南充浩の繊維産業ブログ

ファッションブログ・・・・と言いたいところだけれどもそこまでファッションに特化していないし、能力的にもできない。そこで繊維製造業、産地、アパレルメーカー、小売店など幅広く繊維産業全般についてぼちぼちと書きます。たまにマスコミ、経済問題についても書く予定。よろしくお付き合いください。 お仕事の依頼は minami_mitsuhiro@yahoo.co.jp まで。

繊維業界新聞の記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下まで担当。 同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。 現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

2010年12月

12月度は大苦戦。ライトオンとジーンズメイト

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 ライトオンとジーンズメイトの12月度売上速報が発表された。

ライトオンの12月度既存店売上高は前年比15・6%減
既存店客数は同13・5%減
既存店客単価は同2・4%減

ジーンズメイトの12月度既存店売上高は前年比23・5%減
既存店客数は同19・3%減
既存店客単価は同5・3%減

と両企業ともに苦戦したが、
ジーンズメイトの既存店売上高は大きく落ち込んでいる。
ただ、ライトオンの客単価下落には底打ち感が出てきたように見える。

12月20日締めの両企業は、高気温の影響をモロに受けたようで、ライトオンは「ダウンジャケットが動かなかった」とコメントを発表している。
ダウンジャケットが苦戦しているのは、ライトオンだけでなく、業界共通の問題であると思われる。
例えば、レディースセレクト向けの小規模ブランド「フロー&リンクス」もダウンジャケット類の販売は厳しいと話している。

12月10日ごろからライトオン、ジーンズメイトを含む各社一斉にダウンジャケット値下げを打ち出していたが、12月23日、ユニクロもダウンジャケット類を全品大幅値下げしてきた。
それぞれ、2000円ずつ価格を下げているのだけれども、例えばメンズのタータンチェック柄のダウンジャケットは、5990円に値下げした後、さらに12月31日までの期間限定で3990円に値下げしている。

さらに3990円が定価のダウンパーカーを新規投入しているが、早晩、週末限定価格1990円での売り出しをすると推測している。
おそらく、ユニクロのダウンジャケット類も相当にダブついているのではないだろうか。

もはや来年の1月1日を待たずして、町はセール一色である。
ベネトンも店内の半数のアイテムがすでに半額に値下がりしているし、GAPは値下がりした商品がさらに「レジにて20%オフ」になっている。ユニクロは上記の通りだし、ライトオン、ジーンズメイトにおいても同じで、ダウンジャケット類は半額に値下がりしている。

この12月は各社ともに減収減益で終わる気配が濃厚である。

繊維製品が品薄で、ウサギの石鹸が人気

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 綿花相場の高騰はいまだに続いているようだ。

先日、ギフト業界向けの業界雑誌「月刊セレクト」の編集後記に面白いことが書かれていたので引用させていただく。

問屋情報によると、来年の干支であるウサギ型の石鹸が異常に売れているという。原因は、ウサギの柄を入れたタオルやそのほかのウサギにまつわる繊維製品が中国から入荷しないので、その分、石鹸の注文が廻ったのではないかと言われている。

とのことである。
原料高に加えて、中国では生産ラインが確保できず、納品が半年待ちの場合もある。
衣料品業界では、原料高とチャイナリスクのダブルパンチで苦しんでいるところが多いが、ギフト・景品業界でも繊維製品が品薄になっているようだ。

以前にも書いたが、現在の綿花相場は、12月7日の繊研新聞によると

ニューヨークの綿花相場は、11月9日に1ポンドあたり151セントと昨年約2倍に高騰してから、反転して23日には113セントと下落。その後、12月1日には132セントと再び上昇している。

また超長綿も最高値を更新しており、記事によると

米国のピマ綿は11月4日に1ポンドあたり225セントと史上最高値を更新。
昨年5月に110セントだったが、今年5月は150セント、11月23日には266ポンドまで上昇しており、エジプトの「ギザ88」も270セントと高値で推移している。


ということである。

まだまだ綿花の価格は下がりそうにない。
ちなみに綿花の中でも特に繊維長が長い物に関して「超長綿」と呼んでおり、繊維長が長いほど滑らかな表面感の織物が出来上がる。その超長綿の代表がアメリカのピマ綿であり、エジプトの「ギザ88」である。

綿製品不足は、来年春にはもっと顕在化するのではないだろうか。

百貨店売上高の低下もそろそろ底打ちか?

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 11月度の全国百貨店売上速報が発表された。
日本百貨店協会によると、11月度売上高は前年比0・5%減とほぼ前年並みだったという。
気温が例年通りに低下したことから、コートやジャケット類などの重衣料や秋冬物衣料がそこそこに順調だったようだ。

前月は0・6%増であったから、百貨店売上高の低下がようやく底打ちしつつあると言えるだろう。

さて、百貨店という業態がダメであることは、各評論家とも異論がないと思われる。そしてその復権を目指しては大きく2つの意見に分類できるのではないか。

1つは、プレステージ性をより高めてファッションの品ぞろえ、ハイクラスブランドのテナント出店を強化すべき

もう一つは、ファッションに特化しすぎた現在の業態を転換して、家電や玩具、生活雑貨などの品ぞろえや買いやすい価格帯のブランドのテナント導入を強化すべき

という意見である。

自分は後者の意見だが、そもそも百貨店が復権する必要があるのかどうかすら疑問である。はっきりと言いきってしまえば復権する必要はなく、より淘汰されれば良いと考えている。
そもそも百貨店の数が多すぎる上に、バブルのころの業態がそのまま生き延びて復権することなどナンセンスだと考えている。
バブルの頃を知る古い業界人はノスタルジーで、百貨店復権、ファッションブランド強化を唱えているのかもしれないが、時代に適していない。

時代性や社会環境に適合・変化しないと企業は生き残れないから、百貨店もバブル期までのビジネスモデルを転換して生き延びるべきだと思う。時代に応じて適合・変化できないなら、百貨店は今でも呉服屋のままでなくてはいけない。
ご存じの通り、多くの百貨店は江戸時代の創業期に呉服屋であったという歴史がある。
呉服屋から時代に応じて適合・変化したから生き残れたのであって、それに固執していたら廃業を余儀なくされていたはずだ。

百貨店がバブル期モデルから転換できるかどうかは、そのダブついた人員をどう整理するかにもかかっていると思う。
生き残るためには大量の社員解雇が必要になるだろう。

産学連携に懐疑的なワケ

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 先日、大阪産業大学アパレル産業コースの内紛報道について、まとめさせていただいた。今回の一件で大阪産業大学とそのアパレル産業学部には悪イメージができてしまったので、今後は運営にかなりの苦労を強いられることとなるだろう。おそらく生徒数も激減すると思われる。

ところで、アパレル業界における大学や専門学校との「産学連携」がほとんど成功していないことの理由として、学校側の態度や指導方法にも問題があると書いたのだが、以前に何校からか聞いた話を補足しておきたい。

専門学校には生徒に対して「課題」を出す。まあ、普通の学校でいうところの宿題だと思って良いだろう。○○日までにデザイン画を5体仕上げてきなさい、とか、○○日までにこのパターンを完成させて持ってきなさい。、とかいうものである。
もちろん、その課題をあまりやって来なくて提出できない生徒もそこそこにいる。そういう生徒はどんどん課題が積み重なっていって、借金地獄のようになってしまうのだが。

最終的に、就職先が決まって卒業間近だというのに、以前やりのこした課題がまだ提出できていないという生徒も幾人か現れてしまう。
おそらく、現在は、卒業式後にやり残した課題をやり上げて終わるという形式が主流だと思う。しかし、以前に聞いた話では、昔は課題が終わらないから卒業できずに内定していた就職も辞退したケースもあったという。
さすがに現在はこういうケースはないだろうと推測するのだが、これでは本末転倒も甚だしい。

元来、専門学校は就職するための学校であり、アカデミックな物ではない。課題をやり上げない生徒も悪いのだが、せっかく決まっていた就職を辞退させて課題を提出させるというのは、専門学校の本来の趣旨から大きく逸脱している。
まさに課題のための教育であって、就職のための教育ではない。

現在では根絶したと思われるが、学校側がこういう態度であるなら「産学連携」などは100年経っても実現不可能である。
専門学校はアカデミックを目指すべきではない。

大阪産業大学アパレル産業コースの内紛

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 つい2,3日前にテレビでニュースを見ていたら、以下のような報道があった。大阪産業大学で内紛が勃発しているようだ。

大阪・大東市にある大阪産業大学経営学部で、アパレル産業コースの教員2人が自宅待機を命じられたことに抗議して、教員の加入する労働組合が14日朝からストライキを行い、授業がストップしています。

 大阪産業大学のアパレル産業コースでは今年9月、学生の海外研修で使途不明金があったなどとしてコースを設立した教授と客員准教授の2人が自宅待機を命じられて休講が相次いでいます。

 これに対し、教授などコースの7割以上の教員が加入する労働組合は「はっきりした理由もなく自宅待機にするのは不当だ」として、自宅待機命令の撤回と授業の正常化を求めてストライキを行っています。

 「学生たちも授業料を払っている。(大学側に)誠意ある態度が全くなかったのでやむをえず」(大阪教育合同労組 大阪産大支部長)

 集会には2人の教員の復帰を求める学生らも参加し、アパレル産業コースの授業はストップしています。

http://hicbc.com/news/detail.asp?cl=j&id=4600735

とのことである。
この報道だけでは大学側か、教授側のどちらが悪いのかがまったくはっきりしない。
ただ、いろいろな方の報道記事やブログを拝見すると、赤字垂れ流し体質の大学側と、経営改革派だった重里教授側の確執であるようだ。


個人的には大阪産業大学アパレル産業コースとはまったく縁もゆかりもないのだが、一般大学にアパレルコースが設置されるのはある意味で画期的なことだと思って眺めていた。
なぜなら、アパレル業界の業界体質の疲弊と矛盾によって、ファッション専門学校から業界への就職は年々厳しくなっている。
アパレル側は企画職は求めていないが、営業・販売職なら求めている。そして営業・販売職に就職するのであれば専門学校を卒業する必要はなく、通常の大学卒業で十分である。
さらに言えば、アパレル業界に見切りをつけ、異業種へ転職する際も大学卒業資格の方が転職しやすい。

ならば通常の大学でアパレルに関することを学んで営業・販売職に就く方が安全な人生設計ができる。
こういう背景から考えれば、大阪産業大学の取り組みは、専門学校にとって脅威であったといえる。


今回の騒動、なぜか放送直後のテレビ局のサイトからも削除されており、もみ消しの匂いがプンプンするので、詳細にまとめていただいていいるブログより引用したい。

そもそも「紛争」の発端は、関西ではテレビにも出演する重里俊行:経営学部教授らを、大学側が出勤停止処分にしたことからでした。



98年にこの大学の教授に就任した重里氏は、リーマンショックで大産大が40億円を超える資産運用の評価損を抱え、理事長らが責任を取って辞任した後を継ぐ形で、昨年4月に常務理事兼事務局長に就任。大学内改革の急先鋒でした。



教授と経営陣という2つの顔を持ち、改革に大ナタを振るう重里氏は、その歯に衣着せぬ発言もあって、学内で次第に疎んじられるようになっていきます。



そんなおり、重里教授が中心となって運営していた経営学部アパレル産業コースの「パリ・ミラノ視察研修」が事実上中止になる事態が起こりました。



このアパレル産業コースは、非常に人気の高いコースで、重里教授の授業も学生たちの評判は良かった。



視察研修は、今年8月末から予定されていたが、大学側は、「文部科学省が取りやめるように求めてきた」と説明。学生自らが文科省に問い合わせると、そんな事実は無いということが判明し波紋が拡大。



さらに大学側に問い質すと、「納得できないのなら退学すればいい」(!)と言い放った別の教授もいたという。



学生の保護者からも批判が強まり、大学側は8月6日、説明会を開き、今度は視察研修中止の理由として、重里教授と、同氏が採用を推薦した女性のA客員准教授の2人が費用を私的に流用した疑いがあると説明。(重里氏とAさんは容疑の事実を否定)



この2人は9月17日、後期の授業が始まる直前に出勤停止処分となり、現在に至るもその処置は解かれていません。

という背景がある。
テレビ報道では重里教授の名前が出ていなかったが、この重里教授の改革推進に、守旧派がクーデターを起こしたというのが実情のようだ。
このブログには、ほかにも守旧派が重里教授に対してハニートラップを仕掛けようとしたり、尾行したりと、スパイ映画顔負けの黒い計画を立てていたことが書かれている。
チャイムの音が流れ続けるので、音量を消してご一読いただきたい。

http://ameblo.jp/neocedar135/entry-10709185956.html


それにしても、専門学校も大学も教職員の体質はぬるま湯である。
数多く「産学連携事業」が打ち出されているが、アパレル・繊維業界に対して有効だと感じられる産学連携事業は見たことがない。
ほとんどが学生のお遊びコンテストか、オブジェのような何の役に立つかもわからない立体物を作って終わり、というケースがほとんどである。
本当に産学連携であれば、卒業最終年度の学生を、1年間特定の企業に張り付かせるくらいのことが必要であるが、従来通りのカリキュラム重視であるため、業界イベントに1日や2日参加させることさえ躊躇するのが今の学校の姿勢である。

こんな体制では、業界と学校の温度差はますます開くばかりだと思うのだが。

今後、大阪産業大学と重里氏のどちらが勝利するのかわからないが、今回の内紛で地に落ちた大学イメージは容易に回復しないだろう。その意味では、守旧派は自分で自分の首を絞めたと言える。






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