ワーキングウェアナンバーワンのワークマンが、カジュアルシェアをさらに拡大するのは確実なことになるだろう。

先日、商品説明会が行われたようで、その様子が各メディアで報じられている。
もっともわかりやすい内容がファッションスナップドットコムなのでこれを引用する。

「目指すはアウトドアのファストファッション」仕事着のワークマンが増産&拡充で一般層に訴求
https://www.fashionsnap.com/news/2017-09-12/workman-outdoor-sports/

スポーツ、アウトドアへの拡販ということだが、その中の何割かは確実にカジュアルシーンで使用を狙っているのではないだろうか。

ランニング人口が増えている現状では、純然たるスポーツシーンでの着用はそれなりの割合を占めると考えられるが、アウトドア人口は一時期の山ガールブームも終息しており、純然たるアウトドアでの着用というよりはカジュアル用途での着用を期待しているのではないかと思う。

すでに一昨年あたりから、ネットではユニクロをはるかに超える低価格・高機能のワークマンの商品がカジュアル用途で注目されており、今後こちらの需要が激増するのではないかと考えられる。

一部完売する商品も出るなど反響を受け、今年は増産と共にラインナップを拡充。アウトドアおよびスポーツ向けの商品群は昨年30億円、今年は60億円を売り上げ、来期は100億円を突破する見込みで右肩上がりだ。

とのことだが、100億円突破というとジーンズメイトよりも売上高が大きいということになるし、ローカルカジュアルチェーンよりもはるかに大きいということになる。

ドン・キホーテのオリジナルカジュアルブランドも100億円に到達しており、いよいよ、中途半端なカジュアルチェーン店はドン・キホーテとワークマンに駆逐されることが現実になりそうだ。

また、ユニクロも今後はある程度は牙城を侵食されることになるだろう。

価格は専門ブランドと比べスポーツ系商品は1/3、アウトドア系商品は1/2で提供し、低価格に設定することで極力値引きや特売を行わず、数年間売り続けることができるためロスが生じずに粗利率35%での値付けが可能だという。「フィールドコア」の「驚くほど軽いSTRETCH」シリーズの防寒用ブルゾン(税込2,900円)は昨年10万着を売り上げ、今年は2倍となる20万着を目指し10月から販売を開始する。

とのことで、販売数量も百貨店やファッションビル内で展開するアパレルブランドとはケタ違いになりつつある。100枚だ50枚だとチマチマ生産している百貨店やファッションビル内のブランドはもはや、追いつけない水準の生産数量となっている。

ただ、記事の見出しについては疑問を感じる。ワークマンが「ファストファッション」を目指すのなら、トレンド要素を排除したベーシック商品を数年間売り続けることでコストダウンを図るという手法は、おかしいのではないか。

この手法はファストとは正反対の手法で、かつてのジーンズメーカーやユニクロと近い「売り減らし」構造だと読めるからだ。

単に「低価格」だけを指して何でもかんでも「ファスト」とまとめるのは、さまざまな定義が揺らぐもとであり、その一端をメディア自らが担っているという笑えない状況を作っているといえる。

さて、ワークマンは全国800店舗とはいえ、郊外が中心で都心に店舗が少ないのが弱点で、都心にも店舗が多いドン・キホーテとは事業構造が異なる。
郊外店主体ということでは、ワークマンはしまむらに近いといえる。

郊外での出店が近いうちに飽和状態を迎えたときに、しまむらとワークマンは都心進出をどうするのかという決断に迫られることになる。

また、圧倒的に男性需要が多いと考えられるワークマンは、女性客を伸ばすのかどうするのか、という決断にもそのうちに迫られることになる。

盤石のビジネスモデル、永遠に劣化しない事業構造は存在しない。

男性客向けの郊外店として特化するもよし、女性客を取り込んで都心進出を果たして一気にメガブランドを狙うもよし、正解・不正解はない。

どちらの道を選んでもそれなりに苦難はあるし、失敗する可能性もある。
それらを飲み込んでどういう結論を出すのかに注目したい。

それにしてもワークマンの躍進、注目度の向上を見ると、まさに「小売りの輪」理論だと感じる。

ジーンズメーカーやカジュアルメーカーからの仕入れ商品を販売していたジーンズカジュアルチェーン店や大型スーパーに対して、低価格で価格競争を仕掛けたユニクロが、市場の王者となった。これが2005年ごろまでの話だ。

その王者ユニクロは、+J(ジル・サンダー氏とのコラボ)、UU(アンダーカバーとのコラボ)、ルメール、イネス、JWアンダーソンとブランドステイタスの向上を目的とした高付加価値路線に突入し始めた。

そうすると、今度は、ドン・キホーテやワークマンが、低価格・高機能を武器に、その牙城に侵入し始める。

まさしく「小売りの輪」理論だ。

ドン・キホーテやワークマンがこのまま成長を続けたと仮定すると、10年後か20年後には両者が今度は高付加価値ラインを導入し、そこに新たに低価格を武器にした新興企業が侵入し始めるだろう。

小売りの輪は永遠に循環し続ける。

これを見ると、人間の営みなんて意味があるのかと思ってしまうが、とりあえず自然死するまで生き続けたいなら、経済活動をやめるわけにはいかない。

反戦小説や反戦ドラマみたいに「虚しさを感じて、隠遁する」なんて行動をとることはできない。
現実から逃げて隠遁することが高潔な行動でもないし、賞賛されるべきふるまいでもない。

虚しかろうがなんだろうが、勝ち残らねば自然死を迎えるまで生き続けることはできない。

まあ、そんなわけで目の前で繰り広げられる「小売りの輪」理論の実演を楽しみながら眺めることにしたいと思う。

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