実店舗での洋服販売が不振なアパレル業界は「ネット通販こそ新たな楽園だ」とばかりにEC化比率を高めようとしている。
もちろん、実店舗にくらべるとネット通販はコストが安いから、これに成功すると利益額が増える可能性が極めて高い。
すでにインターネット環境もかなり整備されている。

「テレホーダイ」で毎晩11時からネットにつないでいた時代が懐かしい。
それ以外の時間でつなぐと通話料がバカ高かったからだ。

インターネット通販市場はこの10年間で5倍強にまで拡大しているから、洋服もネットでさらに売れるようになる。理論上はね。

しかし、実際のところインターネット通販を利用している人の割合は、アパレル業界の人が想像しているよりも低い。

例えばこんな報道がある。

実はネット通販の初心者だらけだった? ネット消費率17%からみるECビジネスの今後
https://netshop.impress.co.jp/node/4902

「ネットライフ1万人調査」の5年間の結果をまとめてある。

この数値を見て最初に驚かされたのは、総消費額全体に占めるネット消費率が、5年前と比較しても“ほぼ横ばい”という点です。14%~17%と数値の変動がほとんどありません。

とのことである。
しかし、この調査だとネットの市場規模が伸びているのに、使用金額が横ばいであることは整合性が取れない。
この記事の筆者もそこに疑問を抱いている。

まず、1つの大きな問題は「ネットで1年間買い物をした金額を正確に答えられる人はいない」という点です。

ネットにさほど関わっていない一般の消費者は、私たちが想像するよりもずっと、ネット通販に対して距離を置いているのではないかと思います。

事実、ネットライフ1万人調査では年齢の人口分布にあわせて調査を行っているため、比較的ネットに不慣れな高齢者に調査結果が偏ってしまうところがあります。その結果が15%前後という低いネット消費率につながっていると考えられます。しかし、見方を変えれば、ネット通販に不慣れな人は、世の中にまだまだ多く存在しているとも言えます。

 

とのことである。

また、総務省の昨年のネットショッピングの調査によると、

二人以上の世帯におけるネットショッピングを利用した世帯の割合は、家計消費状況 調査が始まった 2002 年は 5.3%でしたが、2015年には 27.6%と 5.2 倍となっています。



http://www.stat.go.jp/data/joukyou/topics/pdf/topi920.pdf

とのことで、たしかに急増はしているが、利用した世帯はたった28%しかなく、のこり72%の世帯はネットショッピングを利用していない。

この2つの調査にはもちろん誤差は含まれるだろうが、その誤差を差し引いたところで少なくとも60%以上の世帯ではネットショッピングを利用していないと考えて間違いはないだろう。

また別の調査もあって、先の記事内でも触れられているのだが、

総務省の調査では、2年前の時点で「全年代で7割以上の人がネットショッピングの経験者」と発表されていますが、ネットショッピングを「したことがある」のと「よくしている」とでは、状況が大きく変わってきます。つまり、EC市場1.35倍の成長率の中には、ネット通販のヘビーユーザーが買い物した数よりも、年に数回しかネット通販を利用しない不慣れな人の数の方が圧倒的に多く存在しているとも考えられるのです。

とのことで、年に1回か2回くらいは使ったことがある人は7割になるが、頻繁に利用している人となると、やっぱり20~30%程度になると考える方が実情に沿っているといえる。

さらにいえば、ここでいうネットショッピングは洋服だけではなく、家電や家具、日用消耗品、本、ガンダムのプラモデル、食品などが含まれており、それの総額市場が16兆円くらいだということに留意する必要があるのではないか。
ネット通販市場規模が15兆円とか16兆円と言われているが、そこに含まれている洋服の売上高はどれほどあるのか。
おそらく業界が思っているよりも低いのではないかと考えられる。

個人的な行動をさらすので恐縮だが、当方は3年くらい前から毎月1つか2つの商材をネットで買うようになった。
2014年以前にはネットで買った商品なんて1つあるか2つあるかで、そのうちの1つは8年くらい前に、うちの長男が大型書店にも売っていないマニアックな本を欲しがったので、Amazonで取り寄せた。あともう一つは5年前くらいに価格コムでノートパソコンを買った。記憶にあるのはこの2つで、それ以外は2014年以前にはネットで買い物をしたことがない。

現在、もっとも頻繁に利用するネット通販は断トツでAmazonである。
次にYahoo!ショッピングとヨドバシカメラドットコムである。
洋服も買ったことがあるが、ユニクロとジーユーのみだ。今月、例外的にAmazonで5999円のレザージャケットを買ったのと、今夏にAmazonグンゼのYGカットオフ肌着とボディワイルドのフットカバーを買ったくらいだ。

当方がネットで買うのは、

1、ガンダムのプラモデル(毎月1個くらい)
2、スマホアクセサリー(スマホカバー、画面の保護シート)
3、生活雑貨(布団カバーなど)
4、パソコン回りの商品(プリンターのインクなど)
5、リュック

がほとんどで、例外的にAmazonでレザージャケット、グンゼの肌着と靴下を買ったくらいである。
衣料品はユニクロとジーユーのみで、今年に入ってからユニクロのネット通販では買っていない。
ジーユーは送料5000円以上が無料になるので、10月にカットソースーツを2着(合計11000円強)を買っただけだ。

自分自身の生活を振り返ってみても、洋服を買う確率は格段に低い。
全員が当方と同じ嗜好だとは思わないが、アパレル業界人が思うほどには一般消費者はネットで服を買っていないのではないか。
もしくはネットショッピングそのものを利用していないのではないか。

実店舗販売が苦しいから何かにすがりたくなる気持ちはわかるが、上記の調査結果を踏まえた上でネット通販を強化しないと、結局はコストも手間も無駄になってしまう。コンサルもメディアもネット通販を煽ってばかりいないでもう少し冷静な視線を企業に提供してはどうか。

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