南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2011年04月

画竜点睛を欠く

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 4月は関西で商業施設のオープンラッシュだ。
商業施設のテナント構成というのはなかなかに難しく、当初予定していたブランドだけでは
埋まらないことが多々ある。

近隣の施設との兼ね合いで出店を断念することもあるし、施設側がオファーしてもブランド側が断る場合もある。
反対にブランド側が希望していても施設側が断る場合もある。

その結果ちょっとバランス悪いんじゃないの?というケースが起こる。


先日、4月29日に大阪・梅田に小規模商業施設「ヌー茶屋町プラス」がオープンした。
2005年にオープンした「ヌー茶屋町」の裏に位置し、補完的なブランドラインナップを導入した。
個人的感想で言えば、天王寺の「HOOP」とその裏にある「阿倍野アンド」の関係と似ているように思える。
「ヌー」が阪急グループで、「HOOP」と「アンド」が近鉄グループであるが、発想は同じようなものだろう。

今回の「ヌー茶屋町プラス」は1階がアパレル、2階がインテリア・雑貨、3階が飲食に分かれており、小ぢんまりと落ち着いた雰囲気で統一されている。1階は「Lee SHOP」と「スターバックス コーヒー」以外あまり知らないブランドが多い。繊維業界の片隅に居ながらお恥ずかしい限りである。

ターゲットはおそらく、30代の男女(やや女性が多いか?)という感じで、プレスリリースには20~30代がターゲットと書かれてあるが、実質は40代まで視野に入れていると思う。

しかし、1階入り口横に「ABCマート」が入店しており、全体のバランスを著しく損なっている。
正確に言えば「ABCマート」はどうやらテナントではないらしく、プレスリリースのテナントラインナップにも記されていない。地権者か何かやむを得ない事情でそのまま施設と同体化する形で営業しているのだろう。

けれども一般の消費者にはテナントに見えてしまう。何しろ「ヌー」の店内通路側に向かって入口を広げているのだから。

CA3G0086































ここで断っておきたいのだが「ABCマート」という店が嫌いなわけではない。
むしろ、よく利用している。
最近はあまり店頭で見かけないが2900円に値引きされたスニーカーを見かけると、よく購入している。

でも、比較的高級イメージの高いテナントで構成された「ヌー茶屋町プラス」に「ABCマート」があるのは違和感を感じる。やはりユニクロ、ライトオン、無印良品、ジーンズメイト、マックハウス、しまむらというあたりのブランドが並ぶ商業施設に入店することが望ましい。

いろいろな大人の事情があったのだろうとは推測できるものの、「ヌー茶屋町プラス」のテナントラインナップは「画竜点睛を欠く」と言わざるを得ないだろう。

ついに、今秋から衣料品値上げへ

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 以前、ある業界団体の役員が「原材料や中国工場の人件費が高騰しているのに、マスコミが『アパレルは製品値上げすべきだ』というキャンペーンを張らないのはおかしい」と、いささか筋違いな憤慨をされている記事を書いたことがある。
結論から言えば、アパレルが製品値上げ宣言をしていないのに、マスコミ各社が値上げキャンペーンを行えるはずがない。


4月20日の繊研新聞が「専門店が今秋から価格引き上げ」という記事を掲載した。
この記事には、ハニーズ、良品計画、しまむら、丸岡商事の対応が報道されており、各社とも今秋物から衣料品の価格が必然的に上がると答えている。

記事から引用させていただく。

すでに昨秋から一品単価も客単価も7~8%上げているハニーズは、(中略) 990円ジーンズをやめて今秋物から裾値を1990円に戻す。690円や790円で出していたカットソーも、裾値を990円に戻す予定だ。これまで1990円商品が最も多かったが、徐々に2400円へとシフトしていく。

良品計画は「上期は(価格を)抑えたままだが、下期からは上げていく」という。「ずっといい値」商品よりも「こだわりたい値」商品を増やすことで平均単価を上げる手法をとる。

丸岡商事は、昨年まで2万9800円だったウールコートの上限価格を、今秋冬物では素材感を高めて3万2000円ほどに挑戦する。

しまむらも「結果として(価格は)上がるのでは」と見る。このところ売れたファイバーヒートシリーズなど「質を上げたり見せ方を変えることで、結果として価格を上げることが出来る」。


とのことである。

一方、ユニクロは価格は据え置きで、素材メーカーとの提携強化や、生産のリードタイムを長くすることでコストを抑える手法をとるという。

ユニクロの対応がむしろ例外的であり、上の4社に限らず、アパレル製品の価格は全体的に上がらざるを得ない。

ただ、消費不振が続いている中、「商品の価格を上げるのはさらに売上不振を招く可能性があり、怖い」というブランド側の声も良く聞く。これも偽らざる心理であろう。
しかし、中・高額商品は500~1000円値上げをしたところで、通常の場合、消費者の動向はあまり変わらない。
例えば、11000円の定価の衣料品が、11500円に値上がりしたところで、大幅な売れ行き不振となることはあまり考えられない。

一方、低価格商品では500円の値上げが命取りになる。
かつて量販店向けレディースジーンズの製造販売に携わった友人によると
「3900円と4900円には大きな壁があり、これを越えることは難しかった」という。
1900円のジーンズを購入している人は、2900円に値上がりすると買わなくなるし、
2900円のジーンズ購入者は3900円に値上がりすると買わなくなる。
3900円の購入者は4900円に値上がりすると買わなくなる。

そして、量販店では3900円が一つの区切りとなり、4900円以上からは客層がまったく異なるという。

繊研新聞が紹介した値上げ4社は、丸岡商事を除いて、すべてこの低価格商品を得意とする企業ばかりである。
値上げの判断は至極当然で正当ではあるが、消費者の拒否反応が一番出やすいゾーンの商品でもある。
それだけに今秋以降の動向には注目したい。



厳しさ増す学校経営

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 帝国データバンクによると、「辻学園調理・製菓専門学校」を経営する辻学園が民事再生法を申請した。
負債総額は約28億円。

http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/3462.html

いろいろ調べてみると、関西でなじみの深い「辻調」こと「辻調理師専門学校」とは資本関係がないこともわかった。
おそらく両校を混同してびっくりされた方も多いのではないだろうか。

帝国データバンクの記事から引用すると

2007年3月期には年収入高約23億9200万円を計上していた。

しかし、少子化に加え、高卒者の大学進学志向の強まりや大学の栄養学科などとの競合から入学者数が落ち込んだことで授業料収入の減少を余儀なくされ、2010年3月期には年収入高が約12億4400万円にまでダウン。以降、入学者数を前年並みで維持したものの、新校舎新築に伴う多額の借入金負担などから資金繰りが悪化し、今回の措置に至った。


とのことである。

今回の辻学園の経営破綻は、専門学校や大学の学校経営の難しさを感じさせる。
少子化が進んでいる今、学生数の減少は専門学校・大学ともに悩みの種である。
三流私立大学は定員割れを回避するために、ほぼ全入学に近いほどハードルを下げている。
また各種専門学校も上位数校はある程度の規模で生徒数を維持できているものの、それ以下の学校は年々生徒数が減少しており、経営破綻や廃業を余儀なくされている。

辻学園のHPを見てみると、1年制・1年半制・2年制がある。
生徒数や授業料はHPで明記されていないので、はっきりした数字はわからない。
かつて某専門学校で働いた経験で類推したい。
授業料を年間100万円だと仮定する。
学校の収入の大半以上は授業料なので、今回発表された売上高の全部を授業料収入だと仮定する。

2010年3月期の売上高が12億4400万円なので
単純に割り算すれば、生徒数は1244人ということになる。

調理師学科、高度調理技術学科、製菓衛生師の3つの科があるということなので、
単純に全生徒数を3分割すると、1つの学科には全部で400人の生徒がいることになる。

今回はかなり単純な割り算をしているので、各コースや学科の数字とは多少ことなると思う。
だいたい大雑把に考えれば昨年の入学者数は3科全部で400数十人前後というところではなかっただろうか。

地方のファッション専門学校なら十分に経営が成り立つ入学者数である。


各種専門学校・私立大学の経営破綻はまだまだ続くことが予想される。
生徒数減をアジアからの留学生で埋めようという考えもあるが、先頃の青森大学で発覚した偽装入国事件に見られるように、留学生を装って就労目的に不法入国するケースも多く、安易な留学生受け入れも危険である。

今日の学校破綻の原因は、20年前にハードルを下げて学校増設を推進した文部科学省の大失策に原因がある。


製造業者は下請法を活用すべき

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 アパレルのファミリーセールという催しがある。
自社が企画・製造しているブランドの商品を安く販売するイベントである。
だいたい夏と冬のセール時期に合わせて、2日間か3日間開催される。

通常は自社の企画・製造しているブランド品だけのことが多いが、
近年は他社と合同で開催されるケースもある。

例えば、甲社は「A」というブランドのメンズを企画製造しているが、
乙社は同じ「A」というブランドのレディースを企画製造しているとする。
そうすると甲社と乙社が合同で「A」というブランドのメンズ、レディースのファミリーセールを行う。
これにはメンズとレディースに限らず、メンズと靴下、メンズと肌着、レディースとバッグ、レディースと帽子などなど様々なバリエーションがある。

通常、かなりの処分価格品がある一方で、メーカーによっては店頭のバーゲンの方が安い場合もあるので、その辺りの見極めも重要になる。


ファミリーセールに行くと、ときどき、先に挙げたような「合同販売」とは到底思えない商品が販売されていることがある。例えば、甲社のブランドの中に、ぜんぜん協力関係にない丙社のブランドのポロシャツだけが並べられている。しかも販売価格は格安の投げ売り価格である。
こういうケースは、丙社に頼まれて、甲社が請負生産したものの何らかの理由で丙社が商品を引き取らなかった場合が多い。
そのため、やむなく甲社はファミリーセールで投げ売りして少しでも現金化しようとしているのであろう。
実際に、「あれ?なんでこのブランドが関係のない甲社のファミリーセールで、しかも500円で投げ売りされているの?」という場面を何度か見たことがある。


この場合、丙社の指図とは大幅に異なる商品を甲社が生産していたのなら、甲社の責任であるが、誤差の範囲内で製造しているにも関わらず、丙社が引き取りを拒否した場合、下請法に抵触する可能性が極めて高い。
誤差の範囲内というのは、袖丈が1センチくらいしか違わなかったような場合である。

http://www.jftc.go.jp/sitauke/index.html

そして、丙社が上場企業であれば、丙社の責任はさらに重いものとなる。
甲社が公正取引委員会に訴えればほぼ確実に丙社は負ける。

この甲社がアパレルである場合もあるし、製造工場である場合もある。OEM業者である場合もある。
付き合いの範囲内で我慢できるのであればわざわざ事を荒立てる必要はないが、明らかに不当返品である場合には、下請法違反の疑いで公正取引委員会に訴えることをお薦めしたい。



ライトオンとジーンズメイトの4月売上速報

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 ライトオンとジーンズメイトの4月売上速報が発表された。
結果から言えば、既存店の売上高・客数は減少したものの、
客単価はアップした。

昨年4月の店頭と見比べると
両社ともナショナルブランドジーンズ(エドウィン、リーバイス)の値下げ商品がほとんどなくなった。
リーバイスは先ごろ、値下げ商品の再買い上げを発表したが、エドウィンも何らかの処分を行ったと見るべきだろう。ここに客単価アップの要因があるのではないだろうか。

またジーンズメイトはトップスも昨年の投げ売り価格品が減少している。
値下げ後の990円はまだあるが、値下げ後590円というような商品は店頭にない。
そういう商品は自社の他業態「ワケあり本舗」に集約したのだろうか。

ライトオンの4月売上高は

既存店売上高は前年比11・6%減
既存店客数は同17・9%減
既存店客単価は同7・7%増



ジーンズメイトの4月売上高は

既存店売上高が前年比17・8%減
既存店客数は同29・1%減
既存店客単価は同16・0%増

となっている。

今後、両社の値下げに歯止めがかかるのかどうかに注目したい。

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