しまむらの第1四半期決算が2ケタ減益と大幅に悪化し始めた。

その兆候は今年の初めから見えており、既存店売上高が連続して前年割れを起こし始めていた。

しまむらは2016年2月期、2017年2月期で大幅増益して、メディアから持ち上げられたが、2014年2月期・2015年2月期と連続減益しており、当時のメディアの持ち上げ方には疑問を感じていた。

もっとも企業としての売上高自体は増収し続けていたから、強い企業であることは間違いないが、「勝ち組」と持ち上げるのはちょっとやりすぎではないかと思っていた。

しまむらの業績が急減速、「しまラー」惹きつけるネット通販やフリマアプリの脅威
http://www.sbbit.jp/article/cont1/33839

この記事は比較的良く書けていると思う。

2016年2月期の増益に転じた際、長らく量販店やユニクロ、しまむらなど低価格ブランドのカジュアルパンツのOEMを手掛けたことがある友人がこう指摘した。

「今回の増益の起爆剤は、裏地あったかパンツを100万本売ったこと。しかし、これまで売り切れ御免でやってきた企業が、ユニクロと同じ100万本という大量生産・大量販売システムに転換するのはいかがなものか?いずれ反動が来る」

と。

この指摘は早くも的中しつつあるといえるのではないか。

当時のメディアはどこも指摘していなかったが、100万本を売ったということは、100万本を調達したということになり、それはこれまでしまむらが得意としていた仕入れでは実現しにくく、自主企画商品を生産したということになる。
そのビジネスモデルはユニクロと同一のものであり、しまむらとしては異なるシステムを取り込み始めたということになるが、そんなことが簡単にできるはずがないというのが、友人の指摘である。

記事では、しまむらの強みを端的にまとめている。

その基本は「サプライヤーとよい関係を築くこと」。しまむらは「『4つの悪』の追放」という“仕入れの憲法”を打ち出した。4つの悪とは、「返品」「赤黒伝票(伝票の書き換えで見かけの売上を計上する手法)」「(納品後の)追加値引」「(発注した商品を納品させない)未引取」だ。

 しまむらの、全面的にリスクを負い、値下げしても売り切る“仕入れの憲法”を、サプライヤーは「しまむらはフェアな商売をする」と歓迎した。そして売れ残りにならないような、高品質の商品、売れ筋商品、流行遅れになりにくい商品、とっておきの新企画商品を、しまむらに優先的に供給した。店舗の商品の回転が早くなり、在庫が少なくなり、コストは抑えられ、しまむらにも利益になった。

 そうやって、取引先との間で「しまむらファミリー」と呼べそうな関係を構築すると、取引数量が拡大したサプライヤーは「他ならぬしまむらさんのご提案なら、多少の無理はききましょう」と値引き要請にも応じるようになる。そうやって適正な利益を確保しつつ他店より安い価格をつけることができ、それが業容拡大のエンジンになった。

これは事実で、しまむらの取引は綺麗なことで有名だ。
しかし、この「仕入れ」スタイルで運営するには、しまむらは企業規模が大きく成りすぎたといえる。
大手セレクトショップが軒並み「疑似SPA化」したことを見てもそれはわかるだろう。

主力の「ファッションセンターしまむら」だけで1378店舗もある。
これだけ店舗数が増えれば「仕入れ」だけで商品を賄うのは不可能で、実際、あまり報道されないが、しまむらも自主企画商品を製造しているし、OEM/ODM生産も利用している。

店舗数がこれだけ増えれば、スケールメリットがあるから自主生産が増えるのは当然だが、これまでとは異なるビジネスモデルへとすんなり移行できるとは思えない。

また、個人的意見でいえば、しまむらの売り上げ規模、店舗数ともに国内では限界点に達しつつあるのではないかと思う。

売上高は5654億円もある。

いくら、安くて買いやすいとはいえ、国内でこれ以上大幅に売上高を伸ばすことは難しい。

じゃあ、流行りの海外進出はどうか?というと、ユニクロや無印良品とは異なり、しまむらは品揃えの雑多さが魅力で、その雑多さは「日本のローカルチェーンならでは」という部分があり、海外では嗜好が違うのでその魅力は理解されにくいのではないかと思う。

また、都心部に店が少ないこともそろそろ弱点になりつつある。

郊外では店舗数は飽和しつつあるといえるが、1店舗あたりの売上高の低さを考えると家賃の高い都心には出店できにくい。

よしんば都心に出店したとしても現在のしまむらグループの店作りでは、他の低価格ファッションブランドと比べて大きく見劣りしてしまう。
店の見た目については、しまむらグループはかなりダサい。

国内市場ではそろそろ飽和点に達しつつある、しまむらグループは次はどのような取り組みをするのだろうか?

ユニクロのような大量生産・大量販売方式にするのか?それとも店作りや陳列方法を洗練させるのか?はたまた、グローバルSPA方式に切り替えて海外進出するのか?

いずれにせよ、これまでの「しまむら」モデルのままでさらなる企業規模の拡大というのは、かなり難しくなっていることは間違いない。

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ユニクロ vs しまむら(日経ビジネス人文庫)
月泉 博
日本経済新聞出版社
2009-11-03


しまむらとヤオコー
小川 孔輔
小学館
2011-01-26