南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2013年04月

アートな雰囲気だけの広告www

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 広報・広告宣伝・販促の業務以外の方には広告代理店というのがどういう役割を果たしているのかよくわからないのではないだろうか。
筆者は二度ほど広報という部門に配属されたことがあるのだが、その際に何社かの中小広告代理店との取り引きがあった。現在も個人的に仲良くしている広告代理店の人間もいる。
広報担当したのは1度目は今は亡きTシャツアパレルで、もう1度は某専門学校でだ。
両方とも広告出稿の対象はファッション雑誌だった。(もちろんそれ以外の媒体もあった)

ファッション雑誌に広告を出稿するという作業で広告代理店が登場するのだが、正直、「広告代理店無しでも大丈夫じゃないか?」と思ったことが何度もあった。

広告代理店の手数料はだいたい20%が相場である。
100万円の雑誌広告を出せば、20万円が広告代理店のマージンということになる。
代理店を外せば単純に20万円の経費を節約できるのではないかと当時思った。

広告代理店が年度末に「広告プラン」なるものを持参する。
何月にどの雑誌に掲載するかというプランをまとめた一覧表だ。
そして各雑誌の部数などが記された媒体資料と一緒に提出する。
しかし、その程度の提案なら別にそちらから受けずとも、各雑誌社に問い合わせてこちらが勝手にプランを作っても良いのではないかとも感じた。

雑誌に広告を出すことでどのような具体的効果があるのかを説明してくれた営業マンは経験上では皆無だ。

さて、こんな疑問を感じつつ、今も暮らしていたのだが先日、広告代理店を厳しく指摘する記事を拝読した。

経営者よ、広告代理店に“カモ”られるな!
大成功する「広告代理店との付き合い方」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20130419/246959/?P=1


まさに筆者が感じていた疑問について具体例を挙げて説明してくれている。
近年にない良記事である。

この筆者はウェブ通販のマーケティングの専門のようだが、文章を読んでいくと、筆者が感じていた紙媒体への広告代理店のかかわり方に対する疑問に共通する部分も多々あった。
以下に引用しつつ進める。詳しく知りたい方は原文を全読することをお薦めする。


広告代理店の言われるがままになけなしのお金を支払い、広告を投下してみるが、レスポンスがほとんど無い、売り上げが上がらない、費用対効果も最悪……という状態になってしまう。

なぜこういうことが起きてしまうのか?

その理由はズバリ、

「広告代理店で働く人間の90%以上が、商品を売るプロではない」から。

さらに広告代理店は広告主にいかに多くの広告費をつぎ込んでもらうかによって売り上げが決まるわけだから、テレビだの新聞だのネットだの媒体(広告枠)をどんどん提案するプロなのである。


もっというと、

 「広告代理店で働く人間の90%以上が、広告の費用対効果を考えたことがない」から。

まさかと思っているかもしれない。でもためしに身近な広告代理店に「ご提案の広告をやったら、ウチの売り上げはどれぐらい伸びるの?」とぜひ聞きいてみるといい。彼らの多くは押しなべて「どちらかというと、広告は商品を直接売るもんじゃないんですよ~。よい認知とイメージを作って、御社の販促をバックアップするんですよ~」と答えるでしょう……。

それに対し、「では、その認知とイメージではいつ、どんなふうに、いくらの売り上げをもたらすのかを教えてもらえる?」と聞いてみるといい。間違いなくその広告代理店は“沈黙”するだろう……。



これは筆者が広報担当時代に良く見てきた光景である。
そう、多くの広告代理店の営業マンの仕事は「広告媒体を紹介すること」なのである。
だから雑誌、新聞、ネット、テレビ、イベントとどんどん「媒体」の種類のみを持参する。

そして、これは雑誌広告やパンフレット製作に携わる広告代理店の営業マンの特徴だが、

 そもそも広告代理店の社員の90%以上は“広告”の仕事を「販売業」だとは考えていない。デザイナーのほとんどは「アート」だと考え、CMプランナーのほとんどは「エンタメ」だと考え、営業のほとんどは「クリエイティブな広告」に憧れている(笑)。

という悪癖がある。

雑誌広告の製作やタイアップ記事の製作、パンフレット製作などの場合、撮影現場やインタビュー現場に必ず営業マンは立ち会う。そして色校正が出来上がったら広告主に持参してこう言う。
「良い写真に仕上がりましたよ」とか「きれいなページに仕上がりましたよ」「なかなかアートな雰囲気のページですよ」と。

いやいや、広告主は別に写真集を作っているわけではないからアートな雰囲気もきれいなページも必要ないのだよ。

それでも営業マンの主眼は「いかにアートなページを作るか(自分は作らないけど)」に注がれていることがわかる。

ファッション雑誌には純広告とタイアップ記事広告が掲載されている。
タイアップ記事広告はその名の通り、取材記事風にそのブランドやその商品について説明文が書き込まれているものである。
一方、純広告は「アーティスティック」な写真とブランドロゴだけ。あとはブランドの連絡先とショップ一覧が掲載されているだけである。
はっきりいって、消費者からすれば純広告を見ても何のことやらさっぱりわからない。
とりあずブランド名が分かるくらいだが、それすら分からない広告も時々お目にかかる。

「アーティスティック」な雰囲気で外国人がたたずんでいて、下にブランド名だけが書かれてある広告を見て
「あ~、このクリエイティブな雰囲気の写真が気に入ったからこのブランドのセーター買うわ」という消費者はほとんど存在しないだろう。

まだタイアップ記事広告の方が分かりやすい。

手持ちのファッション雑誌から2つほど挙げてみる。
ブランド名は塗りつぶしておいた。

BlogPaint


BlogPaint


さて、この純広告を見て購買意欲をそそられた方がいらっしゃるだろうか。
そんな方はほとんどいないと思う。

こういうのを提案する代理店が多いのは紹介した記事が書いている通り事実である。

上の記事はなかなか面白く、広告代理店との付き合い方22カ条が続いて提案されるのだが、そろそろ長くなってきたので明日のブログに回したい。

記者会見にて

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 先日、こんなブログを拝読し「業界は違うがどこにも似たようなことがあるのだな~」と感じた。

いらざることを聞くメディア|野球報道
http://baseballstats2011.jp/archives/27016660.html


肝心なことを聞かずに、どうでもいいことをわざわざ聞くのが、今風のメディアだ。

当サイトの読者からも指摘があったが、ブランコが負け試合にしか本塁打を打っていないことを試合後にわざわざ聞いた記者がいる。4月18日のことだ。複数のメディアに載ったということは、一人ではなかったのかもしれない。
ブランコは、
「仕方がないよ。また明日、違う日になる」
と答えていたが、内心失礼な奴だと思ったことだろう。

誰が考えても、これは偶然でしかない。たまたまブランコが本塁打を打った試合が、負け試合になっただけだ。それをあたかもブランコに責任があるかのように問い詰めたのだ。

ありもしない妄説を持ち出して、犯人捜しをするのは、日本人の悪癖だ。
昔の田舎町では、「○○がこの町に来てから、火事が多くなった」みたいなまことしやかな噂がよく流れたものだ。


とのことである。
その続きがまた笑える事例である。

大昔、ヤクルトにやってきたチャーリー・マニエルに対して「エマニエル夫人をどう思うか?」ときいた記者がいた。私は高校生ながら恥ずかしく思った。

これには苦笑するほかない。

さて、これに似た類は普段お世話になっている繊維業界やアパレル業界の記者会見でもしばしば目にする。

本日、めでたくグランドオープンするグランフロント大阪なのだが、2月に記者会見があった。
注目の大型商業施設ということで多数のマスコミ関係者が出席しており、なかなかの壮観である。

一通りの概要説明が終わり、質疑応答が始まったのだが、終わり近くに飛び出した質問には耳を疑った。
五大紙の一つである大手新聞の経済部の記者さんだが
「今回の出店テナントのラインナップがアウトレットモールとほぼ同じなのですが、アウトレットモールとの競合をどうお考えでしょうか?」と質問をした。

アパレル業界・流通業界を少しかじった方ならおわかりだと思うが、
もともと正規店の在庫や型落ち商品を売るためにアウトレットモールというものができている。
だから、アウトレットモールに入店しているブランドは正規品の商業施設に入店していてもなんの不思議もない。
むしろ、本来の意味で考えるなら正規店があってこそのアウトレット店ということになる。

最近はアウトレットが増えすぎ、テナント側も正規品の在庫では対応できなくなり、アウトレット用に商品を製造するという不思議な現象がスタンダード化しつつあるが、この記者さんの質問とは別の話である。

この珍問に対して、表面上は一切動揺することなく返答したグランフロント側は立派だと感服した。

もう一つ印象に残っていることがある。

ユニクロ心斎橋店オープン前の内覧会のときだ。
旧心斎橋店(現ジーユー心斎橋店)オープンの際だから、9年ほど前だろうか。
これも五大紙の記者さんだが、「このビルの家主はだれですか?」と質問をした。

通常は店舗のことやブランドの今後の目標や出店計画のことを質問する。

その中には「リリースにしっかり明記されている」項目も多いのだが、そのあたりはご愛嬌と思うほかない。

良心的に解釈すればこの記者さんは何か他のまとめ記事で心斎橋筋商店街の各物件のオーナーを調べていたのかもしれない。しかし、それは会見の場で聞かずとも後日ユニクロ広報に質問すれば良いのではないかと思う。
筆者のようなしがない無名の業界紙記者ではなく、天下の大新聞の記者なら広報もそれなりの情報は提供してくれるはずである。

筆者も駆け出しのころには先輩記者から「とりあえず相手に覚えてもらうためには、何でも良いから質問しろ」という教育を受けたが、個人的にはあまりにもピントのズレた質問をするのは、たしかに相手に覚えてもらえるかもしれないが逆効果ではないのかと思う。

印刷部数を見比べてみると

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 一般的に、ファッション雑誌をターゲットに広報宣伝を組み立てているアパレル企業やブランドは多い。
しかし、広く言われているように一部を除いてファッション雑誌全般的に部数は凋落しており、以前ほどの影響力がないのも事実である。

誌名は有名だけど実際の印刷部数は意外に少ないという雑誌もある。
各誌がだいたいどれくらいの部数があるのかを知っておくことはブランド側にとって重要である。

そこで参考になるのがこのサイトだ。

一般社団法人 日本雑誌協会
http://www.j-magazine.or.jp/magadata/?module=list&action=list


雑誌協会に加盟している出版社の各雑誌の3か月ごとの印刷部数を年4回発表している。

もうすぐ2013年1月~3月の数字が発表されると推測するが、現在は2012年10月~12月分が最新のデータである。
2008年からのデータが閲覧できるようになっている。

ためしに、2012年10月~12月の男性ファッション雑誌の部数を見比べてみよう。

男性ヤングアダルトのジャンルから

メンズクラブ、ゲイナー、ライトニングを見てみると、

メンズクラブが53034部
ゲイナーが91067部
ライトニングが87034部


となっている。
ビンテージジーンズ、ミリタリー、ヘビーデューティーに特化したマニアックな表情のライトニングの部数が意外に多いことがわかる。過去の統計では10万部を越えていた時期もある。

男性ミドルエイジを見比べる。

UOMOが50000部
LEONが81700部
メンズEXが39334部
Safariが141934部


となっている。
この層では一般的にLEONの知名度が高いが、実は部数が突出しているのはSafariであることがわかる。

このように見ると、各誌の影響力の大きさは一目瞭然となる。

男性ヤングだと

メンズノンノが146667部
メンズジョーカーが150067部


となっており、部数は後発のメンズジョーカーの方が多いくらいになっている。


レディースも見てみる。

女性ヤングの赤文字系雑誌はそれぞれ

VIVIが323334部
JJが138600部
Rayが139467部
CanCamが200000部



となっており、この層ではVIVIがもっとも印刷部数が多いことがわかる。

ちなみに2008年4月~2008年6月の時期のCanCamは553333部あったから4年で半減以下になっている。

付け加えるとこれはあくまでも印刷部数なので販売部数とは異なる。
印刷した部数すべてが完売することはほとんどないため、販売部数は印刷部数を下回るのが常だと考えた方が良いだろう。

雑誌の印刷部数を把握しないまま、イメージで広告掲載雑誌を選んでいる広報担当者もちょくちょくお見かけする。
せっかく公式に印刷部数が発表されているのだからこれを使用しない手はない。

雑誌に関するイメージも大事だが、実際の印刷部数を把握して影響力の強いと思われる媒体を選別することも広報担当者にとっては重要な仕事だろう。
いくらイメージが良くても印刷部数が極小の雑誌なら大枚をはたいて広告を掲載してもあまり効果がないことが予想されるし、少々ベタな印象の雑誌でも印刷部数が多ければそれなりの効果が期待できる場合も予想される。

イメージ先行で語られがちなファッション雑誌だが、たまには各雑誌の印刷部数を冷徹に見比べてみるのも一興である。

カラー対応商品が少ないのでは?

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 ライトオンとジーンズメイトの4月度売上速報が発表された。
数字から見る限りほぼ、昨年と同じような売れ行きだったといえる。
ジーンズメイトは既存店売上高が昨年並みだが、全店売上高は前年比6・6%減少しているので、新店が思うように売れなかったと判断できる。

ライトオンは
既存店売上高が前年比0・7%増
既存店客数が同0・3%増
既存店客単価が同0・4%増


ジーンズメイトは
既存店売上高が前年比1・6%減
既存店客数が同2・1%減
既存店客単価が同0・5%増



だった。

両社ともリネン素材のシャツ、羽織物は好調に推移したというが、全体的には伸び悩んだという。

さて、店頭を見る限り、これと言って目新しい物はない。

明るい色彩のカラーパンツ類が他社では好調だと耳にするが、それほど入荷量があるようには見えない。
色が溢れているユニクロやその他SPAとはだいぶ見た感じが異なる。

一般的に派手な色彩のパンツは、一旦残ると売り切りにくいとの認識があるため、入荷量を抑えたのではないかと推測する。
しかし、色彩の変化というのはもっとも目立つため、店頭の雰囲気を変えるには一番手軽でもある。

各社が色を打ち出す中でジーンズチェーン店が地味に見える危険性は十分にある。

もしかするとそれなりの入荷量はあるのかもしれないが、ジーンズやベーシックなチノパンなどの商品量が多すぎるため、カラーパンツ類が目立っていないのかもしれない。


一つ残念に思うのが、ライトオンがこの2,3年メンズで展開していた「世界のカーゴパンツ企画」を今春はなくしてしまったことである。
店頭を見た印象ではベーシック路線に回帰しているようなのだが、そうなると、またベーシック低価格SPAとの値段競争にさらされやすくなるのではないかと思う。

もちろん、見た目が変わった商品をむやみにやれば良いというものではない。
ベーシックでも価値を感じさせられる商品をそろえるという手もある。
その場合、必要となるのは常に自店・自社の価値を消費者に伝え続けることになる。

従来型のジーンズチェーン店はそこが圧倒的に欠けていたと感じる。

以前の轍を踏むことは避けてもらいたいと願っている。

改めて製造業を評価したい

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 ジャージデニムなる物がそれなりに浸透してきた。
現在のジャージデニムには編物と織物の二種類がある。

ジャージデニムというくらいだから当初は編物だった。
繊維業界外の方は違和感があるかもしれないが、セーターもカットソーもトレーニングに使うジャージも全部編物である。織物ではない。

インディゴ染めした糸で編んだデニムっぽく見えるジャージというのが正しい呼び方だろうか。
一口に編物といっても、丸編み、横編み、縦編みなど様々な編み方がある。

アメカジ好きの人からすると、裏毛スエット地のジャージデニムに一番魅力を感じるだろう。
トレーナーなどで使用されている裏面がループ状になった編み地である。
ファッション雑誌はこれを指して「裏面がパイルになったデニム生地」と表記するが、それデニム生地じゃねーし。と指摘したいところである。

さて、この編物の利点は柔らかく伸び縮みする点である。
物事にはメリットがあればデメリットがある。
編物のデメリットは、ジーンズの中古加工がしにくいこと、とくに穴をあけるダメージ加工は不可能に近い。
編み地は糸がすべてつながっているので、穴をあけるとそこからドンドンほつれてくる。
穴をあけてその周りを縫製して穴の広がりを止めるという作業が必要になるが、これでコストはアップする。
その工程を省略した場合は穴がドンドン広がり売り物にはならない。

そこで考え出されたのが裏毛調織物デニムである。
裏地は裏毛のように見えるが実は裏も織物になっており、二重織りの技術を応用した物だという。

通常のデニム生地(織物)は堅いから→柔らかい編物でデニム(ジャージデニム)を作ろう→編物じゃ中古加工がしにくいから編物風織物を開発したよ←イマココnew

というこの3段論法は何だか本末転倒のような気もするが、工場の位置する場所が国内か海外かは問わず、日本の繊維製造業の開発力というのは改めて感心させられる。

さて、何かと日本の繊維製造業に苦言を呈することも多い筆者だが、長年親しんだ繊維製造業には何とか今後も生き残ってもらいたいと思っている。

昨今、disられることが多い日本の製造業だが、久しぶりに援護する記事が掲載された。
この記事は繊維以外の製造業のすごさを語っているが、繊維製造業にも通じる部分がある。

経済産業省の「現役官僚が提言!」らしいんですが、何を言いたいのか良く分かりません
http://bylines.news.yahoo.co.jp/yamamotoichiro/20130422-00024512/


このお役人さんは、クールジャパンならぬ「狂うジャパン」を推進する経済産業省の人だけあって、日本のアニメコンテンツを製造業と対比して持ち上げているが、アニメ業界の低賃金重労働は周知の通りであり、その辺りを解消せずして何がコンテンツビジネスかと思うのだが。


で、もう一本同じ方の記事を紹介するが、こちらの方が製造業の実態が良く分かる。

製造業の人たちは本当に凄いんだぞ、って話
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2013/04/post-f6a5.html

確かに、現地で日本人水準の給料をもらっているというだけで特権階級ではある場合も多いんですけれども、私のような金勘定や資源系商取引でフワッと現地にいって交渉して帰ってくるだけの人間からしますと、恐ろしいほど優秀で独創的でマネジメント能力に優れた人たちが育っています。

 だって、家族連れて6年とか7年とか現地採用の皆さんと集団で工場転がしてモノ作って検品して輸出してるんすよ。日本企業だったら波を打ったように静かになる全社集会とか、一度中国工場の見物にいったことがあるんですけど、もうね、質問したくて社員同士でマイクの奪い合いが発生したりするんすよ。中国工場では備品がすぐになくなるから社員同士の持ち物チェックや監視カメラで見ながらも意識付けをして「お前らを信頼しているからな」とか言ってマネジメントやってるんすよ。

 んで、ちょっとでもギャラがいい働き口が見つかると従業員がごっそり移動してしまう、そうなると大変だから中国人の家族同士や地縁血縁駆使しながら欠員が出ないようにシフト組んだり地元有力者に頭下げて回って溶け込む努力して、ようやく普通に回るかな? という程度。日中間で小島巡って鬩ぎ合いがあると日本資本というだけでヘイトの対象になる、それでも工場開けて最前線で転がしてる。

 凄いんだよねえ、現地でマネジメントしている製造業の日本人社員。ハングリーではないとか、意志決定が遅いとかあれこれ注文つくことはあるみたいですけど、20代で500万600万貰って現地出向いてそのまま数年いる日本人とか、信頼せずにはいられません。

 彼らの創意工夫を引き出す努力は凄まじいです。製造工程改善し続けないと死んじゃうから。これはもうね、製造業のDNAですよ。以前、でっかい半導体工場とか視察したけど、それはもう凄かったです。いろいろあって書けないけど。

 そんで、そいつらはより安い労働力と安定した電力と港湾までの渋滞のない輸送路を求めて別の東南アジアに生産力を何割か持ってくんだとかで、準備してるわけです。本当に、文字通り泣きながらリストラしているわけですよ。中国人、給料上がってきてしまったから。数年一緒に働いた社員を、給料上がったからって解雇するんです。

 別の会社では、貿易実務のヘッドオフィスを香港に持っていたんですけど、マレーシアに移転しました。それはジャパンパッシングとかそういう文脈ではなく、製造業として、知的生産ではない分野のコストをどう下げるのか検討を重ねてのことでした。で、R&Dやデザイン部門をむしろ日本に戻したりしている。試作を日本でやるかどうか、検討しているのも、基礎研究を中国から引き上げるのも、理由は明確でコストと品質の兼ね合いからですよ。

 伊藤さんが「最近の日本製品の傾向として、このように過去の延長線上でのモノづくりや、機能性の重視のモノづくりばかりが重視され、全般的につまらなくなっている」とか書いてました。これ、単純にPanasonicのことですよね。でも、彼らが不振なのは、機能性を重視しきれなかったことですよ。必要な機能だけに絞り込んで、安く製造する力がなかったので、ノンブランドの製品に欧米市場で負けているんです。


ちょっと長文を引用してみたが、アジアの拠点を構える日系の繊維製造業にも共通する背景である。

この記事で一番気になったのが、次の箇所である。

また、「売り上げ・利益・シェアばかりを重視し、数字で見える成果のみを評価し」ているのがいけないみたいですが、売上と原価がしっかり管理できていなかったら、製造業は経営できないんですよ。だからこそ、数銭の社内レートですら各部門、各地域子会社と轟々の議論をするんじゃないでしょうかね。貿易分野は特に、ルーブルが何%下がった上がったで大騒ぎなんですけど。

これは経産省のお役人だけではなく、自主ブランド展開を目指す若手クリエイターもどきにも共通する欠点である。
彼らの多くはロットがまとまらないから手作りで作品を作る。
だから原材料費以外の採算は度外視しているケースが多い。
手編みのニット帽を1500円で販売する類のことである。

例えば彼の時給を800円と計算すると、編み上がるまでに2時間かかったならそれだけで1600円のコストがかかっていることになる。そこに毛糸やリボンなどの材料の原価が上乗せされる。
これで1800円くらいにはなるだろうか。ただし、これはまったく利益がない状態である。

利益ゼロでずっと手作りし続けるのか?ということになるが、1000円の利益を載せれば2800円となる。

だから少なくとも2900円程度の価格にはする必要があるのだが、残念なことに専門学校でそういう教育を受けていない場合が多い。
お役人もそうだが、学校関係者もお金の話はまるでタブーのように触れない。
それでまともなブランドビジネスが構築できるはずがない。

ちょっと長くなってしまったが、今回引用した2つの記事は製造業以外の方にも読んでいただく価値があると感じている。

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