大西洋・前社長が電撃解任され三越伊勢丹HDの新体制が発足したわけだが、一連の動きについては賛否両論さまざまな意見がある。

お家騒動によってイメージ低下を懸念する声も多いが、杉江新社長に期待するという声もあるし、大西・前社長の不備を指摘する声もある。

大西時代には催事が160~200もあったという報道もあり、それが事実だとすると、現場が疲弊するのも理解できる。催事で目先を変えて売り場の鮮度を保ちたかったのだろうが、ネタはそんなに落ちているわけではないから、ネタ作りだけでも現場は疲弊する。

そんな中で一連の動きに対する報道で個人的に賛成できる部分が多いのが、ダイヤモンドオンラインのこの記事である。

三越伊勢丹HD「1億かけて1銭の利益も出ない催事」が象徴する苦境
http://diamond.jp/articles/-/127814

仕入れ構造改革について「利益貢献額は目標値を上回ったが、改革に要したコストを含めればマイナスの可能性がある」と負の側面を挙げ、中小型店の展開については「ビジネスモデルを確立する前に店舗数を拡大してしまった」として見直す方針を強調。特にエムアイプラザについては、新規出店の原則凍結を打ち出すなど、大胆に見直す考えだ。

とあり、それはその通りだ。
とくにエムアイプラザやイセタンサローネ、イセタンハウスなどの中小型店は不振だといわれており、拡大路線を転換することは当然だろう。

業界内部から聞こえてくるのは、東京ミッドタウンに出店した「イセタンサローネ」と大名古屋ビルヂングに出店した「イセタンハウス」の不振の噂だ。

ただでさえ店舗面積の狭い伊勢丹新宿本店のさらにその中小型版は果たして必要なのだろうかと思ってしまう。ジェイアール大阪三越伊勢丹からリニューアルしたルクアイーレ内の伊勢丹コーナーもわずか1年ほどで縮小されてしまった。縮小されたということは業績不振だったと考えるべきである。業績が好調なら拡大もしくは維持されていたはずだからだ。

しかし、この記事では

 ただ、今回、未達に終わった中期経営計画は、杉江社長が当時、経営戦略本部長として大西前社長とともに策定したもの。社長就任時の記者会見でも「計画の立案には私も携わった」と明言している。

 杉江社長は、不採算事業の見直しを後回しにして成長事業を優先していた大西前社長に対し、「自分はコストカットに最優先に取り組むべきだと訴えていたと」主張するが、「なぜ計画策定時ではなく、今になって全否定するのか疑問は残る」と指摘する百貨店関係者は少なくない。

とも指摘しており、これもその通りである。

杉江新社長は大西時代の中期経営計画の策定にもかかわっており、それを今更まったくの他人事のように批評するのはどうかと思う。

もちろん、反対意見を述べたもののトップの意向で却下された可能性もあるが、経営戦略本部長という要職にあったのだから責任は免れない。
現場の平社員や外部の評論家とは立場が異なる。

人件費の削減は大西・前社長も取り組むべき課題だとしていた。

三越と伊勢丹が合併して、本部スタッフをほとんど減らさないままに10年が経過してしまっている。
合併したら本部スタッフは1・2倍くらいに抑えねばならないのに、これを純増ないし微減で10年過ごしてしまったとかつて大西・前社長も反省の弁を述べたことがある。

今回、大西・前社長の根回し不足という要因はあるものの、地方店リストラに現場が反発して電撃解任に至ったと公表されており、杉江新社長のリストラ構想も容易く実行できないのではないかと見られてもおかしくはない。

この記事は

もっとも中計の達成度や業績を見れば、大西路線の成果には確かに疑問符が付く。杉江体制に入り、その問題点の洗い出しがようやく始まったわけだが、かといって明確な成長戦略があるわけでもない。立て直しに残された時間は、決して多くはない。

と結ばれており、これもその通りである。
そもそも従来型百貨店を維持しながらの成長戦略なんていうものは考えられない。

それが可能ならジェイフロントリテイリングは「脱百貨店」を打ち出さなかっただろう。

これは大西・前社長も明言されたことがあるのだが、今の時代、百貨店はなくなっても誰も困らない。
百貨店従業員とその家族、納入業者とその家族は困るだろうがそれくらいである。
今の百貨店はライフラインでもなければ圧倒的なステイタスシンボルでもない。

そういう「なくても困らない物」をどのようにブランド化して、大衆から利用され続ける店にするのか。
百貨店各社にはそういう難問の解決が求められており、何らかの答えを導き出さなければ市場から退場させられてしまう。

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