南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2012年11月

機械と副資材の問題も忘れてはいけない

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 最近、若手の独立系デザイナーが自主的に国内素材メーカーの生地を使うことが増えた。
生地問屋を経由せずに各産地の○○織布だとか○○ニットだとかの生地工場から直接購入している場合も多い。
これには生地メーカー側の姿勢の変化も大いに関係しているだろう。昔に比べて小ロットでも対応してくれる機業が増えた。

国内製造業の危機が叫ばれて久しく、実際、国内製造業は限りなく消滅の危機に瀕しているが、幾分明るい兆しだとも感じられる。

しかし、実際には生地メーカーの存亡以外にも、多くの段階で国内製造業は相変わらず危機に瀕している。

一つには機械の問題だ。
多くの生地メーカーが使用している織機や編み機は旧式の物が多く、機械メーカーももう部品を製造していない。このため、補修・メンテナンスには一苦労する。
中には機械メーカーそのものが倒産・廃業していることもある。

そのため、廃業した他の生地メーカーから織機や編み機を引き取って、修理用のパーツとして保管していることも多いと聞く。

次に副資材の問題だ。
衣料品や雑貨の製造には、芯地や付属品などの副資材が不可欠である。
しかし、この副資材の製造先も廃業・倒産している場合が多いようだ。

先日、帽子ブランド「ポレポレ」の展示会にお邪魔した。
こんな物作りをされている。

http://www.polepole.tv

http://www.polepoleshop.com/

帽子以外に、薄い石膏で造形した型が展示されていたのだが、これを作るのにはバクラムという芯地が必要だという。バクラムは木の皮を細く裂いて織った物だそうだ。
柳の木の皮が最高だという。
この柳の木のバクラムを作っていたのが東北地方の職人だったが、高齢のために廃業されたらしい。
ポレポレさんが知る限り、もう国内でこのバクラムを作っている職人はいないとのことだ。

だから、何年分ものバクラムを買い貯めたそうなのだが、今のストックがなくなると次に購入できる先がもうない。


IMG_1100


(固めたバクラム)


おそらく何らかの代替品を使うことになるのだろうが、国内製造業はジワジワと消滅しつつあるのだと感じずにはいられない。


これ以外だと再三指摘されているが、縫製業の問題もある。
国内縫製工場の多くは、高齢化した日本人と若いアジアからの研修生で成り立っている。
メイドインジャパンと表示されていても実状は「メイドバイチャイニーズ」だったり「メイドバイベトナム人」だったりすることがほとんどである。


こう見てくると、国内繊維製造業に明るい兆しなどとはとても思えない。
もちろんムードを盛り上げることは大切だが、国内生地メーカーのことだけではなく、機械や副資材の状況も認識しないと地に足のつかないカラ騒ぎで終わってしまう恐れがある。

品番数を増やし続けたのは店頭占有率を高めるため?

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 先日、ジーンズナショナルブランド(NB)はシルエット違いの品番数が多いのではないかと書いた。

すると、某NBで営業職を務めた経験のある知人が

「NBのSKUが増えたのは、他社との売り場シェア争奪戦=壁面、中島、ハンギングのフェースをいかに他社より多く取るか、そんな側面での品番、色番の展開を乱発した。特に90年代の10年間は多かった。
結局、常に上位20品番で売上の80%を占めると言うパレートの法則通りの結果で、品番を絞り込んでは処分し、また増えの繰り返しで粗利も低かった。
消費ニーズに応えたというよりは、シェアを取る為に店頭での展開が増えたのではないか」

との意見をくれた。

これは今でもそうだが、例えばリーバイスの501、エドウインの503のような「看板商品」以外の品番は、シーズンごとに大きく入れ替わる。
同じ番号でもまったくシルエットが異なったり、リーバイス517(ブーツカット)がなぜか「527」に番号変更したりと、そんなことは日常茶飯事である。

そして、販売員時代の経験と照らし合わせるなら、春夏と秋冬で店頭の陳列商品も大きく入れ替わる。
春夏に主力だったライトオンスジーンズや、淡色ジーンズを8月末ごろにメーカーに返品して、代わりにコーデュロイとか濃色加工ジーンズが送られてくる。これをシーズンごとに店頭とメーカー間で繰り返すわけである。

ジーンズという商品は、買い取りではなく、百貨店と同じ「委託販売」という形態をとる場合が多かった。
ジーンズNBの多くは自家縫製工場を持っているので、生産は毎日行われてしまう。季節返品された商品は倉庫に積みあがることになるため、アウトレットモールができるまでは、セール対応品として値引きされて再び専門店に送られることも多かった。

ご存知の通り、ジーンズ専門店の壁面はほぼジーンズの棚である。
ユニクロの店頭もこの形態を引き継いでおり、よく見てみるとユニクロのパンツ売り場は結構広い。
一方、GAPは壁面一面がジーンズということはない。かなりボトムス比率は低い。

時が流れ、専門店の壁面争奪戦はほぼ終結しつつある。
最盛期には7、8社くらいあったNBがエドウイン、リーバイス、リーにほぼ集約されてしまった。
そうなると、もともとあった広大な壁面を3ブランドの商品で埋めなくてはならなくなる。
これは店側にとってもNB側にとってもかなりの負担である。
先日書いたことと逆になるが、品番数を絞り込んでしまうと壁面スペースが埋まらなくなる可能性もある

同一品番を横に広げて面積を埋めるという手もあるが、それが不格好だと思うなら、品番数を増やすしかない。
9種類もある微妙なシルエット変化は、広大な壁面を埋めるためにやむを得なかった側面も強いのだろう。


残念なことに現在、NBとジーンズ専門店は低迷している。
理由は日本人がジーンズを購入しなくなったのではなく、選択肢が広がったためだ。
ユニクロ、GAP、ZARA,H&M、ハニーズなどの国内外のSPAブランド、高級インポートジーンズブランド、ライトオンのバックナンバー、マックハウスのラッシュアワーなどの専門店プライベートブランド、エヴィスやシュガーケーンなどのこだわりジーンズブランドだけではない。
一般の百貨店ブランドにもジーンズはある。バーバリーやタケオキクチなどにも並んでいる。

これらすべてがNBとジーンズ専門店の競合となっている。

そうなると、壁面をびっしりとジーンズで埋め尽くした従来型の店構えが良いのかどうかである。

NBとジーンズ専門店は商品の選択肢を増やし過ぎて、逆に消費者に選ばれにくくなっているのかもしれない。
「種類が多すぎて良く分からないから、ジーンズ専門店に行かずにユニクロに行く」。
そんな選択を行っている消費者も意外に多いのではないか。

先ほども書いたが、ユニクロの店内をよく見てもらいたいが、壁面はビッシリとジーンズとカジュアルパンツで埋め尽くされている。ユニクロの店作りは旧来のジーンズ専門店を引き継いでいる要素が強い。
什器とか内装とか照明が異なるため、そう見えないだけである。
他のSPAブランドで壁面をビッシリとジーンズで埋め尽くしているブランドはない。

となると、やっぱりNBとジーンズ専門店にとって、ユニクロの店構えは参考にすべき要素があるのではないか。
そして、選択肢を狭めるという努力も必要ではないかと思う次第だ。



11月度売上は比較的好調

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 ライトオンとジーンズメイトの11月度売上速報が発表された。

ライトオンは
既存店売上高が前年比7・3%増
既存店客数が同6・2%増
既存店客単価が同1・1%増


ジーンズメイトは
既存店売上高が前年比7・4%増
既存店客数が同4・6%増
既存店客単価が同2・6%増

となった。

10月下旬から気温が下がって、業界全般的に売れ行きが好転したといわれているが、
両社ともそれを反映した数字といえる。


ジーンズメイトは不採算店の撤退もほぼ完了しつつあり、既存店ベースの売り上げは好転する可能性が出てきたのではないか。


ジーンズメイトによると、一時期に比べるとブルージーンズの動きは幾分回復した気配があるという。
それでもまだ良かったころの動きには程遠いという。

以前にも書いたが、秋からブルージーンズの動きが戻るのでは?と言われていたが、
実際に動いているのはジーンズではなく、デニムシャツ、デニムブルゾン、デニムワンピースなどのトップス類と、レディースのデニムショートパンツ、デニムスカートなどである。

ジーンズナショナルブランドやジーンズチェーン店がもっとも得意とするフルレングスのジーンズは厳しい状況が続いている。


ジャムの法則から絞り込み方を考えてみる

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 さて、昨日のブログを書いたところ、「ジャムの法則」なるものを教えていただいた。

ここで「ジャムの法則」を紹介する。

http://butsuryuuabc.seesaa.net/article/287543189.html

「ジャムの法則」は、アイエンガー教授が、ドレーガーズという高級スーパーマーケットを舞台に、1995年に行った実験で、「豊富な選択肢は売り上げをあげる」というお店の方針を実証しようとするものでした。
ところが、結果は逆、24種類のジャムを売り場に並べたときと、6種類のジャムを売り場に並べたときでは、前者は、後者の売り上げの10分の1しかなかったのです。
この結果が実証的に確かめられると、金融商品のバリエーションから、洗剤などの消費財、はては、コンサル会社のコンサルの方法まで、選択肢を絞ることで、顧客満足をあげるというふうに変わっていったのでした。

「豊富な選択肢は、売上増に貢献しない。
選択肢を絞ることで、顧客満足を上げる方法がある」

この指摘は、物流の世界でコスト削減をミッションとして奉職する者として、まさに、快哉を叫びたい内容です。

アイテムが多すぎること、豊富な選択肢を用意して少量多頻度の補充をもとめる顧客の要求に応えなければならないこと。


というものである。
さて、これは「ジャム」という食品のことなので衣料品にそのまま当てはめることができるかどうかである。
ただ、知っておいて損はないだろう。

昨日は、ジーンズナショナルブランド各社のシルエット変化の多さを指摘した。
リーバイスのメンズを再び例にだす。
 
510 スーパースキニー
511 スキニー
508 スリムテイパード
551 スリム   
502 ストレート
501 ストレート
505 ストレート
503 リラックス
527 ブーツカット

メンズには現在、この9シルエットがある。
そしてブルーデニムの洗い加工による濃淡がそれぞれに6種類以上ある。
単純に9シルエット×6色=54となり、最低でもブルーデニムだけで54種類も存在することになる。

選択肢が多すぎると消費者は選びにくくなるという「ジャムの法則」があるので、これを半分くらいに集約することの方が重要ではないかと指摘した。
もちろん反対意見もあって良いが、冷静に考えてみてもらいたい。

まずスキニー(511)とスーパースキニー(510)の両方が必要だろうか?
次にスリム(551)とスリムテイパード(508)の微細なシルエットの違いを消費者が求めているだろうか?
さらにストレートに3品番ある。501と502はボタンフライとジップフライの違いだとして、502と505を分ける必要があるのだろうか?

筆者なら上に挙げたものをこう統合する。

スキニー
スリム
ストレート
ストレート501
リラックス
ブーツカット

の6シルエットに集約する。
さらにブルーの濃淡による色変化を4種類に集約する。

これで24品種になる。
これくらいの方が選びやすいと思うのだがいかがだろうか?

人間は誰しも選択肢は多い方が良いと考えている。
しかし現実はそうではない。とくに筆者はシルエットの集約を言うのは、シルエットが変われば型紙が変わる。そうすると縫製の手間が増えて効率的ではなくなる。
なら6シルエットに集約して、素材変化による色変化を打ち出した方が生産も効率的ではないか。


シルエットとカラーの両方、もしくはその片方だけでも減らすことで消費者に選ばれやすくなるのではないかと思う。筆者は過去を振り返って、2000年ごろのユニクロのフリースブームを考えてみる。

あの当時のフリースブームでユニクロは50色展開していた。
まあ、明らかにこれも多すぎるのだが、実はシルエットとデザインは1つしかない。
型紙はすべて共通で生地だけがちがうことになる。当然売れなかった色もたくさんあったと思うが、こと縫製に関していうなら非常に効率的だったといえるだろう。

で、消費者も色だけの問題だから選びやすかった側面がある。
あれに「スリム」「リラックス」「レギュラー」などのシルエット変化が加われば、おそらくかなり混乱しただろう。

ジーンズNB各社が選択肢のバリエーションを確保したいのであれば、シルエットではなく色柄にすべきだと思う。
今なら製品染めもあるし、洗い加工で表面感を変えるのはジーンズメーカーの十八番ではないか。

さらにいうならジーンズというアイテムは通常の衣料品よりもサイズ展開が細かい。
ウエストは2・5センチ刻みで8サイズ~10サイズ存在する。通常の衣料品はS,M,Lの3サイズで、XSとLLを入れても5サイズである。

そうなると、ジーンズNBはすでにサイズ展開という部分では、他の衣料品にない消費者サービスを行っているといえる。

もし、イレギュラーサイズやイレギュラーシルエットを好む消費者がいた場合、これはスーツのパターンオーダーの考え方を応用して追加料金をもらって製造すれば良いのではないかと思う。
洗い加工だって通常のブルーの濃淡は4種類くらいにしておき、さらに追加料金によるオーダーで自由にブルーの濃淡が調節できるような仕組みにしておけば良い。
どうせ、洗い加工は縫いあがった製品に1本ずつ加工を施すわけだから、特別な手間はかからない.。



昨日、ユニクロやGAP、アバクロなどのSPAブランドがジーンズを4種類に集約していることを書いた。
当然トータルファッションの打ち出しと単品ブランドの違いはあるだろう。
しかし、多くの消費者は4シルエットしかないSPAブランドでジーンズも買っているのである。
先ほどの例では筆者は6シルエットに集約した。それでもまだSPAブランドよりも選択肢を多く消費者に提供している。これだけでもかなりのサービスとブランドなりの特徴だと思う。

個人的にはジーンズNBにはトータルファッションを提案してもらいたいと思うが、これは彼らがもっとも不得意なところであり一足飛びに実現しない。
それに対して、選択肢の幅を狭めるという作業は既存の経営資源で十分に対応可能なのでこちらが優先事項ではないかと思う次第だ。

選択肢は多すぎても逆効果

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 ちょっとジーンズの話題続きで恐縮だが、考えていたことをパラパラとまとめてみたい。

エドウインやリーバイスに代表されるナショナルブランド(NB)は、一部にトップス製品があるものの、ほぼジーンズとカジュアルパンツ専門メーカーだと考えて差支えない。
NB各社のジーンズは、シルエットが事細かに細分化されている。かつて、筆者らが若かりしころは、その細分化された中から自分にぴったり合うシルエットの商品を探すのが楽しみでもあった。

リーバイス501はちょっと合わないから、ラングラーを穿いてみる。
ラングラーでも11MWZは合いにくいから13MWを穿いたらぴったりだった。
でもリーバイスの509もそれなりに合う。

こんな感じだった。
しかし、大部分の消費者にとって、ジーンズのシルエットをそこまで細分化する必要があるのだろうかと思う。
とくにジーンズNB各社が苦戦を始めてからその思いは強くなった。
もっとシルエットの選択肢を狭めた方が良いのではないか。

ちょうどこの考えをもう少し詳しく説明したブログを発見したのでご紹介したい。
リーバイスのHPが題材になっている。例によって長文である(・_・;)


プロダクトの整理と「選ばせない仕組み作り」がポイントのようだ。
http://keynotes.hidezumi.com/keynotes/2012/11/style_selector.php

ページに掲載されているルックブックは面白い。裾の長さなどのポイントを抑えるとお洒落に見えるということがよく分かる。特に高価なプレミアムジーンズを買う必要はなさそうだ。と、同時に消費者に何かを選ばせるというのはとても大変なのだということも浮き彫りになる。システムとして見た場合、とにかく使い勝手が悪い。

(中略)

次に、人は10以上の選択肢を見せられると「げんなり」してやる気を失ってしまう。これはつまり「お客さんが買ってくれなくなる」ということを意味する。ここでは16のスタイルが立て続けに提示され、3つほど見ると、前になにがあったか分からなくなる仕組みになっている。

これはヒトの脳のキャパシティに起因している。電話番号のような一連の情報の組み合わせだと7つから12程度は覚えていられるが、乱雑な情報の列になると、せいぜい3つか4つが限界だろう。またプロセスの数も5つ以上は「多いな」と感じられてしまうのではないかと思う。

(中略)

さて、Find Your Styleに戻る。無事にこの関門を通り越えて「好みのジーンズ」が選べたとする。最後にジーンズを選ぶと、結局いくつものジーンズが提示される。この時点で「前に選んだものが何だったか覚えていますか」ということになる。きっと「うんざりして」選ぶのをやめてしまうだろう。

いずれにしても「選択肢が多すぎて探せない」ということは、状態化している。最近出た野村総合研究所の生活者一万人調査の抜粋には次のようなコメントがある。

一方で、「商品やサービスに関する情報が多すぎて、困ることがある」と「商品やサービスに関する情報が不足していて、困ることがある」のどちらに近いかを尋ねた結果をみると、前者の考えを支持する人が全体の70.1%をしめる結果になっています。また「事前に情報収集してから買う」人は2006年(28.9%)から2009年(35.8%)に大きく増加したのに対して、今回の調査では33.1%とやや減少しています。買い物時に参考となる情報や利用者の評判は気になるものの、いわば情報過多の状況下にあるため、自身でさまざまな情報を収集する傾向がやや頭打ちになっていることがみてとれます。

口コミやブランドの信頼性などにこだわる人がいる一方で、情報疲れしている人もいるのかもしれない。店頭への回帰も見られるようだ。この「情報過多」というのは、現在では重要なポイントだ。


とある。

この筆者は、反対のアプローチで業績を回復したブランドに注目している。
アバクロンビー&フィッチ、通称アバクロである。
彼は、アバクロはジーンズを4シルエットに集約することで、売り上げが回復したと以前に述べている。
たしかに米国でアバクロの株価は上昇しているようだ。


さて、筆者も気になって現在のリーバイスのHPを見てみた。
メンズを見てみる。

510 スーパースキニー
511 スキニー
508 スリムテイパード
551 スリム       (蓬莱の豚まんではない)
502 ストレート
501 ストレート
505 ストレート
503 リラックス
527 ブーツカット

と全部で9つものシルエットがある。
517はいつの間にか527に変更になっていた。
また、501と502は同じシルエットで、ボタンフライとジップフライの違いがある。
なのにどうして同じストレートで505があるのだろう?
HPによると腰回りがゆったりしてひざ部分がストレートになっているそうだが、そんな細かい違いが必要だろうか。


どうだろうか?明らかに選択肢が多すぎるのではないかと思う。

ジーンズNBが苦戦を余儀なくされた一因に国内外のSPAブランドの台頭がある。
代表格であるユニクロとGAPのHPのメンズジーンズを見てみる。

ユニクロは細い順に、スキニー、スリム、レギュラー、リラックスの4シルエットしかない。
またGAPも スキニー、スリム、ストレート、イージーの4シルエットしかない。


この両ブランドの施策がすべて正しいとは思わないが、ジーンズのシルエットはこの4つで事足りるということであろう。実際にこの両ブランドに押されてジーンズ専門店の売上高が激減しているのだから、ジーンズNBは注目すべきではないだろうか。


ただ、ジーンズNBと両ブランドを単純に比較しきれない部分もある。
ほぼ単品アイテムしか展開していないNBと、トータルファッションを展開する両ブランドの違いがある。

両ブランドは異様に細分化されたジーンズを展開する必要はなく、
4シルエット程度の提案でも各種のトップスと組み合わせることで着用感のバリエーションが提案できる。

一方、単品しか展開していないジーンズNBは4シルエットだとラインナップがさびしいと感じるのだろうか。
しかし、リーバイスで言うなら、501だとブルーデニムの濃淡だけで7種類ある。うち1種類はクラッシュ加工なので6色か。ここにホワイトデニムバージョンとメイドインジャパン製品、メイドインアメリカ製品が加わる。

502だとブルーの濃淡だけで6色、ブラックデニムが1つ、カツラギ素材によるカーキやオリーブなどのカラージーンズが3色、そこにまだメイドインジャパン製品も加わる。

こうして見ると、一つのシルエットに7~10色のバリエーションがあることになる。
平均8色と仮定すると、リーバイスだと9シルエットなので9×8で72のバリエーションということになる。
これはかなり多い。仮に4シルエットか5シルエットに集約してもカラー展開を含めると、40ちかいバリエーションが確保できることになる。
40種類もあれば十分だろう。

そういえば、VMDの基本理論に「一番遠く(4~8メートル先)から認識できるのは色柄」とある。
ならば、シルエットを増やすのではなく色柄の種類を増やす方が、まだ理にかなっているのではないだろうか。

次に認識しやすいのはデザインであり、微細なシルエットの違いではない。
ならば、カーゴポケットを付けるとか目立つ付属を付けるとか、ブッシュパンツ型にしてみるとかの方が効果的だろう。
2メートル先で待っている相手が、502を着用しているのか505を着用しているのかを見分けられる人間はおそらくほとんどいないだろう。
だから、微細に異なるシルエットの商品を拡充することはあまり効果がないと思う。

それにしても改めて数えてみたがブルーデニムの濃淡のバリエーションも多すぎる。
6色や7色も必要ないのではないか。せいぜい4色で十分だろう。
もし、ラインナップがさびしいならブルーデニム以外のカラーバリエーションを拡充してはどうか。

ちなみにGAPはストレートがブルーデニムで4色、スキニーとイージーがブルーデニムで2色、スリムがブルー2色と異素材で2色である。

ユニクロはレギュラーのブルーが4色、スリムのブルーが5色、スキニーのブルーが3色、リラックスのブルーは2色だ。

ブルーデニムの濃淡だけで見ると、ユニクロよりもGAPの方が効率的だが、そのユニクロでさえNB各社よりも色の集約は効率的である。


微細なシルエット変化とブルーデニムの色変化をたくさん打ち出すことで、消費者ニーズを広く捉えようということだろうが、選択肢が増えすぎて一般消費者にその思いは伝わっていない。
むしろ、4シルエットと数色のブルーに集約したユニクロやGAP、アバクロの手法に学ぶべき点は多いのではないだろうか。








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