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南充浩 オフィシャルブログ

「第二のユニクロ」が出るとするなら、それはライザップじゃなくワークマンではないか?

2017年7月12日 考察 1

 今日は妄想の類なので笑い飛ばしていただいて構わない。

カジュアルウェアにはワーキング出身のものがかなりある。
まず、代表格はジーンズだろう。
リーバイスが炭鉱夫向けにデニム生地のワークパンツを供給したのが始まり、というブランドストーリーは多くの方がご存知なのではないかと思う。

ペインターパンツ、カバーオールジャケット、チノパン、エンジニアブーツ、オーバーオール、サロペット、オールインワンなどなどがワークウェア出身のカジュアルアイテムである。

ジーンズが炭鉱夫の作業着として供給された理由は、「デニム生地がイイ味を出していた」からでもなく、「色落ちを楽しむため」でもない。
当たり前のことだが、当時は、デニム生地が「機能性」素材だとみなされていたからである。

耐久性があり、洗濯がしやすかった、という点が「機能性」として評価された。
また、昔のデニム生地は、紺色を染めるために使用した天然インディゴ染料自体に虫よけ効果もあったといわれている。
現在、アウトドアウェアで注目されている、防虫素材の走りともいえる。

その他のワークカジュアルアイテムも同様に、機能性が評価されて作業現場で使用されていたのであり、けっして、「ヌケ感」とか「ハズシ」が意識されたわけではない。当時、そんなものは頭の片隅にすらなかっただろう。

時は流れて、現在ではデニム生地を「機能性素材」だと認識する人はいないだろう。
ストレッチ混とか吸水速乾デニムとか、軽量涼感デニムなどは機能性素材だといえるが、それはあくまでもデニムという「普通の生地」に新たに機能性を持たせたといえ、デニム生地自体は機能性素材ではない。

なぜなら、技術の進歩によって、綿100%デニム生地など及びもつかない機能性素材が次々と生まれたからだ。

そういう高機能素材を使った現在のワーキングウェアは、低価格な高機能ウェアが目白押しだ。
そういう商品を得意とするのは、ワーキングユニフォームメーカーと呼ばれる専業メーカーであり、「ワークマン」をはじめとするワーキング専門店である。

真夏、真冬の屋外での作業は過酷だ。
そういう過酷な作業を軽減するための衣服には凄まじい機能性が求められ、ワーキングユニフォームメーカーやワークウェア専門店には、高機能商品が目白押しである。
しかも商品価格は安い。

当たり前のことだが、消耗品である作業着に高いカネを払いたいと思う使用者はいない。
丈夫で長持ちして機能性が高くて安いに越したことはない。

最近、そういうワークウェア専門店で扱われている防寒アウター、防寒肌着、涼感肌着などを評価して、日常着に取り入れる人(作業員ではなく)が、チラホラと増えている印象がある。

防寒肌着・涼感肌着というと、真っ先にユニクロが思い浮かぶが、ヒートテックにしろエアリズムにしろ、「低価格」ではなくなりつつある。
定価で1枚1500円くらいになっており、低価格とは呼べなくなっている。あと500円くらい値上がりしたら百貨店向けブランドと価格が変わらなくなる。

そうなると、ワーキング向けとして作られている保温肌着や涼感肌着の方が機能性が高いうえに価格は安いということになり愛用者が増えるのは当然である。

防寒アウターにしても同じで、安くて保温力が高いから防寒ブルゾンの評価は高い。
おまけに徐々にデザインもカッコヨクなりつつある。数年後には通常のカジュアルブランドの商品と見分けがつかないようなワーキング防寒ブルゾンが登場するのではないかと思う。

前置きが長くなったが、かつてのワーキングウェアがカジュアルウェア化したように、今のワーキングウェアが機能性カジュアルウェアとして取り入れられる可能性があるのではないかと最近思うようになったのだが、どうだろうか?

アパレル関係企業を矢継ぎ早に買収し続けているライザップを指して「第二のユニクロ」とか「ユニクロを脅かすか?」というように報道されることが多いが、個人的にはこの見方は疑問である。

ライザップグループが成功するか失敗するかはわからない。成功する可能性もあるが、成功したとして「ユニクロ」のような老若男女を取り込んで国内売上高が8000億円にもなるメガブランドに成長する可能性は極めて低いと見ている。
「ユニクロ」とは違ったベクトルのカジュアルブランドになると見る方が適切ではないか。

個人的には、ライザップグループよりも、ワーキングがマスに支持されるカジュアルブランドに進化する可能性の方が高いのではないかと思っている。

ジーンズを例にするまでもなく、ワーキングとカジュアルは本来親和性が高い。
高機能性が売りのアウトドア、スポーツはすでにカジュアルブランドと融合している。
となると、同じ高機能商品群(しかも低価格)として、現在のワーキングウェアがカジュアルブランドと融合することも十分に考えられる。

極端にいうと、例えば「ワークマン」あたりが、カジュアルウェア愛好家も取り込んでしまうようなこともあり得るのではないかと思う。

もちろん、現段階では筆者の妄想に過ぎないが、商品デザインを見直して販売・告知戦略を改善すれば可能なのではないか。

現に、寅壱ではそういう試みがある。

鳶服などの寅壱、デイリーユースな作業服ブランド「トラ」発表
https://www.fashionsnap.com/news/2017-03-11/toraichi-tora/

TORA

これは今年3月の記事である。

もともと寅壱は、ビームスやジーンズブランドとコラボをしており、カジュアルへも進出していたから、こういう取り組みが好きなのだろう。
これが売れるかどうかはわからないが、今後は寅壱に限らずこういう商材が増えるのではないかと思う。

そうなれば、現在のカジュアルウェア業界はかなり脅かされることになる。

アパレル関係というと何とかの一つ覚えみたいにメディアはユニクロと比較したがり、それはメディアの不勉強かつ怠慢だと見ているが、もし仮に「第二のユニクロ」になる可能性があるとするなら、ライザップグループではなく、「ワークマン」あたりではないかと思っている。

インスタグラム始めました~♪
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro/




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  • おやつ より: 2018/11/13(火) 8:58 AM

    南さんの妄想が現実になりつつありますね👍
    流石です‼️

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