南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2012年09月

底打ち感が出てきたジーンズメイト

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 恒例のライトオンとジーンズメイトの9月度売上速報が発表された。

ライトオンは
既存店売上高が前年比6・8%減
既存店客数が同5・5%減
既存店客単価が同1・3%減


だった。

ジーンズメイトは
既存店売上高が前年比2・8%増
既存店客数が同5・5%増
既存店客単価が同2・6%減


だった。

この両社は20日締めなので、9月の高気温の影響をかなり受けていると考えられる。
9月21日夜から急激に秋らしく気温が低下したため、その恩恵を受けていない。

友人のOEMメーカーからは「高気温が続いた9月は、追加も新規もさっぱり話が来なかった。秋分の日に冷え込んでからはようやく声がかかるようになった」との声を聞いている。

気温が急激に上がれば夏物が、気温が低下すれば秋冬物が動くのが昔から変わらない消費動向だが、今回もそれに当てはまったようだ。

ジーンズメイトは8月度に続いて、前年実績を更新しており、ようやく下げ止まり感が出てきたといえる。

昨年の9月度は

既存店売上高が前年比17・8%減
既存店客数が同31・9%減
既存店客単価が同20・7%増

だったことを考えると、今年9月度の実績は「好調に転じた」というよりも「底打ち感が出てきた」というほうが正しいのではないか。

展示会場でのデジャビュ

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 先日、某小規模アパレルの展示会にお邪魔した。
このアパレルの卸売り先は小型専門店が多い。
展示会を拝見した感想だが、迷走している小型専門店が多いと感じる。

展示会で多いのが「どの商品が売れ筋?」と尋ねる風景。
売れ筋情報を収集することは非常に重要である。
問題は次の言葉。「売れ筋の1位から5位まで仕入れるわ」。
で、この専門店は他のアパレルでも「売れ筋のみ」を仕入れる。
その結果、店はアパレル数社の「売れ筋の集合体」となる。

さて、この手の店が売れていると聞いたためしがない。
先ほどのアパレルに聞くと、「各社の売れ筋上位だけを集めている店はたいてい売れ行きが悪い」との答え。


生地の展示会にお邪魔することも多い。

いろいろなアパレルが商談をしている。
今度はアパレルが生地を仕入れる側である。
「どの生地が売れ筋?」
あれあれ?どこかで見たような光景が・・・・・・・・・(・∀・)

売れ筋情報を収集することは非常に重要である。
問題は次の言葉。「売れ筋の1位から5位まで仕入れるよ」。
デジャビュ・・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ

以下リフレイン。


まるっきり同じことが繰り返されている。
念のために付け加える。きちんとコンセプトを持って、自社のブランドを考慮して、しっかり商品計画を立てる専門店やアパレルも少なからず存在する。
けれども、先ほどのような企業もかなりの割合で存在する。

最近では、展示会で「売れ筋上位ランキング商品」をPOPにして貼り出す企業もある。
以前にもご紹介した丸安毛糸なんかはそうだ。
以前に掲載した写真を再掲載する。

IMG_0319



(丸安毛糸の売れ筋ランキングPOP)


このPOPの効果は絶大で、売れ筋上位に受注は集中するそうである。

先ほどの「売れ筋集合体」を企画するような企業はとくに、物を自分で判断せずに、売れ筋情報に判断基準を委ねているということになる。

ここで「売れ筋上位ランキング」POPの活用法を提案したい。

いっそのことランキング内にこっそりと自社が売りたい商品も忍ばせておいてはどうか。

「売れ筋集合体」を志向するような先は、結局「売れ筋」という安心材料が欲しいだけだろうし、各社の売れ筋ばかりを集めたところで売れない。


ハリウッド映画の大半が「全米ナンバーワンヒット」を称するようなもので、生地や素材メーカー、アパレルメーカーだってこの程度のプロモーションの術策を使っても良いのではないか。


まあ、しかし、「売れ筋集合体」を志向する小売り店やアパレルの多いこと。

売れ筋のみを集めるということは、他社と同じ物だけを扱っているということになってしまう。
そこで同質化が起きる。
同質化すると必ず価格競争が起きる。同じ物なら安いに越したことはない。
350ミリリットルで100円のコカコーラと、350ミリリットルで120円のコカコーラがあればどちらで買うかは明白である。わざわざ120円のコカコーラを買う人はよほどの物好きであろう。


そんなわけで、展示会場での「売れ筋ランキング」POPはかなり有効に活用できますヨ。

アメリカ村復活のきっかけになるかな??

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 先日、東京から出張してきたデザイナーにアメリカ村で会った。
彼らの感想が面白かった。
「ダボダボのBボーイスタイルの人がたくさんいてびっくりした。あんなかっこうの人は東京ではほとんど見かけなくなりましたよ(笑)」。

ここでいうBボーイスタイルとはヒップホップ系のファッションを指しており、10年ほど前までは、ダボダボのパンツにダボダボのTシャツを着用するというのが定番だった。
しかし、トレンドがタイトシルエットに移るにつれて、そういう人たちは徐々に姿を消して行った。
今もヒップホップテイストを好む人はいるようだが、その昔に比べるとずいぶんとジャストサイズの服を着用するようになっている。

こういう背景があり、先ほどの感想につながる。
東京都心ではヒップホップ系ファッションの人自体が少なくなり、ごくまれに見かけたとしてもジャストサイズの服を着用していることが多い。

しかし、アメリカ村には希少種の往年のヒップホップスタイルの人が多数存在しており、東京から来た彼らの目を惹いたというわけである。

BlogPaint


(希少種のヒップホップスタイル)


昔は大阪のファッションの中心といわれたアメリカ村だが、今はそうではない。
何しろ全国的に絶滅したと思われている希少種が多数生き残っているほど、トレンドとは無縁の地域だ。

今は安物を叩き売るような店ばかりだし、まともなブランドはほとんど退店してしまった。
以前なら「タケオキクチ」「ボイコット」「無印良品」「ビームス」「ユナイテッドアローズ」「シップス」「アーバンリサーチ」「ディーゼル」というような錚々たるブランドがアメリカ村内に店舗を構えていたが、今では「アルマーニエクスチェンジ」「ラブレス」「アディダス」「アメリカンアパレル」「アグ」くらいだろうか。

その彼らだっていつまで店を構えているかはわからない。


で、ここからが本題なのだが、9月22日、デンマークの雑貨ショップ「タイガー」が1ヶ月強の休業から再オープンした。
この辺りのくだりは、日経トレンディの記事が詳しいのでそちらに譲りたい。

http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20120921/1043725/

「タイガー」というブランドは、アメリカ村内にオープンしたショップとしては、久しぶりの大ヒットブランドだと思う。
先年、ムートンブーツブランド「アグ」がオープンしたが、タイガーほどの大騒動にはならなかった。
タイガーの店舗運営は、日経トレンディの記事内でも指摘されているように商品供給に危うさが付きまとっている。しかし、アメリカ村でこれほどの成果を挙げたブランドは本当に久しぶりである。


オープン当日に行列ができるのは当たり前。
行列ができたからといって、その後も売れ行きが好調とは限らない。
そんな事例はここ数年掃いて捨てるほどある。そのうちにひっそりと閉店している。

だからオープン当日の「○○人が行列を作った」という記事は別に興味が無い。
タイガーは商品供給や、店内オペレーションのまずさがあったとはいえ、その後も行列が出来続けた。
そういう意味ではこの注目度は本物だろう。それがいつまで続くかはわからないけれども。


もしタイガーがこのまま成功すれば、アメリカ村にもう一度、ブランドショップがある程度戻ってくるのではないかと期待をしてしまう。

タイガーを起爆剤としてアメリカ村が再構成されることはありえるのだろうか。
注意深く眺めてみたい。

一過性のイベントではなく継続的な取り組みが必要

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 八王子のみやしんの廃業について、多くの方が意見を書かれている。
個人的にはみやしんについて知識を持ち合わせていないので、書きようがない。

これについては、奥田染工場のブログを読んでいただくのが一番だと思う。
ちょっと長文であるが、八王子の同業者として、製造業者としての衷心がにじみ出ている。

みやしんの廃業について思うこと 『いいものを作ることと儲かることはそもそも違う』について:ゆるゆるnotes
http://blog.okudaprint.com/2012-09/miyashin


また、台東デザイナーズビレッジの鈴木村長のブログもお薦めしたい。

八王子の工場見学
http://blog.livedoor.jp/tdv001/archives/54175898.html


産地製造業の廃業はこの八王子だけの問題ではなく、日本全国共通の問題となっている。
ファッション関連の人とお話しすると「デニムは世界的に有名ですから安泰ですよね」という言葉を聞くこともあるが、デニムの三備産地だって廃業はある。
児島の洗い加工場なんてずいぶん社数が減っている。いずれも倒産か廃業だ。

で、こうした状況がわかっているのかいないのか、アパレルブランドや百貨店などでは昨年あたりから「国産フェア」に類する催し物が増えた。
あえて催し物としたのは、売り場での物産展だけではなくイベントも含ませたいためである。


しかし、こうした一過性のイベントが産地復活の手助けになるとは思えない。
もちろん、やらないよりはましだが、その程度の効果しかないと思う。
そこには継続的な取り組みが求められる。
アパレルや百貨店が真に産地復興を望んでいるのなら、一回こっきり・その場限りのイベントで終わらせるのではなく、継続的に少量ではあってもその産地との取り引きを一定期間継続すべきである。


この部分については先ほどの鈴木村長のブログから引用させていただく。
自分の言いたいことが、ほぼそのまままとめられているからである。





みやしんの廃業について元アパレルトップで、現在小売業の方が書かれたブログ記事がありました。
その中に、工場で織り傷を見つけた部下を褒める記述がありました。

なるほどアパレルらしい、百貨店らしいと感じました。
織物の魅力や価値を認めるのではなくて、傷などの品質しかわからないのだ、と。

また、ファッションショーで生地を使うことが支援だとか、生地以外のコスト削減を提案していました。
それらも無いよりはあったほうがいいでしょう。

本来国内アパレルや百貨店がすべきことは、
そんな一過性のイベントや、小手先だけ対処療法ではなく、
織物を活かす企画をすること。
そのために工場にもっと出向く、理解する、協働する仕組みと社風を作ること。
織物や織物工場の価値や魅力をお客様に十二分に伝えること。
じゃないのでしょうか。



とのことである。

これまでアパレルやブランド側は、産地企業が表に出ることを極度に嫌がってきた。
近年その傾向はようやく崩れつつある。
ユニクロが自社のジーンズにカイハラのタグを付けて販売することはその典型例だろう。
しかし、多くの産地企業は往年の因習に今も囚われている。ダジャレではないがトラウマになっていると感じる。

いろいろな産地企業に、「取り引き先各社に、『貴ブランドでうちの生地が採用されています』と告知したいのですが、よろしいでしょうか?」と問い合わせてみたらどうかと提案するが、ほとんどの企業は「そんなことしたらブランドから叱られる」と答える。
その確率は体感的に7割を超えるのではないか。

けれどもブランド側の姿勢も随分と変わっており、打診をすれば4~5割の先は「いいですよ」と答えると考えている。


昨日、話していたら日本には生地ブランドが無いことに気が付いた。
人口に膾炙しているのは、西陣織だとか○○縮だとか、●●紬だとかほとんどが和装の生地である。
しかも地域ブランドであって、企業ブランドではない。


これまで産地の価値を伝えて来なかったアパレルやブランド側にも責任はあるが、過ぎたことを言っても仕方がない。今後はアパレル側も、そしてトラウマを乗り越えて産地側も情報発信をする必要がある。
ちょっと遅すぎる感じもするが、おそらくこの機会を逃せば国内産地のほとんどが無くなってしまうだろう。


生地作りも縫製もオートメーション化されてるわけではない

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 暑さ寒さも彼岸までというが、いやはや今年は彼岸でピタリと涼しくなった。
21日までの暑さが嘘のようである。

そんな中、22日まで4日間もJIAM(国際アパレルマシンショー)という展示会でブースのお手伝いをした。
何が展示されているかというと、ミシンとか裁断機とか、ハンガーだとかそういうアパレル製造に必要な機械のモロモロが展示されている。

ブースでお留守番をしたり、ときどき他のブースに取材に伺ったりして4日間を過ごした。

お邪魔したブースの中の一つにヤマトミシンがある。
今回いろいろと新製品を発表されていたのだが、その中から一つを紹介されたときに、「自分も含めて洋服の生産現場をどれほど想像できているのかなあ」と思い知らされた物がある。

それは熱圧着用の圧着機である。

防水ジャケットなどは通常針と糸では縫わない。
針の穴から水が浸入するからである。本格的な物は熱圧着されている。
糊(接着材)を熱で溶かして、生地と生地をくっつける。
その際、100度以上の熱で溶かすし、機材によっては蒸気も出す。
だから、その製造現場は、高熱が充満しており、オペレーターは汗だくで作業するとのことである。

今回のヤマトミシンの圧着機は全体的に高熱を出さずに、ほんの1か所だけが熱くなることで省電力のほか、部屋の中の温度上昇を抑えられるという。

この説明を聞いて、自分が「そんな苦労をすっかり忘れていた」ことに気が付かされた。
各製造現場の人たちはクーラーの効いた快適な状況で作業をしているのではない。
むしろ暑かったり寒かったりという厳しい環境で作業をされている。

何度も現場を拝見して知っていたはずなのに。

先日、福井でダナックスの合繊染色工場を見学させていただいた。
ほとんど自動化されており、人員はそれほど必要ないようだが、合繊は高温で染色する。
当然、工場の中はかなり高温である。ここで毎日作業するスタッフは冬は暖かいかもしれないが、夏は汗だくである。

これは生地を織ったり、編んだりする工場だって同じだ。
めちゃくちゃ暑い中で生地を織ったり編んだりしている。
湿度が高い方が糸が切れにくいとかで、かなり高温多湿な室温に調整しているところも少なくない。

こういう状況を目にすると、生地も服もけっして自動で作られているわけではないということを痛感する。
人が携わっているし、それもかなり厳しい環境下で作業をしている。
これを見たら消費者だって軽々しく「服は安かったらええやん」とは言えなくなるだろう。アパレルや商社、セレクトショップや百貨店の人間だって、「あと100円安くなりませんか?」とは軽々しく言えないだろう。

そもそも、アパレルの企画担当者は工場を見たことがあるのだろうか?

幸いにして普段交流させていただいている企画マンやデザイナーは、工場見学の好きな方が多い。

しかし、聞くところによると大手アパレルの企画担当者やデザイナーは工場を見たことが無い人も多いという。
だから彼らは「今すぐ新しい生地が織れませんか?」とか「来週までに縫製できませんか?」などと無茶を言う。
中には工場見学に誘うと「汚れるのがイヤ」とか「汚いから」と断る人もいるとか。

こんな人たちが企画やデザインをしているようでは、到底まともな物はできない。
他社の売れ筋の劣化コピーを思いつくのが関の山である。

自分たちが着飾ってキレイなオフィスで他社からパクって企画した商品を作ってくれているのは、彼らが嫌がる「汚い」場所なのである。彼ら・彼女らは、生地も縫製も完全オートメーションで作業されているとでも思っているのだろうか?
工場側の人間は作業はすべてロボットに任せて、自分らと同じように冷房の効いた快適なお部屋で機械の管理だけをしているとでも思っているのだろうか?


だからアパレルの企画の多くは、地に足のついてない浮ついた物で終わるのではないだろうか。





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