なんだかんだで、オンライン通販で服や服飾雑貨を買うことが増えた。
もっぱら買うのはユニクロか、一度試着したことのあるアイテムに限られているのだが。

そうすると当たり前だが、定期的にメルマガが来ることになる。
筆者のもとに定期的に届くのは、ユニクロ、ジーユー、アダストリア、Amazonくらいである。
Amazonはいろんなブランドの案内が併記されている。

一応、情報収集も兼ねてそれらのメルマガにはざっと目を通すのだが、正直に言って、意味の分からない商品説明が多い。

商品説明文で一番マシなのはユニクロとジーユーだが、それでも「?」と感じることがある。
それ以外のブランドやAmazonで見かけるブランドの商品説明文はほとんどが「?」である。

あんな意味の分からない説明文を書いているから洋服が売れないのではないか。
あと商品名も企画担当者の自己満足でしかない短縮形が多い。
あれではどんな商品なのか消費者にはまったく伝わらないだろう。
伝わると思ってるならそれは業界人の傲慢である。

例えば

スライバーニットを使用したスライバーチェスターコート。 適度なふくらみ感がありつつ、軽くて暖かな着心地が特徴の素材です。 スタンダードで洗練されたデザインですのでコーディネートに取り入れやすく、 ワードローブに入れて頂きますと大変便利な1着になっております。 オススメはGジャンやライダースなどの軽アウターの上から、コートを羽織って頂くスタイリングです。

これは実際の通販サイトに書かれてある説明文である。

これを読んでどんな商品なのかわかる人がどれだけいるのか、これを読んで「この商品欲しい」と思える人がどれほどいるのか。

まず、「スライバーニット」ってなんやねん、である。
業界人ですらわからない人が相当数いるのではないか。
とくに昨今は業界人の商品知識レベルは劣化しているので。

個人的に気になるのは、このコートの生地は「ニット」なのか「織物」なのかであるが、この文章だけではあまりわからない。スライバーニットを使っていると書いてあるのでニットなのだろうと推測するほかない。

ニット生地だということは、防風性が弱いということになる。
セーターは風を通すから。
そこに対する何らかの施策(生地の裏にフィルムが貼り付けてあるとか)があるのか?
何も書いてないということはないと判断せざるを得ないが、もしそういう施策があるなら書いていないならそれは伝わらない。
伝わっていないことは存在しないのも同然なのである。

防風性が弱いならコートとしてどうなのかということになる。

お薦めはGジャンの上から羽織れと書いているが、防風性が弱い(と仮定するなら)コートをGジャンみたいに保温力の弱い衣類の上から羽織って真冬に着用できると思っているのだろうか。

この文章を作った人、それから商品企画担当者はそんな寒々しい恰好で真冬に出歩いているのか。

また

寒い季節にぴったりなキュウシン柄のニット。
印象的なデザインなのでアウターを羽織った時に、チラッと見える柄が◎
また、ジャガード部分に起毛をかけ、暖かな着心地と肌触りも追求しています。
ホワイト・ブラック・ブラウンなど、ベーシックな色を基調とした配色で、
様々なアウター・ボトムスと合わせられるのもオススメのポイントです。

これも実際のサイトの説明文である。

そもそも「ジャガード」という表記自体が間違いで正しくは「ジャカード」である。

で、これはセーターなのだが、ジャカード編の柄部分に起毛をかけているとあるが、柄のない部分は起毛をかけていないのだろうか?
そういう技法で作られたセーターもあるが、そんな面倒なことをこの低価格ブランドがやるとは思えない。
低価格ブランドなら全面に起毛をかけるか、まったくかけないかのどちらかである。
そのほうが加工コストが安い。

長くなるのでこのあたりにしておくが、どのサイトの説明文もほぼこれらと同様か、これら以下の内容である。

そもそもが、商品名の「キュウシン柄ニット」って何なのか。
首元から胸あたりにかけて柄があって、それが首元を中心とした円形状に広がっているから「求心柄」なのだと思うが、求心をキュウシンとカタカナ表記にすることで何のことやらまったく意味が分からなくなる。もしかして「求心」という漢字を読めないと思っているのだろうか。
それはあまりにも消費者をバカにしているし、自分らの知能レベルに合わせて消費者を判断しているとしか言いようがない。

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(キュウシン柄ニットの実例)

http://www.itokin.net/avv/products/detail.php?product_id=82192

 キュウシンと書かれても救心かもしれないし、急進かもしれない。もしかしたら球審かもしれない。

おそらく以前はノルディック柄の一種として紹介されていた柄だが、今の店頭やサイトで見ていると純粋な「ノルディック」ではなく、南米風だったり民族調だったりする柄も含まれているから、「キュウシン」と呼び名を変更したのだと思うが、この中途半端な変更と意味不明のカタカナ表記によって、消費者には一層伝わりにくい商品名となっている。

衣料品業界のオンライン通販は、つまるところ画像に頼りすぎている。
もしかしたら、かつていわれた「オンライン通販に説明文は必要ない。画像がすべてだ」という間違ったやり方をいまだに妄信しているのかもしれない。

オンライン通販に画像は不可欠だが、説明文も不可欠である。
「説明文は短ければ短いほど良い」なんてデマが流布されたこともあるが、実際に手に取って風合いやら触感やら生地の厚みなんかがわからない分、説明文はかなり詳細に書き込む必要がある。

「説明文は短ければ短いほど良い」なんてことをいまだに信じているなら、それはお気の毒なことである。

洋服が売れなくなった理由は様々あるだろうが、こういう伝わらない説明文や意味の分からない商品名などという部分も大きいのではないか。

もう、きれいな画像と、雰囲気だけの意味の分からない説明だけで洋服が売れる時代ではないということを業界人は痛感すべきである。