販促・広報活動には多額のカネが必要だが、意外にカネのかからない方法もある。
商品名を変えることだ。

業界人にとってわかりやすい商品名と、消費者にとってわかりやすい商品名とは異なる場合が多い。
衣料品でいうと、

ハイキックストレッチノータックスラックス(長ッ)

よりも

感動パンツ

のほうがずっとわかりやすい。

当方にとってはハイキックストレッチノータックスラックスのほうがわかりやすいが、業界に縁のない人にとってはなんのこっちゃわからないだろう。(なんだかノートラップランニングボレー隼シュートと語感が似ている)
それよりも

感動パンツといった方が、内容はわからないまでも「何かが感動レベルにあるパンツ」だとわかる。

個人的な好き嫌いでいえば、感動パンツというネーミングは嫌いだし、「感動ってなんやねん?」と思うが、「中身はよくわからないが感動するほどすごいらしい」ということだけは伝わりやすいと思う。

商品を変えずに商品名だけを変えたらすごく売れたということがたびたび起きる。
最近ではこの報道だ。

商品名を変えただけで売り上げが17倍に 靴下の大ヒットを生んだきっかけ
http://news.livedoor.com/article/detail/13887590/

大手靴下メーカーの岡本の商品だが、

「もともと‘13年に『三陰交をあたためるソックス』という商品名で発売していたのですが、’15年に全く同じ機能のまま、『まるでこたつソックス』という商品名で新発売したんです。すると、発売年度(’13年度)と昨年度(’16年度)の数量ベースで比べると、17倍以上の売り上げになっていました。今年度はさらに伸びると予想しております」

とのことである。

そもそも「三陰交」なんてツボの名称を言われても、一般消費者にはピンとこない。
もちろん、専門家や業界の人間には、こちらの方が伝わりやすいのだろうが、一般消費者には全く伝わらない。
三陰交ってなんやねんということになる。

「まるでこたつ」のほうがずっと一般消費者にはわかりやすい。

こういうことである。

アパレル、ファッション業界はこれまであまり商品名、ネーミングを工夫してこなかった。

13・5オンスストレッチデニムブーツカット とか
ヘビーオンス裏毛トレーナー   とか
綿レーヨン混スラックス とか

そういう説明的な商品名ばかりだった。
何度もいうようにこちらの方が当方も含めて業界人には伝わりやすい。
一発でどんな素材の商品なのかがおおよそ見当がつく。

綿レーヨン混素材で作られたスラックスなら柔らかいんだろうな、とか、ヘビーオンス裏毛なら相当にガッチリしているんだろうな、とかすぐさまどんな商品なのか想像できる。

しかし、買ってもらいたいのは業界人にではなく、一般消費者にであるはずだ。
一般消費者はヘビーオンス裏毛なんて言われてもなんのこっちゃ意味がわからない。
裏から毛が生えているのかと思う。

ヘビーオンス裏毛トレーナーなら、「バリ固トレーナー」くらいのネーミングのほうがわかりやすいだろう。

各ブランドとももっとネーミングを工夫してみてはどうだろうか?
ネーミングを変えるのに必要な費用はせいぜいコピーライターに支払うギャラくらいである。
そのギャラだって安ければ数万円だろうし、高くても何十万円くらいだろう。

わけのわからん人気タレントを何千万円のギャラで呼んできて着せるよりもずっとコストパフォーマンスが高く効果的だ。
一般的に業界ではいまだにタレントに着せることが有効な手段だと思われているが、それで効果があったブランドがどれほどあったのだろうか?

2009年頃にユニクロが藤原紀香にカラーパンツを穿かせたが効果なく撃沈している。
某量販店向け肌着ブランドは毎年、人気タレントと契約してポスターやパッケージに使用するが、その結果がユニクロの肌着に対して圧倒的に知名度で引き離されている現状である。

タレント起用がまったく効果がないとは言わないが、確実に勝てるカードではないといえる。

それにタレントというのは契約期間が終われば、他のブランドと契約して違うブランドを着ることになる。
そのタレント=ブランドという風には消費者は見ない。

キムタクに着せてバカ売れした2005年までの幻影にいつまでアパレル業界と広告代理店は引きずられているのだろうか。

それにしても岡本が取り上げられたことは珍しい。
連結売上高387億円もあって靴下業界の大手の1社だが、地味であまりメディアでは取り上げられない。
多分一般消費者も社名を認知していないと思われる。

そういう地味な企業の活動が注目されることは喜ばしい。

岡本は奈良県広陵町で創業しており、本社は大阪市西区に置くが、今でも本店は奈良県北葛城郡広陵町に置いている。
こういう部分も好感が持てるが、惜しむらくは地味だというところだ。

靴下の大手は全般的に地味だ。
この岡本しかり、福助しかりグンゼしかりアツギしかりナイガイしかりだ。

閑話休題。

たしかに今回の「まるでこたつ」というネーミングはよくわかるが、決してかっこよくはない。
アパレル業界は変にかっこつけた人が多いから、わかりやすいダサさよりもわかりにくいかっこよさを追求してしまうのだろう。
しかし、その性癖が衣料品を「わかりにくいもの」という印象にしてしまったのではないか。
実際に業界のハイセンスwwな人たちの言っていることは20年以上経過した今でもよくわからないことがある。

小規模で少人数に売りたいマニアブランドを目指すなら今のままでも良いだろうが、大規模にマスに売りたいのならかっこ悪かろうが何だろうが伝わる商品名にする必要がある。
要は経営者の方針次第だ。
かっこつけたままでマスに売りたいというのは両立しにくい要素だということを認識した方が良い。

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三越伊勢丹HDが「ケイタマルヤマ」を手放す理由とは?
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n06274a064cba

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