南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2011年12月

機能性素材に見た目と触感が加わった

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 今日で2011年が終わるのだが、日本の生地メーカーでもっとも注目度が高い分野は機能性素材であろう。

業界外の方に「機能性素材」と言っても、「何やそれ?」と思われるだろうが、涼しいとか、暖かいとか、すぐ乾くとかそういう類の生地である。

おなじみのユニクロだと、ドライとかヒートテックとか防風ジーンズだとかそういう商品だ。

この直接的な機能だけでなく、肌触りが素晴らしく良いとか、見た目が今までにない変化をする、という素材も「機能性」を謳って開発を続ける生地メーカーもある。

先日、日清紡テキスタイルでレーヨン綿混のソフト&ハイパーストレッチデニム素材を見せていただいた。
通常のレーヨンデニムと似たソフトな肌触りでありながら、レギンス並みの強力ストレッチ性があるというもので、アメリカ西海岸の某プレミアムジーンズブランドに採用されている。
日清紡や輸出に携わる総合商社によると「西海岸のプレミアムブランド向けのソフト&ハイパーストレッチデニムは、ほぼ独壇場」だという。

日本の生地開発もまだまだ可能性を秘めていると思えてくる。


そういえば、先日、高野口産地の岡田織物で、新素材として、発熱するファーを見せていただいた。
太陽光を吸収して衣服内温度を2度~8度高める機能があるという。
三菱レイヨンの開発した「コアブリッドサーモキャッチ」という糸を使って作ったファーである。
肌触りも「もふもふ」と毛足が長く気持ち良いし、カラー展開も数色以上ある。

ご興味のある方はこちらに詳しい説明がある。

http://okadatx.shop-pro.jp/?mode=f20

これまでの機能性素材は、とかく「機能」が優先され、見た目や肌触りなどは二の次とされてきた印象がある。
しかし、日清紡のソフトハイパーストレッチもこの発熱ファーも、見た目と肌触りとを両立させている。

機能を開発するのは日本メーカーに一日の長がある。
ここに見た目と触感を加味すれば、活路はまだまだ開けるはずである。

来年も日本の生地メーカーに期待したい。

三越伊勢丹が夏セールの7月後半開始を検討

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 さて、福袋なのだが、今年はクリスマス明けから販売する店が出現した。
また別の店では、12月31日から販売するという。

これならいっそのこと、通年で福袋を販売すれば良いと思うのだが、それだけ在庫が余っているのだろう。

今年は、3月の東日本大震災があり、繊維アパレル業界にとってもなかなか厳しい年だった。
震災の影響もあり、今年は6月16日から夏セールが始まった。
これまで、セールはずっと早期化が進行してきたが、6月半ばという日程は異例に早い。

もっとも、6月下旬から「プレセール」が半ば堂々と開始されていたので、実際はあまり変わらないのかもしれないのだが。

一方、冬のセールも年々早期化していたが、現在は、量販店型ショッピングモールが元旦から、百貨店・ファッションビルが1月2日からと、もうこれ以上の早期化は不可能である。
その苦肉の策として、12月10日過ぎからの「プレセール」「フライングセール」「シークレットセール」などが活発化してきた。

今回の「福袋の年内販売開始」はセール早期化の一つの新しい形態だと感じる。
新しい形態だが、これについてはまったく賛同できないのであるが。

そうした中、12月21日の繊研新聞の1面に
「夏セール、7月後半へ」という記事が掲載されている。

これは、三越伊勢丹の大西洋社長のインタビューである。
「盛夏物の需要ピークにクリアランスをして、販売機会を自分たちで失わせている」と指摘。
そこで2012年の夏セールを7月後半~8月に実施する検討を始めた。
という。


その心意気には賛同するが、これはまだ「検討を始めた」段階である。
もし、実際に7月後半からセールを開始した場合、2012年の7月販売状況は間違いなく、前年実績を割ると予想する。
これに、経営陣が耐えられるかどうかである。
百貨店に限らずだが、日本の小売り・流通業は前年実績主義に囚われている。
これを断ち切らないとセール時期をずらすという施策は難しい。
2012年7月の状況を見て、「やっぱり背に腹は代えられないよねえ」と言って、
2013年から「セールは7月1日に戻します」と宣言する可能性は非常に高いと思う。



そんなわけで「検討が終わった」後の三越伊勢丹の発表を待ちたい。

セール用・福袋用にも製品が製造されている

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 この間までクリスマスでにぎわっていたが、もうすぐ正月である。
先日、アウトレットには「アウトレット用商品が製造されて並べられている」と書いたが、もちろん、セールにも「セール用商品」が製造され、福袋には「福袋用商品」が製造されて並べられていることをお伝えしたい。

アウトレットに「アウトレット用商品」が製造されて並べられるのは、悪いことばかりではない。
アウトレットといえども商品が足りなくなることがあり、その場合、店頭のスペースを埋めるためには新しい商材を製造してならべるほかない。
これはセールについても福袋についても同じことが言える。

しかし、である。

アウトレット用に製造された商品の方が構成比率が高いというのはいかがなものか。
もちろん、セールについても福袋についても同じだ。
セール用に作られた商材は、店頭販売価格に応じた原価設定で作られている。

なんだか、手段と目的が逆転してしまっているのではないか。

もっとも、セール用に製造された商品は、アウトレットと同様に値札が異なるので店頭で見分けることは難しいことではない。
気を付けて商品を選んでもらいたい。

福袋には値札が付いていないから、これは判別することは難しい。
ただ、自店に多数の在庫を抱えるブランドやショップは、実際にその在庫を福袋に詰めている。
逆に、自店が売れに売れている場合は、福袋用の商品が製造されている。

それにしても、福袋用商品というものは、だれも得をしていない。
製造業者は安い商品を作らされ、出荷させられている。売る方だって決して儲かっていない。
販売店の従業員はヘトヘトになる。
「消費者は儲かってるじゃないか」という声が聞こえてきそうだが、消費者だって必要以上の数量を所有するハメになり、保管場所を確保するのに難渋する。
ネットオークションで上手く売れれば儲かるのかもしれないが、それとても面倒な手続きを行わなくてはならない。


ここ数年ですっかりと正月の風物詩となった「セール」と「福袋」だが、衣料品業界には問題点が山積している。



ローカルトレンド、大いに結構じゃないか

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 先日、ナイキの人気スニーカー、エアジョーダンの入手を巡って米国で暴動が起きたというニュースを聞いて驚いた。


「エアジョーダン」新製品に客殺到し米各地で騒動、発砲も
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111224-00000012-cnn-int


日本では95~96年の「エアマックス95追剥事件」を最後に、
スニーカーを巡る大規模な事件は起きていない。


95年にナイキから発売された「エアマックス95」があまりの人気のため、入手困難となり、偽物が出回ったり、法外な価格で取り引きされたりと様々な事件が起きた。
その極めつけの事件の一つが「追剥事件」である。
不良グループがエアマックス95の着用者に暴行を働き、着用していたそれを奪って逃げるという事件が多発した。
知り合いの少年事件関連雑誌の編集長は、当時、「スニーカー人気が現代に追剥を蘇らせたか」と驚きを隠せない様子だった。

しかし、それ以降、日本ではハイテクスニーカー人気は沈静化し、目立った事件は起きていないほど秩序ある消費行動が保たれている。
現在でも一部に人気商品はあるものの、95年当時の過熱ぶりには遠く及ばない。


けれどもアメリカは違ったようだ。
ハイテクスニーカーへの人気は根強かったようだ。
そして、スーパースター、マイケル・ジョーダンへの人気も日本とは比べ物にならないほど定着しているようだ。


さて、「トレンドのグローバル化」とか「日本のローカルトレンドは捨ててグローバルトレンドを見ろ」という主張が国内のアパレル業界にはある。
しかし、この主張には疑問を感じる。

その一例がエアジョーダンである。
日本ではそこまで人気ではないが、米国では暴動が起きるほどの人気。
世界各国の情報を網羅していないので恐縮だが、おそらくヨーロッパでも中国でもそこまでの人気ではないのではないだろうか?
これはアメリカ限定のブームといえる。
ということは、アメリカのローカルトレンドではないか。

ナイキ本社は、当然、このエアジョーダンを日欧よりも米国に多く販売するだろう。
もっと言うなら、ハイテクスニーカーはいまだにアメリカで人気のファッションアイテムである。
しかし、日本や欧州ではそこまでの人気ではない。日本だと今、ハイテクスニーカーはファッション用というよりもマラソン用やジョギング用、トレッキング用などのギア需要の方が多いと感じる。
この「ハイテクスニーカー人気」もアメリカ特有の「ローカルトレンド」であろう。

国々での嗜好や好みは様々であるから、
中国にもヨーロッパにもそれぞれ「ローカルトレンド」がある。
その「ローカルトレンド」を上手くキャッチして流通させることがアパレル・ファッション産業の一つの役割である。
当然、日本にも「ローカルトレンド」が存在する。

中国やヨーロッパ、アメリカに「ローカルトレンドを捨てろ」と言わずに、なぜ自国に「ローカルトレンドを捨てろ」と声高に叫ぶ必要があるのか皆目わからない。
別に日本女性がモード系の服装よりもナチュラル系の服装を好んでも構わない。それは好き嫌いの問題であり正誤の問題ではない。


彼らが中国やヨーロッパ、アメリカをメインとして商売するなら日本のローカルトレンドを持ちこむべきではないが、日本をメインに活動する人々が、日本人に「ローカルトレンドを捨てろ」と主張するのは噴飯物でしかない。












アドヴェンチャーグループの凄さ

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 先日、アドヴェンチャーグループの大阪展示会にお邪魔した。
繊維アパレル業界にいながら、ほんの3カ月ほど前までアドヴェンチャーグループを存知あげなかった。

その存在を知ったきっかけはいつものように
HAKATA PARIS NEWYORK
のブログであった。

アドヴェンチャーグループは福岡を拠点にする低価格レディースアパレルで、
レディースカジュアルウエア全般と傘、靴、ストール、マフラー、インテリア小物まで幅広く展開する。
グループ全体の2011年5月期売上高は215億円であるという。

繊維アパレル業界でも規模の割に、一部の方を除いてあまり知名度がないのだが、
販売先は多岐に渡っており、ほとんどのレディース売り場に商品が入っている。
同社のタグをそのまま仕入れる場合と、商品はそのままでタグだけ相手方ブランドに付け替える場合がある。
同社の商品をそのまま仕入れているのは、スーパーマーケット系の量販店全般であり、
タグを付け替えて導入しているのは、元DCブランドで現在SPAに転換したブランドや、元ニットアパレルでSPAに転換したブランド、石津さんの頃のVANと並び称された後にSPAに転換したブランド、などを筆頭に多数である。


この会社の概略をいろいろとご説明いただいたのだが、驚くことばかりであった。

まず、全社員が300人在籍するのだが、そのうち80人がデザイナーであること。
昨今、企画を外注に丸投げするのが当然のような風潮があるが、同社はあくまでも「企画が命」としてデザイナーを採用し続けている。昨年まで70人だったが、今年4月に10人新規採用して80人になったということである。

他社の店頭製品や、ストリートスナップの画像をメール転送して、「これと同じのを作ってくださーい」と指示するだけのブランドとは雲泥の差である。

また、製造は中国とインドの協力工場で行われる。これだけなら普通だが、取り組んできた年月がすごい。
中国は40年前から、インドは38年前からである。
今でこそ、「中国の次の生産地はインド」と言われ始めているが、38年前からインドの工場と物作りを開始した行動力に驚かされる。
さらに2008年にはインドのカルール県に学校を寄贈している。(同社のパンフレットによる)


これだけでも一般紙や経済誌に「社会貢献」ネタで大々的に報道されても良いくらいだと思う。
93年にはインド政府からも現地の雇用拡大の功績から感謝状が贈られている。

「バングラディシュの銀行と社会貢献の取り組みが云々」と大々的に報道されたものの、その続報がさっぱり聞こえてこない企業とはだいぶ違うと感じさせられる。


先述のブログでこの会社の存在を知ったときには「福岡にできた新しいイケイケの企業かな?」と思ったのだが、創業47年だということにも驚かされた。
そして47年間毎年黒字決算だというからさらに驚く。


このほか直営雑貨店「地球文化屋」「流行雑貨屋」の2つの屋号で計80店舗を展開し、SPA業態も開始している。


派手さはないが、堅実で地に足の付いた企業である。

アパレルブランドはややもすると「広告、告知してナンボや」という姿勢で、針小棒大に自社をアピールする傾向が強い。それも悪くはないが、大半は内容が伴っていなかったり、途中でその事業がとん挫したりする。
アドヴェンチャーグループのように、告知は一切しないけれども着実に利益を上げ、自社の企画力アップに取り組んでいる企業の方が好感が持てる。
この企業が広報告知活動に注力すれば、まさに鬼に金棒だと思うのだが、そればかりは経営者の判断である。


記者を始めて14年、販売員の時代も入れると17年この業界におり、少しは知識も増えたのではないかと感じていたが、まだまだ勉強が足りないことを思い知らされた。





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