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南充浩 オフィシャルブログ

学生向けに「クールビズ着用令」を公布してはどうか?

2011年5月23日 未分類 1

 先日、環境省がクールビズをさらに進めたスーパークールビズを発表した。

浜岡原発の停止により、東北・関東地方だけではなく、この夏の電力が全国的に不足すると言われている。
(反対意見も諸説あるが)
このままでは、夏に冷房がほとんど使えない状態となることから、通常のクールビズではなく、さらに涼しく感じられる服装が必要となる。
そのためのスーパークールビズの提示である。

お役所が服装規定をすることにバカバカしさを感じるし、
12~14オンスのデニム生地を使用したジーンズはまったく涼しくなく、通常のサマーウールを使用したスーツのパンツの方がよほど涼しいということを先日、指摘した。

しかし、他方でポロシャツ、Tシャツ、アロハでもOKというスーパークールビズは、
日本の夏の男性のビジネススタイルを見直す良い機会だとも思う。

「マナーとしてきちんとした服装をすべきだ」という意見もわかるが、
真夏に上着とネクタイを着用するスタイルは日本の気候に反しており、以前から無意味だと考えていた。
スーツスタイルは、夏でも涼しいヨーロッパで考え出されたものである。
ヨーロッパのスポーツ中継を見ていると、多くの観客は真夏でも長袖のカーディガンなどを羽織っており、まれにブルゾンを着用している人もいる。
いかにヨーロッパの真夏が涼しいのかよくわかる。

一方、日本の夏は高温多湿であり、近年その高温ぶりには拍車がかかり、
東京や大阪では35度以上の気温が続くことも珍しくなくなっている。
おまけに湿度は70%を越えている。
こんな気候で、上着を着てネクタイを締めている必要があるのだろうか。
上着着用でネクタイを締めている状態なら、
室内の空調を25度以下にしないとまったく涼しくない。
冷房温度を上げるために、上着着用とネクタイを止めるというクールビズは理にかなっている。

日本よりも高温多湿な香港ではエグゼクティブはスーツ姿だが、
冷房温度がものすごく低く設定されている。台湾も同じだ。
その他のアジア諸国では、冷房を効かせることができる状況にある人は
スーツ姿だが、そうでない人は軽装である。
エグゼクティブでもない大多数の日本人が、エグゼクティブと同じ服装をする必要があるのだろうか。
もう少し気候に応じた服装で良いのではないか、と働き始めたころから感じていた。
今回のスーパークールビズは、そういう意味では良い試みだと思う。

しかし、そのスーパークールビズへの反応でこんな記事が掲載された。

就活もクールビズで 企業呼びかけも学生鈍く
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110522-00000101-san-bus_all

 夏の冷房を控えることが予想される中、ソニーは学生に「リクルートスーツをご用意いただく必要はありません」と告知。面接官もクールビズで臨む。

 5月に採用活動を再開した富士通ネットワークソリューションズも、人事担当者がブログでクールビズを学生に呼びかけている。就職支援サイト「リクナビ」の岡崎仁美編集長は「スーツの着用が必ずしも必要でない企業は、積極的に学生にアナウンスしてほしい」と話す。

 夏を乗り切るリクルートスーツとしては手軽に洗えるものが人気だが、あえて「脱スーツ」を打ち出したのが、はるやま商事。節電事情を踏まえたシリーズ「SAVE BIZ(セーブビズ)」を6月末から販売する。裾のロールアップ(巻き上げ)を前提としたパンツや7分丈の短パンといった商品を、学生に“模範スタイル”としてPRしていく。同社の横山健一郎・社長室長は「スーツもOKですが、わが社への就活は『SAVE BIZ』でお越しください」と話す。

 一方の学生側はどうか。高島屋は学生たちに「服装は選考に影響はありません」と伝えている。しかし、男女とも100人中99人の割合でリクルートスーツ。各企業の面接控室では上着を脱がず、暑さに耐える学生が多いという。

とのことである。
ここに挙げられた企業の呼びかけはまことに適切だと思う。
とくに、はるやまは流石に衣料品の会社であり、もっとも涼しく感じるであろう7分丈パンツの着用を許可している。ちなみに7分丈パンツというと、ふくらはぎの真ん中くらいの長さである。

その呼びかけに乗らない学生の気持ちもわからないではない。

しかし、結局、役所がクールビズ、スーパークールビズを設定しなければならなかったのも、
この学生たちと同じ行動をサラリーマン諸氏が取ったからである。
役所がある程度強制的に着用を迫る必要があったということである。
明治に発令された洋装令以来、日本人の衣服に対する考え方は何も変わっておらず、
平成の世でも「クールビズ着用令」が発令されないと、着用する衣服は変わらなかった。

就職活動の学生にもクールビズ、スーパークールビズを着用させるには、
環境省が再度「学生向けスーパークールビズ着用令」を公布しなくてはならないのではない。

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 comment
  • 虹炎寺 より: 2011/05/23(月) 10:19 PM

    理に適ったいい指摘だ。
    どっかの記事で、アロハは日本の物じゃないからという理由で小倉さんを叩いてるのがいたが、その理論でいけばまさにスーツは日本の物じゃないんだから別の服装にするべきだということになる。
    結局他の人が変えないからという理由で自分から変えようとしないところがいかにもって感じだねw

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