今日は日記みたいな感じで。

先日、久しぶりに日登美の展示会にお邪魔した。
日登美は百貨店向けのメンズパジャマとシニアメンズカジュアルのメーカーだ。

驚いたのが昨年10月に日登美の図師雅文・前社長が急逝されたことだ。
その半年くらい前に大阪展示会でお会いしていたので、ちょっと驚いたのだが、業界紙の報道によると交通事故とのことだった。

もうかれこれ、20年前から断続的にお付き合いしていただいていたのだが、それは突然終わってしまった。

50歳手前になると人を見送ることが多くなり、自分の番もそう遠いことではないと改めて実感する。

そういえば、図師社長の身内を会社で見かけたことがなかったので後継をどうするのだろうと思っていたら、女性が新社長に就任したという記事を業界紙で見かけた。

メンズのパジャマとカジュアルウェアの会社で、社内も男性社員の方が多いから、女性が新社長になるというのは意外だった。

業界紙を読むと、ご息女ということだが、前社長には実子がいなかったため、姪御さんを後継として養子縁組をしたのだそうだ。
証券会社出身とのことで、ビジネスの仕組みやカネの流れについての理解は明るいのではないかと想像した。

古株の副社長、常務はご健在だから、いきさつをお聞きすると、事業を後継するために前社長の亡くなる何か月か前に養子縁組し、本来ならそこから数年間でアパレル業務を勉強してから後継する予定だったが、前社長の急逝で前倒しとなってしまった。

そんなわけで、いざ、新社長の図師綾さんにお会いしてみると、予想外にお若かった。
初対面の女性に年齢を尋ねるわけにもいかないので、20代後半から30代前半くらいだろうと思う。
50歳手前になると20代後半も30代前半もそんなに違いがわからない。

10代、20代の若者が47歳と52歳を区別できないのと同じである。

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(図師綾新社長)

年配の男性社員ばかりの中に若い女性社長というのはちょっと奇異な印象も受けるが、実際に展示会場で見ていると、それなりに溶け込んでいたようで、文字通り「男くさい(笑)」社風がこれからは少し変わるのではないかとも思った。

新社長とお話した感想をいえば、まだ半年なので業界のことに対しては不慣れな感じがあるが、古株の役員がサポートしておられるので、そんなに手ひどい失敗はないと思われるし、おいおいと業界のことには慣れていくのではないかと思う。

前社長の急逝、新社長の急登板という状況なので、事業内容そのものには大きな変化がない。

需要が急増もしない代わりに急減もない百貨店パジャマを基盤にしつつ、メンズカジュアルを展開する。

この展示会訪問で、以前にもこのブログで紹介した谷野美智雄・副社長のコメントを聞かせてもらった。

そう、「物作りが上手い同業他社が、得意とする物作りに注力して売り場変化に対応できず消え去っていった」という内容のあのコメントだ。

カジュアルのVUMPS(ヴァンプス)では、色落ちしにくいデニム生地を使ったパンツとジャケットが提案されていたのが印象に残った。

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(ヴァンプスの色落ちしにくいデニム製品)

これが提案されたのは、通常のデニム生地を使った商品を着用して白いシートの自動車に乗ると、シートにブルーが移染したというクレームがあったことがきっかけとなった。
まあ、その色落ちこそがデニム生地本来の魅力ではあるのだが、それをデメリットに感じるという人も確実にいるということだ。

ちょうど同じ時期に2017秋冬展示会が開催されたジョンブルでも色落ちしにくいデニム生地を使ったGジャンとジーンズが提案されており、こちらは「濃色が気に入っているのでこれ以上色落ちしてほしくない」というファッション的な要望があったことが製造するきっかけとなっている。

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(ジョンブルの色落ちしにくいデニムブルゾン)

デニム関係者やジーンズ業界人の多くは、「デニムは本来色落ちするもの」「色落ちするからこそデニム」という考え方を多かれ少なかれ持っている。
デニムの本来の定義からするとそれはその通りなのだが、色落ちしないでほしいという需要は確実に存在する。

筆者もそのうちの一人で、リジッド(ノンウォッシュ)やワンウォッシュなどの濃紺ジーンズを買った場合、できるだけ色落ちしてほしくないと思う。
なぜなら、その「濃紺」という色を気に入って買っているからだ。色落ちするのは仕方がないとあきらめてはいるが、可能ならばできるだけ色落ちしてほしくない。

筆者のように「色そのもの」が気に入って買っている人間からすると、3年後か5年後に「色が変わってしまう」とそれは別の商品になってしまうからだ。

濃紺のパンツを買ったのに、5年後には薄ブルーのパンツへと「変色」してしまうのなら、その商品を買う理由、所有し続ける理由がなくなってしまう。
それなら、デニムほど色落ちしない濃紺のパンツを買って所有し続けるという選択をする。

あらかじめ色落ち加工を施されたデニムでも同じで、その色落ち具合が気に入って買ったのに、5年後はさらにブルーが薄くなってしまうのなら、無邪気には喜べない。

色落ちしにくいデニムへの要望が少なからずあるということは、デニムが「特別で独立した」な生地ではなく、数ある色の中での一色に過ぎないと見ている消費者が相当数いるということではないか。

需要を作る、消費者を啓蒙するというのも一つのビジネススタイルだが、需要のある商材を供給するというのも一つのビジネススタイルである。色落ちしにくいデニム生地を欲しいという層があるなら、そこへ商品を供給するのも立派なビジネススタイルだといえる。個人的にはデニム業界はその需要を取り込んだ方が良いと思う。

「本物のジーンズとは」「本物のデニムとは」と、作り手のこだわり・マニアのこだわりばかりを押し付けていても仕方がない。

そうそう、日登美がAmazonへの出品ということでごく少数の型数からネット通販を始めたので、ここにアフィリエイトをいくつか貼っておく。(笑)