さて昨日の続きを。

ZOZOSUITによってユニクロは終わる?いや、終わらないよ
http://minamimitsuhiro.info/archives/1964.html

ZOZOSUITの登場に浮かれるのはご勝手だが、「ユニクロ終わる」ってのは違うかなと。
たしかに、このシステムはIT系・アパレル系はだれもが夢想したと思うが、資金のことが念頭にあって実際にだれも実現にはこぎつけなかった。
これを実現化したことだけでもやはりスタートトゥデイはすごいとは思う。

しかし、スタートトゥデイを持ち上げすぎるのはどうかとも思う。

ユニクロに限らず、個人情報を積み上げている企業は意外に多い。
ニッセンや千趣会などの通販大手なんて何十年にも渡って莫大な個人情報を積み上げている。
ただ、好調なベルーナを除く不振大手通販各社はその情報の分析が甘くて生かし切れていないのである。

スタートトゥデイが今後、新規投入するプライベートブランド「ゾゾ」について考えてみよう。

今回のスーツで採寸したデータをゾゾの製造に生かして、「究極のフィット感」を実現するそうだが、テイストがベーシックカジュアルであること以外、何も発表されていない。
このため、現時点で商品について外野がワーワー言っていてもまったく意味がない。

それと、採寸によって「洋服はオーダーメイドに回帰する」なんてぶち上げている人もいるが、「ゾゾ」ブランドに関しては、オーダーメイドは当てはまらないと思う。

オーダーメイドをぶち上げている人はフルオーダーをイメージしていると思うのだが、現時点で分かっていることから推測すると、それはありえず、パターンオーダーになるのではないかと考えられる。

なぜ、フルオーダーでないかというとそれは「ベーシックカジュアル」とされている時点で超高価格はあり得ない。
それこそユニクロで買えるテイストの物を超高価格にしたって意味がない。
もちろんユニクロほどの低価格にはならないだろうが、そこにある程度近しい価格にしようとするならフルオーダーでは無理だ。
例えば、ジーンズの最高価格は1万9000円までだろう。2万円を越えるようなジーンズはおいそれとは売れない。理想を言うなら、15000円未満だと思う。
となると、バカ高くなるフルオーダーは使えない。

パターンオーダーになると、ツープライススーツショップですでにスーツ28000~38000円で作れる量産システムが確立されているので、ある程度の価格帯に抑え込むことが可能になっている。

それにZOZOTOWN出店ブランドの中には高価格帯カジュアルを扱っているところも多く、そこと競合させることは考えにくい。
あくまでも出店ブランドとコーディネイトが可能で隙間を埋めるようなベーシックカジュアルになると考えた方が間違いがないのではないか。

どうもフルオーダーとパターンオーダー(セミオーダー、イージーオーダー)をごっちゃに考えている人が多すぎるのではないか。
一般消費者ならそれは仕方がないが、業界人がその違いと価格差を理解していないのはいかがなものだろうか。

また、サイズを測定して「究極のフィット感を実現」というけれども、カジュアル服にそこまでの「フィット感」が必要だろうか。
究極にフィットさせるとレオタードになってしまうが、そういうフィット感をカジュアルに求める人は数少ない。
手足の丈の長い短いという問題は解決されるだろうが、その部分以外では既存の他社カジュアルブランドをすべて駆逐することは考えにくい。1センチの身幅の狭い広いはどうでもよいと考える人が多いのではないか。

究極のフィット感が求められるのはレオタードと競泳用水着くらいだろう。

逆に現在トレンドのルーズフィットの場合、フィット感は必要ない。

個人的に興味があるのが、採寸した体型データをもとにして、どの程度のサイズ感にアレンジするのかである。
レオタードみたいにピチピチにする必要はなく、データをもとにしてどれくらいのゆとりを衣服に持たせるようにアレンジするのかという問題は簡単なようで意外に難しい。
逆にレオタードを作る方が簡単だろう。データに合わせてぴったりさせれば済むのだから。

データをもとに2センチゆとりを作るのか3センチにするのか。
ルーズフィットなら何センチのゆとりを持たせるのか。

ここの決断はかなり難しいのではないかと外野からは推測する。

どのような決断を下したシルエットが提示されるのか興味は尽きない。

また、繰り返しになる部分もあるが、ファッションにはさまざまなテイストがある。
アメカジ、モード、トラッド、フェミニン、などなどだ。

このすべてのジャンルを「ゾゾ」ブランドが網羅できるはずもないし、するとは到底思えないので、市場すべてを「ゾゾ」が占有してしまう可能性は限りなくゼロに近い。
大真面目にそれを考えている人は、たった6兆円で売却されたモンサントが「世界征服をする」と考えている人と同じくらいナンセンスだ。
たった6兆円で世界征服できるなら、もっと早くにいろんな国が買収していただろう。

となると、ゾゾはベーシックカジュアルとプラスアルファを販売しながら、ゾゾタウンへの出店ブランドに体型データを供与して、そのブランドが製品開発に生かすというのが最も現実的な予想ではないか。
出店していなくても、ビジネスとしてユニクロや無印良品などに体型データを販売することも考えられる。
また肌着メーカーやスポーツウェアメーカーにデータを販売することもあるだろう。

さらには前澤社長は「靴の開発に向けたサイズデータ収集を始める」と言及しており、衣料品よりも5ミリのサイズの違いにシビアな靴というジャンルにこそ、この採寸データシステムは相応しい。
洋服はサイズが5ミリや1センチ違っても着られるが、靴は5ミリ違えば足さえ入れられない。

そうなると、このシステムで究極のフィット感が求められるのは服ではなく靴である。
究極のフィット感が得られる靴なら興味はある。

よほど特殊な固い素材でもない限り洋服はそこまでシビアにサイズは求められない。とくにカジュアルは。

以上のように考えると、ゾゾブランドのベーシックカジュアル衣料品は、現在の市場を壊して占有してしまうほどの商品ではなく、現在あるうちのワンオブゼムとして消費者の選択肢の一つになるのではないか。
また当然、今回のニュースですでにデータを所有している大手通販各社やユニクロ、パターンオーダースーツブランドはさらに研究を深めるだろうから、ある程度の全体のレベルアップも見込める。

話題性によって市場を活性化する可能性はあっても、ゾゾが占有してしまい現在の実店舗はすべて終わるというのは、ちょっと考えにくい。
一般消費者やタレントならそういう予想に酔っても良いが、自称も含めて業界の専門家が浮かれてしまうのはどうかと思う。まさに消費者と専門家(自称も含めて)の差が無くなりつつあるとしかいえない。
今回のZOZOSUIT騒動ではそのことが露呈したのではないか。

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