百貨店全店の売上高合計が2016年はついに6兆円を割り込んで、5兆9780億円にまで低下したことは周知の事実で、それに対して対策が様々議論されているが、実もふたもない言い方をするなら、既存の個々の店舗が少しずつ売上高を伸ばした程度では、百貨店全体の売上高は回復しないのではないかと思っている。

なぜなら、百貨店の店舗数自体が減っているからだ。

不振百貨店の閉店が近年相次いでいるが、不振とはいえ、各店100億円前後の売上高がある。
不振百貨店が閉店するたびに百貨店全体では100億円ずつ売上高が減っているともいえる。

逆に残存した個々の店舗が売上高100億円を増やそうとすると並大抵の努力では実現できない。
相当にキツい作業になる。

日本百貨店協会の資料を見てみる。
これは2014年までの資料だが、売上高のピークは90年で9兆3000億円ある。
このときの店舗数は260店である。

キャプチャ

ちなみに日本百貨店協会によると2017年4月度は229店となっており、90年当時より約30店減っている。

百貨店の店舗数がもっとも多かったのは、99年で311店舗ある。
311店舗もあるのに売上高は9兆円を割り込んで8兆9900億円にまで低下している。
各店舗の売上高が如何に下がっていたかがわかる。

99年というとユニクロのフリースブーム(98年)の翌年でまだブームは継続しており、低価格化がキーワードになっていた。
翌年の2000年にそごうが経営破綻して民事再生法を申請している。

ピーク時から比べると今は百貨店店舗数が80店近くも減っているということになる。

これだけ店舗数が減れば、残存した個々の店舗が少々売上高を伸ばしたところで、かつてほどの売上高には回復できないことは、誰でもわかるだろう。
利益面は無視して、売上高だけを伸ばそうとすると新店舗をオープンさせることがもっとも手っ取り早い手法である。イオンリテールとイオンモールの手法はこれに近い。

店舗数がこれだけ減っているということはその逆で全体売上高は下がって当たり前ということになる。

現在、残存する百貨店は、今後、オンリーワン・ナンバーワン店舗しか残らないだろう。
どこか強い企業、強い店舗だけが生き残り残存者メリットを得るという未来図しか残されていないと個人的に見ている。

百貨店全部が今の規模で生き残るということはひどく楽観的なファンタジーだろう。

ついでに営業時間を見てみる。

売上高ピークの90年の総営業時間は2847時間だったのに対して、97年にはすでに3000時間を突破してそこから右肩上がりに総営業時間は増えていく。

ピークは2005年の3565時間で、その後、一旦3400時間台に下がるが、2014年は3553時間にまで増えており、ピーク時とほとんど変わらなくなっている。
そしてこの間、一貫して百貨店売上高は減り続けているのだから、百貨店が如何に効率の悪い販売方法を採っているかがわかるのではないか。

営業時間を増やしても売上高は回復せずに下がり続けている。
もちろん全体売上高が減っているのは店舗数が減っていることもあるが、営業時間を増やすことでは売上高低下に歯止めがかけられていないともいえる。

営業時間が長時間化するということは、百貨店の社員だけではなく、アパレル各社から派遣されている販売員も勤務時間が長時間化しているということであり、販管費が増える要因にもなっている。

普通に考えると営業時間が長くなればそれだけ販売員の人件費(人数を増やす、または労働時間を長くするから)は増えることになるが、それを抑える傾向が強いから、「衣料品販売員は拘束時間が長いわりに給与が良くない」といわれ、販売員が集まりにくくなっているといえる。

各メディアでは今更、「なぜ百貨店業界は衰退したのか」という犯人捜しをいまだにしているが、ここまで店舗数が減り、それに比例して総売上高が減ってしまっている状況で、犯人捜しをしたところで手遅れではないか。
先程も書いたように、百貨店全店が今の規模を維持して生き延び続けるというのは不可能としか思えないから、どこか特定の強い店舗、強い企業だけが生き残れる方策を探るべきだろう。

はてさて、最後まで生き延びられる百貨店はどこになるだろうか。

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そごう 壊れた百貨店―乱脈経営の全貌とメインバンクの過ち
『週刊ダイヤモンド』特別取材班
ダイヤモンド社
2001-04