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南充浩 オフィシャルブログ

「ジーンズカジュアル業界」なんて枠組みはとっくの昔になくなっていた

2017年6月1日 企業研究 0

 先日、繊研プラスにこんな記事が掲載された。

マックハウス白土氏“ジーンズカジュアル業界”は幻想
https://senken.co.jp/posts/machouse-siratuchi-170526

極めて当たり前のことであり、「ジーンズカジュアル業界」の要職におられる方がようやくまともな認識になったのだと感じた。

ところが、小島健輔さんのブログを拝読すると、業界ではこの発言に衝撃を受けておられる人がいるそうで、その人々の認識の古さにこちらこそ衝撃を受けている次第である。

ここでいう「ジーンズカジュアル業界」だが、製造・加工業やメーカーと川下に位置する流通で分けて考える必要があることはいうまでもない。

製造加工業やメーカーにはそれぞれ得手不得手がある。
卸売り型アパレルメーカーにも得手不得手がある。

だからこれらについては「ジーンズカジュアル業界」というくくりは依然として存在するし、この先もある程度はそのくくりは存続し続けると考えられる。

ジーンズや厚手カジュアルパンツの縫製が得意な工場と、ウールのスラックスが得意な工場という枠組みは存続するし、ジーンズカジュアルパンツが得意なアパレルメーカーと、婦人ブラウスが得意なアパレルメーカーの枠組みが崩れることもない。

徐々に作れるものを増やしていくということはありえるだろうが、一気に他ジャンルと融合してしまうようなことはない。工場でいえば設備投資が必要だから、とくに難しい。

しかし、小売店やトータル展開のブランドにおいては「ジーンズカジュアル業界」なんていうのは幻想にすぎない。

なぜなら、それらを利用する消費者はテイストミックスで日々衣服を身に付けているからだ。

スーツや作業現場の制服はその限りではないが、それ以外の場合はいずれもテイストミックスで日々着用している。

例えば、スエットやスエットパーカ、スニーカーは元来、スポーツアイテムである。
ジーンズだとワーキング、アメカジ。
テイラードジャケットはトラッド、ドレス。
MA-1ブルゾンはミリタリー、バスクシャツはマリン、マウンテンパーカはアウトドア。

といった具合である。

ジーンズにウエスタンシャツにウエスタンブーツみたいな感じで、すべてのアイテムのテイストを統一して着ている人はまずいない。

Tシャツにジーンズにテイラードジャケットとか、ジーンズとスエットとMA-1ブルゾンとかいうふうに必ずテイストをミックスして着ている。

チノパンにデニムシャツにテイラードジャケットを着てスニーカーを履くなんていうのもテイストミックスだ。

となると「ジーンズカジュアル」テイストで統一して服を買い続ける人はほとんどいないということになる。
消費者やファッションにとっては「ジーンズカジュアル業界」なんていうカテゴリーはとっくの昔になくなっており、それこそ、業界の人が勝手に持っていた幻想にすぎない。

それにいわゆるジーンズカジュアルショップを除いて、ほとんどのショップにはジーンズが1型くらいは並んでいる。

スーツカンパニーにもデニムパンツは並んでいるし、ビームスやユナイテッドアローズにも並んでいる。
ユニクロは日本でもっともたくさんジーンズを販売していると思うが、ジーンズカジュアルテイストの商品だけではなく、テイラードジャケットもスポーツウェアも並べている。

ほとんどのショップはすでにテイストミックスで販売しており、「ジーンズカジュアル業界」という幻想にこだわっていたのは、ほんの一握りのジーンズカジュアルチェーン店のみにすぎない。

そして、ジーンズカジュアルチェーン店自体が失速傾向にある今、その枠組みはマイノリティに落ちてしまったといえる。

マックハウスはようやくまともな認識になったと見るべきで、驚くには値しない。

ただし、マックハウスの今の施策がヒットするとも思えない。
企業はもちろん、試行錯誤を繰り返し正解を作り上げていくものだが、今のマックハウスは試行錯誤段階にあるといえる。

新形態の「スーパーストア」だが、画像で見る限りはどうもユニクロのレディース売り場の類似に見えて仕方がない。これをビジカジスタイルの新提案といわれても、新鮮味はほとんどない。

またビジカジスタイルはユニクロをはじめ、スーツカンパニーなどでもすでに大量に提案されており、新規参入組はかなりの苦戦が強いられると考えられる。

マックハウスの知名度とブランドイメージとステイタス性をもってそこに参入するにはよほどの新機軸が必要となるのではないか。
単にオールドネイビーの空き地に出店しましたというだけでは消費者は集まらないし、注目もしない。

客を集めるための仕掛けも練らないといけないし、新機軸も打ち出さないといけない。

試行錯誤を経てどのような新形態を完成させるのか期待して眺めていたい。ただし、試行錯誤のまま新形態がものにならない場合もある。はてさてどのような結末を迎えるのか。

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