オープン当初だけ話題になって、そのあとまったく名前を聞かなくなるブランドはけっこうある。
株相場でいうと「上場ゴール」みたいなものである。

そういうブランドはたいていが数年内に閉鎖されている。

「チャールズ&キース」もその一つといえる。

「チャールズ&キース」国内全店舗を閉鎖 ECのみで事業継続
https://www.wwdjapan.com/360751

シンガポール発のレディースシューズとバッグの低価格SPAブランドで、2013年に日本に上陸した。
わずか3年前のことだが、当時はまだ海外ファストファッションブランドブームの余韻が残っており、業界関係者は「イケる」と踏んだのだろう。

日本では、オンワードホールディングスが合弁によるジャパン社を設立して、店舗展開を手掛けていた。

シンガポール発のシューズ&バッグブランド「チャールズ&キース(CHARLES & KEITH)」の国内店舗を全て閉鎖し、ECのみで販売を継続する。旗艦店の原宿店以外の13店舗はすでに撤退。原宿店も12月31日に閉める。ECは26日にいったん終了させた後、来年春に再スタートする。

日本ではオンワードホールディングスとチャールズ&キースグループが共同出資でチャールズ&キースジャパンを設立し、2013年4月に1号店の原宿店を開いた。全国主要都市のファッションビル、ショッピングセンターなどを中心に14店舗を運営していた。

とのことである。

チャールズ&キース

チャールズ&キースの商品

業界関係者の熱心なプッシュに反して、オープン当時取材に伺ったが、それほど「すごい」とは思わなかった。
店作りに斬新さがあったわけではないし、ハイヒールやパンプスのデザインも珍しい物ではなかった。
価格は4900円だったが、それも飛びぬけて安いというわけではない。

5000円くらいのこの手の婦人靴なら日本には市場に溢れており、もっと安い商品も珍しくない。

何がそんなに評価されているのか正直わからなかった。

例えば、ややターゲットとテイストは異なるが、atta girlというブランドの方が安い。
しかも某スタイリストによると、「安いうえに履き心地が良く、作業の多い日はこのブランドを愛用している」という。価格は1500~3000円くらいまでである。

http://shop-list.com/women/brand/attagirl/

たまにこのブランドの在庫品が投げ売られていることがあるが、その場合は1000円である。

チャールズ&キースはOLの仕事用やパーティー用っぽいデザインに限定されており、この市場は日本ではそれほど需要がない。
価格もそれほど安くはないから、売りは「シンガポール発」と「靴のグローバルSPA」という部分だけになる。

とくに消費者にとってメリットがないから、あまり売れないような気がしていたが、3年でブランド閉鎖になった。

提携したオンワードホールディングスの保守的な社風がそういう面白みのなさに拍車をかけたのではないかと見ている。

取材時にオンワードホールディングスの部長が対応してくださったが、見るべき部分のないコメントばかりでいかにもオンワードらしいと感じたことを覚えている。

チャールズ&キース、それから先のトップショップのように、単に「海外ブランド」を持ち込んでも今の日本では簡単には売れない。
もちろん、日本人にはわけのわからない舶来コンプレックスみたいなものがあって、海外ブランドの方が売れる可能性が高いが、すべてが売れるわけではない。

市場での優位性とか競合ブランドの有無とかで大きく売れ行きが異なる。
靴市場はそれほど詳しくないが、門外漢の筆者から見れば、国内で大量に流通している低価格婦人靴と一体なにが違ったのかよく理解できない。

価格も中途半端だし、デザイン性が突出しているわけでもない。
売り方が斬新かというとそうでもない。

この価格より安くて同じようなデザインをしている靴なら日本市場には掃いて捨てるほどある。

よほど目新しいやり方や、心をつかむような販促広報を仕掛けないと、難しかったといえる。

それに加えて、トップショップもチャールズ&キースも日本での提携先企業の選択を誤ったといえる。

アパレル・ファッション業界にはいまだに「欧州の〇〇」とか「米国の〇〇」とか「外国の〇〇」なんていう安易な発想でブランドビジネスを展開しようとする風潮が根強いが、よほど考えないと単なる「外国発」なんていう冠だけでは売れない。それをトップショップやチャールズ&キース、カルフールなどが証明したといえる。