つい先日、1年ぶりに京都イージーの岸本さんとお会いすることができた。

http://www.easy.ne.jp/index.html

このサイトで、オリジナルTシャツと一部仕入れ品を販売しておられる。
完全にネット通販のみで成立している事業である。

オリジナルTシャツ類は2900円以上と決して安くはない。
仕入れ品の一部には1900円前後の価格帯もあるが、決して某サイトのように激安ではない。
それでも年間1万数千枚を販売するというから、かなりの販売力といえる。

商品企画、サイト運営をお一人でなさっているので、売り上げ規模としては十分といえるのではないだろうか。

それにしてもほぼTシャツ類に特化しているとはいえ、年間1万数千枚を売るブランドはなかなかない。

今回、久しぶりにお会いすると、新商品「テレコリブVネックTシャツ」のサンプルを下さった。
これは「スクリュー」というブランド名で販売を開始された商品である。

6・3オンスなので通常のリブカットソーよりずっしりと重くて生地が分厚い。
テレコリブフライスという生地でたしかに伸縮性が高く、着てみると「ピタっ」とする。

http://www.easy.ne.jp/html/tshirt/8815-screw.htm

きっとマッチョな人が着ると良い感じになるのだろうと思う。

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衣服を新品のままで着るという習慣がないので、まずすぐに一度洗濯してから着用してみた。
なぜ、新品のままで着用しないかというと、洗い加工が施された商品以外の衣服は生地が糊付けされた状態にあるし、洗濯後よりも少し大きめだからだ。

洗濯をするとこの糊が取れるし、乾いた後は少し縮む。
そこから体に合うかどうかを見たほうが適切だからだ。

糊付けされたままなので、例えばスエットやストレッチパンツなどは新品の状態だと、意外に硬いことがある。
糊を落とした後は柔らかくなり、本来の伸縮性が発揮されることが多いので、新品の状態での着用はなるべく避けている。

洗濯乾燥後に着用してみたが、やはり分厚くて安心感がある。
そしてかなりピタっとしたシルエットである。

ここ数年間で、こういうタイプの生地で作られたTシャツはちょっと各店頭でも見たことがない。
興味のある方は試してみる価値は十分にあると思う。

ところで、この岸本さんは非常に男っぽい風貌をしておられるナイスミドルなのだが、そういう人が男性用Tシャツを企画製造するというのはものすごく商品とのイメージが合致しやすい。

またウェブサイトは決して洗練されたデザインとは言い難いが、製造や生地のことを詳細に書いておられ、商品に対しての安心感がある。

企画製造する人と商品のギャップが大きい場合も面白いが、人間と商品が合致する場合も消費者に対しては好印象を与えやすい。
また製造する商品に対しては、普段の書き込みから信頼性がある。

だから、仕入れ商品で比較的低価格のものも扱っておられるが、「あの岸本さんがお薦めする商品だから」という理由で安心感がある。
決して粗悪品は仕入れないだろうという安心感がある。

実際に、知人に比較的買いやすい値段のTシャツ類を尋ねられたことがあったが、すぐに岸本さんのサイトを紹介した。

いろいろと難しい時代ではあるが、本来の専門店とか本来のブランドというのはそういう要素が大きかったのではないか。

「あの人がお薦めするから」「あの人が選んだ商品だから」「あの人が作ってるブランドだから」

そういうことが支持されたのではないか。

例えば、小規模専門店(いわゆる町のブティック)が厳しいといわれるが、本来ならそこのオーナーなり、店長なりが「お薦めする」商品が支持されていたのではないか。
そういう要素がなくなれば、お客は「同じ商品なら値段の安い方で買う」という行動を絶対に取る。

こういうやり方は小規模企業の方がやりやすいと思うが、大手企業だって導入できないことはない。
その部分を抜きにして「今流行りの〇〇」だとか「あの人気店でも仕入れている商品」だとか「ユニクロのあれと同じ素材で作った商品」だとか、そんなことに終始していれば、お客はより利便性の高い方で買う。

例えば、ネットで探せば同じ商品が同じ時期により安く売られていることも多い。
ユニクロと同じ素材で作った商品ならユニクロのほうが価格が安い。

ならそういうところで買う。

そのためには決して「偽善クサイ美しい物語」をでっちあげる必要はなくて、それぞれの事業主が譲れない部分を正直に出して共感を集めることが重要ではないだろうか。

京都イージーの場合は、生地作りだったり、その製造過程だったりするわけで、そこを盛り盛りにせず、淡々と紹介するから信用性が増すわけで、ほかの事業主なら、コーディネイト提案かもしれないし、それこそデザインやディテールへのこだわりかもしれない。
それを打ち出さなければ、とくに小事業者は本当に淘汰されてしまう。