無印良品が今秋物から一部商品の価格を値下げするそうだ。

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無印良品を運営する良品計画は、今年の春夏に続き、秋冬にも衣料品113点を値下げする。工場を集約すると共に、下着類はファミリマートやサークルKなどのコンビニ約1万8000店舗での展開による大量生産でコストを削減。品質を維持しながら合理化を徹底し、価格を改定することで集客力を高める。秋冬衣料は8月から順次販売する。

紳士用ボクサーブリーフは2枚セット価格を1490円から990円に、婦人用ショーツも同1490円から1290円に値下げする。さらに、秋冬から強化する軽量ダウンは、ブルゾン型を7980円から5990円に、ベスト型を5980円から3990円に値下げする。

とのことだ。

今回の値下げの要因は下着に関しては、コンビニ1万8000店で販売するというスケールメリットを生かしたものだ。
例えば、1店舗あたりに20パックを配布するとして、全店合計すると72万枚(36万セット)のボクサーブリーフが生産できることになり、これほどの枚数があれば、1枚当たりの工賃を引き下げることも、生地値を安くすることも可能になる。

軽量ダウンが安くなる要因は書かれていないが、工賃を叩く以外にも、閑散期に注文する、製造枚数を増やすなどの手法で安くできる。
とくに縫製工場は閑散期に仕事が入ると経営者としてはありがたいから、ダウンに限らず、縫製工賃を安めに設定してもらえる。
この手法は初歩の初歩である。

ユニクロしかり、ジーユーしかり、この無印良品しかり、だが、いよいよスケールメリットのある大資本と、スケールメリットのないそれ以外の弱小アパレル(かつての国内大手アパレルも含む)との差がさらに顕著になってきたと感じる。

ところで、じゃあ、どうしてかつての国内大手アパレルがこの手法を使えなかったのかについて、手短にまとめてみたい。
衣料品生産についてお詳しい方は読む必要がない。極めて基本的なことなので。

ワールドを例に出してみよう。
売上高が3000億円弱あり、年商規模からいえば、相当に大きい。
ジーユーは2000億円弱だからそれよりも大きいことになる。

だったらジーユーと同じスケールメリットを生かした生産方法で、低価格商品を実現できそうなものだが、現実はそうではない。

ワールドでいえば、ピーク時に100前後もブランドがあった。
今はある程度廃止しているが、それでも50ブランドは上回る。

ワールドとしての店舗数でいえば、かなりの店舗数があるが、各ブランドごとの店舗数で見ると、それほど店舗数は多くない。
おわかりだろうか?

100ブランドで1000店舗あっても、1ブランドあたりの平均店舗数は10店しかない。もちろん、実際の店舗数はブランドの強弱によって多い少ないの差は出てくる。
ドレステリアのように5店舗ほどしかなかったブランドもあれば、200店・300店展開するブランドもある。
しかし、無印良品のコンビニ1万8000店と比べると桁違いに少ない。

また、ジーユーは1ブランドで2000億円の売上高があるが、ワールドは100ブランド併せて3000億円である。
となると、1ブランドあたりの売上高はせいぜい200億円とか300億円程度が頂点である。
ジーユーとワールドの各ブランドでは、ブランド規模としては圧倒的に差があるということである。

ユニクロに対しても同じだ。
ユニクロは1ブランドで国内売上高8000億円ある。

となると、ユニクロ、ジーユーに比べると、ワールドは1ブランドあたりの売上高が小さく、売れる枚数も少ないということになり、店舗数から考えても、1ブランドあたりの売り上げ規模から考えてもスケールメリットは発揮できない。
これはワールドに限らず、オンワード樫山、三陽商会、TSIホールディングス、イトキン、すべて同じである。
違うのは抱えているブランドの数だけだ。

自社の特性を知ったうえで、価格維持政策を旧大手アパレルが採ればよかったのだが、98年のユニクロブームに慌てふためいて、スケールメリットがないのに低価格対応したことが、大手の凋落する原因の一つにもなった。

スケールメリットがないのに価格対応をすればどうなるかというと、原価率・工賃を下げ、商品が粗悪品になる。
おまけにPOSデータへの過剰な信頼による売れ筋の無限リピート生産と他社の売れ筋丸パクリ、OEM/ODM生産への丸投げが相まって商品は自社内だけではなく、他社間でも同質化してしまった。

品質が悪い上に各ブランドでデザインが同質化してしまったなら、そんな商品が売れるわけもない。売れなくて当たり前である。しかも価格はユニクロよりも微妙に高いままであり、売れるはずがない。

旧大手アパレル各社は、ユニクロの表面的な価格だけを真似、スケールメリットを生かしたサプライチェーンマネージメントという本質を真似ることを考えなかった。

旧大手アパレル各社は負けるべくして負けたといえる。
まさに「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」である。

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