つい最近、トンデモない記事を見てしまった。

おじさんを惑わせる「デニムとジーンズの違い」とは?
http://diamond.jp/articles/-/139366?display=b

結論からいうと、「おじさんを惑わせているのはアンタだ!」ということになる。

この記事の筆者は、ジーンズ=ダサい、デニム=今風でカッコイイ、ということが言いたかったのだろうが、それにしてもいたるところに事実誤認がある。

ファッションなんて個人の主観が入るから数値的な「正解」なんてものはないが、事実誤認はそれとは異なる。こういうことを放置しておくと、工業・ビジネス的な用語の定義までが狂うことになってしまう。

まず、

デニムの語源はフランス語で「ニーム産のサージ(織物)」(serge de Nimes、サージ デ ニームが省略されたもの)の意。一方、ジーンズは「スポーツウエア・作業衣などに広く使われる厚手の綿布」をあらわしています。

とあるが、すでにここで事実誤認がある。

デニムの語源はその通りで、デニムとは生地の名称である。デニムのフランス語読みの「ドゥニーム」がかつてオリゾンティ傘下にあり、現在、ウィゴー傘下にある「ドゥニーム」というジーンズブランドの名称のルーツである。

しかし、後半は全く間違っている。
ジーンズとは、デニム生地で作られた5ポケット型ズボンの総称である。
ジーンズが綿布を指すなんてことは完全なる誤認である。

じゃあ、デニム生地の定義とはなんだろう。

経糸に紺色、緯糸に白い染色しない糸を使って織った綾織生地のことである。
もっというと、経糸の紺色は、糸の中心部分は染めずに芯白の状態になっているのが、本来である。

今では経糸が黒のブラックデニムや、経糸の紺色が芯まで染められた「色落ちしにくいデニム生地」、経糸が色糸のカラーデニムなんていう派生形もある。

一方、同じ商品を指す言葉として、少し古語になってしまった「ジーパン」というのもある。
「太陽にほえろ」でもそんなあだ名の刑事がいた。

この記事の中でもジーパンという言葉が出てくる。

ジーパンは和製英語?で、日本人が作った造語だ。
これは、GI(ジーアイ)パンツの略語だ。
戦後直後に生まれた。

GIとはアメリカ軍人の意味で、戦後直後、アメリカが中古ジーンズを我が国に輸入したときにこの名称が生まれた。

だからジーパンをもしも、英語表記するなら、G-PAN となる。

一方、ジーンズは、JEANSと英語では表記する。
カタカナで書くとジーパンもジーンズも似たような字面で発音も似たようになるが、英語で表記するとまったく異なることがわかる。

JEANSの語源だが、先のドゥニーム生地をイタリアのジェノバから輸出していたということになるらしい。イタリア語ではジェノバはGenoaと表記するが、英語ではイタリア語のGはJに変わることが多いので、JEANSになった。

イタリア語のGIAPPONEが、英語ではJAPANになるのと同じである。

そして、デニム生地で作られたズボンはすべてデニムパンツと呼ぶことができる。

ジーンズとはまったく形がちがうカーゴパンツ(両腿脇にポケットがあるので6ポケットパンツとも呼ばれる)も、一昨年ジーユーが売りに売りまくったガウチョパンツもデニム生地で作られていればデニムパンツと呼ぶこともできる。

デニム生地で作られたズボンの総称がデニムパンツであり、その中で、5ポケット型やそれに類した形状のズボンをジーンズと呼ぶ。そしてジーンズの和製造語がジーパンである。

おじさんにファッションを解説するなら用語を正しく解説すべきであり、異なる自己流の解釈を一般的かのように唱えることは、それこそ「おじさんを惑わせる」行為以外の何物でもない。
こういう手合いがスタイリストを名乗るのはいかがなものか。

さらにこのトンデモ記事では

具体的なブランド名は控えますが、数千円~1万円程度のものではなく、できれば2~3万円程度の「デニム」を1本手に入れてみてください。

と主張するが、もはや意味不明だ。

おそらく、2万~3万円の「デニム」はかっこいい、9000円くらいの「ジーパン」はダサいということが主張したいのだろうと思うが、その手のブランドのステマだろうかと思う。

9000円くらいのエドウインやリーバイスにも現代風にアレンジされた品番がある。それを穿けば良い。
また3990円のユニクロ、3980円の無印良品のジーンズもかなり見た目はグレードアップされていて、それこそ、ファッションに詳しくない人では、穿いていても「ブランドもの」と区別できないレベルに達している。

この記事を書いた人は商品知識が浅すぎる。本当にスタイリストとして様々な商品を見ているのだろうか?

今秋物で入荷したばかりのライトオンのオリジナルブランド「バックナンバー」の6900円ジーンズだってなかなかの見た目になっていて、おそらくこの人では「ブランドもの」と区別することすらできないだろう。

ジレについても書いていたことがあるが、早い話がベストと同じ商品群を指し、それのフランス語がジレだというだけのことで、日本語のチョッキとまったく同じだ。

だから、チョッキ=ベスト=ジレ であり、呼び方が今風だから云々なんてのはアホの寝言でしかない。
そもそも、イキって「ジレ」なんて、底の浅いファッショニスタどもが勝手に雰囲気づくりのために呼び始めただけのことであり、ベストで定着していた一般名称を混乱させたにすぎない。

中にはアホな販売員もいて、「ベストとジレは少し違いますよ」なんて真顔で接客してきたこともあった。コイツハナニヲイッテルンダ・・・・・

この手のアホな人たちはそのうち、「ネクタイとクラヴァットは違いますよ」なんて言い出しそうである。

こういう名称なんて一般の人が詳しく知っている必要はさらさらないが、仮にもファッションを仕事にしていて、スタイリストなんてことをやっているのだったら、名称は正しく認識してもらいたい。もちろん件のジレ販売員もである。そうでなければ、余計な混乱を引き起こすだけのことになり、消費者を惑わすだけの害悪な存在にしかならない。

noteで有料記事を始めてみました。

三越伊勢丹とカルチュアコンビニエンスクラブの提携は何が目的だったのか?
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/n101ec8cd6c29?creator_urlname=minami_mitsuhiro

ファクトリエが国内工場を立て直せない最大の理由
https://note.mu/minami_mitsuhiro/n/nd2f9baabd416?creator_urlname=minami_mitsuhiro

あと、インスタグラムもやってま~す♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro/