ここのところパソコンの調子が悪くて、今日もなかなか起動せずにブログ更新がこんな時間になってしまった。

アパレル関係者と話すと、「安い物しか売れない」という意見がよく聞こえてくる。

しかし、その「安い物」もそんなに必ずしも好調なわけではない。

先日、また天神橋筋商店街で顔見知りのバッタ屋のニイちゃんと立ち話をした。
いわく「9月は厳しかった」とのことで、「月間売上高が200万円に届かなかった」と意気消沈していた。

また、その近所の他のバッタ屋も100円とか300円とかの超低価格衣料品ばかりだが、好調な日なら10万円を越える売上高があるが、不調な日は7万円程度に終わることもあるという。

9月の衣料品消費が全般的にはどうだかわからないが、「安い物」でも簡単には売れないのが今の状況といえる。

バッタ屋の聖地ともいえる天神橋筋商店街には低価格衣料品店が軒を連ねている。
59円に下がったスカートや99円のジーンズ、190円の日本製の綿カーディガンなど驚きのプライスが掃いて捨てるほどある。

ここで買った服を1000円か1500円でメルカリで販売すれば結構美味しい商売になるのではないかと思う。
また、500円くらいの工賃で再加工(刺繍、ワッペン付けやリメイクなど)を施して、これを3000円くらいでメルカリで売っても良いのではないかと思う。

思い返せば、30年くらい前、当方は17歳で、両親は40代だったが、そのころの両親や親戚の間ではよくこんな会話があった。
当方の親族だけではなく、世の中の大人はほぼ同じ意見だったと記憶している。

例えば、1000円くらいに値下がりした服があったら、「安いからもう一枚色柄違いで買っておこう」という意見が多かった。
当方の両親にしたって本当に別の色柄がもう一枚欲しかったわけではない。
ただ、貧乏性なので、安いからもう一枚買っておこうかという程度の行動だった。

そうやって買った服はだいたいが、2,3回着た程度でタンスの肥やしになってしまう。
とくに無理やりに選んだ色柄はそうなる。

だから、この当時は「値下げすれば確実に売れた」のだが、今はそんなことはない。

理由としては、低価格品があふれているだけでなく、ブランドの値下げ品・投げ売り品も溢れている。何も焦って買う必要はない。
また、各個人がタンスの肥やしを多数抱えている。はっきり言ってしまえば、半年や1年間くらいは服を1枚も買わずに過ごせるくらいだろう。

30年前はまだまだタンスの肥やしが少なかった。だから「飢餓感」「渇望感」があったが、今そんな人はほとんどいない。
「洋服でも買おうか」というのは単なる趣味の世界になっている。
能動的に買うとしたら、靴下や肌着など消耗品が破損したときくらいだろう。

また、トレンド変化が遅いというか、さまざまなテイストが並立共存できる環境にもあるから、新トレンドに飛びつく必要もない。
5年くらい前に買った服なんて余裕で着用できるし、着ていてもおかしいと思われることもない。

最近ではバブル期のファッションがリバイバルしているから、下手をすると、父親や母親からその当時の服をもらって、それを着用しても違和感はない。

バブル期のファッションが復活したことで、現在タブー視されるファッションテイストはなくなったといえる。
そうなると、古着だろうが、10年前に買った服だろうが、何を着ていても不正解はない。

ビッグシルエットからタイトシルエットまで何でもありだし、そのミックス形態もありということになる。

例えば、ワイドパンツがトレンドになっているが、かといってスキニーパンツが絶滅したわけではない。
ユニクロだってジーユーだっていまだにスキニーパンツは主力商品の一つとして売り場に並んでいる。

ハイウエストパンツがトレンドになってもローライズパンツが消滅したわけではない。
いまだにローライズパンツはベーシックアイテムの一つとして存在している。

ブーツカットが流行れば、全員がブーツカットになったような時代とはまったく違ったファッション傾向になっている。

ビッグトレンドが本当に生まれにくくなっており、そういう点でもさらに洋服は売れにくい。

そうなると、たとえ「安い物」でも売れにくくなる。
190円のカーディガンでも飛ぶように売れるとはいかなくなっている。

これが今の状況であり、もう「価格訴求だけ」「ファッション性だけ」「トレンド性だけ」では消費者は買わない。
190円カーディガンでも99円ジーンズでもそんなに先を争って買う必要はないということになる。

アパレル業界人が消費者の行動を理解できないのは、いまだに「安ければ売れる」「物が良ければ売れる」という間違った価格神話や物作り神話を信仰しているからだといえる。

その神話は発展途上国や物の供給量が需要に追い付いていない国では信仰の対象になるが、タンス在庫があふれてファッションテイストが多様化した成熟国にあっては、まったく信仰の対象とはならないことを認識すべきではないか。

当方も含めた業界のベテランや、「洋服大好き」な業界人では、こういう社会環境におそらく対応できないだろう。
従来の文脈で服が売れてほしいという気持ちは当方にもどこかにはあるが、そういう文脈で売れるようになることは今後、未来永劫ないだろう。熱狂的な消費行動を体験したければ新興国へ行くほかないのではないか。

NOTEを更新しました⇓
「数字だけ」を見て失敗したアパレル経営者たちの事例
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