常々、国内の繊維製造加工業者が自社ウェブサイトを持たないことに対して「ビジネス的に不利になる」と指摘し続けてきたが、実はアパレル企業でもウェブに極端に弱いのが、この業界の特色である。

おそらく、バブル崩壊直後くらいまでは衣料品業界、ファッション業界は時代の最先端に位置していたのだと思う。(この当時は学生で働いていないので推測)

人為的に決められたものにせよ、「トレンド」というものを毎年打ち出して、それによって消費動向をある程度左右してきた。その当時の最新鋭の情報発信ツールがファッション雑誌であり、テレビ番組とのタイアップだった。

そこから25年前後が経過し、ファッション雑誌もテレビ番組も最先端の情報発信ツールではとっくの昔になくなっている。

2005年ごろから有名企業には公式ウェブサイト(いわゆるホームページ)が常備されるようになった。
企業の商売のサイクルはさまざまあり、卸売りがメインなら年間2~4回くらいの更新が必要となり、直営小売店を運営している企業なら最低でも月1回の更新が必要になる。

しかし、いくら卸売りベースの企業だからといって、2年も3年も更新しないのではその企業は「倒産してしまった」と思われても仕方がない。
すでに2005年ごろにはそういう風潮が世間の標準となっていた。

ちょうど10年ほど前、業界の大ベテランの人から、某アパレルを紹介された。
卸売りがメインだったが、新ブランドの直営店を原宿にオープンした。

その企業とは個人的には何のビジネスも進展しなかったが、そこから3年くらいが経過して、ふとその企業のウェブサイトを覗いてみた。
驚くことにいまだに、2006年当時の「NEW 原宿店オープン」という告知が一番上に掲載されており、「おいおい3年間更新なしかよ」と呆れ果てた。

結局、この原宿店はすでにこの時点でほぼ閉鎖が決定しており、その後程なく正式に閉鎖されたのだが、それにしても3年間更新なしというのは恐れ入る。
下手をするとこのアパレル企業自身が2006年の時点で倒産してしまったと思われても不思議ではない。

そこから時は流れて、現在ではウェブは販促、広報、PRに必要不可欠なツールとなっており、ウェブサイトなしではBtoBにさえ差し支えるようになっている。

製造加工業者が新規の受注を求めるのなら、自社ウェブサイトは絶対に必要である。
例えば「縫製工場」とか「染色加工場」とウェブ検索した時点で、その検索画面に社名が表示されなければ、問い合わせは絶対に来ない。

知られていないのは存在しないのも同然なのである。

さて、そんな中、2016年が終わり、2017年が始まった。

ひょんなことから3年ほど前知り合った小規模な卸売り型アパレル企業があるが、先日、丸3年間ウェブサイトを更新していないことを知った。

2006年当時のあのアパレルを思い出してしまったのだが、これはかなり不味い。
事情を聴くと、人手が足りないとのことでそれはわからないではないが、どこかのウェブ会社に安い金額を支払ってでも最低でも年1回は更新すべきだ。

創業から長い時間が経っている様々なアパレル企業と話していて改めて思い知らされることは、「ウェブに金を支払う価値を見出していない」ということである。

ウェブはできればタダでやりたい。

という考えが経営層にはこびりついている。

片や、ユニクロやジーユーはウェブへの投資を積極的に行っており、有名インスタグラマーには巨額のギャラを支払ってウェブでの販促・広報を行っているといわれている。

ファッション雑誌やテレビ番組でタレントの〇〇ちゃんに着てもらって、それがバカ売れするなんていうことは過去のビジネスモデルになりつつある。

ヒットしたドラマにはそういう効果が今でも期待できる部分があるが、それでもどうだろうか、90年代の熱狂ぶりと比べると随分とおとなしいのではないかと思う。

アパレルの販売不振にはさまざまな原因が考えられるが、ウェブという最先端のツールに対して理解も取り組みも投資もしていないこともその1つではないだろうか。

好き嫌いは別にして現在はウェブ検索、ウェブ通販、ウェブ告知がなくてはならないものになっているし、それがさらに進歩して、最先端ツールの1つであることはゆるぎない事実である。

本来は、消費者より一歩先んじた最先端を提案していたアパレル、ファッション業界が、逆に消費者よりも10年~20年遅れてしまっている。そんな遅れた業界が提案する商品が消費者から支持されないというのは当たり前の話ではないか。

消費者ニーズを見つけろ!なんて上から目線で号令している経営層自身が、実はウェブを軽視して消費者ニーズをまるっきり理解できていないというのが今のアパレル、ファッション業界の実態である。

他人や部下への号令なんてかけている暇があったら、あんたらこそが消費者ニーズと向き合えよって話である。

あ、遅ればせながら1年半前からインスタグラムをやりだした。
https://www.instagram.com/minamimitsuhiro/

展示会写真を掲載するつもりだったが最近はガンプラ多めである。(笑)


いちばんやさしいInstagramマーケティングの教科書
アライドアーキテクツ株式会社・藤田和重・金濱壮史
ラトルズ
2016-12-22


SNSマーケティングのやさしい教科書。 Facebook・Twitter・Instagramーつながりでビジネスを加速する技術
株式会社グローバルリンクジャパン/清水将之
エムディエヌコーポレーション
2016-10-03