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南充浩 オフィシャルブログ

洋服以外の商材に活路を求めた縫製工場

2016年12月2日 新商品発表 0

 カジュアルパンツのOEM生産を請け負っている友人から「今年に入って製造地を国内から中国へ再度移転した」との報告があった。

理由の1つとして夏場から円高傾向が進んだことが挙げられる。
現在はトランプ次期大統領の就任が決まって再び110円越えの円安基調へ変わっている。

また、日本の縫製工場よりも中国の工場の方が使い勝手が良いこともある。
大ロットの受注がアセアン諸国へ移ったため、中国国内の縫製工場はかなり小ロット対応も積極的に行うようになっている。
さらに、副資材の手配や取り付けなども一貫生産で中国では行える。

国内の縫製工場は分業体制が確立されているため、ボタンやリベット、ファスナーなどの副資材の手配は、ブランド側が行わなくてはならないし、取り付けはそれぞれ別の専門の工場へ送らねばならない。

そういう諸々の要素によって、縫製の多くは再び中国へ戻りつつある。
11月から円安基調が加速したが、だからといって再び国内工場へ受注が戻ることは考えにくい。
機能性、機動性、利便性の上で中国工場が国内工場を上回っている場合が多いからだ。

そんな中、三重県の縫製工場、近藤ソウイングの近藤喜成社長と久しぶりにお会いした。

近藤ソウイングは受注はそれなりにあるそうだが、付き合いのある縫製工場の多くが閑散としており、1年前の活況は見られない状況にあるという。理由は多くの注文が中国工場へ戻ったからだ。

いやはや厳しい状況である。

その際、近藤社長が「新製品のサンプルだ」と言って、「指ヨガ手袋」をいただいた。

自力ではできないほどキツイ状態になるが、左右の手のそれぞれの人差し指と小指を内側に曲げずにくっ付けると、体の柔軟性が増すのだそうだ。
これは近藤社長が勝手に言っているのではなく、カイロプラクティクの小平芳弘さんの提案だそうだ。
この手袋の考案者もその小平芳弘さんである。

言葉ではわかりにくいので実際に手袋をはめてみるとこんな感じである。
人差し指と小指が縫い付けられており、強制的にくっつけさせられる形になっている。

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これを30分はめると肩こりや腰痛などが緩和されるという。

いやー、それは単なるプラシーボ効果じゃないのか?

筆者はこの手の健康グッズはあまり信用しないので、即座に疑った。

筆者は肩こりがひどく、首、背中、腰も常に重だるい。
ちょうど社長とお会いしたときは、首の左側がひきつったように痛い上に、腰が10日以上痛かった。

だまされるつもりでこの手袋を30分はめてみた。
何がどうなったかはわからない。
べつにどこか体の部位に刺激を感じたわけではないが、30分が過ぎたころから、首と腰の痛みがマシになってきた。

これには驚いた。

社長と別れてから、夜、もう一度はめてしばらくすごした。
翌朝はさらに体全体のだるさが緩和されている。

そこから毎日、30分くらい手袋をはめるようにしているが、以前より肩こりがマシになっているように感じる。

近藤社長は、「もう洋服の縫製の注文は目に見えて増えることは考えにくい。それよりもこういうアイデア商材を新たに取り組む方が生き残れる可能性が高いのではないか」と話しておられ、本当にその通りではないかと思った。

筆者のようなド素人から見ると、形が変なだけの単なる手袋ではないかと思うのだが、実はミリ単位にまで注意を払って縫製しているという。だから少しズレただけで不良品になるため、不良品比率はかなり高いそうだ。

縫製工場の新しい取り組みとしては成功する可能性は低くはないのではないかと思う。
さっそく近藤社長は販売サイトまで立ち上げておられる。

http://www.wis5455.com/

洋服の販売不振はピークを迎えており、事態が好転することは今後もほとんど望めない。
もう「トレンド提案」だとか「アクセントカラーの提案」だとかそんな小手先だけでは洋服の売上高が回復することはありえない。

製造加工業の自立化も以前からいわれているが、商況が極度に悪い洋服という商品で、自立化を目指すのは並大抵ではない。

だとすると、こういうアイデアグッズ的、健康グッズ的な商材からスタートする方が理に適っているのかもしれない。近藤ソウイングという縫製工場が自立化を開始したのだが、そのとっかかりとしてはこういうやり方もありなのではないか。




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