南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2011年07月

何円で買えばユニクロ商品はお得か

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 先日、アパログで小島健輔さんがユニクロの原価率について独自に算出されていた。

http://www.apalog.com/kojima/archive/762

小島さんによると、ユニクロの原価率は38%だという。

一般的にあまり知られていないが、ユニクロもOEM生産を使うことがある。
過去、何社もが手掛けていたのだが、徐々に減っていき、現在ではメンズ1社・レディース1社が担当するのみとなっている。しかもその両社ともに取引額は徐々に縮小している。

かつて、そのレディースに所属したことのある友人によると、
10年くらい前のユニクロの原価率もだいたい38%前後だったという。
原価率38%前後という数字はかなり信憑性が高いのではないか。

そこで、ユニクロの商品がどこくらいまで下がったらお買い得であるのかを考えてみたい。

アイテムごとによっても原価率は若干変わるものだが、とりあえず平均38%であるとして考えよう。
だとすると、1500円のTシャツの原価は570円ということになる。
1500円のTシャツは990円→790円→590円→500円と段階的に値下がりしていくが、
590円でほぼ原価並み、500円では原価割れだ。
だとすると500円で買うのがもっともお得だが、そこまで下がるには相当の時間がかかる。

こう考えると590円で買うか、790円で買うのがもっとも良いのではないだろうか。
790円時点だと色柄は豊富に残っている場合が多い。


もうひとつ、ジーンズを見てみよう。
ユニクロのジーンズの中心価格帯は現在3990円である。
原価率を38%だと仮定するなら、1516円ということになる。
ジーンズの値下がり方は
3990円→2990円→1990円→1290円→990円
となることが多い。

1290円だと原価割れの可能性が高い。


今回のは仮定に基づいた推量だが、買い物をする際の一つの目安にはなるのではないだろうか。

客数減が止まらないジーンズメイト

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 恒例のライトオンとジーンズメイトの7月売上速報が先日公表された。
いつものように6月21日~7月20日までの売り上げ実績である。

ライトオンは
既存店売上高が前年比3・4%増
既存店客数が同5・4%減
既存店客単価が同9・3%増


だった。

ジーンズメイトは
既存店売上高が前年比9・1%減
既存店客数が同23・7%減
既存店客単価が同18・0%増


である。
ライトオンは今年2月以来、5か月ぶりに既存店売上高が前年実績を上回った。
この要因として①6月末から気温が急上昇して、夏物衣類がうごいたこと②バーゲン開始が早まり、6月25日ごろには確実にバーゲンに突入していたこと、の2つが挙げられるのではないか。


一方ジーンズメイトは相変わらず苦戦が続く。
売上高は9%減にとどまっているが、これは客単価が18%増となったことによる。
もっとも昨年までのジーンズメイトは激安を極めていたから、商品価格を18%上げることは、高級店に移行することを意味するものではない。
いわばTシャツを500円で販売していた店が、900円のTシャツを販売するようになった程度の差である。
そしてジーンズメイトを常に脅かし続けているのが、止まらない客数の大幅減少である。
今回も24%減である。
買い上げ客数が2割以上減っている状況が続くのはかなりの危機である。


両社共通していることは客単価が上がっていることであり、
日付はちがうが、両社ともに客単価向上を表明した記事がそれぞれ繊研新聞に掲載されたから考えると、こちらはある程度成功しつつあるのではないだろうか。

寂れゆく南船場・堀江地区

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 ローカルな話題で申し訳ないが、大阪市中心部でもっとも勢いがないのが、南船場4丁目と南北堀江地区だろう。10年くらい前までは、小型・中型の路面店が集積した話題のスポットだったが、凋落するのはあっという間だった。今では、撤退したまま空家となった店舗が数多く点在する。

南船場4丁目が注目を集め始めたのは90年代半ば、堀江は90年代後半だった。
それまでの南船場4丁目はオフィス街である本町と商店街のある心斎橋の間に横たわる微妙な空間だった。
北堀江は元々材木商が集まった地域だったが、再開発当時は住宅街。南堀江は家具店と仏壇屋の街だった。

南船場・堀江が人気スポットだったころ、それまでのメイン商店街だった心斎橋筋商店街は苦境に立たされていた。これが2000年代半ばから立場が逆転し始めた。
阿倍野と梅田に大型商業施設が今春完成したことにより、心斎橋筋商店街もやや苦戦しているとはいえ、南船場・堀江に比べると人通りはまだまだ多い。


さて、つい先日、リーバイスストア南船場店が撤退した。
今週の火曜日には店舗内から什器などの撤去作業が行われていた。
あまりお客が入っている姿を見かけたことがなかったので、撤退は当然の措置だろう。
もちろん、「リーバイス」というブランドの商品展開のアンバランスさ(ジーンズを中心としたボトムスが多すぎ、トップス類のバリエーションが少なすぎる)や、ジーンズ低迷などの要素もあっただろうが、やはり南船場という立地も悪かったのではないだろうか。

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(撤退作業中のリーバイスストア)






以前、書いたことがあるが、昨年10月に知人が個人経営の小型店を南船場に出店した。
彼によると「出店後半年で、近隣の店舗が8店舗撤退した」という。
それほど南船場は集客の出来ない地域になったといえる。これは堀江地区も同様で、メインストリートの立花通りにも数店舗の空き店舗がある。

以前、南船場・堀江でアトリエ兼ショップ用の物件を探したことがある某デザイナーによると
「南船場・堀江が人気スポットとなってから地価や家賃が急上昇した。その後、人気が凋落した今も家賃は高止まりしたままだ」という。
集客が難しい地区であるにも関わらず、家賃が高止まりしたままなので、空き店舗が埋まらない。
空き店舗が埋まらないので、その地区はさらに寂れた印象を与えるという悪循環スパイラルに陥っている。

これを解決するには、地主が家賃を下げることがもっとも効果的である。
おそらく、人間心理として一度上げてしまった価格をなかなか下げる決断ができないのだろうと推測するが、借り手が見つからないなら意味がない。

ただ、洋服の価格と同じで「むやみに下げれば良いというものではない」とも思う。
地主が家賃を下げたくないのであれば、家賃が高くても借り手が集まるような工夫が必要であろう。
そのためには、地主たちがコストをかけて地区集客キャンペーンを行うことが望ましいのではないか。平凡な例えではあるが地区を挙げて「○○祭り」を定期的に開催するような取り組みでも良いのではないか。

今のまま無策状態が続くなら、撤退店舗がまだまだ増え、地区がさらに寂れることは火を見るより明らかだ。

マイナスイメージを転換するユニクロのコピーライト

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 ユニクロのプレスリリースや販促コピーは非常に勉強させられることが多い。
昨日、送られてきたメルマガは、秋冬の新作ががっちり紹介されていた。
その中で、恒例のウルトラライトダウンの紹介にこんな一節があった。
「ダウンパックを使わない製法と極細ナイロンを使用して、驚きの軽さを実現しました。~」

一般的なダウンジャケットは、羽毛を入れるダウンパックと呼ばれる袋と、表生地との2重構造にすることで、羽毛が生地の間から飛び出ることを防いでいる。
ダウンパック内蔵のダウンジャケットの方が一般的には「良い商品」とされている。
いろいろ調べてみると、高級ブランドでも縫製をしっかりしているのでダウンパックなしという商品も一部にはあるようだが。

ただ、これまでの経験でいうなら、わざわざ「ダウンパックなし」をメリットとして表示したブランドはあまり知らない。あまりどころか実際には一つもしらない。
「ダウンパックなし」とわざわざ表示しなかったのは、2つの理由があると思う。

1、一般消費者がダウンパックなるものをあまり知らない
2、「ダウンパックなし」を表示すると「安物」という悪い印象を与える



ではないだろうか。
もしかしたら他にも理由があるかもしれないが、その場合はご指摘いただきたい。

今回、ユニクロはあえて「ダウンパックなし」をメリットとして表示している。
先のような文言でまとめるなら、ダウンパックなしが非常にプラス要素に思える。これはユニクロの販促チームの手腕といえるだろう。
ユニクロは昨年10月にウルトラライトダウンにダウンパックがないというリリースを自社のHPで発表している。
http://www.uniqlo.com/jp/corp/pressrelease/2010/10/100614_outer.html

これによると、

生地に熱と圧力を掛けることで、糸と糸の間の目がつまり、羽毛が抜けにくくなりました。この特別な加工により、ダウンパックを使用する必要がなくなり、ダウンパック分の重量を軽くすることができました。

とのことである。
新しい技術を開発したので、「理論上」ダウンパックは不要になったというわけだ。

このようにユニクロは、他のアイテムや取り組みにおいてもリリースの書き方や販促コピーで、元来マイナス要素と受け取られかねない事象を、うまくプラスっぽく転換している。

個人的には絶対買わないけど上手いネーミングだなあと思うのが「ネオレザー」である。
ネオレザーとははっきり言ってしまえば、ポリウレタンの合皮である。
合皮=合成皮革という素材名の持つチープ感はただごとではない。
「ゴウセイヒカク」と声に出して発音してもチープ感が漂ってくる。

素材名としては、どちらかといえばマイナスイメージが強いといえる。
これを「ネオレザー」と言い換えることによってプラスイメージに転換している。
ネオ(ドイツ語で新しい)レザーとくれば、「何だかカッコよさげだし、新開発素材みたい」という印象を受ける。
実際は新しくもなんともない、普通の合成皮革であるとしても。

おそらく繊維業界人は最初に、「ネオレザー」と聞いたとき冷笑したはずである。
「ネオレザーって大層な名前付けてるけど、実際はゴウセイヒカクですやん」という風に。
自分もそうであったし、今でもそう思っている。

ユニクロをすごいなあと思うのは、いくら冷笑しても「ネオレザー」という表記を止めなかったことである。
発売からもう3年以上が経過していると思うが、今ではすっかり「はいはい。ネオレザーね」という感じで、多くの人が受け入れている。

コピーライトの巧みさと、冷笑されても恥ずかしげもなく言い続けるというユニクロの姿勢は、他企業の販促担当者が大いに見習うべき点ではないかと思う。

スーパークールビズのデメリットに目から鱗が落ちる

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 今まで、快適性や効率面からスーパークールビズの推進について賛同するブログを書いてきたが、先日、東洋経済オンラインにブランド側が抱えるスーパークールビズの問題点をまとめた記事が掲載された。
恥ずかしながら、自分の中でこの観点は抜け落ちていた部分であり、目からウロコが落ちる思いだった。

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(はるやま商事のSAVE BIZのイラストより)




紳士服店には両刃の剣 スーパークールビズ旋風
http://www.toyokeizai.net/business/industrial/detail/AC/d8ba0d4f16f3b45833cd949fa6b43c24/


本文は長文なので、件の個所を抜粋引用したい。

環境省が提唱したスーパークールビズ期間は、5月から10月末まで。開始月と終了月をそれぞれひと月分延ばした。毎年スーツ販売が通常の水準に戻る10月も含まれており、秋のスーツ販売にも影を落としそうだ。さらに来年以降も電力不足が続き、こうした動きが通年化した場合、結果的にスーツが着用される期間は短くなる。

 一般的にスーツは、汗などで濡れた状態での摩擦に弱い。スーパークールビズの浸透でスーツを着る機会が減り、摩耗が抑制されると、当然ながら買い替え頻度も低下。年間の販売量に影響を与える可能性も考えられよう。

 スーパークールビズ商品とスーツとの単価の差が大きいことも課題だ。中心価格帯が3万~4万円台のスーツに対し、シャツは1枚3000~4000円程度。シャツやスラックスなどでスーツと同じ利益の絶対額を稼ぐには、「何倍も売らなければならない」(大手紳士服専門店)。

 確かに目先では、売り上げ増に貢献しているスーパークールビズ。が、事は日本人の生活習慣にも絡むため、業界にとって追い風となるか逆風となるか、予断を許さない。「スーパークールビズ元年」は、紳士服専門店の存在意義を改めて問うている。



とのことである。


現在、紳士服売り場はスーパークールビズが商況を牽引しており、
例年よりも好調に推移している。これは、青山やアオキだけではなく百貨店も同じである。
しかし、上に引用したように、秋以降のスーツの販売数は一転して減る可能性が高い。

さらに来年以降も電力供給は回復しない可能性が高く、スーパークールビズの流れは、最低でも何年間か続く。
そうなると、年間のスーツ販売数量は間違いなく減る。
記事でも述べられているが、いくらスーツが値崩れしているとはいえ、通常3万~4万円が中心価格であり、シャツやポロシャツはせいぜいが数千円だ。スーツと比べると圧倒的に安い。
これでは、シャツやポロシャツの販売枚数が伸びても、紳士服店の売上高は下がることとなる。

そして、手持ちのスーツの着用回数が減ることで、スーツの傷みも軽減され、買い替え需要も減ることになる。


さて、この対策であるが、容易に考えが浮かばない。

一つは、ビジネスも年間軽装化すると考えて、カジュアルアイテムを強化することが良いのではないか。
青山商事はすでに「ザ・スーツカンパニー」で売り場の半分くらいをカジュアル単品アイテム化している。
またAOKIも「ORIHICA(オリヒカ)」というスーツ&カジュアルショップを展開している。
この2社は既存路線の拡大で、対応できるのではないだろうか。

はるやま商事は「PSFA(パーフェクトスーツファクトリー)」、コナカは「スーツセレクト」というツープライススーツショップを展開しているが、正直に言えば、カジュアルアイテムが弱い。スーツ需要が減れば苦戦を強いられるであろう。

スーツの買い替え需要減少に対応する措置として、「傷みやすい」生地を使ってみてはどうか?
「傷みやすい」というと語弊があるが、決して粗悪品を使うのではなく、逆に高級素材を今以上に採用するのである。
以前にも書いたことがあるが、スーツ用の毛織物素材は、高級になればなるほど細番手のウールで織られており、薄く柔らかいが、耐久性がない。
「スーパー100」とか「スーパー120」、「スーパー150」という超細番手のウールで織られた生地は高級だが、弱い。ちなみに「スーパー○○」という上の素材は、数字が大きければ大きいほど細い糸が使われており、手触りは滑らかになるが、その分耐久性がなくなる。

ツープライススーツショップで販売しているスーツの29800円以上の商品のすべてを超細番手ウール素材に切り替える。そうすれば、着用回数が減っても摩耗しやすく、すぐに買い替えが必要となる。
また消費者へも「高級素材使用」を大々的にアピールしやすくなる。


安値で高級素材使用の商品が手に入るので、消費者にとっても悪くない話だと思うのだが。

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