解できないのだろうかと以前から不思議だったのだが、これはフェイスブック内で優位なポジションを確立するために行われている誤った行動だということを先日知った。



なぜ、人はおはよう隊に入隊するのか
http://ameblo.jp/cleaning-bee/entry-11643857341.html

ホント 本文に全く関係のないコメントを残して、変な気持ちにならないのかな??

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なぜ、このようなことをするのか??

みなさんはあまり気にしなくてもいいですが、こういった人たちは
フェイスブック内で優位なポジションに立つためにやっているようです…


1、加点ポイント:

「いいね!」を押した(+1点)、コメントをした(+5点)、
 「いいね!」を押された(+5点)、コメントをされた(+10点)、
 発言をした(+3点)


点数を気にすることは結構だと思う。


ただ、そんなもん、人にやるなよ!!笑



こんな、おはよう運動してる人   

総じて、SNSに詳しくないので気をつけてくださいね(笑)



一度、こういう運動に参加するとフェイスブックを辞めるまで

「おはようございます。今日も素敵な一日を』

とか入ってきますよ。



例えば 「今日は祖母が亡くなって三回忌です』

という投稿をしても


「おはようございます。今日もハッピーでワンダフルでファンタスティックな一日を』


なんて、相当ブッ飛んだ コメントをGETできるでしょう。



とのことである。

フェイスブック内ではそのリアクションによって点数が与えられるようであり、それを貯めれば貯めるほど自分が表示されやすくなるという仕組みになっているらしい。
そのための一種の販促活動とも言えなくもないが、手法は間違っている。
的外れなあいさつを返したところで、その発言主との関係性が深まることには全くつながらないし、それを見ていた別の人から接触があることもほとんどないだろう。

それは実際の売り場で「Tシャツ1990円」とだけ書かれたPOPを貼りつけるようなものである。
とりあえず「Tシャツ」であることと「1990円であること」はわかったが、それだから何?という感じである。
生地が特殊なのか、シルエットに工夫を凝らしているのか、それともコーディネイトの要になるのか、などという情報が無ければそのTシャツはなかなか売れにくい。
「Tシャツ1990円」とだけ書かれたPOPでは消費者はその商品に興味を持たない。

発言主の問題提起に対して「おはようございます。今日も良い一日を」なんて返したところで、発言主はその相手に興味は持たないだろう。

変わり映えはしないけれど・・・。

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 今日はちょっとお気楽に。
30代~40代向けメンズファッション雑誌で、現在もっとも印刷部数が多いのが「Safari」である。

http://www.j-magazine.or.jp/magadata/?module=list&action=list

今年4月~6月の3ヶ月間における1号あたりの平均印刷部数によると、
Safariは16万2167部である。
この3ヶ月間は平均して毎月16万2000部強の印刷を行ったということになる。

元祖、オヤジ系雑誌として名高い「Leon」は8万4434部であり、Safariの半分程度の印刷部数となっている。
そういう意味ではSafariの印刷部数は圧倒的だ。

同じ並びだとUomoは5万部、メンズEXは4万4667部という状態である。
またメンズプレシャスなんて3万6500部しかないので、この雑誌はあとどれだけ存続できるのだろうかと要らぬお節介ながら心配になる。

店頭で各誌を読み比べてみた個人的感想だが、毎号内容がもっとも変わり映えしないのがSafariだと感じる。
メンズの洋服はバリエーションが少ないので、春夏秋冬のそれぞれのシーズンで登場するアイテムは決まっている。
とくに夏物なんてポロシャツ、Tシャツ、半袖シャツ、短パン程度である。
あとは腕時計、靴、アクセサリー、などなどだろう。

だからどの雑誌を見ても、夏の3ヶ月間は毎号あまり変わり映えがしない。
しかし、その中でもSafariの変わり映えのなさは突出している。
個人的印象論だが、6月号と7月号と8月号がまるっきり同じ内容だと言われても筆者は驚かない。
むしろ納得する。それほど似ていると感じる。

さらにいえば、去年の号と一昨年の号と今年の号でもそれほど変わり映えがしない。
個人的には、毎シーズンほぼ同じことを掲載しているのではないかと感じてしまうほどだ。
Safariに関していえば、毎シーズン、ほんとに変わらない。

Leonは意外に手を変え品を変え毎号ある程度変化をつけている。
最近は洋服よりも飲食店であったり、住居であったり、ナイトクラブであったりとライフスタイル?的要素が多くなっており、これも彼らなりの他誌との差別化なのだろう。
ただし、そういうリッチでリア充なオヤジたちのライフスタイルを、赤貧な筆者は体験したことがないので、読み飛ばすだけなのだが。

20代向けのメンズファッション雑誌で変わり映えがしないと感じるのはメンズジョーカーだ。
スタイリングも毎号あまり変わらない。春夏秋冬と決まったスタイルを淡々と紹介しているように見える。
もちろん私見なので、私はそう感じないという人がいても不思議ではない。

しかし、後発雑誌にもかかわらず、印刷部数はけっこう多い。
この年代では王者であるメンズノンノとさほど変わらない。むしろメンズジョーカーの方が部数が多い期間もある。

ちなみに今年4月~6月までの3ヶ月間の1カ月当たりの平均印刷部数は

メンズノンノが14万部
メンズジョーカーが15万24部

である。


さて、先日、お兄系ファッション雑誌「メンズエッグ」が廃刊となった。

その理由として http://t-f-n.blogspot.jp/2013/10/mens-egg.html では

1、雑誌のテイストがトレンドに応じて徐々に変化していった。
2、お兄系というファッションを好む層が激減した


の2点を挙げている。

公称発行部数25万部を唱えていたこともあるそうだが、25万部もあれば雑誌は廃刊にはならない。
末期には発行部数が相当減少していたのだろうと推測される。


こうして見ると、メンズのファッション、とくにファッション雑誌はテイストが変わらない方が支持を集めやすいのではないかと思えてくる。
ちなみにコテコテのミリタリー、ビンテージ系の雑誌「ライトニング」の印刷部数は10万3634部(今年4月~6月)で、「メンズクラブ」は6万1734部(同期間)である。

もちろん、両雑誌とも定期的にリニューアルを繰り返しているが、昔の面影が無くなった度合いでいうならメンズクラブの方が高い。昔親しんでいたころの面影はほとんどない。
ライトニングはいささかマイルドになったとはいえ、面影は残っていると感じる。

今回はあくまでも私見で確証はないが、メンズファッション雑誌において、変わり映えのなさと印刷部数の多さには何らかの相関関係があるように思えて仕方がないのだが。

成分表示がすべてではない

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 自分自身もそういう部分があるのだが、多くの人は成分表示を見て良品かどうかを判断する。
例えば「ダウン90%・フェザー10%」という表示のダウンジャケットがあるとする。片方に「ポリエステル100%」の表示がある中綿ジャケットがあるとする。
当然、筆者も含めた多くの人がダウンジャケットの方を「良品」と判断し、両方の価格が一緒ならダウンジャケットを買う。

しかし、ダウンにも等級がいろいろとあってそれは「フィルパワー」というもので表記されている。またポリエステルにもさまざまな種類があり、機能性に優れたもの、手触りや表面感の良いものもある。
だから極端な言い方をすれば、フィルパワーがめちゃくちゃ低いダウンよりは機能性ポリエステルの方が良品である。

昨年見かけた珍品には「フェザージャケット」があった。フェザーの方がダウンよりも多く含まれているダウンジャケットである。しかしフェザーにはダウンほどの保温性はないから、フェザージャケットを買うくらいならポリエステル中綿のジャケットを買った方がずっと良い。

これは綿しかり、カシミヤしかり、ウールしかり、アクリルしかり、シルクしかりである。

先日「カシミヤ100%」の表示があるからと言って高級品とは限らないということを書いた。
ニットの場合、原料をどれだけ使用したかによる重さが重要なのであって、10キロのカシミヤを使用したセーターは当然超高級品だし、10グラム程度のカシミヤしか使わなかったセーターは肉薄のペラペラであるから、比較的安い価格で売ることができる。

反対に合繊のアクリルだって一概に安物とは言えない。
高級アクリルというのもある。

綿も同じである。
とくに綿の場合は原産地によってさらにブランド化がなされている。
けれども厳密にいえば、どこの地域で栽培されたのかという部分だけが重要なのではない。
もちろん農作物であるから栽培地の気候や風土、土質などに出来上がりが大きく左右される。
だから「○○という地域は高級綿が出来やすい」という事実はあるが、○○地域で栽培された綿がすべて高級品にふさわしい品質かというとそうではない。

さて、デニム生地メーカー、クロキの安達康雅部長が、一頃話題となった「ジンバブエコットン」に疑義を呈しておられる。

http://ameblo.jp/yan17bo14/entry-11651374918.html

日本の紡績で使用する綿は、主にアメリカ、オーストラリア、ブラジルなどが主体になっております。稀に一部の紡績会社が、アフリカのジンバブエ綿を宣伝し、有名にしたが、ヨーロッパの高級ブランドなどには、そういったリップサービスでは販売できません。そんなん言われても、我々には関係ないもん!って言われます。

逆に就学児童を労働させているような国の綿などは一切購入しません!とか言われます。また、何処の綿!って謳って販売するより、アメリカやオーストラリアの綿を厳選して、日本の紡績技術を駆使し、安くて良い糸を作る方に注力すべきです。

綿の産地に拘っていたのは、一部の生地ブローカーが同業他社を蹴散らすための作戦だったのだと思います。ジンバブエ綿でもピンキリで、当時の糸価格から想像すると、一番良い綿で作られた糸でなかったと思います。生地を売るためのツールとして利用されたのだと思われます。

綿の品質は、グレードよりステープル(繊維の長さ)で決まります。


とのことである。


しかし、一般消費者が成分表示だけを見て、物の良し悪しを判断するのは仕方がない。
筆者だって安達部長だって専門外の食品については成分表示で良し悪しを判断するしかない。
「○○産地のサバ」なんて表示があったら「良んじゃないだろうか」と思ってしまう。

問題は業界関係者までもが物の良し悪しを成分表示でしか判断できなくなっているところにある。
筆者の経験上、有名SPAブランドのベテラン企画担当者や有名セレクトショップのベテランバイヤーまでもが「カシミヤって書いてあるから良品だよね」とか「○○コットンて書いてあるからだから高級品だよね」という判断を下すことが多い。

おいおい、それじゃあ、買い物に来たオバチャンたちと同じレベルじゃないの。

とそう心の中で突っ込んだことはしばしばある。

例えば、シルクだってそうだ。

シルク100%という表示があると高級品かと思うが、ときどき、ザラザラの表面感でまるで太番手のラミーやヘンプみたいな手触りのシルク製品がある。それでいて値段はそこそこに安い。
これは繊維長(ステープル)の短い安いシルクを使って生地を織っているのである。繊維長(ステープル)の長いシルクは高級品として扱われる。
安い原糸で織っているから生地も安いし、それを使った製品の価格も当然安くなる。

だから「シルク100%」の表示があってもこれは高級品でも良品でもない。価格相応の商品である。

一般消費者がこのシルク製品を「高級品」と思いこむのは仕方がないが、少なからぬ業界関係者までもがこれを「お値打ち品」だと思うことは問題だろう。

と、ここまで書いてきて業界全体が素人化しているのではないかと思えてきた。
それだからこそ、必然的に「日本のファッション業界はウソが多い」という先日の女性の指摘につながるのではないだろうか。

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