南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2013年01月

告げるべきか告げないべきか

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 先日、靴下のチュチュアンナの展示会にお邪魔した際に「2012秋冬はロングブーツの売れ行きが鈍い」という話題が出た。

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(ロングブーツのイメージ画)


そう言われてみると、若い女性はカラータイツやカラーパンストにパンプスを合わせているケースが多い。
寒さ対策としてムートンブーツを履いている女性も見かけるが、決してロングではない。
ショートブーツ、ハーフブーツ程度だろう。

膝の真下や膝上まであるようなロングブーツ姿の女性はいつもの冬よりも少ないと感じる。

その分、靴下、タイツ、パンストなどで足元の着こなし変化を楽しむ傾向が強いようだ。

さて、筆者はこの事実を、一応存在する妻に告げるべきか告げないべきかを迷っている。
3年ほど前に、「若い世代はブーツカットジーンズを穿いていない。ブーツカットジーンズを穿いているのは年配という証明」と告げたところ、「何故、もっと早く知らせてくれなかったのか」と苦情を申し立てられてしまった。

10年ほど前まで、当時20代後半~30代前半のOL層はジーンズと言えばブーツカットジーンズという構図だった。
当時発売された「美脚○○」とか「足長○○」という商品の主力はブーツカットだった。
現在30代後半~40代前半の主婦層にはそのときのイメージのままの方が多いようだ。


彼女は比較的テレビをよく見る人なので、テレビに登場するタレントや一般人の服装を見ていると自然と気が付いているのではないかと思っていたのだが、そうではなかったらしい。
そんな彼女は革のロングブーツを履いている。
非常に暖かいらしいので機能重視で履き続ければ良いと思うのだが、自分の愛用品が「そのトレンドは終わった」と告げられれば嫌な気持ちになることは避けられない。


ファッション産業はトレンドがある程度変化しないと新たな需要が生まれない。
そのため新しいトレンドが登場することは産業にとっては良いことである。
しかし、最近のトレンドは以前のように、ビッグヒットはほとんどない。
今回のブーツの丈のように、ジワジワとそういう傾向か進んでいて、ハッと気が付いてみるとそういうルックスが増えている。そんな印象がある。

10年前のように猫も杓子もブーツカットジーンズというビッグトレンドはない。

筆者のようなファッション感度の鈍い人間からすると昨今の緩やかなトレンド変化というものはあまり気が付かない。取材先で指摘されて初めて気が付くことが増えた。




まあ、そんなわけで3年後くらいにほとぼりが冷めたころに「2012年秋冬はロングブーツは当時トレンドではなかったよ」と告げてみようと思う。

苦しむジーンズ専業メーカー

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 先日、リーバイ・ストラウス・ジャパンの2012年11月期連結決算が発表された。

売上高は96億1300万円(前期比4・6%増)
営業利益は2億9400万円
経常利益は3億4400万円
当期損失は12億8000万円


だった。

当初予想では売上高は97億円としていたので、やや下方修正ではあるが、前年より増収となった。
営業利益と経常利益は黒字復活したが、依然として当期損失は残ったままである。

当期損失の理由として、

最終損益につきましては、第3四半期に特別損失項目として、将来の物流業務の効率化及び物流コストの削減を目的として現在の平塚配送センターから外部倉庫への移転を決定し、有形固定資産につき減損損失を15億62百万円計上したため、税金等調整前当期純損失、当期純損失はそれぞれ、12億47百万円(前期は、15億44百万円であったため2億96百万円の改善)、12億80百万円(前期は、16億9百万円であったため3億29百万円の改善)となりました。

としている。


2013年11月期連結を

売上高98億円
営業損失6億9000万円
経常損失6億6000万円
当期損失7億2000万円


と見通しており、増収ではあるもののなかなか厳しい数字を打ち出している。

赤字になる理由として

本年度まで免除されていた親会社へ支払うべきロイヤリティが解除となること及び不透明な為替の仕入コストへの影響を勘案して営業損益及び経常損益は、690百万円の営業損失、660百万円の経常損失となり、当期純損失は720百万円程度を見込んでいます。

と挙げている。


国内大手ジーンズ専業メーカーの2強としてエドウインとリーバイスが残っていたが、エドウインは現在、再建問題に揺れている。残ったリーバイスも売上規模はなんとか維持しているものの、赤字決算が続いており、こちらも厳しい状況といえる。

専業メーカーがSPAを志向して、規模を拡大した例は業界にいくらかある。
東京シャツのシャツ工房はその好例だろう。メーカーではないが、タビオの「靴下屋」も専業ショップとして参考になるだろう。最近だと、鎌倉シャツに注目が集まっている。

こうした例を見ると、ジーンズもSPA化すれば良いのではないかと思うが、そうは簡単にいかない部分もある。
靴下は消耗品なので、定期的な買い替えが必要である。また、小さいなアイテムなのでたくさん買い込んでも収納スペースに困らない。
ワイシャツも消耗品という側面はあるし、ビジネスマンとしては、洗い替えを考慮に入れて常に数枚以上を着まわす。そういう意味ではワイシャツもある程度の数量を持つことが必要となる。毎日着たきりすずめではビジネスシーンで悪い印象を与えてしまう。

一方、ジーンズだが、こちらは毎日穿き替える必要はない。
少々汚れても大目に見られる。
消耗品という側面が薄い。破れても裾が擦り切れてもOKである。
こうなると定期的な買い替え、買い足しはなかなか望めない。とくにジーンズが非トレンド化してしまえば、定期的に購入する理由はなくなる。

そうなると単純なSPA化というのはなかなか難しい。

ジーンズ専業メーカーによるSPAがなかなか大規模に育たないのは、そういう背景もあるのではないか。
SPA化を進めるには、一層の知恵が必要となる。

天は自ら助くる者を助く

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 Heaven helps those who help themselves=天は自ら助くる者を助く

これをさらに日本語に意訳すると「人事を尽くして天命を待つ」となる。
なつかしい。高校1年生の時に習った英語である。

日本国内にはさまざまな地域に繊維産地がある。
タオルだと愛媛県・今治と大阪・泉州地域、毛織物だと愛知県、デニム生地だと岡山県・広島県、クレープや楊柳だと滋賀・高島、先染めのシャツ生地だと兵庫県・西脇などなど。

各産地がそれぞれ合同で展示会を行う。
例えば西脇素材展とか、高島産地合同展とかいうような具合である。


先ごろ開催されたある産地素材展の成果があまり芳しくなかったと耳にした。
来場者が想定より少なかったそうだ。
来場者の数が多くても受注が決まらなければあまり意味はないのだが、それでも少ないよりは多い方が良いという考え方にも一理はある。
たくさんの人に見てもらった方が将来の可能性は広がると思われるからだ。


アパレルの合同展示会は大型のものだとIFFやルームス、雑貨業界だと東京ギフトショーなどがある。
集客のために主催者や事務局から大量の案内状、招待状が送付される。
それこそ何万通という数量である。

しかし、アパレル業界・雑貨業界の展示会に出展する各企業はそれぞれ自社からも展示会招待状を発送する。
だから主催者からと出展社からの両方から招待状をいただくことが多々あるのだが、それで良い。

来場者の集客を主催者任せにしてしまうのは愚の骨頂だからだ。

東京ギフトショーの出展社説明会では展示会の心得のようなプロモーションビデオが流される。
その際に出てくる言葉が「天は自ら助くる者を助く」である。
要するに、自社での集客もやらないと意味はないですよ。ということである。


で、先のある産地素材展だが、集客の努力をした出展社はあまりいなかったようだ。
ならば来場者数が予定より少ないのは当然の結果だ。


今回に限らず、各産地展で来場者が増えないというのは、出展各社が集客の努力を怠っているのではないかと思う。もちろん、自発的に自社からも招待状を送付されている企業もあるだろうが、そうでない企業というのも各産地に相当数あるのではないか。


闇雲に「来てくれ」とお願いするだけでは効果が薄いことも十分承知しているが、最初の「来てくれ」というアクションさえ起こさずに、「効果的な集客法」ばかり考えていても仕方がない。
仮説→実行→検証がビジネスの基本ではないのか。
実行せずに検証ばかりしていても絵に描いた餅である。


出展企業が事務局やプロデューサーに依存しているだけでは、各産地展はますます衰退するほかない。

アメカジに融合されてしまいやすい

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 先日、サーフカジュアルについて雑談していた。
発端は今春からサーフカジュアルもトレンドの一分野に入っているということからだった。

そう長くはない経験に照らし合わせるとサーフカジュアルがビッグトレンド、ビッグビジネスに結びついたのを見たことがない。
そもそもが個人的に見ると、サーフカジュアルとアメカジの区別もできにくい。

筆者の周りにもサーフィンを楽しむ人が数人以上存在するが、彼らがいわゆる「サーフカジュアル」を常に愛用しているようにも見えない。
雑誌で言うと「Safari」あたりにサーフカジュアルスタイルが掲載されやすいと思うが、はっきりいうとアメリカ西海岸スタイル、アメリカンカジュアルスタイルとさほど見分けがつかない。

日本国内でサーフカジュアルブランドがもっとも盛り上がったのは10年くらい前だろう。
あの当時はクリムゾンの「PIKO」「タウン&カントリー」が全盛期で、そのあと「Russ-K」をデビューさせたが、今では3つともあまり見かけない。最後発の「Russ-K」は現在、ライトオンやジーンズメイトで値引き販売されているのをよく見かける程度である。

正直に言えば、サーフカジュアルブランドのほとんどはTシャツのグラフックで勝負しているように見える。
しかし、Tシャツのグラフィックだけでは消費者の購買意欲をそこまで継続させることはできない。
気に入った柄が1つや2つあっても、毎シーズンそのブランドで買いたくなるほどのものではない。
しかし、グラフィックしか勝負ができないので、スタート当初はシンプルだったロゴプリントがだんだんと派手になり、最後には田舎のヤンキー崩れが着るのかと思うほど派手でケバケバしい柄に行きついてしまう。
サーフカジュアルTシャツにはそんなイメージがある。個人的な印象でいうなら「PIKO」なんかがそう見える。

さて、そんなこんなで話していて、ふとクリムゾンの現状をググってみた。
ちょうど今月末が決算期であり、業績予想の下方修正を発表していた。

修正によると、

売上高18億9100万円
営業損失900万円
経常損失1億300万円
当期損失4000万円


とのことである。

非常に悪い決算内容なのだが、筆者は売上高に驚いてしまった。

クリムゾンのピーク時は売上高180億円あった。
2007年1月期でも157億円ある。
わずか5年間で10分の1程度にまで売上高が縮小している。

10年前はさまざまなサーフブランドが量販店やカジュアルチェーン店にひしめきあっていたが、今ではほとんど見かけることはなくなった。
会社規模を維持できているのは「ビラボン」を展開するジーエスエムジャパンくらいだろう。
こちらも社名は最近、ビラボンジャパンに変更しているようだが。

あと「クイックシルバー」や「オーシャンパシフィック(OP)」あたりもそれなりに残っている印象だが後のブランドは、この10年でほとんど聞かなくなった。

原因はいろいろとあるのだろうが、個人的にはサーフカジュアルスタイルと通常のアメカジスタイルの境界線の見えなさにあると感じる。要はアメカジジャンルに取り込まれてしまいやすいのだと思う。
サーフスタイルをコーディネイトするにおいて、別にサーフブランドにこだわる必要がない。
通常のアメカジブランドのアイテムだけで十分構築できてしまう。
そうなれば特別にサーフブランドを買い求めなくても良い。

そんなわけでサーフテイストはトレンドの一分野として注目されるかもしれないが、サーフカジュアルブランドというのは日本ではなかなか確立させるのがなかなか難しいのではないか。
今後もビッグブランド、ビッグカンパニーが出現することはないと考えている。

守株待兎 ~待ちぼうけ~ を笑えない

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 15年くらい前、インディーズデザイナーブームという小さなムーブメントがあった。
結局、大した花も咲かせずに終わってしまったのだが、そのころデビューした何人かのデザイナーさんとの付き合いがまだある。

デビュー当時、国内産地の生地メーカーに「生地を売ってください」と交渉しに行くと、「10反以下では売れない」「5反以下では売れない」と断られたそうだ。97年とか98年とかの頃である。
だいたい1反=50メートルの長さなので、10反というと500メートルである。
生地メーカーによっても違うのだが、「10反以下とか5反以下では売りたくない」と答える生地メーカーは多かった。

これは無理もないことで、かつて「ガチャマン(ガッチャマンではない)」と呼ばれた黄金時代、生地なんていうものは何万メートルでも売れた。その記憶があるため、「そんな500メートルとか、250メートル販売みたいチンケな商売はやってられない」というのが90年代後半の生地メーカーの偽らざる本音だろう。


その後、バブルもはじけたし、衣料品販売は不振だし、安価な海外生地が流入するし、で国内産地の生地販売量はみるみる縮小していった。
こうなると、国内産地の生地メーカーも小規模販売せざるを得ない。

昨今の各若手デザイナーがやたらと国内生地を使用できるようになったのもその恩恵だろうか。


しかし、国内でもいまだに「5反以下では販売できない」とのたまう産地企業もある。


小ロット販売を嫌う理由は、整経と呼ばれる作業に時間がかかるためだ。
早くても丸一日くらいはかかるし、長ければ数日かかる。

整経とはなんぞやというと、

整経は、必要な本数の経糸を、長さを揃えてビームに巻き付ける工程です。

ストライプ柄やチェック柄など、経糸に色の違う複数の糸を使う場合は、デザインどおりに経糸を配列する(「柄組み」をする)必要があります。


とある。
http://www.norikaiya.net/koutei-2-2-warping.html


これは自動化できない作業で、すべて手動で行われる。そのため時間がかかるというわけである。

だから5メートルだけ織ってくれなどといわれると「勘弁してくださいよ」ということになる。

しかし、在庫で積んでいる生地ならば5反だろうが3反だろうが販売すれば良いのである。1反での販売だって構わない。「何を寝ぼけたことをおっしゃっているんですか」と思う。


「シャネル」や「ルイ・ヴィトン」「プラダ」「グッチ」など数多くの欧米ラグジュアリ―ブランドへデニム生地を販売する岡山県井原市の世界的デニム生地メーカー、クロキは「在庫生地なら1反からでも販売する」という。生地料金が高くなっても構わないなら「1反以下でも販売する」という。


現在、自社売上高の半分が欧米向け輸出となっているクロキがこの小ロット対応である。


「商況が厳しい」「生地が売れない」という国内産地企業が多数ある。
そういうところに限って「うちは5反以下は売らない」などとおっしゃる比率が高い印象がある。

だからこそ御社の商況は厳しいのではないですかね?

後、何十年待ち続けても国内にかつての大量生産時代は戻って来ない。それだけは確実に言える。
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