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南充浩 オフィシャルブログ

意外な所有者がブランドの版権を所有していることもある

2016年8月22日 企業研究 0

 今日は小ネタを。
お前のはいつも小ネタじゃないかと言われそうな気もするが。(笑)

ブランドの商標権というのは意外な企業が持っていたりすることが多い。
どれも昔のことで、現在は解消されているが、以前に取材して驚いたエピソードを紹介したい。

夏冬のファミリーセールにほぼ欠かさず通っているヤマトインターナショナルだが、「エーグル」をライセンス生産していた。
その「エーグル」のライセンス契約を早期終了するというニュースが先ごろ流れた。

ヤマト インターナショナルが「エーグル」契約を早期終了 売上高の25%失う
https://www.wwdjapan.com/business/2016/05/26/00020626.html

 ヤマト インターナショナルは5月26日、フランス発のアウトドアブランド「エーグル(AIGLE)」のライセンス契約を2017年2月28日で終了することを発表した。契約満了予定だった18年12月31日を繰り上げて事業展開を早期終了する。契約終了の理由について同社は「今後のビジネス戦略の見直しを図る中期構造改革の一環」としている。17年3月からはラコステ ジャパンがライセンシーを引き継ぐ。仏エーグル社と仏ラコステ社はスイスに拠点を置くマウス・フレール・グループの傘下という関係からスムーズな移管ができると判断した。

 「エーグル」は1993年からヤマト インターナショナルが仏エーグル社とのライセンス契約に基づき、国内販売を開始した。直営店26店、アウトレット店14店、コーナー店29店舗を展開し(今年2月時点)、売上高は約50億円(弊紙推定)と同社の25%を占めている基幹ブランドだ。

とのことである。
ちなみにこの50億円前後という売上高の推測はほぼ正しいと感じる。
各ブランドの売上高は非公開だったが、クロコダイルとエーグルの2つが主力ブランドだったから、ざっとこんなものではないかと考えられる。

さて、このニュースは5月末のものなのだが、そのときに感じたのが「ヤマトはラコステと縁が深いなあ」ということである。

その昔、ヤマトインターナショナルの決算報告書には、「ライセンス収入」という項目があった。
決算会見で某業界紙記者が「この内容は何ですか?」と質問したところ、反ってきた答えが「ラコステからのライセンス収入」だった。
実際はもっとボカしての返答である。
「某ワニのマークのポロシャツのブランドさんから」という感じだった。

説明によると、日本国内でワニのマークを左胸につけるという商標はヤマトインターナショナルの「クロコダイル」がかなり古い時代に取得していたそうだ。
ワニの向きが右か左かは関係ないのである。

そこで、ラコステはその当時、ヤマトにライセンス使用料を支払っていたというわけであり、現在はそういうことは解消されている。

だからエーグルがラコステに移籍することを考えると、ラコステとヤマトの因縁と言おうか、縁の深さには驚かされたのである。

もう一つ。

その昔、PIKOというサーフブランドが一世風靡セピアした。いや、一世を風靡した。

当時はクリムゾンという会社が量販店平場で大々的に販売していた。
イズミヤでもイトーヨーカドーでもジャスコでも大量に売られていた。
グラフィックのセンスはあまり良いとは思えないのに飛ぶように売れていたから不思議なことである。

そのおかげでクリムゾンは最盛期には売上高190億円弱にまで拡大した。

このブランドもその昔は意外な企業が版権を取得していた。
もう2000年ごろの話になるが、肌着のOEM生産などを手掛ける澤村という会社がPIKOの版権を持っていた。
やはり決算報告書にはブランドライセンス収入という項目があったのである。

こんな風に市場流れている商品の版権を意外な企業が持っている場合がある。
ブランドビジネスを開始する際にはそのあたりの調査が必要になる。

例えば、現在なくなってしまった某なんちゃってサーフブランドがあった。
企画製造販売を行っていた会社は公式には「海外のサーファーと契約したブランド」と説明していたが、実はその版権を国内で所有していたのは、ちょっとややこしい性向の個人だった。
その個人に一定の金額を支払って、会社はブランドを企画製造販売していたのである。

こんなケースも業界ではそれほど珍しくない。

調べてみると意外に面白い事実が浮かび上がることも多い。




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