ファッション専門学校生はもちろん衣料品が好きで、それをしたくて入学している人が多い。

個人的には「好きを仕事に」というのは全面的に賛成はしない。
好きといっても、「ファッション衣料を買って着るのが好き」と「ファッション衣料を作ったり売ったりするのが好き」では意味が異なり、前者が好きな人はファッション衣料業界に入るべきではないと思っている。

それならモデルを目指したり、ファッション評論家を目指すべきだと思う。
それこそ、焼き肉を食べることが好きな人が焼き肉屋に就職するのが良いとは思えない。

まあ、それはさておき。

学生は一般人に比べてファッションや衣料品への興味が高いことだけは間違いない。

そういう学生たちでさえ、アパレル業界人が思っているよりもずっとアパレル企業名やブランド名を知らない。
アパレル業界人は繊研新聞やWWDに任せていないで、自ら生の声を取りに行ってはどうか?すさまじい衝撃を受けるだろう。

大雑把にわけて、かつての大手アパレルと現在の大手アパレルを比較してみる。

かつての大手

ワールド
オンワード樫山
三陽商会
ファイブフォックス
イトキン
TSIホールディングス

現在の大手

ファーストリテイリング
しまむら
アダストリアホールディングス
ストライプインターナショナル
マッシュスタイルラボ
ユナイテッドアローズ

など

ということになるが、前者の「かつての大手」は圧倒的に知られていない。
これは自分の身の回りのファッション専門学校生20人くらいの結果である。
しかし、単年度の結果ではなく、ここ3年間くらい共通しての結果だから、それなりに普遍的だと考えられる。

かつての大手は社名はまったく知られていない。
ブランド名も知られていない。

オンワード樫山の主力である組曲、23区、ICBは壊滅的に知られていない。
ワールド、イトキンも同様だ。
三陽商会は以前ライセンス生産していた「バーバリー」のみ知られている。
SPAの走りとしてかつては一世を風靡したファイブフォックスのコムサシリーズもほとんど知られていない。
まれに「あ、名前を聞いたことがある」という学生が1人か2人いる程度だ。
TSIホールディングスは社名はもちろん知られていないが、傘下のナノユニバースとローズバッドは知られている。

ざっとこんな感じだ。

ちなみに「現在の大手」でも社名を知らない学生は多い。
例外は基幹ブランド名と社名が同じであるユナイテッドアローズとしまむらくらいだろう。

しかし、それぞれのブランド名は認知している。
ユニクロ、ジーユー、スナイデル、アースミュージック&エコロジー、ローリーズファームなどはしっかりと認識している。

この結果を見ていつも衝撃を受ける。まあ、3年目にもなると慣れたが。
逆にアパレル業界人はこの結果を見て何も感じないのだろうか?
何も感じないならますます衰退ブランドは衰退するだろう。

若い人たちの所得は減っているもしくは伸び悩んでいるから、高価格品は売れにくい。
そうなると低価格品では競争力のない「かつての大手」は中高年向けのブランドに特化することになる。
それがさらに若い人たちへの知名度を低めている。

3年くらい前まではアルバイトの時給も低く、学生は高い服を買えなかったが、去年や今年はアルバイト時給がかなり高くなっていて、ユニクロやすき屋で月に20日間くらいシフトに入っている学生の所得は驚くほど高くなっている。
20万円とか25万円くらいの収入があるらしく、懐寒しな当方もユニクロかすき家でバイトした方が良いのではないかと真剣に考えるほどである。
業界の食い詰めているオッサンたちはユニクロとかすき家で月に20日間くらいアルバイトした方が良いのではないかとも思う。

そんなだから今の学生は買おうと思えば、超高級ブランドは無理としても百貨店価格帯くらいなら買えなくもなくなっている。

となると、「かつての大手」が年配層に偏重している状態が正しいとは言えなくなりつつあるのではないか。

逆にいえば、これほど企業名はさておき、ブランド名すら認知されていない状態では10年後の30代・40代が「かつての大手」が擁するブランドを選ぶ可能性はほとんどゼロだろう。

今の若者が10年後に30代・40代になったときに選ぶのは、今親しんでいるブランドか、今親しんでいるブランドの上級ブランドということになる。おわかりだろうか?

ユニクロでは飽き足らなくなったらセオリーを買う。決して23区とか組曲とかアンタイトルは買わない。
なぜなら、それらには全く親しみがないから。

メンズでも同様だろう。
バーバリーは買うが、クレストブリッジは買わない。

そうなると、どうなるかというと「かつての大手」の業績はますます厳しくなる。
先細りしかない。
オンワード樫山はそういうリスクを避けるために食の分野に進出しようとしているが、オンワードマルシェもイギリスに出店した手打ち蕎麦屋も唐突な印象しか受けない。
ネット通販のグルメサイトであるオンワードマルシェはまだしも、手打ち蕎麦屋はまったくオンワードのイメージとはつながらない。
かつてジャヴァグループ(現ジャヴァコーポレーション)が神戸本社の1階にうどん屋を開設して運営していたが、それと同じくらい唐突なイメージだ。ちなみにそのうどん屋のスタッフもジャヴァの社員だったと聞いている。

今の20代も10年後には30代になる。
中高年偏重の大手アパレルのさらなる凋落は予想するよりもずっと早く訪れるのではないか。

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