12月にこれほど大々的にセールが行われていたのは、今年が初めてではないだろうか。もちろん今までからも「シークレットセール」「フライングセール」「メンバーズバーゲン」などと銘打っては、行われていたものの、どちらかというとひっそりやってますという感じだった。
しかし、今年はもはやセールのPOPで店頭が真っ赤である。

そのセールの値引き率も高い。ユニクロでも9990円のダウンジャケットが年末まで3990円に値下がりしている。
言ってみれば、衣料品のデフレも極まれりの状況にある。

他方、原料費は高騰を続けており、綿花、羊毛の値上がりがすさまじい。それに引きずられてポリエステルやアクリルの合成繊維まで値段がわずかずつ上昇している。さらに、中国の生産工場の人件費も上昇しており「中国で生産しても、国内で生産しても値段はあまりかわらない」くらいになっている。

このため、来年春物からは衣料品の値段が上昇しそうだ。
業界努力でもなく、政府の努力でもなく、原材料の高騰と海外工場の人件費上昇という外的要因であるところが笑えるのだが。

例えば、パルグループの大谷時正専務は「店頭価格は上がらざるを得ない」と分析している。
しかし、価格が上昇して厳しくなるのは、3900円までの低価格ゾーンであり、10000円の商品が11000円になっても固定客は買うが、1900円の商品が2900円になればそのゾーンの消費者は買わなくなる。
もっと最悪なことを考えると、低価格ゾーンの企業が価格据え置きを狙うなら、原料と縫製の品質を落とすしかない。
すなわち安い材料と安い縫製工賃で商品を作らなくては、価格据え置きができない。これまでより数段品質の劣る1900円商品が出来上がるというわけだ

低価格ゾーンではユニクロは、おそらく価格据え置きにするだろうと推測している。生産ロット数量がケタ違いに大きいため、なんとかコストを吸収できるはずだ。しかし、しまむらやハニーズ、ジーユー、リオ、タマヤなどはどうだろうか?
生産数量が中途半端だが、価格は安い。
最も影響を受けるのではないだろうか。

価格上昇で客数を減らすのか、価格据え置きで粗悪品を提供するのか、のどちらを選択するのかでその企業の姿勢が見えてくるのではないだろうか。

何はともあれ、海外状況のおかげで、衣料品のデフレは底打ちをしそうだ。