ダイヤモンドオンラインのこの記事はなかなか的確な指摘ではないかと思う。

「百貨店とスーパー」の数字で語られる消費統計と報道の歪み
http://diamond.jp/articles/-/128461

マスコミ各社はだいたいが百貨店の売上高とスーパーの売上高で景気や消費動向を報道するが、それは実態に合っていないのではないかという指摘の記事である。

百貨店の売上高は30年前の水準である5兆円台にまで落ち込んでしまった。
理由は様々あるだろうが、店舗数の減少もその一因であるといえ、地方百貨店の閉店や倒産が響いている。

それ以前に消費市場全体に占める百貨店の割合も縮小している今、景気指標の一つとして統計採用の意味が希薄化しているのである。

もう一つの重要指標であるスーパー。こちらも16年度(15年4月から16年3月まで)の売上高は前年比1.6%減の13兆426万円だった。こちらも97年の16兆8635億円をピークにすでに3兆円以上、減り続ける市場である。

世間では百貨店売上高の減少ばかりに注目が集まっているが、スーパーの売上高も順調に減っているのであり、今後も順調に減り続けるのではないかと思う。逆にスーパーの売上高が増える要因を思いつかない。

にも拘わらず、

しかし、毎月、日本百貨店協会によって発表される百貨店の売上高をマスコミも重宝しているのが現状である。キチンと統計数字をレク付きで発表してくれるのは日本百貨店協会とスーパーの業界団体である日本チェーンストア協会しかなく、マスコミ各社もこの数字で消費動向の報道をするしかないのが現状である。

という状態であり、これはかつて業界紙に属したわが身を振り返ってもまったくその通りだとしか言いようがない。

で、この記事は、例えば15兆円以上にまで成長したネット通販や6兆円を越えるようになったドラッグストア、さらに7兆円規模の家電量販店が反映されていないと指摘しており、これもまったくその通りだといえる。

しかしながら、ようやく最近はコンビニエンスストアの売り上げも集計するようになっているが、依然として各地の経済産業局の管内の経済動向や、各地区の財務局による経済情勢分析でも地元の百貨店やスーパーの動向しか見ていない。

ここで改めて、衣料品不振や百貨店不振の原因が可視化されたように感じる。

要するに個人の金の使い道が増えたのである。

2000年代まではネット通販もなかったし、酒、車、服くらいしか金の使い道がなかった。
そのときに比べると個人の趣味のバリエーションは格段に増えている。

ジョギングをする人もいるだろうし、ロードバイクをする人もいる。
釣りもいるだろうし、携帯電話やパソコンに金をかける人もいる。
ガンプラを買う人もいるし、ゲームに金を使う人もいる。
何が面白いのかわからないがソシャゲに課金する人もいる。
女性ではないからあまり詳しくないが、コスメや化粧品だってバリエーションが増えている。
あからさまに化粧をする男性は少ないが、美容液などを常用する人は以前よりは増えている。

となると、洋服に使える金額は減らざるを得ない。

そこにバブル崩壊からのデフレが始まり衣料品の平均価格も低下した。

日本のアパレル小売り市場は10兆円を割り込んでおり、91年は15兆円以上あったのだから実に4割減となっている。
洋服自体の売れる枚数が減った部分もあるだろうが、平均価格が大きく下落したことも響いている。

一方で、20億点だった衣料品の国内流通点数は39億点にまで増えている。
これも低価格ブランドの大量生産・大量販売によるものである。

市場規模は4割減になったが、流通する商品量は倍増しているということになり、減少したパイを各ブランドで分け合っているというのが正しい現状といえる。
また、それを分け合うブランド数もこの20年間の間に増えているのではないかと思う。

ブランド数についての統計は存在しないが、零細規模のブランドを含めるとそれこそ無数にある。
OEM/ODM業者の急増によって、金さえ払えばだれでも洋服ブランドが立ち上げられるようになっている。(長続きできるかどうかは別として)

結局、洋服も含めた全ジャンルがそろって需要が増加することはなく、何かが増えればその分、ほかの何かへの支出が削られるのであり、洋服は削られる側であるといえる。

さらに洋服分野だけでも同じことがいえる。どこかのブランドの売上高が増えるということは、他のブランドの売上高が減るということである。とくに20年間、所得が増えていない状況が続いているからその傾向は顕著にならざるを得ない。全ブランドがそろって売上高を伸ばすということはありえない。

考えてみてもらいたいが、毎月5万円の可処分所得があったとして、何もなければ5万円分の洋服を買っているところに、今月20,000円でパーフェクトグレードユニコーンガンダムのプラモを買ったとすると、3万円分しか洋服は買わなくなる。手取りは急には増えないからどこかの支出を減らさざるを得ない。

また、有名ブランドで5万円の服を買ってしまったとしたら、次の給料日までは他のブランドで服は一切買わずに乗り切る。

国内市場規模というのはそういう個人の集合体だから、個人の消費の動向とある部分では似るのが当然といえる。

となると、服が売れないのは日本の市場規模が小さいからでもなく、日本の消費者がアホだからでもなく、日本の消費者がファッションに興味を持たなくなったからでもない。まあ、ジジイ世代の考える「ファッション」には興味は持たなくなっているが。

洋服が売れるようになるには、全体の所得を増やすしかないし、各ブランドは売れたければ39億点に埋没しないような売り方・見せ方・伝え方をするほかない。

その事実が直視できないなら、売れないままに市場から退場するほかない。

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