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南充浩 オフィシャルブログ

ある程度のセンスは情報や知識の蓄積で身に付けられる

2016年10月26日 トレンド 0

 ファッション業界人が持っていると自任するところの「センス」だが、ある程度の水準なら努力で身に付く。
何度も書いているように、筆者は働き始めるまで、母親がイズミヤかジャスコで買ってきた1900円の服だけで生活していた。
もちろん、美濃屋の「コンバース」とかそういう量販店向けのれっきとしたブランドではない。
なんだか聞いたことのないラベルが付いているよく分からないメーカーの商品である。

今なら、プチプラブランドだけで全身を固めても選択肢さえ間違えなければそれなりに見えるが、当時の量販店ブランドと有名ブランドの服の見た目には雲泥の差があった。

形・シルエット、色・柄、すべてが異なっていた。

当然、筆者はダサかった。今でもダサいかもしれないが、まあ、それでも一般人レベルにはなっていると思う。
どうやって一般人レベルまで独力で改善できたかというと、仕事柄もあって、繰り返しコーディネイトを見続けたからである。
ファッション雑誌、売り場のディスプレイ、ショーウインドウを繰り返し見続けた。

最近でこそ、ファッション雑誌はペラっと流し読みしかしなくなったが、2005年くらいまでは、メンズファッション雑誌を1冊買うと少なくとも5回か6回は全ページを隅々まで読んだ。もちろん文字も全て読んだが、やっていたことは全ページのコーディネイトを頭に入れることだった。
別に無理をして作業したわけではなく、自然と興味があってそれを繰り返して行っていたというだけのことである。

5年位それをやればかなりの「コーディネイト像」が脳内に蓄積された。
あとは蓄積されたコーディネイト像に照らし合わせて、洋服を選べば良い。
ただし、ファッションモデルと筆者では、容貌も体型もまったく異なるから、あとは試着をして微修正するほかない。

顔が小さく、首が長い細身の男性モデルが着たら似合うコーディネイトでも、顔が大きく、首が短くてガッチリ体型の筆者が着ると、ダサくなることも多かった。それもまた微修正して記憶にとどめる。
そうすると、そのうちにだいたいどんな服が自分に似合いやすく、どんな服が自分に似合いにくいかという基準ができる。

基準ができたらそれに沿って、選んで買えば良い。
ずっと薄給だったから夏冬のバーゲン狙いだったし、2005年以降はプチプラブランドの見た目の向上もあったので、そちらに移行して今に至る。

「ぼくの指南に沿えばかならずオシャレになります」みたいなメルマガ商売もあるが、独力で最低水準までは何とかなるというのが実体験である。

マラソンや水泳も同じで、繰り返し練習すれば、走れて泳げるようになる。
運動嫌いの筆者でも3年も続ければ1時間くらいは走れるようになる。
ただし、じゃあオリンピックや国体に出場できるようになるかというとそれは不可能で、努力以外に「天性の才能」が必要だが、1時間走るだとか100メートルを泳ぐというだけのことなら努力次第で可能になる。

ファッションセンスもそんなものだと思う。

「服を買いに行く服がない」なんて悩んでいたことがあるという人もいたが、ダサいままで買いに行って、店員に全身コーディネイトをしてもらえば済むだけの話ではないかと思う。
何も突然にその日だけダサい服装になったわけではなく、これまで散々ダサい服装で外出し、公共交通機関を利用し、場合によっては仕事までしてきたんだから、服屋に行くときだけ悩むなんていうのはナンセンスであろう。いつも通りダサいままで出かけて、店で全身コーディネイトをしてもらってそれを買えば良いだけのことである。

服屋にかっこつけたって仕方がない。服屋の店員に褒められたって何の得にもならない。じゃあそれまでダサい服装のままで公衆の面前を闊歩していたのは恥ずかしくないのかということになる。

もしくは、独力でファッション雑誌のコーディネイトを穴が開くほど研究して「標準スタイル」を脳裏に叩き込んでそれに沿ってコーディネイトして服屋に出かけるかである。

そんなくだらないことで悩んでいる時間と労力のほうが無駄ではないか。

大塚着物店の大塚直人さんがこんなブログを書いておられる。

一向に上手くならないアレのセンス
http://tsukachan330.hatenablog.com/entry/2016/10/25/001002

いや、ちょっと待って!
 
「センスとは情報や知識の蓄積」
 
とは師匠や某デザイナーさんから聞いた言葉。
センスというのは天性のもの磨く事が出来るものではないというのは
間違っているという話なんですね。
つまり、センスが無いと言うのは → 努力が足りない
研鑽によって磨かれ高まってくるもの。
 
では、センスを高めるためにどうすればいいの?っと。
 
1、とにかく“普通”をたくさん知る
2、その中からコレは!というものを選び、抜き出す  
3、実践出来るもの、マネ出来るものは徹底的にパクる
4、自分の得意なスタイルを意識して作ってみる
 
という事でしょうか。

とのことである。

だからファッション雑誌の掲載スタイルを全部頭に叩き込んで、その中から特に真似したいコーディネイトを選ぶ。
モデルと自分には顔面と体型に隔絶した差があるから実際に着用してみて微修正を繰り返す。

そうすれば、平均的なファッションセンスは身に付く。ただし、オリンピックや国体級のセンスはそうした作業に加えて「天性の才能」が必要になり、なければその部分は諦めるほかない。

しかし、平均的なセンスくらいはそこそこの努力で身に付くのだから、それほど特別な才能ではない。
ファッションに限らずセンスなんてその程度のものということである。





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