先日、ウェブを眺めていたら、しまむらの「洗える浴衣」が話題になっていた。
そもそも浴衣は洗濯ができる衣類なので一体何を言っているのかと思ってしまう。

しまむらの“洗濯機で洗える”浴衣、業界では当たり前の事をアピールポイントにしたのがエライ!
https://togetter.com/li/1126096

興味のある人は読んでみてもらいたい。

和服に詳しい人、和服を愛用している人なら浴衣が洗濯できることは常識である。
和服に詳しくない筆者でもその程度のことは知っている。

特殊な生地で作られている一部の例外を除いて、基本的に浴衣は綿布で作られてる。
綿布は洗濯が可能である。
故に浴衣は洗濯できる。

多少なりとも生地のことを知っていれば、簡単に導き出せる結論である。

しまむら以外の浴衣も洗濯できる。

浴衣は洗濯できるというこんな常識的なこともマス層は知らないということになり、それをわざわざ、さもすごいことかのようにアピールしたしまむらはやはり慧眼だったというべきだろう。

また、先日、こんなニュースも報道された。

10年前に買ったスニーカー「未使用なのに底が剥がれた」転倒あいつぐ 消費者庁
http://sp.hazardlab.jp/know/topics/detail/2/0/20915.html

これも何を言っているのかと思う。
10年間も放置されていたスニーカーなんて底が加水分解を起こしてボロボロになるに決まっている。
スニーカーの底が永久不変の物だと考えている方がアホである。

これだって、ファッションに興味のある人や靴に少し知識のある人にとっては常識中の常識だ。

記事中には

インターネット調査では、消費者の56.5%がこの事実を「知らなかった」と答えている。

との一文があるが、半数以上の人間はスニーカーの底が加水分解を起こすことを知らないということになる。

ABCマートの店頭で今日、靴を買って帰った客の半分以上は加水分解を知らないということになる。

この驚愕の事実を知っていれば、販売員の接客も変わるのではないかと思う。

浴衣にせよ、加水分解にせよ、愛好家にとっては「常識中の常識」でも、マス層は知らないということで、逆にいえば、マス層に売りたければ「当たり前」のことでもアピールして説明する必要があるということになる。

以前にも、スラックスという単語を知らない人もいるということを書いた。
下半身に着用する衣服をボトムというが、その中でズボンがある。
ズボン、最近ではパンツとも呼ぶ。また英語を元にした呼び名はトラウザーである。

スーツのズボンのような形をしたものをスラックスと呼ぶが、ファッションが好きな人なら、スラックスとはどんなものかをたちどころにイメージできる。
しかし、スラックスとは何かがわからない人もマス層には存在するということで、そういう人にいくら「スラックスが大安売り」なんて連呼しても意味がないということである。
なにせ、スラックスの意味がわからないのだから。

こう考えると、和服、靴のみならず、洋服についてもマス層は相当に知識がないと思って、接客に当たるべきだろう。

業界人、愛好家、ファンの間では初歩の初歩であるようなことさえ、マス層の多くは知らないということで、マス層に売りたければ、初歩の初歩のことを詳細に説明する必要があるということになる。

さて、普段身に付ける洋服でさえ、こうなのだから、繊維製品の製造加工業についてのことはどれほど初歩の初歩までを説明しなくてはならないかが想像できるのではないか。

現在、ウェブが普及し、製造加工業者の自己発信も簡単にできるようになった。
ウェブを使って自己の情報発信を行う製造加工業者も増えた。

しかし、その多くは業界人、愛好家しかわからないような書き方をしており、マス層には伝わっていない。

「うちはド素人のマス層なんぞに発信する必要はない」と思っているなら今のままでも良いが、そうではなく、広くド素人にも知ってもらいたいと思っているなら、業界にとって初歩の初歩のことまで詳細に説明する必要性がある。

あまり、基本的なことを書きすぎると、「同業者に笑われる」と言って嫌悪感を示す製造加工業者がいる。
だが、取引先は同業者なのか?自社の客は同業者なのか?
冷静に考えてみて欲しい。

同業者にいくら褒められても売れなければ意味はない。そんなカネにもならない称賛なんぞ無用の長物だ。
逆に同業者にいくらバカにされようが、自社の製品なりサービスなりが売れればそれが正解だ。

しまむらの浴衣、スニーカーの加水分解の記事を見ても、業界の常識は世間の非常識だということがわかる。

マス層に広く発信したい製造加工業者はもう一度発信の内容を見直してみる必要がある。

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