南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2012年07月

猛暑到来も在庫処理の意味合いが強いクールビズ商戦

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 梅雨明けしたのが7月16日ごろ。
少なくともこの時期まで今夏のクールビズ関連商品は不振だった。
7月20日付の繊研新聞には紳士シャツメーカー各社の動向をまとめた記事が掲載されているが、ネット上でクールビズ不振を伝えるニュースはあまり報道されていない。
なぜだろうか?まさかネットメディアが手心を加えたとは思えないのだが。

記事から引用すると

フレックスジャパンは、半袖を早期投入したこともあり、初回投入は順調だった。出荷のピークもゴールデンウイーっくから4月中旬に前倒しした。3~6月の出荷量は前年を超えたが、店頭の動きが鈍く、6月はリピートもなかった。半袖はセールでの在庫処分次第で、返品の増加も予想される。

とのことである。

また山喜も

ビジネス向け平場は前半戦は低調だった。6月までは半袖シャツの不振が目立つ。

とあり、東京シャツも

「強気で前年よりも2割増産した分、在庫コントロールをシビアにして9月まで全店(193店)での消化を徹底する」という。

これ以外でもクールビズ不振の声は聞こえてくる。
某メンズトータルブランドもクールビズ商戦の不振に頭を抱えているし、某低価格メーカーも保冷剤を首に巻きつける雑貨がさっぱり売れないという。
また某素材メーカーもクールビズ用に企画したチノ素材が昨年ほど動いていないと嘆く。

今回のクールビズが7月20日ごろまで不振だった要因として

1、昨年は特需だった。今年が平年並み
2、クールビズが提唱されて7年が過ぎ、ある程度のタンス在庫がある
3、7月の3連休まで比較的涼しかった
4、一部地域を除いて昨年夏ほどの節電が叫ばれなくなった
5、クールビズ商戦に多数のメーカーが新規参入して、購入先がバラけた


くらいが考えられるのではないか。

7月の3連休が過ぎてから猛暑が続いている。
今からクールビズ商品が動き出すことが予想される。しかし、バーゲン時期に突入しており、売れたとしても3~5割程度値引きされての販売であるため、利益が少なく在庫処理の域を出ない。

クールビズが最初に提案されたのは2005年だったと記憶している。
当時のブームもすごくて、半袖シャツの在庫がなくなってしまい、各メーカーは在庫の長袖シャツの袖をカットして販売したという逸話が残っている。
昨年はその当時と同じか、それ以上の盛り上がりを見せたが、やはり特需だったと見るべきだろう。

来年以降は、季節商材として一定量は必要とされるが、よほどの事態が無い限り2005年や2011年のような特需が生まれることはないと考えられる。
さんざんクールビズを特集で取り上げたメンズファッション雑誌各誌も今年は沈黙を守ったままだ。おそらく今後も沈黙を守り続けるに違いない。

もうブームはこないものと考えて、地に足のついた着実な販売計画で臨むべきである。

「高島屋が購入窓口となったユニフォーム」と呼ぶのが正しい

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 先日、今回のロンドンオリンピックの日本選手団の公式ユニフォームが高島屋だという発表を基に記事を書いたらものすごい反響だったのでいささか慌てふためく今日この頃。(((( ;゚д゚)))

オリンピックを誤変換すると「織りんピック」と出てきて、「これって生地メーカーとか産地組合が使いそうなコピーやなあ(もう使用済かもしれないけれど)」と思ったりもした。

単純に考えて百貨店である高島屋が洋服のデザインをする機能は持っておらず、「なんで高島屋に?」と疑問しか残らないのだが、先日、シナジープランニングの坂口昌章さんの発言をお読みしてなるほどと膝を打った。

「ユニフォームを百貨店に任せたのではなくて、百貨店を通して購入​するという商慣習なんです」

とのことである。

それとほぼ同時に、ブログの読者からお便りをいただいた。

件のユニフォームは、高島屋がデザインコンペを開いて、その結果決まったデザインであるとのこと。
坂口さんがおっしゃるように高島屋は単なるJOCの窓口だったということになる。
自前でデザイン機能を持たない百貨店は知り合いの複数の業者に声をかけてデザインコンペを開き、デザインを決定したということになる。ノ( ̄0 ̄;)\オー!!ノー!!!!

しかし、これなら「ユニフォームは高島屋」ではなく「ユニフォーム購入窓口は高島屋」ではないのか?
もしくは、「高島屋を通したデザインコンペで決定したユニフォーム」ではないのだろうか?

決してユニフォームを製造した方々の努力を否定しているのではない。
発表のやり方がおかしいのではないかということである。

さらに言うなら、先日も書いたように、欧米諸国では自国のデザイナーもしくはアパレルブランドにユニフォームデザインを発注している。
出来栄えがどうこうという部分もさることながら、自国のファッション産業の知名度を高めるための一つの手法である。
そのデザイナーやアパレルブランドを選定するまでがいろいろと苦労があるのだとは思うが、百貨店が購入窓口という締まらない結果を全世界に報道するよりは、よほど骨の折り甲斐があるのではないだろうか。


国内のキチっとしたデザイナーズブランドやアパレルブランドを起用すべきだという思いは今も変わらない。


JOCのおえらいさんが、デザイナーズブランドやアパレルを知らないのだったら、知名度の高いユニクロでも無印良品でも構わないのではないか。
世界に与える印象は「百貨店を通じた購入」よりもよほどマシである。


失われ続ける糸・生地の知識

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 素材のことは奥が深いことを思い知らされた。
先日、糸メーカーの65歳になるベテランの方にお話を伺う機会があった。
この方は現在嘱託なのだが、糸のこと、生地のことをよくご存知である。

不勉強な筆者は知らなかったが、綿と麻とウールでは糸の太さを表す番手が同じでも、実際の糸の太さはそれぞれ違う。それを換算する公式がある。

例えば綿糸の1番手は
ウールでは1×1.693365となる。
麻では1×2.80001

またウールの1番手は
綿では1×0.5905413
麻では1×1.65352

となる。

麻の1番手は
綿では1×0.357142
ウールでは1×0.604772

となる。

だから綿の20番手糸をウール番手に変更すると
20×1.693365=33.9番手 となる。


こんな初歩的なことすら筆者は知らなかったのだが、ベテランはここから派生して生地を構成するための数式をビッシリと暗記して普段の業務に活用しておられる。
しかし、こうした知識は、件の糸メーカーのスタッフにしろ、その糸を使う織布メーカーにしろどんどんと失われているという。

ベテランの言葉で印象的だったのが
「日本はこういうきっちりとした公式を積み重ねて糸、生地を開発してきた。それらの知識が無くなってしまえば人件費の安いアジア諸国にやられてしまう。日本人は、もう一度知識を身に着けなおす必要がある」
というものだ。

同席していたデニム生地メーカーの部長によると、織布メーカーといえども最近の現場担当者は感覚で商談してきて、製造設定は機械任せだという。
ブランド側は当然、織布メーカーよりも糸メーカーよりも知識が無いから無責任な発注を行う。
例えば「経7・2番手×緯6・8番手で織ったデニムを作ってよ」というふうにである。
この場合は、デニムなので経緯ともに綿糸である。

織布メーカーの現場担当者は馬鹿正直に7・2番手と6・8番手の糸を用意しようとするが、これなどは経緯ともに7番手を使ってしまえば良い。0・2番手の違いなど本来は誰に分からない。
そもそもブランド側も0・2番手の違いを分かって発注しているとは到底思えない。

今、繊維産業に飛び込む若者は、親の事業継承を除くと、相当に衣料品や繊維・生地が好きなはずである。
「好きこそ物の上手」というくらいなので、当然、ファッションに関する知識や感度、関心も高いだろう。
興味の無い人がファッションに関する知識や感度を磨くことは大変だが、逆はそれほど難しいことではない。
感度の高い人が数式や公式を覚えることは比較的容易だろう。要は本人のやる気次第ではないか。

ファッションに感度の高い人が、数式や公式を覚えれば鬼に金棒なのだが・・・・・・。






「コト」への取り組みで存在感を増すベティスミス

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 ジーンズ専業メーカーの中では、ベティスミスの独自路線が光り始めている。

ジーンズ専業メーカー各社は、減産に次ぐ減産を繰り返しており、ライトオンなどの大型チェーン店の壁面をがっちりと抑えているエドウイン、ブランドの高い知名度があるリーバイスの2つは何とかかつての隆盛の一端を偲ぶことができるが、その他は新しい方向性を模索したままである。

ジョンブルのようにトータルブランド化したり、ドミンゴのように従来ラインをパンツ専門ブランドにし、新たにトータルラインを立ち上げるという取り組みをする企業もある。

ジーンズ専業メーカーの中では比較的地味な存在だったベティスミスだが、雑貨への取り組みがヒットを生みつつある。

予想の20倍の売れ行き 山陽新幹線限定のデニムバッグ大人気
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120411/rls12041121000002-n1.htm

JR西日本が昨年10月から新大阪-博多駅の山陽新幹線車内限定で販売を始めたデニムバッグが人気を集め、好調な売れ行きが止まらない。国産ジーンズの発祥地・岡山県倉敷市児島産の限定品で、第1弾商品のウエストバッグは約1カ月で1500個が完売した。

 第2弾のトートバッグも次々と売れ、JR西は「予想をはるかに上回る売れ行き」と驚く。第3弾商品も開発中で、児島の魅力発信をさらに加速させる。

 地域の特産品に触れ、ジーンズの聖地に来てもらおうと、児島地区のジーンズメーカー「ベティスミス」と協力し、昨年10月20日から車内限定商品としてウエストバッグ(2500円)を発売した。

 すると、「半年間で500個」の予想を大幅に上回り、約1カ月で1500個が完売。生産が追いつかないため販売を打ち切った。JR西の担当者は「予想の20倍といえるレベルだった」という。


とのことである。

三陽新幹線の車内販売限定のデニムバッグが、予想の20倍も売れており、現在は第4弾モデルを開発中だという。
またこの新幹線限定バッグに先駆けて、高速道路の各サービスエリアにもデニムバッグやデニムの小物入れ、Tシャツ類などを販売しており、雑貨類を強化したことによって、ベティスミスの知名度は徐々に高まりつつある。

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(サービスエリアで販売されているベティスミスの商品群)



先日、児島を訪れた際に、久しぶりにベティスミスの大島康弘社長にお会いすることができた。
電話やメールでは断続的にやりとりさせていただいているものの、実際に拝顔したのは3年ぶりくらいになる。

今回お会いできたので、新幹線デニムバッグやサービスエリアでの雑貨類販売について尋ねてみた。

「新幹線限定バッグやサービスエリアでの販売は社長のアイデアですか?」

大島社長は素朴な方なので「違うよ。いろんな先からいただいた話の中に含まれていたもの。我々が思いついたアイデアではない」と誠実に答えていただいた。
しかし、新しい話を持ち込まれてもなかなか腰を上げないブランドが多い中で、疑念を感じながらも挑戦する姿勢は大いに評価できるのではないだろうか。

大島社長はこうも付け加えた。「新幹線バッグがそんなに売れるなら、いっそのこと取り引き先全部に卸売りすればええじゃないかと思ったが、やっぱり結果的に限定品にして正解だった」と。
傍から見ていると岡目八目というやつで、限定品は「限定」だからこそ効果があり、どこででも購入できる商品ならわざわざ新幹線内で買う必要もないことくらいすぐに分かる。

けれども当事者となるとやはりその辺りは大いに迷うものらしい。

ジーンズ専業メーカーは打開策を衣料品に求めることが多い。
大雑把に言うと「さらなる高価格商品の開発」や「トータルアイテム化」や「新ラインの開発」などである。
しかし、ベティスミスのように雑貨類と売り場の変更に活路を見出すやり方が効果的ではないかとも思う。

ベティスミスの本社横には自社が建設した「ジーンズ博物館」がある。
オープンしてからもう10年になる。
今では年間に3万人~4万人の来館者がある。
単に過去のジーンズを展示しているだけではなく、リベット打ちや中古加工などを無料で体験できる。
本社には小規模な縫製工場もあり見学もできるし、在庫のアウトレット販売コーナーもある。

正直、デザインや内装が垢ぬけているとは思えないが、総合的な取り組みで着実に訪問者を増やしている。

この博物館は大島邦雄会長の着想で建設されたものだが、オープン当初筆者は「何という酔狂な取り組みだろうか」と感じていた。
それでも10年間続けてきた効果が表れ始めている。継続は力なりを思い知らされる。


「ジーンズ」という「モノ」だけを販売したり卸売りするのではなく、「博物館の展示」や「ジーンズ製造無料体験」「新幹線限定商品」などの「コト」を組み合わせた手法は他の衣料品業界も大いに参考にできるのではないだろうか。

低調な7月度売上速報

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 7月の商況であまり良い話を聞かない。

恒例のライトオンとジーンズメイトの7月度売上速報が発表された。

ライトオンは

既存店売上高が前年比7・2%減
既存店客数が同9.4%減
既存店客単価が同2・3%増


だった。

ジーンズメイトは

既存店売上高が前年比9・5%減
既存店客数が同14・2%減
既存店客単価が同5・5%増


だった。


6月度まではそれなりに堅調だったライトオンも7月度は厳しかったようだ。
ジーンズメイトの客数減は継続中である。

今夏のセール分散化はほとんどの店舗に良い影響をもたらさなかった。
都合1ヶ月間にも渡って散発的に各商業施設がセールに突入してしまい、まとめ買いやついで買いが無くなっていると推測される。
消費者は目当てのブランドだけしか買っていない。

ある小規模アパレルによると「消費者は店に足を運ぶことすらしていない場合もある」という。
こんな状況にありながら、来年冬のセールもルミネと三越伊勢丹は遅らせると言っているのだから、正月の初売りも盛り上がりに欠ける結果になるだろう。





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