南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2012年02月

JR大阪三越伊勢丹の不振は、どっちつかずの品ぞろえが原因では?

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 今日は2月29日。
4年に一度しかない珍しい日である。
などと書き出してみた。


最近、話題に上ることがめっきり少ないJR大阪三越伊勢丹。
あまりに業績が良くないため、話題にするのもはばかられるのだろうか。

業績不振の原因として業界紙、一般紙ともに「伊勢丹流のディスプレイが理解されなかった」としている。
一応、これが伊勢丹側の公式見解なのだろう。

しかし、個人的にはこれは違うと感じている。
以下私見になるので、あたっている部分もあろうが、外れている部分もあるだろう。

「伊勢丹流のディスプレイ」が理解されないのは、何も大阪に限ったことではない。
新宿以外の店舗では理解されていない。そうでなければ、小倉と吉祥寺は撤退する必要がなかったし、京都店は初年度苦戦しなかったはずである。


一つにはJR大阪三越伊勢丹の苦戦の原因は人気ブランドが集められなかったことだろう。
徒歩数分の場所に大丸梅田店、阪急梅田という二大百貨店が隣接している。
大丸と阪急両方に出店しているブランドは数多くあるが、じゃあ、そのブランドが「さらに伊勢丹にも」ということになるだろうか?こんな近接した場所で3店舗同時に出店するブランドは数少ないだろう。

「大丸と阪急が圧力云々」という噂を聞くことがあるが、圧力をどうこうするより以前に、徒歩数分圏内に3店舗目をオープンしたがるブランドはそれほど多くはないはずである。

次に、大阪で「三越」と言えば、北浜にあった三越を思い出す消費者は多い。
北浜の三越を愛用していた消費者というと今は65歳以上である。
JR大阪三越伊勢丹の内覧会にも出席した。
その当日、業界関係者とマスコミ以外に、一般の上得意顧客も多数招待されていた。
これは推測だが、おそらく、北浜三越で保管されていた顧客名簿を使ったのだろう。
上得意客の多くが65歳以上と見える老年層だった。


完成したJR大阪三越伊勢丹の内部を見ると、若い層にとってはコンサバすぎるし、
旧北浜三越の顧客である65歳以上にとっては若すぎる。



隣に同じJR西日本グループのファッションビル「ルクア」があり、こちらは20代~40代までをターゲットとして、若い層に人気のあるブランドを集めている。
そのため、三越伊勢丹がトレンドブランドを集めても仕方がない。

ややコンサバ寄りのブランド集積となるのは自然の成り行きである。
しかし、旧北浜三越の上得意客には「若すぎる、トレンドすぎる」品ぞろえとなってしまった印象がある。
極言すればJR大阪三越伊勢丹の品ぞろえは、若向きでも老年向きでもないどっちつかずのブランドを集積したものであると感じる。

どっちつかずの品ぞろえは、当然、どっちの層からも相手にされない。
JR大阪三越伊勢丹の苦戦はそういうことではないだろうか。


さて、じゃあ、結果論だが、
旧北浜三越の顧客名簿を基に販促活動を行うのであれば、もっと老年向きの品ぞろえにしても良かったのではないだろうか。
繰り返すがあくまでも結果論である。


東京の大森に老年向け商品を集積して大成功をおさめているダイシン百貨店がある。
シルバー向けブランドのみを扱っており、近隣の老人はこぞって買い物をするという。
また三越日本橋店も富裕な老年層の顧客が多い。
お盆前に行くと、「回り灯篭」が催事場で販売されていることがある。

JR大阪三越伊勢丹は、ここまで老年層に特化しても良かったのではないか?

もうすぐ開業1年である。
次年度以降に向けて大幅にテコ入れを考えているはずだ。
「人気のトレンドブランドを集積して」とか「伊勢丹流のファッションをさらに純化させて」とか考えているならおそらく失敗するだろう。

個人的には、催事場で「回り灯篭」を販売するくらいの決断が必要なのではないかと思う。





高野口産地は「エコファー」ブームに便乗してしまえ

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 最近欧米からのインポートブランドの展示会で、フェイクファーを使っているアイテムをよく目にする。

一つには原皮の価格が上がっているのかもしれないし、そのほかには欧米で動物愛護の機運が高まっているからかもしれない。もしくはその両方なのだろうか。

リアルファー使いを見かけることが少なくなってきたように感じる。

もっともファッショナブルな分野は苦手な筆者なので、インポートブランドと言ってもそれほど高級・ハイセンスなブランドの展示会にお呼ばれすることは少ない。
もう少しデイリーユースなカジュアルブランドが多いのだが、価格帯で言えば、それでもユニクロを遥かに超える価格帯である。
フェイクファーのブルゾンでだいたい2万円~5万円というブランドが多い。


マルシェ交流会 005

マルシェ交流会 006

マルシェ交流会 007


(フェイクファー、否「エコファー」使いブルゾンあれこれ)






そういう状況で、筆者は「これは高野口産地のチャーーーンスやんか」とほくそ笑んでいる。
うむ。展示会に気味が悪いオッサンが紛れ込んでいるようだ。


ご存知の方も多いが、和歌山県の高野山のふもとにある産地を「高野口産地」という。
毛足の長い織物・編物を得意としており、総称して「カットパイル」という。
カットパイルの一つにフェイクファーが含まれている。

国内産地のご多聞にもれず、高野口産地のフェイクファーは価格が高い。
ロットにもよるだろうが、1メートルで最低でも1500円はする。
しかし、面白い物が数多くある。

見た目が本物そっくりに再現されているフェイクファーや、ウール100%やアルパカなどの獣毛を使っているフェイクファー、逆にリアルファーではありえないようなビビッドなカラーリングのフェイクファー、先日このブログでもお伝えした発熱素材を使った機能性フェイクファーなど多彩である。


昨今、欧米では動物愛護運動の高まりから、高級ブランドがわざとフェイクファーを使用する例が増えつつある。
「フェイク」ではニセモノ臭いので、そういう場合は「エコファー」と名乗っていることが多い。


筆者が高野口産地に提案したいのは「この機運に便乗してしまえっ!」である。

筆者が見る限り、欧米ブランドで使用されているフェイクファーは手触り・見た目ともにチープ感を克服できていない印象がある。生地の値段は欧米ブランドが使用している方が安いのだろうが、高野口産地の素材の方が手触り・見た目ともに圧勝しているケースが多い。

高野口産地にネックがあるなら「価格が高い」ところだろうか。



その高価格をある程度吸収できるような高級ブランドに売り込めばどうかと思う。
しかし、往々にして高級ブランドも価格にシビアだったりするので、生半可なことでは突破できないのかもしれない。


しかし、筆者はこの機運を利用しないのはもったいないと思うのだ。
まさに「モッタイナイ」の思想である。


で、こういうことは待っていてもブームは起きないし、生地の買い付けも生まれない。
自らが動いて仕掛ける必要がある。

ついでにいうと、ファーを使ったアイテムは毎年一定量は流通するが、ファーブームというのは何年かに一度しか来ない。今を逃すと、ブームは何年後に来るかわからない。
便乗しない手はない。


高野口産地の皆さんには迅速に、そして苛烈に激烈に仕掛けてもらいたいと願う次第である。





和柄は着物への導入となりえるのか?

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 今日は軽い感想などを。

先日、京都で軽い食事会をした。
その席上で着物についての話題となったのだが、さらに話が進み、「和柄の洋服は着物の入り口になりえるか?」というテーマになった。
なにぶん、酩酊していたので明確な結論は出ずに、グダグダな方向へと進んで終わった。
ありがちな展開である。


それはさておき。


通常、アパレルでは「和柄の洋服」というジャンルは主流ではない。
どちらかというと傍流だったりイロモノだったりという扱いである。
一口に「和柄」と言っても、和風モチーフのグラフィックをワンポイント使いにとどめているものから、
「遠山の金さん」の入れ墨よろしく、全身を覆っているものまである。

ワンポイント使いにとどめているものは、他のテイストの洋服とも合わせやすいし、これはこれでありだろうと思う。
一応、伝統的な日本の柄をモチーフとしているので、自国の文化と洋装文化を上手くマッチングさせたとも言える。

問題は、入れ墨よろしく全身を覆うタイプのモノである。
入れ墨といっても昨今流行している「タトゥー」なるお洒落なものではない。
銭湯では入浴を断られるタイプのものである。




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(見事な鯉)







もちろんこちらも日本伝統の柄をモチーフとしており、和と洋の融合と言えなくもないのだが、着用者は特定層に限られているように感じる。



全身を覆うタイプの和柄アイテムには、
「不良少年が愛用するもの」というイメージがつきまとっているように感じる。
しかも都心ではなく郊外の。

正直、このタイプのものは大衆に広がるとは思えない。

ためしにインターネットで検索してみると、さまざまなブランド(?)、メーカー(?)のものが数多く出てくる。
メジャーなブランドはあまり存在せず、アパレル業界的には無名に近い小ブランドが乱立している印象である。
大衆には広がりにくいが、特定のコアな固定客がそれなりに存在しているということだろう。


先日の席上でライターの方が「女性の和柄キャミソール」の話題を俎上に乗せられた。
そういえば、和柄談義はここから始まったのだった。
いくつか、インターネットの画面で和柄キャミソールを拝見したが、龍とか般若とか虎とかドぎつい物のでなければ、それなりにコーディネイトのアクセントとなりそうである。
もっとも女性向けなので、ドぎつい柄は存在せず、草花をモチーフとしたものが主流だった。


まあ、結論としては、般若とか明王とか虎などのイカツイ柄でなく、柄の大きさもワンポイント程度にとどめてあるものならある程度の大衆が購入する可能性はあると思う。
また、柄だけとはいえ「和」に親しませることによって、本格的な和装へと誘導することも不可能ではないように思う。

そういえば、もともとハワイのアロハシャツも和柄からスタートしたと聞いている。

アロハシャツや現在の和柄洋服のように、和を洋装に反映させても良いと思うし、
以前に提唱した洋装向けの生地で着物を作っても良いと思う。

さらに言えば、和と洋を折衷した着こなしでも構わないと思う。
ちょうど、明治から昭和初期にかけてのスタイルを思い浮かべてもらいたい。長袖Tシャツの上から着物を着て、ブーツや革靴を穿き、ハンチングやキャスケットを被ったようなコーディネイトである。


ただ、やっぱり、「遠山の金さん」の入れ墨のように全身を覆う和柄アイテムの利用はちょっとご遠慮申し上げたい。

ジーンズは今後編物が主体になる?

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 ぼちぼちと展示会を廻っているが、ブルージーンズは相も変わらず苦戦中である。
レディースは言わずもがなだが、メンズも大部分は低調だ。
じゃあ、何が売れているのかというと、レディースはレギンス、ショートパンツ、スカート、ワンピースあたり。
メンズだとチノパン、カーゴパンツ、オリーブグリーンやマスタード色のタイトフィットカラーパンツなどであり、昨年春夏や一昨年春夏とあまり変わり映えしない。


ジーンズブランドだと、レディースはレギンスとジーンズの中間形態である「デギンス」と呼ばれる商品がいまだに好調だという。
見た目はスキニージーンズっぽいが、実際は厚手のレギンスのような生地である。
いわゆる編物である。

ガス 003
 


(ガスジーンズのレディース向けデギンス)



で、ここから思考が飛躍するのだが、
先日、エドウインがジャージ素材のジーンズを発表した。
昨年秋口にはディーゼルも同じジャンルの商品を発売している。

これらはインディゴ色の糸で編んだジャージパンツに洗い加工を施して、従来のジーンズに見える商品である。

織物よりも編物の方がストレッチ性があり、動きやすいし肌触りも良い。

従来型のブルージーンズが不調なのは、凹凸感のあるザラザラとした生地の触感だとか、ストレッチ性が低く固いデニム生地の履き心地だとかが若い層に敬遠されているのではないかとも感じる。

だからこそ、レディースは「デギンス」が売れ、エドウインやディーゼルからはデニム風のジャージパンツが発売されるのだろう。
某インポート業者によると、ディーゼルのデニムジャージは好調らしく「いくら在庫があってもどんどん売れて行く」という状態らしい。

JERSEY~1


(エドウインのジャージデニム)



人間は、一旦、「楽さ(たのしさではなく、ラクさ)」を覚えると、そこに安住してしまう。

デギンスも含めてジャージ素材のデニムがどんどん発売されれば、ますます従来型の織物のジーンズは売れなくなるのではないだろうか。

将来、いつの間にやら、織物のジーンズは絶滅してしまいデニム風ジャージだけが生き残っているというようなことになるかもしれない。


織物のデニムを使った「ブルージーンズ」というアイテムに転換期が訪れた気がしないでもない。
というのは考えすぎだろうか。

地力が高まったライトオン

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 恒例のライトオンとジーンズメイトの2月度売上速報が発表されたのでまとめる。

ライトオンは
既存店売上高が前年比10・9%増
既存店客数が同11・2%増
既存店客単価が同0・3%減



ジーンズメイトは
既存店売上高が前年比11・2%減
既存店客数が同21・8%減
既存店客単価が同13・7%増


だった。

ライトオンの数字で特筆すべきは、やはり既存店客数の増加だろう。

もともと流通小売り業では「ニッパチ」という言葉があるくらい、2月と8月は販売力の落ちる月である。
とくにセールが早まってからは、冬は1月10日ごろまで、夏は7月半ばまでで完全に消費が止まる。
1月半ばから2月末まで小売り店は非常に寂しい売上高で耐え忍ばねばならない。

「春物を早く立ち上げれば良い」という処方箋を提案する方もいらっしゃるが、これはブランド力によって大きく成否が左右される。
ステイタス性の高いブランドなら、「体感気温に左右されない」顧客がそれなりに付いているが、
ステイタス性が低く、デイリーユース的なブランドであるなら顧客の大部分は体感温度に左右される。

デイリーユースブランドの多くの顧客は
「寒くなったから防寒を買う」「暑くなったから半袖を買う」という人が多い。
したがって1月末や2月頭に春物や夏物を立ち上げたとしても「見てる方が寒なるわ~」という一言で片づけられてしまう。


筆者は以前、イズミヤの子会社で、量販店内でテナントショップを展開する会社で販売員をしていたことがあるのだが、1月20日ごろに冬物をすべて引き上げて、春夏物に切り替えたことがある。
その際、自店の売上高が激減した。
もっとも寒さの厳しいときに、春夏物ばかりになった店頭に、お客は興味を示さなかった。

これが量販店のテナントではなく、ステイタス性のそこそこに高いブランドショップなら話は変わっていたのかもしれない。
しかし、量販店でデイリーユースなカジュアルを買う消費者は、体感温度に大きく左右されることを痛感した。


さて、このもっとも売れない2月に、客数を伸ばしているライトオンはまさに回復傾向が顕著であり、その地力の高さが証明されたのではないだろうか。
ちなみに昨年の2月度も既存店売上高は前年比3・4%増、既存店客数は同1・2%減だから、
苦戦した一昨年よりも着実に実績を回復させている。


消費者のライトオン支持はますます強まっていると感じられる。
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