南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2013年01月

足下の敵を討て

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 専門学校で講義をするので、先日、ランチェスターの法則をおさらいしていたら「足下の敵を攻撃しろ」という項目を再発見した。

内容をまとめるとこうだ。

「成熟市場において売上高を伸ばそうとするなら、それは競合他社から売り上げを奪え。その標的は自社よりも1ランク下の敵(=足下の敵)である。なぜなら、自社より強い的と対決しては自社に勝ち目が無い。狙うべきは勝ちやすい相手だ。しかも1ランク下からシェアを奪えば、自社が伸びるうえに敵は弱るので差が倍になる」

非常に理論的に明快であるが、まあ、なんともイヤ~な気持ちにさせてくれる。(_´Д`) アイーン

しかし、である。

もう少し解説を読むと「自社よりも売上高が少ない企業を狙え」とは書いていないことに気が付いた。

「勝ちやすい事業領域を細分化して、地域、販路、顧客、商品などを設定し、そこに経営資源を重点投入する」とある。

攻撃すべき足下の敵は、自社よりもスケールの小さい企業はなく、企業規模は大きくとも、細分化した項目の中で自社が勝てる相手に照準を定めれば良いということになる。

自社が5億円の企業だったとして、3億円の企業を攻撃するのではなく、50億円の企業の弱い部分を攻撃すれば良いということになる。
その弱い部分は商品である必要は無い。地域、顧客、販路など様々な分野がある。

全国展開する大規模チェーン店が進出してきても、特定の地域でのシェアは絶対に譲らない専門店がごくわずかだがある。地域別に勝つとはそういうことだろう。

この顧客層ならあの大規模店に勝てる、この販路ならあの上場企業に負けない、とそういうことを弱者は考えるべきなのだろう。

ずいぶんと血なまぐさい例えではあるが、ランチェスターの法則はもともと戦争から導き出された法則であるのでそれは仕方がない。

逆に言うと、弱者が強者と同じことをやっても勝てるわけがないし、弱者が強者の仕掛けに追随するのは最悪の手法である。
「ユニクロでン十万枚売れたあの商品と同じ素材を使えば、わが社の商品も売れる」と百貨店向けアパレル首脳陣が考えるのは、まったく愚の骨頂である。弱者が強者に追随しても規模と価格で勝てるはずがない。しかし、逆は成功する可能性がある。
弱者が考え出した差別化商品を強者が追随して大規模に展開するという事例はけっこうお見かけする。

売れ行きはまったく芳しくなかったと推測するが、昨年夏にユニクロが発売したステテコなんていうのはその典型だろう。

アズという肌着メーカーが数年かけて開拓した色柄付きのステテコという差別化アイテムにユニクロが追随したことは誰の目から見ても明らかである。


そういうわけで、弱者は弱者らしく、差別化戦略を組んで「足下の敵」を攻撃することをお薦めする。

昨年秋から停滞モードに

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 ライトオンとジーンズメイトの1月度売上速報が発表された。

ライトオンは

既存店売上高が前年比0・6%減
既存店客数が同7・6%減
既存店客単価が同7・6%増


だった。

ジーンズメイトは

既存店売上高が前年比0・7%減
既存店客数が同0・7%減
既存店客単価が増減なし


だった。

ジーンズメイトは業績低下は完全に底打ちしたといえる。

一方、ライトオンだが、客数減と客単価増が同じだったため、売上高はほぼ前年並みとなった。
客数減の幅が大きいことが気にかかるが、新年2日のセールでは、メンズ、レディース、子供の各福袋を買うために長い行列ができていた店舗もあり、それほど客数減という印象はなかった。
特定の店舗の状況だけで全店を推測するのは早計なのだが・・・・。


参考に、ライトオンの昨年1月度を見てみる。

既存店売上高が前年比11・6%増
既存店客数が同15・7%増
既存店客単価が同3・5%減

となっており、一昨年度よりも大きく伸びている。
今1月度は昨年実績からのさらなる伸びはなかったということになるが、それでも一昨年の実績は上回っている。
これまで急ピッチで業績回復してきたライトオンだが、昨年秋ごろから停滞している印象が強い。
ここらで、もう一度、商品政策や販売政策のテコ入れを図らないといけないタイミングではないだろうか。

高価でニッチな「本物」だけで良いのかな?

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 先日、こんな記事について議論しておられるのをお見かけした。

本場結城紬の検査厳格化 生産履歴を全面記録
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1202Q_S3A110C1CR8000/

茨城県結城市などの特産品で、生産技法が国の重要無形文化財に登録されている高級絹織物・結城紬(つむぎ)を代表する「本場結城紬」の検査基準が、2月から厳格化される。生産履歴を全面記録して類似品との違いを際立たせ、高級品としての価値を守るためで、茨城県と協議していた。

 本場結城紬検査協同組合関係者によると、製品の織り手が受検する際、染色したり糸を紡いだりした人など、生産に携わった全業者の登録番号の記入が義務化される。これまでなかった糸取り業者の記入欄が新設され、記入を徹底する。


とのことである。

これに対して「意図はわかるが、結城紬の本質を消費者に訴求する前に、文化財指定技術で作られた物だけが本物であとはニセモノという認識が強くなる。果たしてこれは産地の活性化になるのか?メーカーや小売がどんなに説明しても、本場結城紬以外はニセモノと解釈される」との意見を呈された着物関係者がおられた。


門外漢を承知で言わせていただくなら、その方のおっしゃりたいことには賛同できる。
普段、1反何十万円もするような和装生地には縁のない生活をしているが、着物というジャンルはこれだけ着用者が減っているのに、間口を広げる方向には動いていないのだなという感想を持った。

ある和装業界のコンサルタントによると、呉服小売市場規模が2800億円、レンタル着物市場が2000億円なのだそうだ。小売りとレンタルがほぼ拮抗している。6対4くらいの比率である。
この数字から推測すると、「着物を買うには高額すぎるし、何年かに1度しか着用しないからレンタルで済ませましょ」という消費者がかなり増えているのではないか。


先述の意見に対して業界からは「厳格に定めた本物を守る必要がある」という意味合いの反発があった。
もちろんこちらの意見も良く理解できる。

これって和装に限らず洋装向けの生地や、ほかの伝統産業でもよく見かける構図だなと思う。

ある伝統技法がある。それを簡易にしてコンテンポラリーなヒット商品が生まれる。
そうすると、それがあたかも本物の伝統技法そのもののように認識され、本場の方々の不満(?)が溜まる。

ひどく大雑把にまとめるとこんな感じだろうか。

着物の着用者が減り続けている原因に関しての個人的な感想をいうと、

まず製品の価格が高い
次に現在の生活スタイルに適していない

が挙げられると思う。

10万円の着物というと業界ではかなり低価格に分類される。
もちろん、洋装とは製造工程から生産ロットまで違うので一概に比べてはいけないのだが、それでも洋装に慣れきっている大多数の消費者からすると高い。
10万円のスーツといえばけっこうな高級品だし、10万円のコートといえばそれなりのステイタスである。
バーバリーやアクアスキュータム級のコートが買える。

現在の生活スタイルに適していないという指摘もある。
まず着物では自転車に乗れない。自動車の運転だってやれなくはないが、やりづらいだろう。
それを緩和するには、いわゆる着付けから解放された着こなしが必要になるのだが、それとて業界からは反発の声があるようだ。

例えば、上は短衣にして下はジーンズやスパッツを穿いたりすれば良いと思う。
足元だって歩きにくければブーツかスニーカーでも良いのではないかとも思う。
でもそういうハイブリッドなコーディネイトに反発の声があることも事実である。

ただ、門外漢から言わせてもらうと、価格を下げて着こなしの自由度を広げて、間口を広げないと着物の着用者はますます減るのではないかと感じられる。

閑話休題

先ほどの「本物」論争であるが、これは和装だけの話ではない。
大ごとにならないだけで、ジーンズだってスーツだってシャツだって各洋装アイテムにも同じ問題がある。
また、伝統産業の技法を活かした洋装ブランドにも同じ反発もある。

例えば、沖縄の染色技法「びんがら」を活かしたとされる某カジュアルブランドがある。
しかし、本場の方からすると「あれはびんがらではない」ということになる。

ジーンズだってそうで、トレンドブランドを捕まえて「こんな縫製ではジーンズとは呼べない」とおっしゃる方もいる。
最近のジーンズは生地が薄くなっている。定番でも12オンスくらいだろう。それに対して「定番デニム生地は13・5~14オンスでないと認めない」という意見もある。

そういえばツイードという生地もそうかもしれない。「本物のツイードはもっと固くて重い。最近みたいに柔らかくて軽いのはツイードではない」とおっしゃる方もいる。


しかし、物は考えようで、廉価版・簡易版のおかげでそれぞれのアイテムや技法や生地の知名度が高まっている部分も間違いなくある。

このあたりが難しいところで、本来は「簡易版・廉価版は入門編ですよ。本物は別にあります。そこもぜひ一度覗いてくださいね」というような案内が徹底できれば理想なのだろう。

理想を言うのはたやすいが、なかなか難しい問題である。

素材関連企業もBtoCが必要

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 ファンシーヤーンの専門商社、丸安毛糸が2月20日から自社内で編物教室を開始する。
専門商社というくらいだから、メーカーではない。糸を作っているわけではない。商社機能である。

http://www.maruyasu-fil.co.jp/article/14689416.html

無題


(同社のイメージ図)

これまでBtoBの活動をされてこられた企業だが、さらに知名度を高め、ニット需要を創造するための取り組みであろう。
実は、昨年11月下旬に、丸安毛糸の大阪展示会を取材と称して訪問した後、ブレストという名の社内吞み会に参加させていただいた。
その際、丸安毛糸の岡崎社長が「もっと知名度を高めて、ニットを好きな人を増やすにはどうすれば良いか」と仰ったので、「自社内にあるニットラボで一般消費者向けのニット教室を始められてはどうですか?」と提案した。

ニット教室やワークショップにはそれなりの需要があると、筆者なりに考えていた。
現に、阪急百貨店うめだ本店の10階では、期間限定ショップが入れ替わり立ち替わりワークショップを開催している。阪神百貨店のレディースジーンズ売り場「ジーンズハウス」だって定期的に各種ワークショップを開催し始めている。
知り合いのデザイナーブランドが卸売りしている小規模専門店も毎月何らかのワークショップを開催しているとも聞く。

そんな事例を挙げながら提案した。
当初、岡崎社長はBtoCへの取り組みについてそれほど乗り気ではなかったような印象をお受けしたが、意見交換するうちにだんだんと乗り気になってこられたように感じた。

しかし、ここまでなら他の原料メーカーや生地産地でも良くある話だ。

その際、乗り気になっておられても後日、伺うと「あれはやっぱり当社では無理」というお返事をいただくことがほとんどである。感触でいうなら8割以上だろう。

そんなわけで、筆者も単なるブレストに終わるだろうと考えていた。

ところが、先日「ニット教室始めます」というお知らせをいただいた。
当然、筆者以外の方々の意見もお聞きになられた上での決断だろう。
それにしても動きが早い。構想わずかに2カ月である。

原料メーカーや生地産地の腰の重さに慣れている筆者は驚いた。
まさに即断即決である。

近年、丸安毛糸は業界の内外から急速に注目を集めている。その一端はこの動きの早さにあるだろう。


原料メーカーや産地企業にワークショップや生地小売りのようなBtoC事業を提案すると難色を示されることが多い。ロットは細かいし、売上高は小規模だからだ。大量受注大量生産の時代を覚えておられる方なら仕方がないとも思う。

けれども、今後何年間か待ち続けて、国内製造業にバブル期や高度経済成長時代のような大量受注が戻ってくるのだろうか。筆者は何十年待っていても戻ってくることはないと考えている。
ならば新しい事業を考えないと企業存続は難しい。

それに産地企業の方々がよく仰るのだが、「○○で有名な××産地だから」というようなことは産地側の幻想だと考えておいた方が実状に沿っているだろう。
消費者はそれほど生地産地に詳しいわけではない。雑誌やマスコミの影響もあるが、デニム生地だって「児島」で製造していると思っている人がほとんどなのである。
児島のメイン産業は洗い加工場で、あとは小規模な縫製工場が残っているに過ぎない。
デニム生地メーカーは皆無だ。

デニム生地メーカーが集積しているのは広島県福山市周辺と岡山県井原市である。
だが、一般消費者は「デニム生地の井原市」と言われてもピンとこない。
そんなものである。

だからこそ、ワークショップでも生地小売りでも、オリジナルグッズのネット通販でも何でも良いから一般消費者に直接接触できるBtoCが原料メーカー、素材関係会社でも必要だと考える。
何も某紡績や某合繊メーカーみたいに意味のわからないイメージだらけのテレビCMを流す必要はさらさらない。

そんなわけで、構想2カ月くらいで動く原料メーカーや産地企業が続々と現れていただきたいと切に願う。

秋冬の隠れたヒットアイテムか?

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 昨年12月と書くと何だかかなり以前のことのように感じるが、実際は先月のことである。
白いパンツを穿いている女性がいつもの冬よりも多いと感じた。
いわゆるホワイトジーンズをイメージしてもらいたい。

ホワイトジーンズは通常の年だと、だいたい春夏のアイテムとして扱われる。
3月ごろから着用者が増え始めて、10月には減っていく。
衣替えとともにさようなら、そんな感じである。

しかし、2012年を思い返してみると、10月下旬ごろからホワイトジーンズを着用している女性が増えた印象がある。メンズのファッション雑誌を読んでいても昨年秋以降に発売された号には必ずホワイトジーンズ着用のスタイルが掲載されている。


秋冬にホワイトジーンズが注目されるのは珍しい。
欧米のスタイリングには寒い時期にホワイトジーンズを穿く「ウインターホワイト」という着こなしがあると聞くが、これまで日本で「ウインターホワイト」と洒落こむのは、本当にファッション好き、言いかえればひどくキザったらしい人くらいしかお見かけすることがなかった。
偏見だが、わざわざ冬に白いパンツを穿く男性にはそういう印象がある。(笑)


昨年、12月に阪急百貨店うめだ本店のレディースジーンズ売り場「ワールドマップジーニスト」を取材した際にも「ホワイトジーンズコーナー」があり、バイヤーも秋冬の隠れたヒットアイテムだったと教えてくれた。
また、ジーンズを基調としたトータルカジュアルを展開するジョンブルでも、レディースは昨年秋の終わりごろからホワイトジーンズが動いているという。
もっともナチュラル感のあるジョンブルなので、白い経糸にベージュや薄グレーの緯糸を打ち込んだ少しくすんだ色合いではあるのだけれど。

各ブランドのホワイトジーンズ


注目を集めるホワイトジーンズ




ホワイトジーンズを含む白いパンツは本来のシーズンである春夏にはもっと売れ行きを伸ばすのではないか。

ところで、白いパンツを穿くと汚れがすぐに目立つ。
黒や紺などの濃色のパンツに比べて洗濯する頻度が高まる。そうすると洗い替え用途としてもう1本所有することが望ましい状態となる。
そう考えると、秋冬に白いパンツを購入した人は、まだもう1本購入する可能性が高いのではないだろうか。

すでに秋冬から注目が集まっているビビッドなカラーパンツと並んで、個人的にはホワイトジーンズの売れ行きに期待している。
色合わせが難しいビビッドなカラーパンツよりも、何色にでも合うホワイトジーンズの方がマスに支持されるのではないかとさえ考えている。

これは当たるも八卦、当たらぬも八卦であるが。






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