生地問屋の展示会を見ていると、2年くらい前から急速に「エシカル素材」の取り扱いが増えたと感じる。
「エシカル素材」とはなんぞや?というと、オーガニックコットンだったり、リサイクル繊維だったり、そういう「環境に良い」と思われている素材を使った生地のことである。

個人的には、素材に限らず「熱く」エシカルを語る企業、ブランド、人は好きではない。胡散臭く感じる。
人間が生きて現代文明生活を営むこと自体が環境破壊しか生まないのに、そんな表層的に取り繕って何の意味があるのかと思う。

とはいっても、現在の中国の工場のように廃液垂れ流しで良いとは思わない。
公害を減らすことは重要である。ただ、生来のへそ曲がりとしてはそれを華々しく打ち出す行為が嫌いである。

そんな初老のオッサンの好き嫌いはどうでも良いとして、欧米に向けた商売をする場合は、エシカルな取り組みを見せる必要がある。
このあたりは、さすがは偽善的な綺麗事の建前が大好きな欧米人だとしか言いようがない。

先日、お邪魔した瀧定名古屋の2018年秋冬素材展でも、海外販路を意識した「エシカル素材群」を発表していた。
同社の様式でいえば「サスティナブル素材群」ということになる。

瀧定名古屋の2018秋冬素材展の表示

今回の展示会でいえば、この「サスティナブル素材群」と「機能性素材群」の2つが目玉といえる。

機能性素材群とは、撥水、防風、ハイストレッチ、抗菌などの機能性を有した素材群で、サスティナブルは海外向け、こちらは国内市場向けというふうに見ることができる。

当方も含めて、日本人の多くはそんなにサスティナブルとかエシカルに興味はなく、機能性素材の方に関心が集まっているからだ。

初老のオッサンになると、もう「見た目がかっこいい」とか「色柄が素敵」とか「トレンドだから」ということだけでは服は買わなくなる。撥水だとか吸水速乾だとかストレッチだとか、そういう便利機能が付与されて初めて購買意欲が湧く。
別に初老に限らず、若い人でもそういう機能性への関心は高い。だから機能性素材を使用した衣服が売れるのだろう。同じ服ならやっぱり便利な方が良いに決まっている。

そういう業界がいう「エシカル」「サスティナブル」素材の一つに、再生ポリエステルが含まれている。
若い人たちは「再生ポリエステル」と聞いて、斬新さを感じるだろうか?
ペットボトルを再生したポリエステルのことだ。

しかし、実はこの素材は20年前に注目されたが、あまり普及せずに終わった素材で、これが最近「エシカル」「サスティナブル」によって再注目されているということになる。

2000年間近のころ、当方は駆け出しの業界紙記者だった。
このころ、注目を集めていたのが再生ポリエステルで、おもにワーキングユニフォーム業界に多く使われていた。

一般衣料品にも広めようという動きは合繊メーカーではあったが、あまり普及せずにそのうちに耳にすることもなくなった。
2003年にはほとんど聞かなくなっていたと記憶している。

理由は二つある。

1、再生するコストが高い
2、糸そのものの品質が悪い

品質の悪い糸に高値が付くのだから、そりゃ誰も使わない。
よほど暑苦しいイシキタカイ系しかそんなメンドクサイ素材は使わなくて当たり前だ。

それが近年のブームで再注目されているというわけだ。

そこで、当方は過去に普及が妨げられた2つの要素が解消されたのかどうかを何社かに雑談程度に尋ねてみた。
将来的には解消されるかもしれないが、現時点では解消されていないということだった。

ただ、再生ポリエステルにせよ、エシカル原料ばかり使えということではなく、混ぜて使っても良いということで、「使っているという姿勢が重要」なのだというから、まあ、その程度の取り組みにとどめた方が暑苦しくなくて良いと思う。

ところで、その「エシカル」「サスティナブル」とされている素材、原料も「定義」が複数あり、統一されていない場合もあるので要注意だ。

例えば、オーガニックコットンだと日本には協会が2つあって、お互いに相容れていない。「定義」が異なるのである。
また、業者が勝手に定義を広げたり再解釈する例もある。

ある工場は、オーガニックコットン工場で出た「落ち綿」を集めて、それを糸にして「オーガニックコットン糸」として比較的安値で発売しているが、別の生産業者からするとこの手法は邪道だという。

オーガニックコットンとは、国だけではなく畑までトレーサビリティが可能であるべきだとされているから、各国・各農園の落ち綿が混じり合っていればオーガニックコットンとは言えないという主張がある。
また落ち綿を拾い集めると必然的にゴミやホコリも混じる。そういう物が混じっていてオーガニックコットンと呼べるのかという疑問も呈されている。

このあたりの論争はなかなか終結を迎えないだろうから、この分野もなかなか厄介であり、当方はますます興味がなくなる。
まあ、暑苦しくない程度でとどめておいてもらうのが一番マシだと感じる。

再生ポリエステルにせよ、オーガニックコットンにせよ、美名と大義名分は理解できるが、現状はその程度のものだから、美名に踊らされすぎないようにするのが、消費者の自己防衛の手段である。

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「数字だけ」を見て失敗したアパレル経営者たちの事例
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