先日、あるファッション専門学校の校長と話す機会があった。
その校長によると、今年4月に大阪市内のファッション専門学校に入学した生徒総数は1000人を割り込んで900人台だったという。

この数字が正確かどうかは分からないが、全国のファッション専門学校に通う生徒総数が12000人くらいといわれているから、大きくは間違っていないと考えられる。

大阪市内の学校法人のファッション専門学校は上田安子服飾専門学校、大阪文化服装学院が2強で、大阪モード学園がそれに続き、その次にマロニエファッションデザイン専門学校が続く。

この校長によると、この4校でおよそ800人くらいの入学者があったというから、のこり150人強をその他の学校で分け合ったということになる。

当然、その他の学校の入学者数は少ない。
各校5人~50人くらいの入学者数だろう。

ついでに言っておくと、4校の入学者数もピーク時と比べると一様に減っている。
4校が安泰というわけではなく、生徒数の減少傾向は他校よりは緩やかだが、本質的には変わらない。

そしてこれは大阪市内だけのことではなく、全国的に共通したファッション専門学校の現状である。

ファッション専門学校の生徒数・入学者数の減少にはさまざまな理由がある。
何度か書いてきたので繰り返さないが、

1、少子化でFランク大学を含めれば大学全入時代になった
2、ファッション業界が斜陽産業だと思われている
3、ファッション専門学校卒業後の主な就職先は販売員だが、ファッション専門学校を卒業せずとも販売員になれる

4、販売員を辞めて異業種へ転身する際、4年制大学や短大の方が「潰しが効く」と考えられている

だいたい大きくはこの4点が原因だろう。

そんな中、入学者数を前年よりも増やした、前年維持できた学校もあるが、それらの要因を聞くと、「中・四国地方の進学希望者を多く誘致した」「アジア人留学生を飛躍的に増やした」ことが挙げられる。

どちらも根本的解決には至らない対処療法でしかないことは言うまでもない。

他地方の進学希望者を多く誘致することは、その学校にとっては良いことだが、その地方の学校にとってはさらに厳しい状況となる。
結局、人口の分捕り合戦でしかなく、これが行きつくと、最終的に5つくらいの超強力な学校がすべての生徒を獲得することになる。

そこらへんのアパレルショップの安売りどころではなく、ファッション専門学校の生徒獲得はまさに弱肉強食の状態である。

アパレルショップなら安売りをすることで顧客をシェアすることも可能だが、専門学校の顧客(生徒)を分け合うことはできない。

アパレルショップなら、500円に値下がりして安いから隣の店でも1枚買うということは可能だが、専門学校の生徒が月水金は上田安子で、火木土は大阪文化に通うなんてことはありえない。

ファッション専門学校業界こそ、少ないパイの分捕り合戦を行っている状態といえる。

また、外国人留学生を多数誘致するというのも今の専門学校の受け入れ態勢ではなかなか難しいし、単に日本滞在だけが目的で、卒業せずに退学してしまう外国人留学生も相当数いる。

根本的解決を目指すなら、ファッション専門学校への進学希望者数自体を少しずつ増やすしかないが、企業と協力しなくてはそれもなかなか難しいし、企業の積極的な協力もそれほど期待できない。

ファッション専門学校は、このまま少しずつ減って、最終的に少数の学校が残るという結末に落ち着くのではないか。

それはそれで時代の趨勢だから、何か抜本的な改革を学校自身がしないことには、淘汰されるのも仕方がない。

全国専門各種学校案内 2017-18年度版
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一ツ橋書店
2017-03-01