南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2011年06月

H&Mの苦戦は、日本人消費者の良識の高さ

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 先日、反対の立場から見て、海外ファストファッションの良いところを挙げてみた。
しかし、実際にはH&M、フォーエバー21は一時期のブームは別として、日本市場では苦戦している。

これについては、高名な小島健輔さんが、詳細なブログを書いておられるので
そちらをご紹介したい。

「H&M遠からず日本撤退か」
http://www.apalog.com/kojima/archive/747

タイトルはやや過激に煽り気味だが、
グラフ付きで実に科学的に分析しておられる。
H&Mは12店舗まで増えているものの、売上高が21・5%減少している。

またフォーエバー21は5店舗のまま増えていない。

この現象を見て、「日本人は意外に冷静なのだなあ」と変に感心してしまった。
例えばH&Mはオープン時にこそ数千人が並んだものの、それ以降はそれほど大混雑しているとは聞かない。
有名ブランドとのコラボレーション商品を発表して、ファッション雑誌などが盛んに採り上げたが、
それほど売れておらず、発表後も相当数店頭に残っていた。
とくにLANVINとのコラボレーションドレスは、かなり長期間店頭を埋め尽くしていた。

H&M













H&Mとフォーエバー21が日本市場で受け入れられない理由は、
たしかに価格は安いが、あまりにも使用素材の品質が悪く、縫製仕様も粗悪であるためだろう。
上陸後は物珍しさで購入した消費者も2度目、3度目は買わなかったということになる。
そうでなければ店舗数が増えているにも関わらず売上高21・5%減にはならない。
現在、このブランドを支えている消費者は「所得が低い若い層」と「もともとファッション好きで、品質が悪いのを割りきって購入している層」くらいではないだろうか。
ただ、「所得が低い若い層」はしまむらやジーユー、ハニーズとも競合するため、全部は取り込みきれていない。
品質で言えば、明らかにしまむら、ジーユー、ハニーズの方が上だ。

そのH&Mよりも品質が悪いと評価されているフォーエバー21はさらに厳しい状況にあるのではないだろうか。
原宿に行くと、H&Mとフォーエバー21の紙袋を下げた学生を多数目撃するのだが、
あれは地方から来た学生が「土産物感覚」で買っているのではないかと思う。

一方、価格がもう少し上のZARAは店舗数が増えて日本市場にはある程度定着しつつある。
品質については、こちらもかなり低くユニクロや無印良品とは比べ物にならない。GAPよりも下、H&Mと同等か少し上ではないだろうか。
使用素材も粗悪だし、縫製も歪んでいる。
それでもZARAが順調に店舗数を増やしているのは、テイストの差ではないか。
H&Mとフォーエバー21よりももう少し大人っぽいテイストでまとめているため、定職のある20~40代の顧客を掴んでいると推測される。
H&Mとフォーエバー21は明らかにヤング向けのテイストなので、10代の学生か定職のない20代が主要客層であろう。


グローバルブランドのH&Mとフォーエバー21は日本市場に商品を適合させる気もないだろうから、
国内4~5店舗体制が適正規模だろう。

ライトオンとジーンズメイトの6月売上速報

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 関西は6月20日の月曜日まで冷涼な気温が続いていたが、
翌日火曜日からいきなり夏日が始まり、ついに猛暑日に突入してしまった。
天気予報で見ると、東京は先週も涼しい日があったようだが、いよいよ最高気温30度越えが続くようになってきた。


ライトオンとジーンズメイトの6月売上速報が先日、発表された。
5月21日~6月20日までの1ヶ月間の商況であり、涼しい気温が続いたため、両社ともに厳しい数字となった。

ライトオンは
既存店売上高が前年比13・0%減
既存店客数が同16・8%減
既存店客単価が同4・6%増


ジーンズメイトは
既存店売上高が前年比19・4%減
既存店客数が同31・7%減
既存店客単価が同18・0%増


だった。

この期間は梅雨寒だけでなく、6月16日からのセール開始を待つための買い控えもあり、
プロパーで夏物が動きにくかったのは事実である。

しかし、ジーンズメイトの客数減少幅は酷過ぎる。
以前にも書いたように「客数」と示されているが、
これは「入店客数」ではなく「買い上げ客数」である。
買い上げ客数が3割以上も減っているということは、消費者の支持を失っていると見なさなくてはならない。
かなり厳しい状況だ。

ジーンズメイトは、新業態としてメンズの「PLAINN(プレイン)」とレディースの「ブルーベルマーケット」を開始している。「プレイン」が4店舗、「ブルーベルマーケット」が2店舗なので育成途中である。
両店ともにジーンズメイト本体とは一線を画したナチュラル系カジュアルを提案しているものの、店舗規模が小さいためにメーカーからの仕入れ品に頼らざるを得ない。
また、テイストが異なるにも関わらず価格はジーンズメイト並みに低く抑えられている。

ゆくゆくは、ジーンズメイト本体をメンズコーナーを「プレイン」に、レディースコーナーを「ブルーベルマーケット」に改装するのではないかと推測している。
ただ、大々的な改装まで、ジーンズメイトという事業が維持できるかどうかは、難しい局面に突入したのではないかと思う。

物性の高さだけがファッションだろうか?

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 日本人の特性として、議論・批判・批評を嫌うところがあると思う。
司馬遼太郎さんの著書によると、幕末の長州藩士は例外的に議論好きだったとあり、反対に薩摩藩士は上の命令には絶対服従だったとある。

さて、前回は、日本は「物作り志向」が強いという話題をしたかったのだが、
何時の間にやら日本の繊維産業の特殊技術を紹介し、それに対して共感している自分があった。

今回は、反対の立場に立って書いてみようかと思う。
いわゆるディベートというやつの脳内練習だと思ってほしい。

個人的見解ではユニクロは「物作り志向」が強い日本人的SPAブランドだと思う。
ユニクロが万人に受けた理由は、低価格高品質にあると考えている。
あの価格の割には品質はそこそこ高く、下手な百貨店アパレルのSPAブランドと同等の品質がある。
この品質とは何かというと、使用している素材や縫製の質であり、物性においてのスペックは高い。
シナジープランニング代表の坂口昌章さんによると「日本人はこの20年間、ひたすらに低価格高品質の商材開発に明け暮れていた。それは一種狂信的ともいえる状況にあった」とおっしゃっておられ、ユニクロは、その「低価格高品質」の一つの到達地点と言えるのではないだろうか。


反対に海外ファストファッションを考えてみたい。
主にファストファッションとは、開発までの時間が短く流行を早く採り入れ、価格が安いことと定義されるため、
GAPやアバクロは含まれず、ファストファッションの定義に当てはまる海外ブランドはH&Mとフォーエバー21となる。
この2ブランドは、低価格ではあるが、使用素材と縫製という観点では著しく低品質である。ファストファッションとは言いづらいがZARAもまた低品質である。「物作り志向」の強い日本人にはまったく受け入れられていない。GAPのように100店舗まで出店することは到底不可能だろう。20店舗出店ですら成立する可能性が低い。

しかし、良いところを探すとするなら、デザイン性、色柄のトレンド性、イメージ打ちだしの上手さ、ということになるだろうか。これはユニクロに欠けている部分である。
そして、今回は敢えて反対の立場から書いてみるが「物性の高さだけがファッションだろうか?」という問題がある。ファッションとはブランドイメージ、広告宣伝の上手さ、見た目のカッコよさなども含まれており、逆にこれらがないブランドはちっとも「ファッショナブルではない」と言うことにもなる。
それは実用品の世界である。
H&M、ZARAが多くの諸外国で受け入れられているのは、様々な経済的要因もあるが、一つには「ファッショナブル」だったからという要素もあるだろう。その意味では、海外ファストファッションは品質は著しく低いものの、「ファッションブランド」だと位置付けることも可能ではないだろうか。


逆説的だが、H&Mやフォーエバー21が日本国内で支持され、20~30店舗体制まで拡大できたとき、初めて日本人は過度の「物作り志向」から脱却することができるのではないかとも思う。


超ハイスペックな日本の細番手綿糸

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 日本の産業は、繊維に限らず、スペック重視の「物作り志向」が多い。
個人的には「ムード」とか「スピリット」「マインド」というフワフワした要素で商材を選ぶのは苦手なので、
この「物作り志向」は肌に合っているのだが、逆に日本製品が世界市場向けの販促で苦戦するのも「物作り志向」に偏り過ぎているためだと思う。


それはさておき。

やはり、日本の物作りはすごいと感心させられた。
先日、寝装・リビング関係の小規模なセミナーに参加した。
参加人数は20人くらいだっただろうか。

その後の懇親会で、各社の出席者からいろいろとお話を聞かせていただいたのだが、
羽毛布団のガワ地を製造している会社によると、綿糸で「経糸245番、緯糸300番」を使っているという。
また別の企業は「緯糸に330番の綿糸」を使っているという。

これには非常に驚いた。
業界関係者ならご存知だが、糸の太さは「番手」という言葉で表される。
番手の前には数字が付き、数字が大きければ大きいほどその糸は細いということになる。

一番太い番手は「1番」だが、最近ではその上の「0番」という糸もある。
イタリアやフランスからの高級インポートブランドの細番手のシャツでもだいたい「100番~120番」くらいである。

この「245番、300番、330番」という糸がいかに細いかがわかるだろう。

さらに布団用の生地なので、横幅は162センチある。
通常の生地幅はだいたい150センチくらい。セルビッジデニムは狭幅なので75センチくらいである。
布団用の超超細番手生地は、通常の生地幅よりも12センチ広い。

ついでに言うと、業界関係者なら周知の事実なのだが、
太い糸を紡績するよりも細い糸を紡績する方が難しい。だから高級シャツには細番手が使用され、太番手の織物であるデニムはもともとは安価な生地であり、作業服に使用されていた。
200番を越える糸を紡績することができるのは、おそらく日本の紡績だけだろう。


布団のガワ地は、スペックだけで見ると、他国の追随を許さない最高水準である。
まさに日本的な「物作り志向」を体現しているといえる。

そこで、セミナー講師が、
「その超超細番手の糸を使い、生地の密度を低くして、色柄を工夫したら布団以外の用途(例えば高級シャツ地など)にも進出できますよ」とアドバイスなさっていたが、まさに的確なご意見だと思う。
ただ、問題はこれまでにない用途向けの生地を開発する場合には、別のコストが発生する。
この別のコストとは、デザイナーとの契約費用だったり、試作品の製作費用だったり、そこから次の段階に進むと販促費用が必要となる。
製造業者がこれを捻出する気があるかないかである。

ここを乗り越えるのが苦しいところなのだが、もし、乗り越えられる企業が多数現れれば、
斜陽産業と目されている繊維製造業にも、まだ活路があるのではないかと思うがいかがだろうか。

「+J」が消えたユニクロ心斎橋店

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 周知のことであるので、今更だが、
昨日、ユニクロの「+J」が終了することが発表された。
今秋冬商品の販売で最後になるという。

今週の火曜日、偶然にもユニクロ心斎橋店を覗いた。
そのとき、1Fの「+J」コーナーが無くなっていることに気が付いた。
階層表示板の「+J」にもご丁寧にビニールテープを貼り付けて消してある。

そのとき、「今後、かなり『+J』を縮小するだろう」と感じた。
なぜなら、心斎橋店は「グローバル旗艦店」だからだ。
ユニクロのすべてのアイテムを販売するのが「グローバル旗艦店」であり、
あまり世間に知られていない「大型店限定アイテム」まで販売されている。

「+J」は当然販売されてしかるべきだが、そのグローバル旗艦店から消えたとなると、
大幅な縮小を予想せざるをえない。

その2日後に、「+J」終了が発表された。

世界的デザイナー、ジル・サンダー氏を迎えて始まった「+J」だが、
注目を集めた割には、常に季末まで大量の在庫が店頭に並んでいた。
そう、業界の内外が注目した割には、売れ行きは芳しくなかったと推測される。
とくに驚いたのが、今年の5月末まで、昨年の春夏物を大幅値下げして販売していたことである。
一例を示すと、夏物の薄手綿ジャケットは2990円、ときどき期間限定で1990円にまで下がっていた。
ブルーのチェックのジャケットを1990円のときに買おうかと何度か悩んだが、
某知り合いがまるっきり同じ物を着ていたので、購入を中止した。


これまで「+J」を4枚購入した。
薄手のプルオーバーパーカと半袖ポロシャツ、ジーンズ2本である。
プルオーバーパーカは1990円に下がったときに、
半袖ポロシャツも1990円に値下がりしたときに、
ジーンズは2990円に下がったときに購入した。

自分から見れば、「+J」はネームバリューがそこそこあるものの、
シーズン末に大幅値下げしたときに、各安で買えるブランド
という位置付けだった。

さて、「+J」の販売は今秋冬も続くのだが、
心斎橋店に並んでいた今春夏物の大量の在庫はどこへ移動したのだろうか?
ついこの間まで、ネットで「+J」の期間限定値下げ販売を行っていたので、
ネット販売用の在庫として格納してあるのだろうか?

また、最終商品となる今秋冬物は、「グローバル旗艦店」である心斎橋店では販売されないのだろうか?
だとしたら全ラインナップがそろわない「グローバル旗艦店」とは一体何なのだろうか?



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