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南充浩 オフィシャルブログ

イケアの売上高が日本で減少傾向にあるのは当たり前ではないか

2017年8月28日 企業研究 0

 洋服は毎月何枚か趣味と実益を兼ねて買っているが、家具類は買ったことがない。
そういえば、もうかれこれ10年近く家具は買っていない。

もともと家具にはまったく興味がないし、今使っている物が壊れたら買い替えるだけで、買い足しやら買い直しは毛頭する気がない。

逆に、引っ越しなどの必要に迫られてもいないのに、頻繁に家具店に行く人の気持ちはまったくわからないし、家具を頻繁に買う人の気持ちもわからない。

そんな当方からするとニトリだ、イケアだ、と騒ぐ人々が理解できない。
ニトリは相変わらず出店ラッシュが続いておりますます巨大化する兆しを見せているが、イケアは最近ほとんど出店を聞かず、噂すらあまり聞こえてこなくなっている。

そんなことを考えていたら、東洋経済オンラインにイケア不振の記事が掲載された。

意外と不調?イケア・ジャパンの巻き返し策
8年ぶり大幅値下げでニトリ・無印を追う
http://toyokeizai.net/articles/-/186013

2016年度の売上高は前年よりも減少して、767億円におわったという。

華やかな説明会の陰で、イケア・ジャパンの業績は冴えない。親会社を含めて非上場のため開示されている情報は少ないが、決算公告によると売上成長は2014年度を境に鈍化。2016年度の売上高は767億円で、同社が2020年までの目標に掲げる「1500億円」には程遠い。

2006年に日本1号店を千葉県船橋市にオープンしてから10年以上が経つが、店舗数は熊本の小型店1店を含めても9店のみ。2018年度の出店計画も1店で、目標とする2020年までの全国14店体制達成には黄色信号が灯る。

売り上げと出店ペースが伸び悩む中、2013年度に87億円あった営業利益も、2016年度には5分の1未満の16億円まで激減した。営業利益率は2.2%で、イケアグループ全体の12.8%から大きく見劣りする。

とのことで、記事中で使用されているグラフによると、2016年度の売上高は明らかに2015年度よりも低下して、2014年度とほぼ同じであることがわかる。

また営業利益と純利益は、2015年度、2016年度はかなり低い。
グラフの目盛りから判断すると2015年度の営業利益は10億円程度、純利益も3億円程度だろう。
また2016年度の純利益も10億円程度だと推測される。

この原因を記事ではニトリに押されているためだと説明するが、それはまったくその通りではないか。

日本人の中にはイケアを知らない人も多数いるのではないか。
逆にいうとイケアを知っていたり、イケアに対して興味のある消費者はもう取り込み切ったのではないか。

家具にあまり興味のない人間からすると、イケアがあろうとなかろうとどうでもよい。あまり自分の生活に変化はない。

中には「イケアの家具はデザインが良い」という人もいるが、当方からすると、ニトリの家具だってそこそこデザインは良いし、他の店もそれなりのデザインの商品がそろっているので、デザインの優越性なんてほとんど理解できない。

おそらく、洋服に興味のない人もそういう感じなのだろうと思う。

洋服で「ユニクロのデザインは」とか「イタリア物は」と言っている人のほとんどは、実は「物」ではなくて「ブランド名」だけで判断しているにすぎないが、商品の見た目の差異なんてかなり小さくなっていて、本当に興味のある人か、本当の目利きでないと判別できない。

家具もそんな感じになっているように当方からは見える。

家具も洋服も、多くの消費者は「見た目がそこそこ、品質もそこそこで値段は安ければ良い」という志向だから、見た目と品質がそこそこで低価格のニトリは売れる。イケアも同じ範疇だが、ニトリがあればイケアは要らない。

あと、個人的にイケアを使いたくないと思うのは、買ってきた家具を組み立てるのがめんどくさいからだ。それならニトリやその他家具店で最初から組み立ててある商品を選ぶ。

洋服も売れにくくなっているが、家具は本来ならもっと売るのが難しい。

それこそ洋服なら1枚や2枚余計に買っても収納場所を確保するのは容易だ。
しかし、家具はそうはいかない。
椅子が安かったから1脚余計に買ってきたなんてことはできない。
通りがかったらソファーが安かったから衝動買いしたなんてことはちょっとできない。

そうすると、買い替え需要や買い足し需要は数年に1度あるかないかだから、洋服よりも日々販売することは難しいのではないかと思ってしまう。

洋服なら毎月複数ブランドを買うこともできるが、家具はそういうわけにもいかない。

1ブランドで買いそろえたら、最低でも数年間は他ブランドを買い足す必要がなくなる。

洋服の場合は複数ブランドが並立できるが、家具の場合はそれは難しいのではないかと思う。
ニトリとイケアが拮抗して並立するという事態は極めて起こりにくく、どちらかのシェアが大きくなれば、もう片方は小さいシェアを獲得して存続するしかない。

ニトリが圧倒的になれば、イケアの売り上げ規模が今以上に成長することはほぼ不可能に近いと個人的には見ている。

だからイケアが国内で伸び悩んでいることは何の不思議もない。

それにしてもニトリのおかげでグローバルインテリアブランドの本格上陸が阻止されているというのは、洋服でいえばユニクロ、ジーユーのおかげでグローバル低価格ブランドの本格上陸が阻止されているというのに似ていて興味深い。

運営側の不手際もあるがトップショップ、オールドネイビーは撤退、フォーエバー21は伸び悩んでいる。

わけのわからんグローバルブランドにわが物顔をされるよりは、ユニクロやニトリといった自国企業が君臨してくれている方が好ましいといえる。

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鎌倉シャツのビジネスモデルが秀逸なポイントを考えてみた
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/na76c612e6d37

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