繊維産地の「産地総合展」の多くは、サンプル製品を見せ球として展示しながら、実際はそのサンプルを作った生地の受注を取るというのが目的だが、近年(といっても10年以上前から)産地の生地を使った独自製品、産地オリジナルブランドの展示会も増えてきた。

しかし、概して「産地ブランド」の多くは3年くらいで活動を停止したり、「恒例の行事」的に毎年、展示会を繰り返したりしている。

生地の場合は、各社はそれぞれに専門なので「納入条件」とか「掛け率」とかそういうものが設定されている。だから、生地展で受注があってもそれで対応ができる。
けれども、製品の場合は、各社とも手探り状態であり、「価格設定はこれでよいのか?」「生産数量はどれくらいなのか?」なども全くわかっていない。それどころか、そもそも「ターゲットはどこに設定しようか?」「コンセプトはどうしようか?」ということも少なくない。

当然、この手の展示会は、製品ブランド展示会とは名ばかりの「見せるだけ」の展示会で終わってしまう。
「見せるだけ」だから収益化もできず、行政の補助金や助成金に頼ることになる。そして補助金や助成金は3年間で終わることがほとんどなので、必然的に活動も3年間で終わる。

それでもあきらめきれない場合は、違う行政組織から補助金や助成金を引っ張ってくることを画策し、実行する。
県がだめなら市、市が終わったら町、ナンタラ省の●●課が終わったら隣の課、というような具合である。
もちろんそれも3年間で終わるから、3年ごとに「助成金ジプシー」となってしまうわけである。

「継続は力なり」とはいうが、見せることだけを「継続だけ」していても何の力にもならないし発展することはない。
結局、「通常の展示会」として売らないと何も始まらない。

多くの産地ブランドが長続きしないのはこのためだ。
生産されたサンプルや少数の商品は「記念品」として産地組合事務所に展示されるのが関の山である。助成金ジプシーをやって、成しえたことは「思い出作り」だけなのかと呆れるほかない。

先日、それに意義を唱える若き産地企業の経営者に偶然会うことができた。

まだ全国的には無名だが、「見せるだけ」に終始して満足している産地製品展示会を強く批判し、いかにして受注を取るかということを真剣に考えている。

組合の取り組みがダメなら、自社オリジナル製品を開発してどのようにして卸すかを考えている。

いわゆる国内ファクトリーブランドの多くは、「格安品」は製造できない。
だが割安品なら製造は可能だ。

多くのこの手のブランド、国産押しのブランドの問題点は、その安くはない商品をマスの売り方で売ろうとするところにある。
1足1500円の靴下は決して安くはないが高すぎるわけでもない。

しかし、マスで売ろうとすれば、1足1500円では無理だろう。
グンゼや無印良品の機能性に優れた靴下が3足990円以下で販売されている。

じゃあ、つまるところ、それはニッチ市場、マニア市場へ売ることを考えなくてはならない。
この手の商品をマスに売ろうとするから、経済誌や業界紙ならいざしらず、一般の「モノ雑誌」にまで「原価率50%」という大見出しを付けたタイアップ記事を載せなくてはならなくなってしまうのである。

この経営者は、自らの商品をニッチ向けだと分析し、そのニッチ向け店舗へのみ卸すことを始めている。
その冷静さは、繊維・衣料品業界でも得難いし、産地ではもっと得難い。

いずれ、もう少し取材を重ねたらご紹介したいと思う。

それにしても、マス化させたいなら、衣料品でいえば、ユニクロがありジーユーがあり、無印良品が市場を席捲している時点で、格安でなければマス化できない。もはや、バッタ屋商品ですら「特別には安い」と感じられないほど安い商品が日常に溢れている。

それでいて品質は最低限以上の水準はある。

となると、繊維業界人がいうような「価値ある高額な物をマスに買ってもらう」なんてことはほとんど実現不可能である。

そこそこに高い物は、特定の愛好者に向けて売るべきで、その愛好者に売るにはどのようにすればよいのかということを考えるのがマーケティングであり、販売戦略である。

業界で話題のあの「原価率50%」ブランドでさえ、この「価値ある高額な物をマスに買ってもらう」幻想に取りつかれているのではないかと感じる。
あんなニッチな商品を売っておきながら。

繊維業界人・衣料品業界人は根本から考え直す必要があるのではないか。

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ユニクロより優れた商品は確実に存在する
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n42506aa8f0fe

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